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第1395回 芝長距離のハンデ重賞・ダイヤモンドSを分析する

2020/2/17(月)

2004年から東京競馬場の芝3400mを舞台に争われているダイヤモンドS。芝2000mを超える距離の平地G3はほかになく、G2以上を含めても芝3000m以上のハンデ戦はこの一戦のみ。そして東京競馬場の平地競走としては唯一、芝3000m以上で行われるレースでもある。近年はフェイムゲームやファタモルガーナがいわゆる「リピーター」として活躍していたが、今年はどうやら昨年の1〜3着馬不在となりそうだ。ここでステイヤーとしての資質を開花させるのはどの馬か。過去の傾向から分析したい。データの分析には、JRA-VAN DataLab.TARGET frontier JVを利用し、過去10年を対象とした。

■表1 人気別成績

人気 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回収 複回収
1 7-1-0-2/10 70.0% 80.0% 80.0% 196% 115%
2 1-2-2-5/10 10.0% 30.0% 50.0% 67% 103%
3 0-0-2-8/10 0.0% 0.0% 20.0% 0% 36%
4 1-2-0-7/10 10.0% 30.0% 30.0% 68% 79%
5 0-2-0-8/10 0.0% 20.0% 20.0% 0% 47%
6 0-2-3-5/10 0.0% 20.0% 50.0% 0% 171%
7 0-0-0-10/10 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%
8 0-1-2-7/10 0.0% 10.0% 30.0% 0% 140%
9〜 1-0-1-63/65 1.5% 1.5% 3.1% 292% 70%

2019/2/16 東京11R ダイヤモンドステークス(G3) 1着 10番 ユーキャンスマイル(1番人気)

まずは人気別の成績から。1番人気が【7.1.0.2】と安定しており、現在は3連勝中。このうち、単勝オッズ3倍を切った5頭はすべて優勝、3倍台の馬も【1.1.0.0】と連対を外していない(単勝3倍台の2〜3番人気は【0.0.2.2】)。1番人気馬が単勝4倍以上にさえならなければ、連軸としての信頼性は非常に高そうだ。

優勝馬10頭中8頭は単勝1〜2番人気。4番人気だった2016年の優勝馬・トゥインクルも単勝6.8倍で、1番人気・4.2倍のタンタアレグリア(4着)との差は小さかった。また、3着以内の30頭中28頭は8番人気以内。2012年に単勝配当1万9000円を記録したケイアイドウソジン(15番人気)の印象が強烈だが、過去10年全体をみればハンデ戦としては荒れづらい部類に入るレースだ。

■表2 年齢別成績

年齢 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回収 複回収 6番人気以内 同複勝率
4歳 4-3-3-10/20 20.0% 35.0% 50.0% 67% 112% 4-3-3-6/16 62.5%
5歳 3-2-1-24/30 10.0% 16.7% 20.0% 49% 60% 3-1-1-11/16 31.3%
6歳 2-1-4-25/32 6.3% 9.4% 21.9% 600% 180% 1-1-2-6/10 40.0%
7歳 0-1-1-23/25 0.0% 4.0% 8.0% 0% 12% 0-1-1-6/8 25.0%
8歳 1-2-1-20/24 4.2% 12.5% 16.7% 11% 44% 1-2-0-4/7 42.9%
9歳以上 0-1-0-13/14 0.0% 7.1% 7.1% 0% 17% 0-1-0-2/3 33.3%

年齢別では、4歳馬が複勝率50.0%の好成績。7歳馬は同8.0%と不振だ。しかしベテラン馬全体の成績がまったく悪いわけではなく、6番人気以内の馬にかぎれば7歳以上でも【1.4.1.12】複勝率33.3%と、5〜6歳馬【4.2.3.17】同34.6%に引けを取らぬ成績を残していることには注意したい。

■表3 枠番別成績

枠番 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回収 複回収 4番人気以下 同複勝率
1枠 1-2-1-12/16 6.3% 18.8% 25.0% 18% 131% 0-2-1-9/12 25.0%
2枠 1-0-2-13/16 6.3% 6.3% 18.8% 41% 51% 0-0-1-11/12 8.3%
3枠 1-2-0-15/18 5.6% 16.7% 16.7% 1055% 216% 1-2-0-15/18 16.7%
4枠 0-2-3-13/18 0.0% 11.1% 27.8% 0% 76% 0-2-2-9/13 30.8%
5枠 1-0-1-16/18 5.6% 5.6% 11.1% 37% 21% 1-0-0-15/16 6.3%
6枠 0-0-0-19/19 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0% 0-0-0-17/17 0.0%
7枠 2-1-1-16/20 10.0% 15.0% 20.0% 21% 63% 0-1-1-15/17 11.8%
8枠 4-3-2-11/20 20.0% 35.0% 45.0% 62% 81% 0-0-1-9/10 10.0%

枠番別で複数の優勝馬を出しているのは、4勝の8枠と2勝の7枠。特に8枠は【4.3.2.11】で複勝率は45.0%と群を抜いている。その8枠の3着以内馬9頭中7頭は1〜2番人気、残る2頭は3、6番人気と、好走馬の大半を上位人気馬が占めていた。4番人気以下の中〜下位人気勢にかぎると4枠以内から多くの好走馬が出ており、1〜4枠が計【1.6.4.44】複勝率20.0%、5〜8枠は計【1.1.2.56】同6.7%となる。表1のとおり穴馬の出番はさほど多くないレースだが、中位人気勢を狙うなら内めの枠を引いた馬を重視したい。

■表4 前走クラス別成績

前走クラス 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回収 複回収
1000万(現2勝) 0-2-0-7/9 0.0% 22.2% 22.2% 0% 125%
1600万(現3勝) 0-1-3-14/18 0.0% 5.6% 22.2% 0% 66%
オープン特別 4-3-2-43/52 7.7% 13.5% 17.3% 394% 97%
中央G3 0-0-0-8/8 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%
中央G2 4-2-5-33/44 9.1% 13.6% 25.0% 30% 75%
中央G1 2-0-0-7/9 22.2% 22.2% 22.2% 47% 27%
地方 0-0-0-1/1 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%
海外 0-2-0-2/4 0.0% 50.0% 50.0% 0% 125%

前走クラス別で好走馬が多いのは中央G2組と、オープン特別組。この2つで3着以内好走馬の3分の2を占めている。ただ、好走確率は特に目立ってはおらず、前走クラスだけで優劣をつけるのは避けたい。また、平地のG3競走に長距離戦がないためか、前走でダイヤモンドSと同じG3に出走していた馬は8頭と少ない。

■表5 前走G1〜G2(海外含む)からの好走馬

馬名 性齢 ハンデ 人気 着順 前走 人気 着順 G3以下直近
2010 フォゲッタブル 牡4 57 1 1 有馬記念 4 4 阿賀野川特別2着
ドリームフライト 牡6 50 10 3 日経新春杯 9 9 万葉S7着
2011 コスモヘレノス 牡4 56 4 2 日経新春杯 6 12 本栖湖特別1着
2012 スマートロビン 牡4 55 2 3 日経新春杯 2 5 比叡S1着
2013 アドマイヤラクティ 牡5 56 1 1 アメリカJCC 2 3 アンドロメダS3着
ジャガーメイル 牡9 58.5 4 2 香港ヴァーズ 2 オクトーバーS1着
2014 フェイムゲーム 牡4 55 1 1 アメリカJCC 6 3 ディセンバーS6着
2015 フェイムゲーム 牡5 58 1 1 アメリカJCC 3 12 ダイヤモンドS1着
ファタモルガーナ セ7 56 2 2 ステイヤーズS 4 2 アイルランドT4着
2016 フェイムゲーム 牡6 58.5 2 2 メルボルンC 13 ダイヤモンドS1着
ファタモルガーナ セ8 56 8 3 ステイヤーズS 3 7 ダイヤモンドS2着
2017 アルバート 牡6 58 1 1 有馬記念 10 7 比叡S1着
カフジプリンス 牡4 54 2 3 日経新春杯 3 5 グレイトフルS1着
2018 フェイムゲーム セ8 58.5 1 1 ステイヤーズS 2 2 ダイヤモンドS6着
ソールインパクト 牡6 54 6 3 日経新春杯 5 11 六社S3着

2018/2/17 東京11R ダイヤモンドステークス(G3) 1着 14番 フェイムゲーム(1番人気)

表5は、前走でG1またはG2に出走していた好走馬15頭である(海外含む)。この組は前走で5着以内なら【4.2.2.12】複勝率40.0%、6着以下は【2.2.3.29】同19.4%となり、このレースより格上のG1やG2で掲示板を確保できた馬なら信頼性は高い。
また、前走で4着以下に敗れながらも今回好走した10頭のうち9頭は、直近のG3以下のレースでは3着以内を確保していた(8頭は2着以内)。その「直近」が1年以上前だったり、条件戦だったりしても問題はない。出走履歴からG1やG2を消し、G3以下の成績だけを見て予想する手もありそうだ。

■表6 前走オープン特別からの好走馬

馬名 ハンデ 人気 着順 前走 斤量 人気 着順
2011 コスモメドウ 53 2 1 万葉S 51 5 1
2012 ケイアイドウソジン 55 15 1 師走S 56 16 14
2014 セイクリッドバレー 56 5 2 白富士S 58 10 4
タニノエポレット 55 3 3 万葉S 53 1 1
2016 トゥインクル 54 4 1 万葉S 55 1 5
2017 ラブラドライト 51 6 2 万葉S 51 7 2
2018 リッジマン 52 5 2 万葉S 52 3 2
2019 ユーキャンスマイル 54 1 1 万葉S 53 1 2
カフェブリッツ 54 3 3 万葉S 54 4 4

前走G3からの3着以内馬は不在。オープン特別からは9頭の好走馬が出ており、そのうち7頭は芝3000mの万葉S出走馬である。この万葉S組全馬の成績は【3.2.2.31】で複勝率18.4%。好走した7頭すべてに共通するのは、万葉Sでハンデ55キロ以下かつ5着以内、そして今回6番人気以内に支持されていたことだ。この3条件をすべて満たす馬にかぎると【3.2.2.5】で複勝率は58.3%まで上がるため、該当馬がいれば注目は欠かせない。
残る2頭は、芝2000mの白富士Sに出走していたセイクリッドバレーと、前走・師走Sが1年3カ月ぶりのダート戦だったケイアイドウソジン。セイクリッドバレーは4年以上前の菊花賞7着以来となる芝長距離(2000m超)戦、そしてケイアイドウソジンは6歳にして芝3000m以上初出走と、近走から目先を変えてきた馬には念のため注意を払いたい。

■表7 前走条件戦からの好走馬

馬名 ハンデ 人気 着順 レース間隔 前走 距離 人気 着順
2010 ベルウッドローツェ 52 6 2 中6週 グッドラックH 芝2500 4 1
2011 キタサンアミーゴ 54 6 3 中2週 松籟S 芝2400 7 1
2012 ギュスターヴクライ 55 1 2 中1週 早春S 芝2400 1 1
2013 メイショウカドマツ 54 6 3 中2週 松籟S 芝2400 1 1
2015 カムフィー 51 8 3 中1週 早春S 芝2400 7 4
2019 サンデームーティエ 50 8 2 中1週 箱根特別 芝2400 6 9

最後に表7は、前走条件戦からの好走馬6頭である。このうち、2010年のベルウッドローツェを除く5頭は、前走から中1〜2週での出走だった。この「前走条件戦・中1〜2週」に該当する馬は【0.2.3.11】で複勝率は31.3%。数少ない芝長距離のオープン特別〜G3戦を逃すまいと、間隔を詰めてでも出走してきたような馬が結果を残している。

以上、ダイヤモンドSの傾向をまとめてみた。まず、ハンデ戦ながら1番人気馬が安定していることは見逃せない(表1)。前走クラス別では、それぞれに条件をつけ加えると好走確率の高いグループが見えてくる(表5〜7)。格上のG1やG2に出走していたからと狙うのではなく、オープン特別や条件戦組も含めて好走パターンに当てはまる馬をしっかりと見極めたい一戦だ。

ライタープロフィール

浅田知広(あさだ ともひろ)

1970年12月、埼玉県生まれ。立命館大学文学部中退後、夕刊紙レース部のアルバイト、競馬データベース会社を経て、現在はフリー。パソコンが広く普及する以前から、パソコン通信でデータ手入力方式の競馬予想ソフトを公開するなど、競馬のみならずPCやネットワークにも精通。その知識を活かし、Webや雑誌で競馬ライターとして活躍するかたわら、ネットワークの専門誌にも連載を持つ。


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