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第1631回 素質馬がデビュー! 東京芝の2歳新馬戦を分析する

2022/5/30(月)

日本ダービーが終わり、今週から2歳の新馬戦がスタートする。夏の3回東京開催では素質馬が多くデビュー。昨年は先日の皐月賞を制したジオグリフがデビュー勝ちしている。2017年以降ではステルヴィオ、グランアレグリア、サリオスらがこの開催の芝の新馬戦で勝利し、後にG1制覇を成し遂げている。今回は2017年以降における3回東京開催の芝コースで行われた2歳新馬戦に注目し、レース傾向を探っていきたい。なお、データ分析にはJRA-VAN DataLab.TARGET frontier JVを利用した。

■表1 2歳新馬戦の人気別成績(2017年以降)

人気 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単勝回収値 複勝回収値
1番人気 19- 11-  3- 12/ 45 42.2% 66.7% 73.3% 90 89
1.0〜 1.4 3- 2- 0- 0/ 5 60.0% 100.0% 100.0% 76 108
1.5〜 1.9 7- 2- 1- 0/10 70.0% 90.0% 100.0% 125 111
2.0〜 2.9 7- 6- 2-10/25 28.0% 52.0% 60.0% 71 76
3.0〜 3.9 2- 1- 0- 1/ 4 50.0% 75.0% 75.0% 167 115
4.0〜 4.9 0- 0- 0- 1/ 1 0.0% 0.0% 0.0% 0 0
2番人気 10-  7-  8- 20/ 45 22.2% 37.8% 55.6% 89 82
3番人気 6-  6- 10- 23/ 45 13.3% 26.7% 48.9% 80 79
4番人気 4-  7-  6- 28/ 45 8.9% 24.4% 37.8% 105 81
5番人気 2-  7-  7- 29/ 45 4.4% 20.0% 35.6% 59 95
6番人気 0-  1-  4- 40/ 45 0.0% 2.2% 11.1% 0 39
7番人気 0-  1-  3- 41/ 45 0.0% 2.2% 8.9% 0 33
8番人気 1-  1-  0- 42/ 44 2.3% 4.5% 4.5% 248 35
9番人気 0-  1-  1- 40/ 42 0.0% 2.4% 4.8% 0 35
10番人気以下 3-  3-  3-208/217 1.4% 2.8% 4.1% 87 46

2022/4/17 中山11R 皐月賞(G1) 1着 14番 ジオグリフ 2022/4/17 中山11R 皐月賞(G1)
1着 14番 ジオグリフ

表1は3回東京開催に行われた芝コースの2歳新馬戦での人気別成績。2017年以降では全45レース施行されており、1番人気馬は19勝をあげ、勝率42.2%。1番人気馬については単勝オッズ別の成績も掲載したが、黄色で強調したように1倍台の1番人気馬は15頭すべて馬券圏内に入っている

単勝1倍台で唯一3着に敗れたのが日本ダービーで3着に好走したアスクビクターモア。昨年6月26日に行われた東京芝1800mの新馬戦は、今年の皐月賞を制したジオグリフが1着、2着が東京スポーツ杯2歳S2着のアサヒ、3着がアスクビクターモアと後の活躍馬がそろっていた。このように素質馬がぶつかり合うケースが見られるのもこの時期の2歳新馬戦の特徴だ。

上位5番人気の馬たちで大半の41勝をあげており、5番人気馬と6番人気馬では連対率・複勝率で大きな開きがあった。

■表2 ノーザンファーム生産馬の人気別成績(2017年以降)

人気 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単勝回収値 複勝回収値
1番人気 16- 7- 2- 6/31 51.6% 74.2% 80.6% 104 96
2番人気 6- 6- 4- 5/21 28.6% 57.1% 76.2% 103 107
3番人気 2- 2- 6- 5/15 13.3% 26.7% 66.7% 60 95
4番人気 0- 2- 1- 4/ 7 0.0% 28.6% 42.9% 0 97
5番人気 0- 1- 0- 2/ 3 0.0% 33.3% 33.3% 0 83
6番人気 0- 1- 0- 4/ 5 0.0% 20.0% 20.0% 0 68
7番人気以下 0- 0- 0- 4/ 4 0.0% 0.0% 0.0% 0 0

2020/6/7 東京11R 安田記念(G1) 1着 11番 グランアレグリア 2020/6/7 東京11R 安田記念(G1)
1着 11番 グランアレグリア

表2は45勝中24勝とダントツの勝利数を誇るノーザンファーム生産馬の人気別成績1番人気馬は16勝をあげ、勝率は5割を超えている。16勝の中には後に安田記念などG1を6勝する名牝グランアレグリアも含まれている。18年6月3日に行われた東京芝1600mの新馬戦ではグランアレグリアが単勝1.8倍の1番人気に応えて優勝。2着はこの年の阪神JFを制するダノンファンタジーで、素質馬同士のワンツーフィニッシュとなった。

2番人気馬も連対率5割以上を記録しており、単勝回収率・複勝回収率ともに100%を超えている。勝ち馬はいずれも上位3番人気以内の馬から出ている。

■表3 2歳新馬戦の騎手別成績(2017年以降)

騎手 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単勝回収値 複勝回収値
ルメール 11- 4- 3-12/30 36.7% 50.0% 60.0% 80 77
M.デム 5- 2- 1- 7/15 33.3% 46.7% 53.3% 116 87
石川裕紀人 4- 1- 0-13/18 22.2% 27.8% 27.8% 458 113
戸崎圭太 3- 2- 3-18/26 11.5% 19.2% 30.8% 65 68
田辺裕信 3- 1- 3-13/20 15.0% 20.0% 35.0% 120 76
レーン 2- 3- 3- 1/ 9 22.2% 55.6% 88.9% 65 123
福永祐一 2- 0- 2- 3/ 7 28.6% 28.6% 57.1% 88 92
内田博幸 1- 4- 1-24/30 3.3% 16.7% 20.0% 12 38
三浦皇成 1- 3- 4-11/19 5.3% 21.1% 42.1% 13 86
丸山元気 1- 2- 2-13/18 5.6% 16.7% 27.8% 32 103
北村宏司 1- 1- 1-17/20 5.0% 10.0% 15.0% 22 26
川田将雅 1- 1- 1- 2/ 5 20.0% 40.0% 60.0% 46 66
岩部純二 1- 1- 1-15/18 5.6% 11.1% 16.7% 62 50
岩田望来 1- 1- 1- 0/ 3 33.3% 66.7% 100.0% 160 180

※1勝2連対以上を掲載。

表3は騎手別成績。ルメール騎手が2位のM.デムーロ騎手を大きく離す11勝をあげており、勝率36.7%でトップ。同騎手で3着以内に入った18頭はすべて上位3番人気以内に支持されていた。M.デムーロ騎手は勝率がルメール騎手に次いで高い。

日本人騎手では石川裕紀人騎手が4勝で勝利数トップ。4勝の中には単勝60.3倍の10番人気レノーアでの勝利が含まれており、単勝回収率が高くなっている。石川騎手は前に行くことが多く、スローペースになりがちな新馬戦では穴騎手として要注目だ。

また、連対率・複勝率でルメール騎手を上回るレーン騎手、騎乗回数は少ないもののすべて馬券圏内に持ってきている岩田望来騎手も今年注目しておきたい。

■表4 2歳新馬戦の調教師別成績(2017年以降)

調教師 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単勝回収値 複勝回収値
(美)手塚貴久 7- 0- 3- 8/18 38.9% 38.9% 55.6% 141 80
(美)国枝栄 4- 2- 1- 4/11 36.4% 54.5% 63.6% 65 80
(美)堀宣行 3- 4- 0- 0/ 7 42.9% 100.0% 100.0% 122 124
(美)相沢郁 3- 2- 0- 2/ 7 42.9% 71.4% 71.4% 1147 307
(美)奥村武 3- 0- 0- 3/ 6 50.0% 50.0% 50.0% 193 75
(美)藤沢和雄 2- 2- 0- 8/12 16.7% 33.3% 33.3% 30 40
(美)萩原清 2- 1- 0- 4/ 7 28.6% 42.9% 42.9% 101 64
(美)木村哲也 2- 0- 3- 3/ 8 25.0% 25.0% 62.5% 102 98
(美)和田雄二 2- 0- 2-10/14 14.3% 14.3% 28.6% 822 140
(栗)浅見秀一 2- 0- 0- 1/ 3 66.7% 66.7% 66.7% 126 83

※2勝以上を掲載。

表4は調教師別成績。手塚貴久厩舎が最多の7勝をあげており、その中には昨年のオークスを制したユーバーレーベンも含まれている。出走頭数も18頭と最多で、積極的に3回東京開催の新馬戦を使ってくる。国枝厩舎はサトノレイナスらによる4勝で、3着以内馬7頭はいずれも上位3番人気以内に支持されていた。

堀厩舎は出走馬7頭すべて連対と安定感抜群。相沢厩舎は昨年のフローラSで14番人気2着と穴を開けたスライリーら3勝をあげており、連対率・複勝率71.4%と非常に高い。連対馬5頭中4頭は石川裕紀人騎手とのコンビ(前述のレノーアも該当)で、相沢厩舎&石川騎手はチェックしておきたい。

■表5 2歳新馬戦の種牡馬別成績(2017年以降)

種牡馬 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単勝回収値 複勝回収値
ディープインパクト 6- 3- 2- 4/15 40.0% 60.0% 73.3% 88 102
ロードカナロア 4- 1- 3- 6/14 28.6% 35.7% 57.1% 92 84
ダイワメジャー 3- 4- 1-12/20 15.0% 35.0% 40.0% 123 96
スクリーンヒーロー 3- 3- 1-11/18 16.7% 33.3% 38.9% 398 110
モーリス 2- 4- 0- 4/10 20.0% 60.0% 60.0% 90 89
ハーツクライ 2- 4- 0- 4/10 20.0% 60.0% 60.0% 51 75
クロフネ 2- 1- 0- 5/ 8 25.0% 37.5% 37.5% 121 75
オルフェーヴル 2- 0- 0- 5/ 7 28.6% 28.6% 28.6% 234 72
ドレフォン 2- 0- 0- 3/ 5 40.0% 40.0% 40.0% 180 66
マツリダゴッホ 2- 0- 0- 8/10 20.0% 20.0% 20.0% 1138 131
ヨハネスブルグ 2- 0- 0- 2/ 4 50.0% 50.0% 50.0% 560 95

※2勝以上を掲載。

最後に表5は種牡馬別成績。ディープインパクト産駒がグランアレグリアら最多の6勝をあげており、複勝率は73.3%と非常に高い。今年の2歳馬がラストクロップで、数少ない同産駒のデビューが見られるかにも注目したい。

今年チェックしておきたいのはサンデー系ではないヘイルトゥリーズン系のスクリーンヒーロー〜モーリスのライン。スクリーンヒーロー産駒は昨年のフローラSを制したクールキャットら3勝。モーリス産駒は2勝をあげたほか、今年のシンザン記念2着のソリタリオが新馬戦でも2着となっていた。現3歳の初年度産駒からG1馬ジオグリフを出したドレフォンにも期待がかかる。

ライタープロフィール

ケンタロウ(けんたろう)

1978年6月、鹿児島県生まれ。早稲田大学社会科学部卒業。初めて買った馬券が大当たりし、それから競馬にのめり込むように。データでは、開催日の馬場やコース適性に注目している。好きなタイプは逃げか追い込み。馬券は1着にこだわった単勝、馬単派。料理研究家ではない。


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