データde出〜た
第1365回 前走から騎手継続か乗替りかがカギ!? ファンタジーSを分析する
2019/10/28(月)
秋の天皇賞が終わり、今週はG1開催がない週ながら、東京・京都で4鞍の重賞が組まれている。土曜には東京で京王杯2歳S、京都ではファンタジーSと暮れのG1へ向けて重要な2歳重賞が行われる。今回は京都のファンタジーSをピックアップし、2014年以降近5年のデータからレース傾向ならびに馬券での狙いどころを探っていきたい。なお、データ分析にはJRA-VAN DataLab.とTARGET frontier JVを利用した。
■表1 ファンタジーS近5年の3着以内馬一覧
年(馬場/頭数) | 着順 | 馬名 | 勝ちタイム | 人気 | 4角通過順 | 上がり3F | 前半800m通過 |
2018 (良/9頭) |
1 | ダノンファンタジー | 1分21秒8 | 1 | 6 | 33秒8 | 47秒6 |
2 | ベルスール | 1馬身3/4 | 4 | 4 | 34秒3 | ||
3 | ジュランビル | クビ | 6 | 1 | 34秒5 | ||
2017 (良/13頭) |
1 | ベルーガ | 1分22秒9 | 5 | 10 | 33秒9 | 48秒0 |
2 | コーディエライト | 1/2馬身 | 3 | 1 | 35秒0 | ||
3 | アマルフィコースト | ハナ | 1 | 8 | 34秒3 | ||
2016 (良/12頭) |
1 | ミスエルテ | 1分21秒8 | 1 | 10 | 33秒6 | 47秒3 |
2 | ショーウェイ | 1馬身1/4 | 12 | 1 | 34秒7 | ||
3 | ディアドラ | アタマ | 3 | 11 | 33秒6 | ||
2015 (良/12頭) |
1 | キャンディバローズ | 1分21秒9 | 5 | 4 | 33秒7 | 47秒7 |
2 | メジェルダ | アタマ | 6 | 1 | 34秒2 | ||
3 | ブランボヌール | クビ | 1 | 3 | 33秒8 | ||
2014 (良/14頭) |
1 | クールホタルビ | 1分21秒7 | 14 | 3 | 33秒9 | 47秒3 |
2 | ダノングラシアス | 1/2馬身 | 1 | 9 | 33秒3 | ||
3 | ウインソワレ | クビ | 3 | 7 | 33秒5 |
表1はファンタジーS近5年の3着以内馬一覧。昨年の勝ち馬ダノンファンタジーは暮れの阪神JFを勝利。勝ち馬だけでなく、16年3着ディアドラは3歳時に秋華賞を制し、先日イギリスのナッソーSを勝利したのは記憶に新しいところだ。
いずれも良馬場で行われ、勝ち時計は一昨年を除いて1分21秒後半でおさまっている。前半のペースが急激に速くなることはなく、近4年は、4コーナー先頭の馬が勝ちはしないものの3着以内には入っていた。勝ち馬はすべて33秒台の速い上がりを使っていた。
1番人気馬は【2.1.2.0】ですべて3着以内と安定している。5番人気以下の馬が一昨年のベルーガら3勝と伏兵馬の一発があり、1番人気馬と3番人気以下の組み合わせが目立つ一戦だ。
■表2 ファンタジーS近5年の脚質別成績
脚質上り | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単勝回収率 | 複勝回収率 |
逃げ | 0- 3- 0- 2/ 5 | 0.0% | 60.0% | 60.0% | 0% | 462% |
先行 | 2- 1- 2-11/16 | 12.5% | 18.8% | 31.3% | 650% | 169% |
中団 | 1- 1- 2-17/21 | 4.8% | 9.5% | 19.0% | 7% | 30% |
後方 | 2- 0- 1-15/18 | 11.1% | 11.1% | 16.7% | 50% | 28% |
表2はファンタジーSにおける脚質別成績。黄色で強調したように逃げ・先行馬が好成績をあげている。特に逃げ馬は連対率60%と非常に高い。マイペースで逃げることができ、結果連対圏に粘れることが多い。また注目すべきは逃げ・先行脚質の複勝回収率が高い点。逃げ馬で連対したのは3・12・6番人気馬、先行して3着以内に入ったのは4・6・5・1・14番人気馬と伏兵馬の激走が目立っている。これにより複勝回収率が引き上げられている。
一方、差し、追い込みは複勝回収率が低い。これら差し・追い込み馬で3着以内に入った7頭中6頭は上位3番人気以内に支持されていた。逃げ・先行タイプの馬を積極的に狙いたい一戦だ。
■表3 ファンタジーS近5年の前走クラス別成績
前走クラス | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単勝回収率 | 複勝回収率 |
新馬 | 2- 1- 0-13/16 | 12.5% | 18.8% | 18.8% | 56% | 31% |
未勝利 | 2- 0- 2- 8/12 | 16.7% | 16.7% | 33.3% | 110% | 72% |
500万下 | 0- 2- 0- 8/10 | 0.0% | 20.0% | 20.0% | 0% | 49% |
オープン特別 | 0- 1- 2-10/13 | 0.0% | 7.7% | 23.1% | 0% | 166% |
G3 | 1- 1- 1- 5/ 8 | 12.5% | 25.0% | 37.5% | 1153% | 266% |
表3は前走クラス別成績。出走数最多の前走新馬組は一昨年のベルーガら2勝をあげているが、複勝率では最も低い。この組の連対馬3頭はすべて上位5番人気以内の馬だった。未勝利組は複勝率33.3%と高く、昨年のダノンファンタジーら勝ち馬2頭はいずれもキャリア2戦だった。
複勝率37.5%でトップなのが前走G3組。14年1着クールホタルビ(14番人気/前走は小倉2歳Sで13着)によって単勝回収率・複勝回収率ともに引き上げられているが、前走大敗馬であってもチェックしておきたい。
■表4 ファンタジーS近5年の前走からの間隔別成績
間隔 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単勝回収率 | 複勝回収率 |
連闘 | 0- 0- 0- 1/ 1 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0% | 0% |
中1週 | 0- 0- 0- 8/ 8 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0% | 0% |
中2週 | 0- 0- 1- 4/ 5 | 0.0% | 0.0% | 20.0% | 0% | 38% |
中3週 | 0- 2- 0- 9/11 | 0.0% | 18.2% | 18.2% | 0% | 44% |
中4〜 8週 | 3- 1- 2-13/19 | 15.8% | 21.1% | 31.6% | 501% | 223% |
中9〜24週 | 2- 2- 2-10/16 | 12.5% | 25.0% | 37.5% | 120% | 77% |
表4は前走からの間隔別成績。黄色で強調したように中4週以上間隔が空いた馬の好走が目立っている。中4〜8週の馬は昨年のダノンファンタジーら3勝をあげ、複勝回収率223%と非常に高い。この組の3着以内馬6頭中5頭は前走で9月の阪神芝レースを使われていた。
中9〜24週の馬は一昨年のベルーガら2勝。この組の3着以内馬6頭中5頭は前走で勝利し、間隔を空けて臨戦していた。これら中4週以上空けた馬をチェックしておきたい。
■表5 ファンタジーS近5年の騎手継続・乗替別成績
前走騎手 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単勝回収率 | 複勝回収率 |
同騎手 | 4- 3- 3-21/31 | 12.9% | 22.6% | 32.3% | 344% | 160% |
乗替り | 1- 2- 2-24/29 | 3.4% | 10.3% | 17.2% | 26% | 41% |
表5は前走から騎手継続・乗替別成績。前走から継続騎乗の馬が昨年のダノンファンタジーら4勝をあげ、複勝率32.3%と高い。この組の3着以内馬10頭中4頭は5番人気以下の伏兵だった。キャリアが少ない2歳牝馬にとって、前走と同じ騎手が乗ることのメリットは非常に大きいのだろう。
逆に前走から乗替りとなった馬は一昨年のベルーガの1勝のみ。この組の3着以内馬5頭中3頭はファンタジーSで外国人騎手が騎乗していた。
■表6 ファンタジーS近5年の種牡馬別成績
種牡馬 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単勝回収率 | 複勝回収率 |
ディープインパクト | 2- 1- 1- 2/ 6 | 33.3% | 50.0% | 66.7% | 220% | 158% |
キンシャサノキセキ | 1- 0- 1- 2/ 4 | 25.0% | 25.0% | 50.0% | 190% | 120% |
マツリダゴッホ | 1- 0- 0- 0/ 1 | 100.0% | 100.0% | 100.0% | 9230% | 1780% |
Frankel | 1- 0- 0- 0/ 1 | 100.0% | 100.0% | 100.0% | 140% | 110% |
ダイワメジャー | 0- 1- 1- 4/ 6 | 0.0% | 16.7% | 33.3% | 0% | 58% |
マンハッタンカフェ | 0- 1- 0- 1/ 2 | 0.0% | 50.0% | 50.0% | 0% | 70% |
メイショウボーラー | 0- 1- 0- 0/ 1 | 0.0% | 100.0% | 100.0% | 0% | 1760% |
スウェプトオーヴァーボード | 0- 1- 0- 0/ 1 | 0.0% | 100.0% | 100.0% | 0% | 180% |
ハービンジャー | 0- 0- 1- 1/ 2 | 0.0% | 0.0% | 50.0% | 0% | 95% |
ロージズインメイ | 0- 0- 1- 0/ 1 | 0.0% | 0.0% | 100.0% | 0% | 230% |
その他の種牡馬 | 0- 0- 0-35/35 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0% | 0% |
最後に表6は種牡馬別成績。ディープインパクト産駒が15年キャンディバローズ、昨年のダノンファンタジーと2勝をあげており、連対率50.0%・複勝率66.7%と非常に高い。キャンディバローズが勝利した15年は上位3着までを独占。この5年間に出走した6頭すべて5着以内には入っており、今年も該当馬がいればチェックしておきたい。
キンシャサノキセキ産駒も一昨年ベルーガが勝利し、昨年はジュランビルが3着と好相性だ。好走馬を送り出したのはサンデーサイレンス後継種牡馬だけでなく、メイショウボーラーやロージズインメイといったヘイロー系の種牡馬も目立っている。
ライタープロフィール
ケンタロウ(けんたろう)
1978年6月、鹿児島県生まれ。早稲田大学社会科学部卒業。初めて買った馬券が大当たりし、それから競馬にのめり込むように。データでは、開催日の馬場やコース適性に注目している。好きなタイプは逃げか追い込み。馬券は1着にこだわった単勝、馬単派。料理研究家ではない。