第1393回 2月一杯での引退を控える名手・四位洋文騎手を分析|競馬情報ならJRA-VAN

競馬予想・競馬情報ならJRA-VAN

データde出〜た

データde出〜たバックナンバー

第1393回 2月一杯での引退を控える名手・四位洋文騎手を分析

2020/2/10(月)

昨年12月、調教師試験に合格したことが明らかになった四位洋文騎手。先だってのシルクロードSでも6番人気のエイティーンガールで2着に入るなどまだまだ健在ながら、今月一杯でステッキを置くこととなる。足跡を振り返るには少々気が早いのだが、四位騎手で馬券を的中させることができれば、最後の雄姿をより強く記憶に残すこともできるだろう。その一助となるよう、近年の騎乗データを分析してみたい。集計期間は2016年1月5日から2020年2月2日。データの分析には、JRA-VAN DataLab.TARGET frontier JVを利用した。

■表1 四位洋文騎手のG1勝利

馬名 G1勝利
イシノサンデー 96年皐月賞
ダンスパートナー 96年エリザベス女王杯
シンコウフォレスト 98年高松宮記念
アグネスデジタル 01年天皇賞・秋、02年フェブラリーS、03年安田記念
ヤマニンシュクル 03年阪神JF
ウオッカ 06年阪神JF、07年日本ダービー
アサクサキングス 07年菊花賞
ディープスカイ 08年NHKマイルC、08年日本ダービー
レッドディザイア 09年秋華賞
キンシャサノキセキ 10年高松宮記念
サトノアレス 16年朝日杯FS

2001/10/28 東京11R 天皇賞(秋)(G1) 1着 10番 アグネスデジタル

表1は、四位騎手が騎乗して中央G1を勝った馬の一覧。これまでに中央G1を15勝しており、その嚆矢となったのが96年皐月賞のイシノサンデーだ。00年に自身初の年間100勝を達成すると、翌年からはアグネスデジタルの主戦を担い、初コンビを組んだ01年京王杯SCから現役最終戦となる03年有馬記念までの16戦すべてに騎乗。テイエムオペラオーを破った01年天皇賞・秋などをものにした。また、07年にウオッカ、08年にはディープスカイで日本ダービーを連覇したことも忘れてはならない。これは中央競馬の長い歴史でも、武豊騎手と四位騎手のふたりしか成し遂げていない快挙である。直近のG1勝利はサトノアレスで制した16年朝日杯FSとなっている。

■表2 距離別成績

馬場 距離 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回率 複回率
1000m〜1300m 12- 16-  8- 99/135 8.9% 20.7% 26.7% 40% 61%
1400m〜1600m 19- 23- 21-186/249 7.6% 16.9% 25.3% 69% 74%
1700m〜2000m 21- 23- 29-194/267 7.9% 16.5% 27.3% 54% 68%
2100m〜2400m 6-  8-  7- 48/ 69 8.7% 20.3% 30.4% 72% 113%
2500m〜 1-  4-  5- 15/ 25 4.0% 20.0% 40.0% 10% 94%
ダート 1000m〜1300m 4-  9- 10- 71/ 94 4.3% 13.8% 24.5% 24% 83%
1400m〜1600m 8- 19- 11-104/142 5.6% 19.0% 26.8% 83% 69%
1700m〜2000m 14- 16- 13-142/185 7.6% 16.2% 23.2% 45% 55%
2100m〜 1-  1-  1-  7/ 10 10.0% 20.0% 30.0% 122% 88%

表2は距離別成績を芝・ダート別に示したものだが、全体に際立った傾向は読み取れず、明確に得意(あるいは不得意)な距離はないようだ。強いて言えば、距離が延びるほど芝では複勝率、ダートでは勝率の数字が高くなっており、これが特徴と言えるだろうか。

■表3 コース別成績(騎乗15回以上)

コース 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回率 複回率
勝率 京都・芝1200m 5- 5- 1-26/37 13.5% 27.0% 29.7% 71% 59%
京都・芝2200m 2- 1- 1-11/15 13.3% 20.0% 26.7% 72% 53%
京都・芝1800m 7- 5- 6-35/53 13.2% 22.6% 34.0% 75% 78%
阪神・芝2000m 4- 6- 2-20/32 12.5% 31.3% 37.5% 84% 91%
京都・芝2400m 2- 2- 1-12/17 11.8% 23.5% 29.4% 183% 127%
単勝回収率 京都・芝2400m 2- 2- 1-12/17 11.8% 23.5% 29.4% 183% 127%
京都・ダ1400m 5-11- 3-43/62 8.1% 25.8% 30.6% 174% 83%
京都・芝1600m 3- 0- 0-31/34 8.8% 8.8% 8.8% 107% 27%
阪神・芝1600m 4- 9- 4-41/58 6.9% 22.4% 29.3% 84% 94%
阪神・芝2000m 4- 6- 2-20/32 12.5% 31.3% 37.5% 84% 91%

表3はコース別成績(騎乗15回以上)で、勝率と単勝回収率の上位5コースをそれぞれ掲載しているが、今回は2月末までに騎乗する可能性がある競馬場のみを対象とした。関西所属だけあって乗り慣れた京都、阪神ばかりとなったのは妥当で、どちらかといえば阪神より京都、ダートより芝に得意コースが多いようだ。勝率、単勝回収率ともに5位以内に入っているのは京都芝2400mと阪神芝2000mで、騎乗があれば狙ってみたい。

■表4 枠番別成績

馬場 枠番 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回率 複回率
1枠 9-  6-  4- 53/ 72 12.5% 20.8% 26.4% 82% 54%
2枠 11-  9-  8- 55/ 83 13.3% 24.1% 33.7% 84% 89%
3枠 6- 12-  8- 64/ 90 6.7% 20.0% 28.9% 60% 65%
4枠 3-  8-  8- 65/ 84 3.6% 13.1% 22.6% 17% 64%
5枠 6- 13- 12- 72/103 5.8% 18.4% 30.1% 57% 84%
6枠 8-  6- 10- 59/ 83 9.6% 16.9% 28.9% 58% 59%
7枠 6- 11- 11- 84/112 5.4% 15.2% 25.0% 39% 72%
8枠 10-  9-  9- 90/118 8.5% 16.1% 23.7% 61% 93%
ダート 1枠 1- 7- 7-41/56 1.8% 14.3% 26.8% 7% 82%
2枠 2- 7- 5-31/45 4.4% 20.0% 31.1% 30% 79%
3枠 2- 3- 4-39/48 4.2% 10.4% 18.8% 17% 50%
4枠 4- 4- 6-31/45 8.9% 17.8% 31.1% 44% 84%
5枠 5- 6- 4-42/57 8.8% 19.3% 26.3% 93% 84%
6枠 4- 3- 0-42/49 8.2% 14.3% 14.3% 50% 25%
7枠 5- 7- 5-45/62 8.1% 19.4% 27.4% 125% 78%
8枠 4- 8- 4-53/69 5.8% 17.4% 23.2% 53% 51%

表4は、枠番別成績を芝・ダート別で示したもの。芝では1、2枠の勝率が突出して高く、勝ち切りを期待しやすい。ところがダートでは1〜3枠の勝率が低く、特に1枠は勝率1.8%にとどまる。連対率や複勝率に関してはさほどの差がついていないので、勝率に限った傾向ではあるが、内枠における芝・ダートの差には十分注意を払いたいところだ。

■表5 厩舎別成績(騎乗回数順)

厩舎 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回率 複回率
昆貢 12- 19- 14-108/153 7.8% 20.3% 29.4% 44% 70%
木原一良 14- 15- 10- 87/126 11.1% 23.0% 31.0% 98% 97%
武英智 2- 11-  7- 41/ 61 3.3% 21.3% 32.8% 11% 78%
角田晃一 4-  7-  2- 38/ 51 7.8% 21.6% 25.5% 32% 72%
高橋亮 4-  4-  2- 22/ 32 12.5% 25.0% 31.3% 42% 65%
本田優 2-  0-  4- 25/ 31 6.5% 6.5% 19.4% 61% 110%
角居勝彦 2-  5-  3- 18/ 28 7.1% 25.0% 35.7% 12% 68%
千田輝彦 2-  0-  0- 26/ 28 7.1% 7.1% 7.1% 177% 41%
野中賢二 3-  2-  6- 16/ 27 11.1% 18.5% 40.7% 97% 115%
飯田祐史 2-  6-  2- 15/ 25 8.0% 32.0% 40.0% 101% 80%

2008/6/1 東京10R 東京優駿(日本ダービー)(G1) 1着 1番 ディープスカイ

表5は厩舎別成績。通常は着別度数順や勝率順で並べるところだが、今回は「騎乗回数順」で並べている。最多騎乗は昆貢厩舎。かつてディープスカイで変則二冠を達成したコンビは今も健在で、今年の2勝中1勝も同厩舎のヒルノサルバドールによるものである。次いで多いのが木原一良厩舎で、この2厩舎の騎乗数が突出して多い。特に木原厩舎は単複の回収率も90%台後半と優秀だ。以下、武英智厩舎角田晃一厩舎高橋亮厩舎本田優厩舎など、ともに関西でしのぎを削った元ジョッキーの厩舎からの起用も多い。

■表6 種牡馬別成績(着別度数順)

種牡馬 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回率 複回率
ディープインパクト 9-10- 8-56/83 10.8% 22.9% 32.5% 69% 107%
マンハッタンカフェ 7- 9- 6-53/75 9.3% 21.3% 29.3% 43% 76%
エンパイアメーカー 6- 3- 4-25/38 15.8% 23.7% 34.2% 102% 110%
キングカメハメハ 5- 7- 7-55/74 6.8% 16.2% 25.7% 58% 49%
ハービンジャー 4- 6- 5-33/48 8.3% 20.8% 31.3% 37% 77%
ダイワメジャー 4- 4- 1-29/38 10.5% 21.1% 23.7% 56% 43%
ワークフォース 4- 1- 4-22/31 12.9% 16.1% 29.0% 72% 48%
ハーツクライ 3- 6- 7-29/45 6.7% 20.0% 35.6% 38% 89%
ルーラーシップ 3- 6- 4-12/25 12.0% 36.0% 52.0% 32% 86%
サマーバード 3- 3- 1- 8/15 20.0% 40.0% 46.7% 203% 245%

表6は種牡馬別成績。最多の9勝を挙げているのはディープインパクト。人気になりがちな種牡馬だが、複勝回収率107%も優秀だ。そのディープインパクトを上回る好走率を記録したのが3位のエンパイアメーカー。いかんせん、この6勝を挙げたエンパイアメーカー産駒はすべて現役を引退しているのだが、それでも注目すべき価値のある数字には違いない。

ライタープロフィール

出川塁(でがわ るい)

1977年熊本県生まれ。上智大学文学部卒業後、出版社2社で競馬専門誌、競馬書籍の編集に携わり、2007年からフリーライターに。「競馬最強の法則」「サラブレ」「優駿」などへ寄稿するほか、出版社勤務時代を含めて制作に関わった競馬書籍は多数。馬券は単勝派だが、焼肉はタン塩派というわけではない。メインの競馬のほか、サッカーでも密かに活動中。


データde出〜たバックナンバー

データ競馬のための最強ツール TARGET frontier JV(ターゲット)