データde出〜た
第1366回 年齢と斤量がカギ! アルゼンチン共和国杯を分析する
2019/10/31(木)
日曜に東京競馬場ではG2のハンデ戦、アルゼンチン共和国杯が行われる。2015年に勝利したゴールドアクターは続く有馬記念でも優勝しており、後にG1制覇を遂げるシュヴァルグランやスワーヴリチャードも勝ち馬に名を連ねている。今回は2009年以降・近10年のデータからアルゼンチン共和国杯のレース傾向ならびに馬券での狙いどころを探っていきたい。なお、データ分析にはJRA-VAN DataLab.とTARGET frontier JVを利用した。
■表1 アルゼンチン共和国杯の人気別成績(過去10年)
人気 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単勝回収値 | 複勝回収値 |
1番人気 | 3- 2- 0- 5/ 10 | 30.0% | 50.0% | 50.0% | 72% | 76% |
2番人気 | 3- 1- 0- 6/ 10 | 30.0% | 40.0% | 40.0% | 126% | 69% |
3番人気 | 2- 1- 5- 2/ 10 | 20.0% | 30.0% | 80.0% | 111% | 167% |
4番人気 | 0- 5- 0- 5/ 10 | 0.0% | 50.0% | 50.0% | 0% | 135% |
5番人気 | 0- 0- 0- 10/ 10 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0% | 0% |
6番人気 | 0- 0- 1- 9/ 10 | 0.0% | 0.0% | 10.0% | 0% | 37% |
7番人気 | 1- 1- 0- 8/ 10 | 10.0% | 20.0% | 20.0% | 127% | 68% |
8番人気 | 0- 0- 1- 9/ 10 | 0.0% | 0.0% | 10.0% | 0% | 43% |
9番人気 | 0- 0- 1- 9/ 10 | 0.0% | 0.0% | 10.0% | 0% | 66% |
10番人気以下 | 1- 0- 2- 73/ 76 | 1.3% | 1.3% | 3.9% | 33% | 32% |
まず表1は人気別成績。1番人気馬は一昨年のスワーヴリチャードら3勝で、複勝率は50%とやや低め。2番人気馬も16年シュヴァルグランら3勝をあげている。3番人気馬は昨年のパフォーマプロミスら2勝で、複勝率は80%でトップだ。11年以降の近8年はいずれも3着以内に入っている。以下、7番人気馬が1勝、10番人気以下は09年ミヤビランベリ(11番人気)が勝利している。
また、2着馬は上位7番人気以内におさまっているが、3着馬は下位人気まで幅広く分布している。09年には人気順で11→4→10番人気で決まり、3連単92万2600円の波乱となったが、10年以降の近9年は3連単10万円未満と比較的堅めの決着が続いている。
■表2 アルゼンチン共和国杯の年齢別成績(過去10年)
年齢 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単勝回収率 | 複勝回収率 |
3歳 | 1- 0- 3- 1/ 5 | 20.0% | 20.0% | 80.0% | 40% | 260% |
4歳 | 6- 4- 3- 23/ 36 | 16.7% | 27.8% | 36.1% | 66% | 98% |
5歳 | 0- 4- 4- 42/ 50 | 0.0% | 8.0% | 16.0% | 0% | 46% |
6歳 | 3- 2- 0- 28/ 33 | 9.1% | 15.2% | 15.2% | 129% | 58% |
7歳以上 | 0- 0- 0- 42/ 42 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0% | 0% |
表2は年齢別成績。4歳馬が16年シュヴァルグランら過半数の6勝をあげており、連対率トップだ。少数ながら3歳馬は一昨年のスワーヴリチャードが勝利し、複勝率80%と非常に高い。これら3歳馬、4歳馬が好成績を残している。
出走数最多の5歳馬は勝ち星がなく、連対率8.0%と低い。6歳馬は昨年のパフォーマプロミスら3勝をあげており、単勝回収率は100%を超えている。なお、7歳以上の馬はすべて5着以下に敗れており、苦戦傾向にある。
■表3 アルゼンチン共和国杯の斤量別成績(過去10年)
斤量 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単勝回収率 | 複勝回収率 |
50kg以下 | 0- 0- 0- 7/ 7 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0% | 0% |
51kg | 0- 0- 2- 6/ 8 | 0.0% | 0.0% | 25.0% | 0% | 177% |
52kg | 0- 0- 1- 6/ 7 | 0.0% | 0.0% | 14.3% | 0% | 52% |
53kg | 0- 1- 0- 15/ 16 | 0.0% | 6.3% | 6.3% | 0% | 20% |
54kg | 0- 0- 1- 25/ 26 | 0.0% | 0.0% | 3.8% | 0% | 9% |
55kg | 1- 4- 4- 21/ 30 | 3.3% | 16.7% | 30.0% | 21% | 78% |
56kg | 5- 2- 1- 20/ 28 | 17.9% | 25.0% | 28.6% | 90% | 77% |
56.5kg | 0- 0- 0- 1/ 1 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0% | 0% |
57kg | 2- 1- 0- 20/ 23 | 8.7% | 13.0% | 13.0% | 34% | 22% |
57.5kg | 1- 1- 1- 4/ 7 | 14.3% | 28.6% | 42.9% | 358% | 192% |
58kg | 1- 0- 0- 8/ 9 | 11.1% | 11.1% | 11.1% | 43% | 16% |
58.5kg | 0- 1- 0- 2/ 3 | 0.0% | 33.3% | 33.3% | 0% | 63% |
59kg | 0- 0- 0- 1/ 1 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0% | 0% |
表3は斤量別成績。56キロの馬が昨年のパフォーマプロミスら半数の5勝をあげており、勝率トップ。55キロの馬は11年トレイルブレイザーの1勝のみだが、2・3着が4回ずつで複勝率30.0%と高い。また、少数ながら57.5キロの馬は09年ミヤビランベリが勝利し、複勝率42.9%と高い。勝ち馬はすべて55〜58キロの範囲から出ている。
なお、54キロ以下は勝ち星がなく、2着馬も一昨年のソールインパクトのみ。3着馬はいるものの、連対は厳しい傾向にあるようだ。
■表4 アルゼンチン共和国杯の前走クラス別成績(過去10年)
前走クラス | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単勝回収率 | 複勝回収率 |
1000万下 | 0- 0- 2- 1/ 3 | 0.0% | 0.0% | 66.7% | 0% | 343% |
1600万下 | 2- 4- 2- 18/ 26 | 7.7% | 23.1% | 30.8% | 32% | 90% |
OPEN特別 | 2- 0- 2- 37/ 41 | 4.9% | 4.9% | 9.8% | 38% | 28% |
G3 | 0- 0- 1- 12/ 13 | 0.0% | 0.0% | 7.7% | 0% | 19% |
G2 | 3- 5- 1- 60/ 69 | 4.3% | 11.6% | 13.0% | 48% | 37% |
G1 | 3- 1- 2- 8/ 14 | 21.4% | 28.6% | 42.9% | 76% | 121% |
表4は前走クラス別成績。表の上部にある1000万下(現2勝クラス)、1600万下(現3勝クラス)の複勝率が高く、前走条件クラスの馬でも通用していることがわかる。それぞれの組の3着以内馬を見ると、1000万下組は前走1着、1600万下組は前走3着以内に入っていた。
また、前走G1だった馬は昨年のパフォーマプロミスら近3年続けて勝ち馬を出しており、複勝率42.9%と優秀だ。3着以内馬の6頭は前走で宝塚記念、日本ダービー、天皇賞・春のいずれかに出走していた。
■表5 距離延長馬の前走着順別成績(過去10年)
前走着順 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単勝回収率 | 複勝回収率 |
前走1着 | 2- 3- 4- 11/ 20 | 10.0% | 25.0% | 45.0% | 26% | 124% |
前走2着 | 2- 0- 1- 6/ 9 | 22.2% | 22.2% | 33.3% | 92% | 84% |
前走3着 | 0- 3- 2- 7/ 12 | 0.0% | 25.0% | 41.7% | 0% | 145% |
前走4着 | 2- 1- 0- 7/ 10 | 20.0% | 30.0% | 30.0% | 165% | 77% |
前走5着 | 0- 1- 0- 10/ 11 | 0.0% | 9.1% | 9.1% | 0% | 17% |
前走6〜9着 | 3- 1- 1- 30/ 35 | 8.6% | 11.4% | 14.3% | 38% | 30% |
前走10着以下 | 1- 0- 1- 27/ 29 | 3.4% | 3.4% | 6.9% | 86% | 37% |
表5は今回距離延長となる馬の前走着順別成績。その前に、前走からの距離増減別成績は、同距離馬【0.0.0.7】、今回短縮馬【0.1.1.30】に対して、今回延長馬が【10.9.9.99】と圧倒している。
これら距離延長馬で前走1着だった馬は15年ゴールドアクターら2勝で、複勝率45.0%と非常に高い。複勝回収率でも100%を超えている。黄色で強調した前走4着までが連対率20%以上、複勝率でも30.0%を軒並み超えており、好成績を示している。
■表6 アルゼンチン共和国杯の前走からの斤量増減別成績(過去10年)
前走斤量 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単勝回収率 | 複勝回収率 |
増減無し | 2- 1- 1- 34/ 38 | 5.3% | 7.9% | 10.5% | 20% | 21% |
今回増 | 3- 2- 1- 23/ 29 | 10.3% | 17.2% | 20.7% | 114% | 64% |
今回減 | 5- 7- 8- 79/ 99 | 5.1% | 12.1% | 20.2% | 28% | 64% |
表6は前走からの斤量増減別成績。今回斤量増の馬が14年フェイムゲームら3勝をあげ、勝率・連対率・複勝率いずれもトップ。ただし、15年以降の近4年は3着以内馬が出ていない。出走数が多い今回斤量減の馬は昨年のパフォーマプロミスら5勝をあげ、複勝率20.2%と斤量増の馬に迫っている。昨年は1〜3着を独占しており、毎年1頭は3着以内に入っている。これら斤量減の馬で前走3着以内だった馬は【3.4.6.19】で連対率21.9%・複勝率40.6%と非常に高く、複勝回収率も130%と優秀だ。
なお、斤量増減なしの馬は16年シュヴァルグランら2勝をあげるも、連対率・複勝率は最も低い。この組の3着以内馬4頭はいずれもアルゼンチン共和国杯で4番人気以内だった。
<結論>
■表7 今年のアルゼンチン共和国杯の出走予定馬(10/30現在)
馬名 | 性齢 | 斤量(増減) | 前走成績 |
アイスバブル | 牡4 | 55(0) | 小倉記念 7着 |
アドマイヤジャスタ | 牡3 | 53(0) | 京都大賞典 15着 |
アフリカンゴールド | セン4 | 55(-1) | 六社S(3勝クラス) 1着 |
ウインテンダネス | 牡6 | 56(0) | 京都大賞典 中止 |
オジュウチョウサン | 牡8 | 53(-3) | 六社S(3勝クラス) 10着 |
サンシロウ | 牡5 | 51(-6) | 九十九里特別(2勝クラス) 2着 |
タイセイトレイル | 牡4 | 55(0) | 丹頂S 3着 |
トラストケンシン | 牡4 | 53(-2) | 六社S(3勝クラス) 2着 |
ノーブルマーズ | 牡6 | 56(0) | 京都大賞典 4着 |
ハッピーグリン | 牡4 | 55(-1) | 毎日王冠 8着 |
バリングラ | セン5 | 53(-3) | 本栖湖特別(2勝クラス) 1着 |
パリンジェネシス | 牡5 | 54(-2) | 京都大賞典 10着 |
ポポカテペトル | 牡5 | 55(0) | 函館記念 10着 |
マコトガラハット | セン6 | 51(0) | アルゼンチン共和国杯 3着 |
ムイトオブリガード | 牡5 | 56(0) | 目黒記念 5着 |
ルックトゥワイス | 牡6 | 57(2) | 目黒記念 1着 |
※フルゲート18頭。除外予定馬はなし。
今年のアルゼンチン共和国杯の出走予定馬は表7のとおり。
人気を集めそうなのは前走で同コースの目黒記念を勝利したルックトゥワイス。ただし、目黒記念は緩みない流れから前が止まる展開となって、後方の馬が有利なレース。同馬も後方を追走していた。6歳馬で前走から斤量2キロ増の57キロ、絶対視はできない。
これまでのデータから一番手に推奨したいのがアフリカンゴールド。好成績の4歳馬で斤量55キロ、距離延長馬で前走1着、今回斤量1キロ減と好走馬の傾向にいずれも合致している。続いて推したいのが同じく4歳馬のアイスバブル。前走小倉記念では7着と敗れているが、小回りコースよりも直線が長いコースの方が合うタイプだ。2走前の目黒記念では2着と好走しており、東京替わりは歓迎材料。前走から斤量増減なしは微妙だが、55キロは良い。前走からの巻き返しが期待できる。
他では連下候補で前走六社S2着のトラストケンシン、中央入り初戦の4歳馬ハッピーグリン、好成績を示す斤量56キロのムイトオブリガードとノーブルマーズまで挙げておきたい。オジュウチョウサンは8歳馬で、前走六社S10着と強調材料に欠いている。
ライタープロフィール
ケンタロウ(けんたろう)
1978年6月、鹿児島県生まれ。早稲田大学社会科学部卒業。初めて買った馬券が大当たりし、それから競馬にのめり込むように。データでは、開催日の馬場やコース適性に注目している。好きなタイプは逃げか追い込み。馬券は1着にこだわった単勝、馬単派。料理研究家ではない。