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第1361回 「前走道悪→今走良馬場」のデータ傾向を分析!

2019/10/14(月)

今回は「前走道悪(重・不良)→今走良馬場」の傾向を分析する。たとえば、前走の道悪で結果を残した馬は、良馬場になっても好走を期待できるのか。あるいは、道悪で凡走した馬の巻き返しを狙うのであれば、前走は何着ぐらいがいいのか。そうした場合のデータを調べてみたい。なお、前走が芝なら今走も芝に出走した馬のみを集計の対象とし、ダートも同様とする。集計期間は2017年1月5日〜2019年10月6日。データの分析には、JRA-VAN DataLab.TARGET frontier JVを利用した。

■表1 「前走芝の重・不良→今走芝の良」の前走着順別成績

前走着順 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回率 複回率
前走1着 29-  27-  22- 165/ 243 11.9% 23.0% 32.1% 83% 75%
前走2着 36-  32-  27- 124/ 219 16.4% 31.1% 43.4% 61% 72%
前走3着 20-  31-  33- 134/ 218 9.2% 23.4% 38.5% 38% 80%
前走4着 24-  29-  15- 141/ 209 11.5% 25.4% 32.5% 98% 72%
前走5着 16-  18-   9- 160/ 203 7.9% 16.7% 21.2% 76% 69%
前走6着 16-  19-  11- 158/ 204 7.8% 17.2% 22.5% 133% 82%
前走7着 12-  15-  11- 154/ 192 6.3% 14.1% 19.8% 77% 99%
前走8着 8-  13-  10- 149/ 180 4.4% 11.7% 17.2% 38% 87%
前走9着 5-   9-   8- 133/ 155 3.2% 9.0% 14.2% 39% 65%
前走10着〜 17-  26-  27- 577/ 647 2.6% 6.6% 10.8% 75% 67%

表1〜4の項では「前走芝の重・不良→今走芝の良」に関するデータを調べていく。

最初に確認するのは前走着順別成績。現行のルールでは前走1着だと大半の場合で昇級戦となるが、その成績は決して悪いものではなく、単勝回収率83%と水準以上の数値を記録している。つまり、芝の重や不良を勝ち切った馬はただの道悪巧者ではなく、良馬場でも走れる地力を持った馬も多いと考えられるのではないか。一方、前走2着は単勝回収率61%、前走3着も同38%で、同クラスのレースに出走できる場合は過剰人気の様子も伺える。狙い目となりそうなのは単勝回収率98%の前走4着、同133%の前走6着で、これらは良馬場に替わっての上昇が見込めそうな着順となっている。

■表2 「前走芝の重・不良→今走芝の良」の前走4角通過順別成績

前走4角 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回率 複回率
1番手 20-  16-  15- 155/ 206 9.7% 17.5% 24.8% 65% 66%
2番手 33-  35-  26- 176/ 270 12.2% 25.2% 34.8% 100% 93%
3〜4番手 43-  46-  43- 314/ 446 9.6% 20.0% 29.6% 67% 78%
5〜6番手 23-  41-  26- 278/ 368 6.3% 17.4% 24.5% 51% 76%
7〜9番手 41-  40-  34- 399/ 514 8.0% 15.8% 22.4% 88% 72%
10〜12番手 16-  29-  14- 298/ 357 4.5% 12.6% 16.5% 115% 71%
13〜15番手 8-  10-  11- 206/ 235 3.4% 7.7% 12.3% 32% 72%
16〜18番手 0-   2-   4-  64/  70 0.0% 2.9% 8.6% 0% 74%

表2は前走4角通過順別成績。ここで着目したいのは前走4角1番手と2番手の成績の差で、全5項目で後者の数値が上回っている。また、前走4角3〜4番手や5〜6番手の数値もさほどではない。まとめると、道悪の前走で逃げ・先行した馬の成績は、4角2番手だった馬を除くとやや物足りない。単勝回収率が高いのは前走4角7〜9番手や10〜12番手で、妙味でいえば前走の道悪で差していた馬のほうが大きいようだ。

■表3 「前走芝の重・不良→今走芝の良」の前走上がり順別成績

前走上がり 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回率 複回率
1位 27-  33-  24- 171/ 255 10.6% 23.5% 32.9% 53% 76%
2位 32-  27-  27- 151/ 237 13.5% 24.9% 36.3% 92% 91%
3位 16-  27-  18- 158/ 219 7.3% 19.6% 27.9% 49% 60%
4〜5位 36-  55-  35- 313/ 439 8.2% 20.7% 28.7% 56% 79%
6位〜 72-  77-  69-1084/1302 5.5% 11.4% 16.7% 85% 75%

表3は、前走で記録した上がり3ハロンタイムの順位別成績。ポイントとなりそうなのが、前走上がり2位の馬が1位だった馬を上回る数値を残している点だ。特に回収率では大きな差がついており、道悪の前走で上がり1位を記録した馬には過剰評価の気配も見え隠れする。近年、芝のレースでは速い上がりを使える能力が大事になっているが、このケースでは道悪ゆえに上がり1位の脚を使えたのではないか、と疑ってみてもいいかもしれない。

■表4 「前走芝の重・不良→今走芝の良」の種牡馬別成績

種牡馬 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回率 複回率
着別度数 ディープインパクト 31- 32- 21-133/217 14.3% 29.0% 38.7% 80% 78%
キングカメハメハ 15-  8-  4- 46/ 73 20.5% 31.5% 37.0% 182% 101%
ステイゴールド 12- 11-  8- 67/ 98 12.2% 23.5% 31.6% 96% 97%
ロードカナロア 11-  8-  4- 30/ 53 20.8% 35.8% 43.4% 161% 103%
ダイワメジャー 8- 10- 12- 68/ 98 8.2% 18.4% 30.6% 59% 73%
単勝回収率 キングカメハメハ 15-  8-  4- 46/ 73 20.5% 31.5% 37.0% 182% 101%
ロードカナロア 11-  8-  4- 30/ 53 20.8% 35.8% 43.4% 161% 103%
ディープブリランテ 5-  2-  2- 40/ 49 10.2% 14.3% 18.4% 142% 66%
ジャングルポケット 2-  8-  2- 27/ 39 5.1% 25.6% 30.8% 112% 81%
ローエングリン 4-  6-  5- 24/ 39 10.3% 25.6% 38.5% 98% 162%

2017/8/20 札幌11R 札幌記念(G2) 1着 1番 サクラアンプルール

表4は、種牡馬別成績を着別度数順と単勝回収率順(30走以上)でそれぞれ5位まで示したもの。抜群の成績を収めているのがキングカメハメハロードカナロアの親子で、いずれも勝率は20%を超え、単勝回収率も極めて高い。前走4着以下の成績が良好という共通項があり、キングカメハメハでいえば産駒のサクラアンプルールとナリタハリケーンがワンツーを決めた17年札幌記念が好例で、両馬とも重の函館記念で掲示板外に敗れたあと、良馬場に替わって巻き返しを果たしている。なお、着別度数順1位のディープインパクトは、前走1着の成績が【10.3.4.13】、勝率33.3%、単勝回収率185%と秀逸。昇級戦をまったく苦にせず、道悪から良馬場に替わってますます本領を発揮してくる。

■表5 「前走ダートの重・不良→今走ダートの良」の前走着順別成績

前走着順 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回率 複回率
前走1着 43-  41-  43- 433/ 560 7.7% 15.0% 22.7% 60% 65%
前走2着 92-  72-  60- 237/ 461 20.0% 35.6% 48.6% 59% 93%
前走3着 52-  59-  55- 271/ 437 11.9% 25.4% 38.0% 71% 75%
前走4着 45-  45-  45- 316/ 451 10.0% 20.0% 29.9% 94% 77%
前走5着 35-  36-  38- 336/ 445 7.9% 16.0% 24.5% 67% 72%
前走6着 15-  21-  27- 320/ 383 3.9% 9.4% 16.4% 30% 62%
前走7着 21-  29-  23- 326/ 399 5.3% 12.5% 18.3% 93% 86%
前走8着 15-  26-  25- 303/ 369 4.1% 11.1% 17.9% 125% 91%
前走9着 10-  12-  17- 274/ 313 3.2% 7.0% 12.5% 57% 59%
前走10着〜 30-  53-  48-1360/1491 2.0% 5.6% 8.8% 66% 60%

続いて表5〜8の項では「前走ダートの重・不良→今走ダートの良」に関するデータを紹介する。ダートにおいては、水分を多く含んだ重・不良のほうが良馬場より速いタイムが出やすく、基本的には芝と逆の傾向にある。このことを踏まえたうえで以降のデータを見ていこう。

まずは前走着順別成績。先に確認した芝とは対照的に、ダートにおいては前走1着の成績が振るわない。特に、1秒以上突き放して勝っていた馬の成績が【1.2.7.40】と大苦戦。前走ダートの道悪で千切って勝っていても、今走が良馬場だと別物と考えたほうがいいだろう。前走2着は高い好走率を記録しているものの、単勝だと過剰人気の傾向も。93%と高い複勝回収率を活かして、3連複や馬連の軸馬として扱うとよさそうだ。穴っぽいところでは、いずれも回収率が良好な前走7、8着あたりが面白い存在となる。

■表6 「前走ダートの重・不良→今走ダートの良」の前走4角通過順別成績

前走4角 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回率 複回率
1番手 46-  42-  39- 370/ 497 9.3% 17.7% 25.6% 51% 61%
2番手 49-  74-  49- 397/ 569 8.6% 21.6% 30.2% 37% 84%
3〜4番手 88-  78-  69- 658/ 893 9.9% 18.6% 26.3% 103% 72%
5〜6番手 53-  68-  55- 590/ 766 6.9% 15.8% 23.0% 72% 82%
7〜9番手 67-  57-  89- 845/1058 6.3% 11.7% 20.1% 65% 76%
10〜12番手 34-  52-  51- 732/ 869 3.9% 9.9% 15.8% 89% 70%
13番手〜 21-  21-  28- 586/ 656 3.2% 6.4% 10.7% 52% 45%

表6は前走4角通過順別成績。勝率ベースでは前走4角6番手まで、複勝率ベースでは前走4角9番手までで通過していれば、極端な数値の違いは見られない。差がついているのは回収率のほうで、前走4角1番手や2番手は人気を集めやすい傾向にあり、特に単勝回収率は振るわない。であれば、単勝回収率103%の前走4角3〜4番手が狙い目ということになりそうだ。

■表7 「前走ダートの重・不良→今走ダートの良」の前走上がり順別成績

前走上がり 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回率 複回率
1位 57-  41-  54- 313/ 465 12.3% 21.1% 32.7% 79% 79%
2位 59-  55-  44- 297/ 455 13.0% 25.1% 34.7% 61% 77%
3位 34-  44-  33- 296/ 407 8.4% 19.2% 27.3% 54% 72%
4〜5位 76-  82-  80- 593/ 831 9.1% 19.0% 28.6% 78% 81%
6位〜 122- 153- 157-2336/2768 4.4% 9.9% 15.6% 75% 67%

表7は、前走で記録した上がり3ハロンタイムの順位別成績。これといった傾向を読み取りづらいというのが正直なところで、特に回収率で明らかに有利と呼べるほどの数値は見当たらない。このケースでは、好走率の高い前走上がり1位や2位を素直に重視したい。

■表8 「前走ダートの重・不良→今走ダートの良」の種牡馬別成績

種牡馬 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回率 複回率
着別度数 クロフネ 18- 13- 17-136/184 9.8% 16.8% 26.1% 68% 73%
エンパイアメーカー 17- 14- 15-134/180 9.4% 17.2% 25.6% 64% 80%
ゴールドアリュール 16- 23- 16-185/240 6.7% 16.3% 22.9% 103% 90%
ヘニーヒューズ 16-  9-  4- 58/ 87 18.4% 28.7% 33.3% 349% 91%
パイロ 13-  6-  7- 91/117 11.1% 16.2% 22.2% 60% 61%
単勝回収率 フレンチデピュティ 5-  4-  1- 21/ 31 16.1% 29.0% 32.3% 678% 238%
ヘニーヒューズ 16-  9-  4- 58/ 87 18.4% 28.7% 33.3% 349% 91%
ブラックタイド 9-  7-  0- 63/ 79 11.4% 20.3% 20.3% 284% 156%
アグネスデジタル 6-  5-  4- 44/ 59 10.2% 18.6% 25.4% 247% 96%
ストリートセンス 4-  2-  2- 31/ 39 10.3% 15.4% 20.5% 161% 163%

2018/12/8 中山10R アクアラインステークス 1着 6番 クイーンズテソーロ

表8は、種牡馬別成績を着別度数順と単勝回収率順(30走以上)でそれぞれ5位まで示したもの。より注目したいのは単勝回収率順のランキングで、好走率でも軒並み着別度数順の上位種牡馬たちより高い数値を記録している。もっとも、単勝回収率1位のフレンチデピュティは現役の産駒が少なくなっており、実際には狙える機会に乏しい。ならば、単勝回収率で2位、着別度数順でも4位のヘニーヒューズが今後期待の種牡馬ということになりそうだ。その一例として、昨年未勝利戦から1600万下(現3勝クラス)まで不良→良→重→良の順で4連勝を飾ったクイーンズテソーロの名前を挙げておこう。

ライタープロフィール

出川塁(でがわ るい)

1977年熊本県生まれ。上智大学文学部卒業後、出版社2社で競馬専門誌、競馬書籍の編集に携わり、2007年からフリーライターに。「競馬最強の法則」「サラブレ」「優駿」などへ寄稿するほか、出版社勤務時代を含めて制作に関わった競馬書籍は多数。馬券は単勝派だが、焼肉はタン塩派というわけではない。メインの競馬のほか、サッカーでも密かに活動中。


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