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第1632回 波乱要素は? 春のマイル王決定戦・安田記念を分析する!
2022/6/2(木)
日曜に春のマイル王決定戦、安田記念が行われる。東京競馬場5週連続G1のラストを飾る一戦だ。昨年は8番人気だったダノンキングリーが断然の1番人気グランアレグリアを破って優勝。今年も波乱の目はあるのか、2012年以降近10年における安田記念のレース傾向から探っていきたい。なお、データ分析にはJRA-VAN DataLab.とTARGET frontier JVを利用した。
■表1 安田記念近10年の人気別成績
人気 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単勝回収値 | 複勝回収値 |
1番人気 | 3- 3- 2- 2/ 10 | 30.0% | 60.0% | 80.0% | 94 | 114 |
2番人気 | 1- 0- 1- 8/ 10 | 10.0% | 10.0% | 20.0% | 67 | 38 |
3番人気 | 1- 3- 1- 5/ 10 | 10.0% | 40.0% | 50.0% | 120 | 121 |
4番人気 | 1- 0- 1- 8/ 10 | 10.0% | 10.0% | 20.0% | 192 | 53 |
5番人気 | 0- 1- 0- 9/ 10 | 0.0% | 10.0% | 10.0% | 0 | 29 |
6番人気 | 0- 0- 1- 9/ 10 | 0.0% | 0.0% | 10.0% | 0 | 45 |
7番人気 | 1- 0- 0- 9/ 10 | 10.0% | 10.0% | 10.0% | 124 | 38 |
8番人気 | 2- 1- 0- 7/ 10 | 20.0% | 30.0% | 30.0% | 845 | 167 |
9番人気 | 1- 0- 0- 9/ 10 | 10.0% | 10.0% | 10.0% | 157 | 41 |
10番人気以下 | 0- 2- 4- 64/ 70 | 0.0% | 2.9% | 8.6% | 0 | 83 |
まず表1は安田記念近10年の人気別成績。1番人気馬が2015年モーリスら最多の3勝をあげ、連対率60.0%・複勝率80.0%と高い。対して、2番人気馬は12年ストロングリターンの1勝のみで、複勝率20.0%と低い。以下、8番人気馬が昨年のダノンキングリーら2勝、3・4・7・9番人気馬が各1勝。7〜9番人気馬で4勝をあげており、伏兵馬の一発がある。
2・3着馬は下位人気まで幅広く分布しており、特に3着馬は10番人気以下の人気薄が4頭と多い。19年・20年は上位4番人気以内で順当に決まったが、昨年は8番人気ダノンキングリーが1着。近10年中8年で8番人気以下が1頭は3着以内に入っている。配当面では3連単50万円以上はないものの、10万円以上は過半数の6回を数える。
■表2 安田記念近10年の所属別成績
調教師分類 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単勝回収値 | 複勝回収値 |
美浦 | 5- 6- 3- 42/ 56 | 8.9% | 19.6% | 25.0% | 190 | 69 |
栗東 | 5- 4- 7- 79/ 95 | 5.3% | 9.5% | 16.8% | 55 | 88 |
表2は安田記念出走馬の所属別成績。美浦所属の関東馬、栗東所属の関西馬ともに5勝ずつをあげているが、連対率では大きな差があり、関東馬が2倍以上高い数値をマークしている。関東馬は昨年上位3着までを独占しており、近3年は毎年2頭以上馬券に絡んでいる。
対して、関西馬は3着以内馬16頭中7頭を9番人気以下の人気薄が占めている。関西馬は穴で注意といえるかもしれない。
■表3 安田記念近10年の年齢別成績
年齢 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単勝回収値 | 複勝回収値 |
3歳 | 0- 0- 1- 2/ 3 | 0.0% | 0.0% | 33.3% | 0 | 80 |
4歳 | 4- 2- 2- 25/ 33 | 12.1% | 18.2% | 24.2% | 153 | 72 |
5歳 | 3- 5- 3- 41/ 52 | 5.8% | 15.4% | 21.2% | 102 | 67 |
6歳 | 3- 2- 3- 37/ 45 | 6.7% | 11.1% | 17.8% | 124 | 117 |
7歳以上 | 0- 1- 1- 25/ 27 | 0.0% | 3.7% | 7.4% | 0 | 32 |
表3は年齢別成績。4歳馬が19年インディチャンプら最多の4勝をあげており、勝率・連対率トップ。5歳馬は昨年のダノンキングリーら3勝で、連対率は4歳馬に次いで高い。6歳馬は17年サトノアラジンら3勝で、3着以内馬8頭中5頭は7番人気以下の伏兵だった。
なお、7歳以上は勝ち星がなく、連対率・複勝率ともに低い。3歳馬は昨年シュネルマイスターが3着に入っている。
■表4 安田記念近10年の前走上がり順位別成績(前走国内レースのみ)
前走上がり順位 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単勝回収値 | 複勝回収値 |
3F 1位 | 4- 4- 1-19/28 | 14.3% | 28.6% | 32.1% | 126 | 71 |
3F 2位 | 3- 1- 2-16/22 | 13.6% | 18.2% | 27.3% | 174 | 91 |
3F 3位 | 0- 0- 2- 6/ 8 | 0.0% | 0.0% | 25.0% | 0 | 131 |
3F 〜5位 | 0- 0- 1-15/16 | 0.0% | 0.0% | 6.3% | 0 | 10 |
3F 6位以下 | 2- 4- 3-58/67 | 3.0% | 9.0% | 13.4% | 126 | 99 |
表4は前走上がり順位別成績。前走上がり1位だった馬が18年モズアスコットら最多の4勝をあげており、勝率・連対率・複勝率いずれもトップ。前走上がり2位の馬は17年サトノアラジンら3勝。これら前走上がり2位以内だった馬が過半数の7勝を占めている。
■表5 安田記念近10年の前走人気別成績(前走国内レースのみ)
前走人気 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単勝回収値 | 複勝回収値 |
前走1人気 | 4- 2- 3- 22/ 31 | 12.9% | 19.4% | 29.0% | 115 | 69 |
前走2人気 | 3- 3- 2- 12/ 20 | 15.0% | 30.0% | 40.0% | 189 | 99 |
前走3人気 | 1- 1- 1- 14/ 17 | 5.9% | 11.8% | 17.6% | 280 | 98 |
前走4人気 | 1- 0- 1- 10/ 12 | 8.3% | 8.3% | 16.7% | 307 | 93 |
前走5人気 | 0- 1- 0- 16/ 17 | 0.0% | 5.9% | 5.9% | 0 | 42 |
前走6〜9人 | 0- 2- 2- 28/ 32 | 0.0% | 6.3% | 12.5% | 0 | 132 |
前走10番人気以下 | 0- 0- 0- 13/ 13 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0 | 0 |
表5は前走人気別成績。前走1番人気馬が15年モーリスら最多の4勝をあげている。前走2番人気馬は一昨年のグランアレグリアら3勝をあげ、勝率・連対率・複勝率いずれも前走1番人気馬を上回ってトップだ。前走が国内のレースだった勝ち馬9頭はすべて前走4番人気以内に支持されていた。なお、前走10番人気以下からは3着以内馬が出ていない。
■表6 前走海外レースだった日本馬の前走着順別成績
前走着順 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単勝回収値 | 複勝回収値 |
前走1着 | 1- 1- 1- 2/ 5 | 20.0% | 40.0% | 60.0% | 34 | 70 |
前走2着 | 0- 0- 0- 1/ 1 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0 | 0 |
前走3着 | 0- 0- 0- 2/ 2 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0 | 0 |
前走4着 | 0- 0- 0- 1/ 1 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0 | 0 |
最後に表6は前走が海外のレースだった日本馬の前走着順別成績。3着以内に入った14年1着ジャスタウェイ(前走ドバイDF)、16年2着モーリス(前走香港チャンピオンズマイル)、19年3着アーモンドアイ(前走ドバイターフ)の3頭はいずれも前走で勝利をおさめていた。いずれも安田記念では単勝1倍台の断然人気に支持されていたが、ジャスタウェイはハナ差の辛勝、モーリスとアーモンドアイは勝ち切ることができなかった。海外遠征帰りの難しさがあるようだ。なお、前走2着以下だった4頭はいずれも安田記念で着外に敗れている。
<結論>
■表7 今年の安田記念の出予定馬(6/1時点)
馬名 | 性齢 | 前走成績 |
ソウルラッシュ | 牡4 | マイラーズC 1着 |
レシステンシア | 牝5 | ヴィクトリアM 3着 |
カフェファラオ | 牡5 | フェブラリーS 1着 |
ナランフレグ | 牡6 | 高松宮記念 1着 |
シュネルマイスター | 牡4 | ドバイターフ 8着 |
ロータスランド | 牝5 | 高松宮記念 2着 |
ソングライン | 牝4 | ヴィクトリアM 5着 |
ファインルージュ | 牝4 | ヴィクトリアM 2着 |
サリオス | 牡5 | 高松宮記念 15着 |
ダイアトニック | 牡7 | 高松宮記念 14着 |
ヴァンドギャルド | 牡6 | ドバイターフ 3着 |
セリフォス | 牡3 | NHKマイルC 4着 |
カラテ | 牡6 | マイラーズC 7着 |
カテドラル | 牡6 | ダービー卿CT 9着 |
ダノンザキッド | 牡4 | 中山記念 7着 |
ホウオウアマゾン | 牡4 | マイラーズC 2着 |
イルーシヴパンサー | 牡4 | 東京新聞杯 1着 |
エアロロノア | 牡5 | マイラーズC 5着 |
タイムトゥヘヴン | 牡4 | 京王杯SC 3着 |
ジャスティンカフェ | 牡4 | 湘南S(3勝クラス)1着 |
ワールドウインズ | セン5 | メイS 3着 |
※フルゲート18頭。タイムトゥヘヴン以下は除外対象。
2021/10/23 東京11R 富士ステークス(G2)
1着 1番 ソングライン
2022/2/6 東京11R 東京新聞杯(G3)
1着 11番 イルーシヴパンサー
今年の出走予定馬は表7のとおり。
今回想定される上位人気馬には4歳勢が多い。昨秋のマイルCSでは、当時3歳だったシュネルマイスターが2着、ダノンザキッドが3着と、インディチャンプ(4着)に先着を果たしていた。今年も古馬・芝のマイル重賞において6鞍中4勝をあげており、層が厚い。
4歳勢中心と見るが、1番人気に支持されそうなシュネルマイスターは前走のドバイターフで8着に敗退。表6で示したデータから絶対視は危険と見る。東京芝実績は素晴らしいが、馬券圏外に敗れるシーンがあってもおかしくない。
これまでのデータから推奨したいのはソングラインとイルーシヴパンサーの2頭。ソングラインは前走ヴィクトリアMで5着。海外遠征からの帰国初戦で、道中躓く不利があったことを考慮すれば及第点。表5で示した好成績の前走2番人気馬でもあり、今回は前進可能だろう。
イルーシヴパンサーは前走東京新聞杯で重賞初制覇。前走の上がり3ハロン33秒1は2位カラテの33秒9を0秒8も上回る。目下4連勝中で決め手の鋭さは今回のメンバーでも屈指。順調ならば直線で一気の差し切りも十分にありそうだ。
ライタープロフィール
ケンタロウ(けんたろう)
1978年6月、鹿児島県生まれ。早稲田大学社会科学部卒業。初めて買った馬券が大当たりし、それから競馬にのめり込むように。データでは、開催日の馬場やコース適性に注目している。好きなタイプは逃げか追い込み。馬券は1着にこだわった単勝、馬単派。料理研究家ではない。