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第1371回 大穴続出! 京阪杯を分析する

2019/11/18(月)

昨年は3連単54万馬券、そして一昨年は167万馬券と、2年連続で大波乱になった京阪杯。2014年には202万馬券が飛び出すなど、大きく荒れることが多いレースだ。今回は、この京阪杯を分析してみたい。データ分析にはJRA-VAN DataLab.TARGET frontier JVを利用した。集計期間は表4〜6が過去3年、その他は過去10年とした。

■表1 人気別成績

人気 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回収 複回収
1 2-2-0-6/10 20.0% 40.0% 40.0% 50% 61%
2 2-0-0-8/10 20.0% 20.0% 20.0% 115% 43%
3 0-3-0-7/10 0.0% 30.0% 30.0% 0% 64%
4 1-0-0-9/10 10.0% 10.0% 10.0% 156% 27%
5 1-0-3-6/10 10.0% 10.0% 40.0% 113% 143%
6 0-1-1-8/10 0.0% 10.0% 20.0% 0% 69%
7 2-0-0-8/10 20.0% 20.0% 20.0% 331% 103%
8 0-1-0-9/10 0.0% 10.0% 10.0% 0% 72%
9 1-0-0-9/10 10.0% 10.0% 10.0% 369% 116%
10 1-0-2-7/10 10.0% 10.0% 30.0% 341% 235%
11〜 0-3-5-63/71 0.0% 4.2% 11.3% 0% 150%

2017/11/26 京都12R 京阪杯(G3) 1着 4番 ネロ(9番人気)

過去10年、1番人気は【2.2.0.6】で複勝率40.0%と、1番人気としては物足りない成績。2〜4番人気も計【3.3.0.24】で同20.0%と、これを補うほどの結果は残せていない。好走馬は下位人気まで幅広く分布し、2桁人気馬も11頭が馬券に絡んでいる
ただ注意したいのは、あまりに極端な人気薄になると、勝ち切ったり、連対したりするのは難しくなることだ。1〜10番人気が【10.7.6.77】、11〜13番人気は【0.3.2.25】、そして14番人気以下になると【0.0.3.38】。大万馬券を狙うにしても、1着候補は10番人気まで、2着候補は13番人気あたりまでを目安にしたい。なお、2016年に3着同着があったため、3着馬は計11頭となっている。

■表2 枠番別成績

枠番 着別度数 複勝率 複勝率 複勝率 単回収 複回収
1枠 2-1-1-14/18 11.1% 16.7% 22.2% 212% 134%
2枠 5-0-0-15/20 25.0% 25.0% 25.0% 366% 111%
3枠 1-3-2-14/20 5.0% 20.0% 30.0% 37% 183%
4枠 1-2-3-14/20 5.0% 15.0% 30.0% 56% 187%
5枠 0-0-3-17/20 0.0% 0.0% 15.0% 0% 131%
6枠 0-1-1-18/20 0.0% 5.0% 10.0% 0% 103%
7枠 1-0-1-24/26 3.8% 3.8% 7.7% 66% 71%
8枠 0-3-0-24/27 0.0% 11.1% 11.1% 0% 50%

枠番別では、2枠が5勝をマークするなど、優勝馬10頭中9頭が1〜4枠から出ている。好走確率はその4枠以内が高く、複勝回収率が100%を超えてくるのは6枠まで。7、8枠を引いた馬は割り引きたい。馬番でみると、優勝馬10頭中9頭は7番以内、連対馬20頭中15頭が8番以内だ。

■表3 前走クラス・レース別成績(連対馬を出したクラス・レースのみ)

前走 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回収 複回収 過去3年
1600万(現3勝) 2-0-1-10/13 15.4% 15.4% 23.1% 178% 84% 0-0-1-5
OPEN特別 3-6-5-66/80 3.8% 11.3% 17.5% 58% 127% 0-1-1-14
中央G3 1-0-0-11/12 8.3% 8.3% 8.3% 28% 15% 1-0-0-5
中央G2 2-4-4-34/44 4.5% 13.6% 22.7% 74% 146% 0-2-2-13
中央G1 1-0-1-18/20 5.0% 5.0% 10.0% 20% 45% 1-0-0-5
地方 1-0-0-0/1 100.0% 100.0% 100.0% 3690% 1160% 1-0-0-0
スワンS 2-4-2-29/37 5.4% 16.2% 21.6% 88% 131% 0-2-0-11
京洛S 2-2-2-33/39 5.1% 10.3% 15.4% 91% 124% (施行なし)
スプリンターズS 1-0-1-17/19 5.3% 5.3% 10.5% 21% 47% 1-0-0-5
福島民友C 1-0-1-3/5 20.0% 20.0% 40.0% 226% 158% (ダート戦に変更)
桂川S 1-0-1-4/6 16.7% 16.7% 33.3% 263% 135% 0-0-1-1
キーンランドC 1-0-0-3/4 25.0% 25.0% 25.0% 85% 45% 1-0-0-1
長岡京S 1-0-0-0/1 100.0% 100.0% 100.0% 740% 290% (1600mに延長)
JBCスプリント 1-0-0-0/1 100.0% 100.0% 100.0% 3690% 1160% 1-0-0-0
オパールS 0-2-2-11/15 0.0% 13.3% 26.7% 0% 214% 0-0-1-6
ルミエールAD 0-1-0-3/4 0.0% 25.0% 25.0% 0% 270% 0-1-0-3
信越S 0-1-0-4/5 0.0% 20.0% 20.0% 0% 52% 0-0-0-0

前走レース別で出走数が多いのは、芝1400mのG2・スワンS組と、芝1200mのオープン特別・京洛S組で、ともに40頭近くが該当している。しかし、京洛Sは2015年を最後に休止。その影響は大きく、前走については2016年以降の3年間でみるのが妥当だろう。

■表4 3着以内馬と前走(過去3年)

馬名 人気 着順 前走 距離 人気 着順
2016 ネロ 2 1 スプリンターズS 芝12 8 6
エイシンスパルタン 3 2 スワンS 芝14 6 3
フミノムーン 6 3 桂川S 芝12 6 1
アースソニック 10 3 セントウルS 芝12 11 4
2017 ネロ 9 1 JBCスプリント ダ12 8 4
ビップライブリー 6 2 スワンS 芝14 9 4
イッテツ 14 3 オパールS 芝12 6 3
2018 ダノンスマッシュ 1 1 キーンランドC 芝12 4 2
ナインテイルズ 12 2 ルミエールAD 芝10 1 8
ダイアナヘイロー 11 3 セントウルS 芝12 4 11

表4は、その2016年以降の3着以内馬10頭である。このうち9頭は前走9番人気以内、同じく9頭は前走8着以内。これを満たせなかった2016年のアースソニックと昨年のダイアナヘイローは3着だったため、連対候補は前走9番人気以内かつ8着以内という馬から選びたい。また、スワンS組の2頭を除く8頭は、前走で1200m以下のレースに出走していた。

■表5 3着以内馬のサマースプリントシリーズ成績(過去3年)

馬名 着順 函館SS CBC賞 アイビスSD 北九州記念 キーンランドC セントウルS
2016 ネロ 1 2 2
エイシンスパルタン 2 不出走
フミノムーン 3 不出走
アースソニック 3 9 6 4
2017 ネロ 1 10 8
ビップライブリー 2 不出走
イッテツ 3 5 9
2018 ダノンスマッシュ 1 2
ナインテイルズ 2 3 15
ダイアナヘイロー 3 9 7 11

この過去3年で目立つのは、同年のサマースプリントシリーズに参戦していた馬の好走で、3着以内馬10頭中7頭が該当する。この7頭は同シリーズ6戦の中でも、7月下旬のアイビスサマーダッシュ、8月中旬の北九州記念、8月下旬のキーンランドCのいずれかには出走していたことが共通点。各レースでの着順は問われない。なお、同シリーズ不出走の3頭中2頭、エイシンスパルタンとビップライブリーは前走でスワンSに出走していた(表4)。

■表6 サマースプリントシリーズ出走レース別、京阪杯成績(過去3年)

出走レース 京阪杯成績 勝率 連対率 複勝率 単回収 複回収
函館スプリントS 0-0-3-6/9 0.0% 0.0% 33.3% 0% 322%
CBC賞 0-0-0-13/13 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%
アイビスSD 2-1-1-4/8 25.0% 37.5% 50.0% 512% 340%
北九州記念 0-1-1-13/15 0.0% 6.7% 13.3% 0% 154%
キーンランドC 2-0-1-5/8 25.0% 25.0% 37.5% 503% 333%
セントウルS 1-0-2-9/12 8.3% 8.3% 25.0% 34% 142%

2018/11/25 京都12R 京阪杯(G3) 1着 3番 ダノンスマッシュ(1番人気)

表6は、そのサマースプリントシリーズ各レースに出走した馬が、同年の京阪杯でどんな成績を残したのかをまとめたものである。該当する13頭すべて馬券圏外に終わったのがCBC賞出走馬。対して、アイビスサマーダッシュ出走馬や、キーンランドC出走馬がここに駒を進めてくれば、高い確率で好走していることがわかる。
昨年は、CBC賞に出走し、アイビスサマーダッシュやキーンランドCには不出走だったワンスインナムーン、アレスバローズ、グレイトチャーターが2〜4番人気に推され、それぞれ15、10、18着に敗退。優勝したのは、好相性のキーンランドCで2着だったダノンスマッシュ。そして2着には、アイビスサマーダッシュ3着のナインテイルズが入った。

■表7 京阪杯3着以内馬のうち、同年のシルクロードSに出走していた馬

馬名 性齢 京阪杯 同年シルクロードS
人気 着順 人気 着順
09 プレミアムボックス 牡6 7 1 11 10
ヘイローフジ 牝6 16 3 8 4
11 グランプリエンゼル 牝5 3 2 11 10
13 アースソニック 牡4 7 1 9 8
アイラブリリ 牝4 8 2 1 15
スギノエンデバー 牡5 10 3 7 7
16 ネロ 牡5 2 1 3 9
アースソニック 牡7 10 3 6 11
17 ネロ 牡6 9 1 1 11
18 ダイアナヘイロー 牝5 11 3 1 16

京都芝1200mの重賞といえば、1月末から2月上旬に行われるシルクロードSも該当する(同レースはハンデ戦、京阪杯は別定戦)。そこで、過去10年の京阪杯3着以内馬について、同年のシルクロードSでの成績も調べてみた。該当馬は10頭いたが、シルクロードSでも馬券に絡んでいた馬は不在で、掲示板に載っていたのも1頭だけ。昨年の本競走3着馬・ダイアナヘイローがシルクロードSでは1番人気16着など、同レースでは人気を大きく裏切る大敗を喫していた馬も多い。逆にシルクロードS3着以内馬が、同年の本競走に出走すると【0.0.0.9】(全馬6着以下)に終わっており、むしろ凡走していた馬のほうが狙いになる。

以上、波乱の重賞・京阪杯の傾向をまとめてみた。近3年の結果から、狙いはサマースプリントシリーズ参戦馬、特にアイビスサマーダッシュやキーンランドCの出走馬か、前走スワンS出走馬だ。同コースのシルクロードSとはまったく繋がらないことにも注意。また、表2にあったように枠順による差も大きく、内寄りの枠を引いた馬を重視したい。

ライタープロフィール

浅田知広(あさだ ともひろ)

1970年12月、埼玉県生まれ。立命館大学文学部中退後、夕刊紙レース部のアルバイト、競馬データベース会社を経て、現在はフリー。パソコンが広く普及する以前から、パソコン通信でデータ手入力方式の競馬予想ソフトを公開するなど、競馬のみならずPCやネットワークにも精通。その知識を活かし、Webや雑誌で競馬ライターとして活躍するかたわら、ネットワークの専門誌にも連載を持つ。


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