第1363回 スプリンターとマイラーの対決! スワンSを分析する|競馬情報ならJRA-VAN

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第1363回 スプリンターとマイラーの対決! スワンSを分析する

2019/10/21(月)

京都競馬場の芝・外回り1400mを舞台に行われるスワンS。グレード制導入当初からマイルCSへ向けたステップに位置づけられているレースだが、スプリンターズSが秋前半に移動した2000年以降は、同レースに出走したスプリンターも交えての一戦になっている。既に秋のG1を一度使った馬か、それとも次のG1を目指す馬か、このスワンSを分析してみたい。データの分析には、JRA-VAN DataLab.TARGET frontier JVを利用した。

■表1 人気別成績

人気 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回収 複回収
1 2-2-1-5/10 20.0% 40.0% 50.0% 56% 67%
2 4-0-1-5/10 40.0% 40.0% 50.0% 203% 83%
3 2-1-1-6/10 20.0% 30.0% 40.0% 132% 106%
4 1-2-1-6/10 10.0% 30.0% 40.0% 86% 112%
5 0-0-0-10/10 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%
6 0-1-1-8/10 0.0% 10.0% 20.0% 0% 88%
7 0-0-1-9/10 0.0% 0.0% 10.0% 0% 44%
8 1-1-1-7/10 10.0% 20.0% 30.0% 205% 146%
9 0-1-0-9/10 0.0% 10.0% 10.0% 0% 63%
10 0-0-3-7/10 0.0% 0.0% 30.0% 0% 245%
11〜 0-2-0-52/54 0.0% 3.7% 3.7% 0% 44%

2018/10/27 京都11R スワンステークス(G2) 1着 8番 ロードクエスト(2番人気)

人気別の成績を見ると、1、2番人気が連対率40.0%・複勝率50.0%、3、4番人気は同30.0%・40.0%など、1〜4番人気は好走確率にあまり大きな差はない。となれば、配当妙味があるのはオッズが高いほうの馬。回収率は3番人気が単複ともに100%を突破したほか、2番人気の単勝は203%、4番人気の複勝も112%を記録している。対して、1番人気の回収率は単複とも60%前後。無理に1番人気を消す必要まではなかろうが、上位人気の中で迷ったら2〜4番人気を優先したい。ほかに8番人気の単複や、10番人気の複勝が高回収率だ。

■表2 枠番、馬番別成績

枠番・馬番 着別度数 複勝率 複勝率 複勝率 単回収 複回収
1枠 1-1-1-12/15 6.7% 13.3% 20.0% 20% 60%
2枠 1-2-0-13/16 6.3% 18.8% 18.8% 32% 91%
3枠 0-0-2-15/17 0.0% 0.0% 11.8% 0% 87%
4枠 0-0-1-18/19 0.0% 0.0% 5.3% 0% 7%
5枠 0-1-3-15/19 0.0% 5.3% 21.1% 0% 91%
6枠 3-3-0-14/20 15.0% 30.0% 30.0% 90% 160%
7枠 4-0-2-18/24 16.7% 16.7% 25.0% 142% 82%
8枠 1-3-1-19/24 4.2% 16.7% 20.8% 31% 42%
1〜3番 2-2-1-25/30 6.7% 13.3% 16.7% 27% 57%
4〜6番 0-1-4-25/30 0.0% 3.3% 16.7% 0% 86%
7〜9番 1-1-2-26/30 3.3% 6.7% 13.3% 18% 55%
10〜12番 6-5-0-18/29 20.7% 37.9% 37.9% 161% 149%
13〜15番 1-1-2-18/22 4.5% 9.1% 18.2% 34% 61%
16〜18番 0-0-1-12/13 0.0% 0.0% 7.7% 0% 22%

枠番別では、3〜5枠が計【0.1.6.48】と、3着が多い一方で連対馬が1頭しか出ていないのが目立つところ。内外の比較では、外のほうがやや好走確率が高い傾向にある。
昨年は11頭立て、一昨年は18頭立てなど、年によって出走頭数に大きな差があるため、馬番別の成績(3頭きざみ)もみると、こちらは10〜12番が連対率37.9%と群を抜いた数字を叩き出している。枠番別では8枠も悪くはなかったが、多頭数になった年に16〜18番枠を引いた馬は連対がない。

■表3 年齢別成績

年齢 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回収 複回収 過去5年
3歳 4-1-0-15/20 20.0% 25.0% 25.0% 168% 140% 3-0-0-6/9
4歳 2-3-3-20/28 7.1% 17.9% 28.6% 37% 103% 0-1-1-9/11
5歳 2-4-5-42/53 3.8% 11.3% 20.8% 18% 75% 2-2-3-21/28
6歳 2-2-2-30/36 5.6% 11.1% 16.7% 39% 61% 0-2-1-13/16
7歳以上 0-0-0-17/17 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0% 0-0-0-11/11

2017/10/28 京都11R スワンステークス(G2) 1着 3番 サングレーザー(牡3歳)

過去10年の年齢別成績では、3歳馬が連対率25.0%、4歳馬が複勝率28.6%を記録し、5歳以上をやや引き離している。ただ、表の右に記したように、近5年の4歳馬は【0.1.1.9】と今ひとつ。近年の傾向からは、勝つか馬券圏外かという両極端になってはいるものの、まずは3歳馬に注目したい。

■表4 前走クラス・レース別成績(レース別は連対馬を出したレースのみ)

前走 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回収 複回収
1600万(現3勝) 1-0-1-12/14 7.1% 7.1% 14.3% 37% 45%
OPEN特別 2-3-1-41/47 4.3% 10.6% 12.8% 50% 47%
中央G3 2-1-2-21/26 7.7% 11.5% 19.2% 42% 51%
中央G2 1-1-1-11/14 7.1% 14.3% 21.4% 53% 101%
中央G1 4-4-5-34/47 8.5% 17.0% 27.7% 44% 97%
地方・海外 0-1-0-5/6 0.0% 16.7% 16.7% 0% 288%
安田記念 2-3-2-6/13 15.4% 38.5% 53.8% 50% 153%
スプリンターズS 2-1-2-21/26 7.7% 11.5% 19.2% 55% 62%
京成杯オータムH 2-0-1-5/8 25.0% 25.0% 37.5% 138% 107%
ポートアイランドS 1-1-0-12/14 7.1% 14.3% 14.3% 146% 53%
毎日王冠 1-0-0-2/3 33.3% 33.3% 33.3% 250% 103%
仲秋S 1-0-0-2/3 33.3% 33.3% 33.3% 173% 63%
米子S 1-0-0-2/3 33.3% 33.3% 33.3% 103% 50%
キーンランドC 0-1-1-3/5 0.0% 20.0% 40.0% 0% 94%
オパールS 0-2-0-12/14 0.0% 14.3% 14.3% 0% 75%
セントウルS 0-1-0-3/4 0.0% 25.0% 25.0% 0% 157%
白山大賞典 0-1-0-0/1 0.0% 100.0% 100.0% 0% 1730%

前走は中央G1に出走していた馬が、勝率〜複勝率で一歩リード。特に、安田記念以来の休養明けだった馬は複勝率53.8%の好成績だ。同じG1でも、スプリンターズSを使ってきた馬は複勝率19.2%で、連対馬を出している重賞の中ではもっとも低い。ただ、非常に多くのレースから連対馬が出ており、「前走レース別の好走馬数」としてみると、スプリンターズSは安田記念に次ぐ2位。率が低いからといって、まったく無視してしまうのも危険だろう。

■表5 前走安田記念組の成績

馬名 人気 着順 前走人気 前走着順 2走前
2013 ダイワマッジョーレ 4 2 6 9 京王杯スプリングC1着
サダムパテック 10 3 8 13 京王杯スプリングC7着
2014 ミッキーアイル 1 1 2 16 NHKマイルC1着
フィエロ 2 3 6 8 マイラーズC2着
2015 フィエロ 1 2 2 4 マイラーズC3着
2016 サトノアラジン 2 1 3 4 京王杯スプリングC1着
2018 モズアスコット 1 2 9 1 マイラーズC2着
2010 エーシンフォワード 1 8 9 10 京王杯スプリングC4着
2011 エーシンフォワード 9 6 10 12 京王杯スプリングC8着
2013 エーシントップ 6 12 9 17 NHKマイルC7着
2015 ダイワマッジョーレ 9 5 8 16 京王杯スプリングC10着
2016 フィエロ 1 9 6 3 マイラーズC4着
2018 レーヌミノル 3 7 15 12 ヴィクトリアM10着

表5は、前走で安田記念に出走していた馬の成績を、本競走3着以内馬と4着以下に分けてまとめたものである。安田記念の着順を見ると、ひと桁着順だった6頭中5頭がここで馬券圏内に入っているのに対し、安田記念2桁着順大敗から3着以内まで巻き返した馬は2頭だけだった。
もうひとつ注目したいのは、2走前の成績だ。本競走4着以下に敗れた6頭はすべて、2走前も4着以下。対して3着以内に好走した7頭のうち、2013年のサダムパテックを除く6頭は、2走前にも重賞で3着以内に入っていた。安田記念組なら、同レース9着以内、そして2走前の重賞3着以内の双方を満たす馬がいれば、特に注目したい。

■表6 前走スプリンターズSからの好走馬

馬名 性齢 人気 着順 前走人気 前走着順 芝1400m以上重賞実績
2009 キンシャサノキセキ 牡6 4 1 4 12 NHKマイルC3着
マルカフェニックス 牡5 3 3 9 8 阪神C1着
2010 マルカフェニックス 牡6 3 1 11 9 阪神C1着
2016 サトノルパン 牡5 8 2 14 7 ファルコンS2着
2017 レッツゴードンキ 牝5 1 3 5 2 桜花賞1着

続いて表6は、スプリンターズS組の好走馬5頭である。表3にあったように、過去10年では3歳から6歳まで好走馬が分散していたが、前走スプリンターズS出走馬で好走しているのは5、6歳馬のみである。また、1400m以上の重賞で連対するか、1600mのG1で3着(キンシャサノキセキ)の実績があったことでも共通する。一昨年3番人気に推された同年の高松宮記念優勝馬・セイウンコウセイは、4歳馬かつ1400m以上の重賞未経験で14着に大敗。また、2014年にやはり3番人気になったベルカントは、1400mでフィリーズレビュー勝ちなどの実績こそあったが、3歳で7着に敗退している。

■表7 前走その他のレースからの好走馬(過去5年)

馬名 人気 着順 前走 前走人気 前走着順
2014 サンライズメジャー 4 2 ポートアイランドS 1 3
2015 アルビアーノ 2 1 京成杯AH 1 7
オメガヴェンデッタ 4 3 キーンランドC 4 4
2016 エイシンスパルタン 6 3 京王杯SC 1 7
2017 サングレーザー 2 1 仲秋S 1 1
ヒルノデイバロー 12 2 オパールS 9 2
2018 ロードクエスト 2 1 京成杯AH 5 4
グァンチャーレ 8 3 都大路S 2 3

最後に、安田記念・スプリンターズS以外からの好走馬も見ておこう。過去10年でははっきりした傾向が掴めなかったが、過去5年にかぎると、この組の好走馬は前走4着以内、または前走重賞1番人気馬にかぎられる。前走で2番人気以下かつ5着以下だったような馬では、安田記念組やスプリンターズS組には対抗できない、というのが近年の傾向だ。

以上、スワンSの傾向をまとめてみた。表4にあったように、前走安田記念組とスプリンターズS組の比較では、圧倒的に安田記念組が優勢だ。スプリンターズS組は「G1だから」といって過信は禁物。別路線組としっかり比較した上で取捨を決めたい。

ライタープロフィール

浅田知広(あさだ ともひろ)

1970年12月、埼玉県生まれ。立命館大学文学部中退後、夕刊紙レース部のアルバイト、競馬データベース会社を経て、現在はフリー。パソコンが広く普及する以前から、パソコン通信でデータ手入力方式の競馬予想ソフトを公開するなど、競馬のみならずPCやネットワークにも精通。その知識を活かし、Webや雑誌で競馬ライターとして活躍するかたわら、ネットワークの専門誌にも連載を持つ。


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