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第1360回 今年は1番人気が危ない!? 秋華賞を占う

2019/10/10(木)

今週日曜日には京都競馬場で秋華賞が行われる。3歳牝馬3冠戦線の最後となる一戦だ。3冠馬が誕生した昨年とは一転し、今年は混戦模様かもしれない。グランアレグリアとラヴズオンリーユーが不在で、クラシック優勝馬がいないメンバー構成となることが確定しているからだ。果たしてどの馬が勝利を収めるのか。今回は上位人気馬の信頼度に注目し、考えてみることにする。いつものようにデータの集計・分析にはJRA-VAN DataLab.TARGET frontier JVを利用した。

■表1 秋華賞の人気別成績(過去10年)

人気 着別度数 勝率 連対率 複勝率
1番人気 4-  1-  2-  3/ 10 40.0% 50.0% 70.0%
2番人気 2-  2-  1-  5/ 10 20.0% 40.0% 50.0%
3番人気 4-  1-  1-  4/ 10 40.0% 50.0% 60.0%
4番人気 0-  2-  1-  7/ 10 0.0% 20.0% 30.0%
5番人気 0-  2-  1-  7/ 10 0.0% 20.0% 30.0%
6番人気 0-  1-  1-  8/ 10 0.0% 10.0% 20.0%
7番人気 0-  1-  0-  9/ 10 0.0% 10.0% 10.0%
8番人気 0-  0-  2-  8/ 10 0.0% 0.0% 20.0%
9番人気 0-  0-  0- 10/ 10 0.0% 0.0% 0.0%
10番人気 0-  0-  0- 10/ 10 0.0% 0.0% 0.0%
11番人気 0-  0-  0- 10/ 10 0.0% 0.0% 0.0%
12番人気 0-  0-  0- 10/ 10 0.0% 0.0% 0.0%
13番人気 0-  0-  0- 10/ 10 0.0% 0.0% 0.0%
14番人気 0-  0-  0- 10/ 10 0.0% 0.0% 0.0%
15番人気 0-  0-  1-  9/ 10 0.0% 0.0% 10.0%
16番人気 0-  0-  0- 10/ 10 0.0% 0.0% 0.0%
17番人気 0-  0-  0- 10/ 10 0.0% 0.0% 0.0%
18番人気 0-  0-  0-  8/  8 0.0% 0.0% 0.0%
1〜2人気 6-  3-  3-  8/ 20 30.0% 45.0% 60.0%
1〜3人気 10-  4-  4- 12/ 30 33.3% 46.7% 60.0%
1〜5人気 10-  8-  6- 26/ 50 20.0% 36.0% 48.0%

表1は過去10年の秋華賞における人気別成績。ざっと見た感じ、上位人気に好走馬が集まっている。逆に下位人気の好走例はかなり少ない印象だ。1〜3番人気の成績が【10.4.4.12】で、特に優勝馬は人気サイドが占めている。1〜5番人気まで広げると【10.8.6.26】。連対馬の90%を占めており、連軸候補はここから選ばざるを得ないと思わせる成績だ。レースの舞台は京都芝2000mで、内回りコースを使用。秋華賞は多頭数でゴチャつくようなレース展開も考えられるのだが、伏兵馬の食い込みが驚くほど少ない。

■表2 秋華賞1番人気の成績(過去10年)

馬名 着順 前走レース名 前着 備考
18年 アーモンドアイ 1 優駿牝馬G1 1 2冠
17年 アエロリット 7 クイーンG3 1 NHKマイルC1着
16年 ビッシュ 10 紫苑SG3 1  
15年 ミッキークイーン 1 ローズSG2 2 オークス1着
14年 ヌーヴォレコルト 2 ローズSG2 1 オークス1着
13年 デニムアンドルビー 4 ローズSG2 1  
12年 ジェンティルドンナ 1 ローズSG2 1 2冠
11年 ホエールキャプチャ 3 ローズSG2 1  
10年 アパパネ 1 ローズSG2 4 2冠
09年 ブエナビスタ ※3 札幌記念G2 2 オークス1着

※2位入線も3位に降着

ここからは実際に上位人気に支持されたのがどんな馬で、秋華賞の結果はどのようなものだったのかを見ていきたい。まず過去10年で1番人気に支持された馬は表2の通り。昨年は2冠馬アーモンドアイが圧倒的な支持を受けて、見事に優勝。オークス以来の休み明けながら力でねじ伏せ、3冠達成を飾った。2012年のジェンティルドンナや10年のアパパネも「1番人気の2冠馬」として秋華賞に挑み、3冠を達成している。だが常識的には、2冠馬がそれほど頻繁に出てくるとは考えにくく、秋華賞の1番人気に「2冠レベル」の実績を常に要求するのは酷だ。

15年のミッキークイーンも勝利しているように、オークス1着の実績があれば1番人気の期待に応えられる可能性が高いと考えたいところ。秋華賞で4着以下に敗れてしまった17年のアエロリットや16年のビッシュ、13年のデニムアンドルビーはオークス馬ではなかったのだ。

■表3 秋華賞2番人気の成績(過去10年)

馬名 着順 前走レース名 前着
18年 ラッキーライラック 9 優駿牝馬G1 3
17年 ファンディーナ 13 ローズSG2 6
16年 ジュエラー 4 ローズSG2 11
15年 タッチングスピーチ 6 ローズSG2 1
14年 レッドリヴェール 6 ローズSG2 6
13年 スマートレイアー 2 夕月特別1000 1
12年 ヴィルシーナ 2 ローズSG2 2
11年 アヴェンチュラ 1 クイーンG3 1
10年 アプリコットフィズ 3 クイーンG3 1
09年 レッドディザイア 1 ローズSG2 2

次は2番人気に支持された馬の成績を見ていく(表3参照)。昨年はラッキーライラックが2番人気で、結果は9着だった。これで2番人気は、5年連続で4着以下に敗退。逆に09年から13年は5年連続で3着以内に入っており、13年と14年を境に急激に傾向が変わっている。

各馬の前走成績を見ると、近5年はローズSで大きく敗れていた馬や休み明けの馬が目立つ。トライアルで敗れてもなお本番で人気になるような馬は、当然それ以前に実績がある強い馬ということになる。しかし、秋華賞では変わり身を見せられずに敗れている。

一方、09年から13年は前走ローズSやクイーンSで連対していた馬が4頭。残る1頭はスマートレイアーで前走2勝(1000万)クラスの夕月特別を勝利していた。このように前走成績だけを見ても、近5年の傾向とハッキリとした違いがある。

■表4 秋華賞3番人気の成績(過去10年)

馬名 着順 前走レース名 前着
18年 カンタービレ 3 ローズSG2 1
17年 ディアドラ 1 紫苑SG3 1
16年 ヴィブロス 1 紫苑SG3 2
15年 レッツゴードンキ 17 ローズSG2 4
14年 ショウナンパンドラ 1 紫苑S 2
13年 メイショウマンボ 1 ローズSG2 4
12年 アイムユアーズ 6 クイーンG3 1
11年 マルセリーナ 7 ローズSG2 6
10年 サンテミリオン 18 優駿牝馬G1 1
09年 ブロードストリート ※2 ローズSG2 1

※3位から2位へ繰り上がり

続いて3番人気に支持された馬の成績を見ていく(表4参照)。過去10年で4頭の勝ち馬が出ており、1番人気と変わらない。あとはブロードストリートが2着(繰り上がりによる)、昨年のカンタービレが3着に入った。こちらも前走成績がいい馬が多い。紫苑SやローズSの連対馬が大半だ。特に紫苑Sは重賞に昇格してから、出走馬のレベルが上がり、本番にもつながるレースへと変わってきた。

一方、桜花賞馬のレッツゴードンキやマルセリーナは前走ローズSで4着以下に敗れ、本番でも苦しんだ。10年のサンテミリオンはオークス勝ち以来のぶっつけで、本番は18着と惨敗してしまった。

■表5 秋華賞で4番人気以下で好走した馬(過去10年)

着順 馬名 人気 前走レース名 前着
18年 2 ミッキーチャーム 5 藻岩山H1000 1
17年 2 リスグラシュー 4 ローズSG2 3
3 モズカッチャン 5 ローズSG2 7
16年 2 パールコード 4 紫苑SG3 5
3 カイザーバル 8 ローズSG2 3
15年 2 クイーンズリング 5 ローズSG2 5
3 マキシマムドパリ 8 甲武特別500 1
14年 3 タガノエトワール 4 ローズSG2 2
13年 3 リラコサージュ 15 ローズSG2 18
12年 3 アロマティコ 6 ムーンH1600 3
11年 2 キョウワジャンヌ 7 ローズSG2 3
10年 2 アニメイトバイオ 6 ローズSG2 1

最後に、4番人気以下で好走した馬を見ていくことにする。勝ち馬はいないが、2着馬と3着馬がそれぞれ6頭いる。前走レースを見ると、ローズS組が8頭、紫苑S組が1頭、条件クラス組が3頭という内訳。まず、ローズS組を見ると、3着以内に好走していた馬が5頭もいる。同レースで大敗して巻き返したケースは、13年3着のリラコサージュしかいない。基本的には前走着順がいい馬が有力と言える。前走成績で人気を下げているわけではなく、単に人気になる馬が他に3頭以上いたと考える方が自然だ。同じような実績・力がありながらもやや人気がない馬を見つけたいところだ。

前走条件クラス組も、当然前走着順はいい。実績的には格下ながら勢いがあり、秋華賞で中位人気に支持されるような馬が狙い目。昨年はミッキーチャームが5番人気で2着に好走。上がり馬としては、なかなか高い評価を受けていたように思う。

【結論】
それでは今年の秋華賞を占っていこう。出走予定馬は表6の通り。

■表6 今年の秋華賞出走予定馬

馬名 前走レース名 前着
ダノンファンタジー ローズSG2 1
ビーチサンバ ローズSG2 2
シゲルピンクダイヤ ローズSG2 4
メイショウショウブ ローズSG2 5
シャドウディーヴァ ローズSG2 9
パッシングスルー 紫苑SG3 1
フェアリーポルカ 紫苑SG3 2
カレンブーケドール 紫苑SG3 3
ローズテソーロ 紫苑SG3 6
クロノジェネシス 優駿牝馬G1 3
シェーングランツ 優駿牝馬G1 7
コントラチェック 優駿牝馬G1 9
ブランノワール 夕月特別・2勝 1
トゥーフラッシー 茨城新聞・2勝 4
サトノダムゼル 白井特別・2勝 1
エスポワール シンガポ・2勝 1
シングフォーユー 1勝クラス・牝 1
レッドアネモス ラジオNIHG3 13

2019/9/15 阪神11R ローズステークス(G2) 1着 4番ダノンファンタジー

冒頭にも述べたように今年は桜花賞馬とオークス馬がいないことが早い段階からわかっていた。また、ローズS3着のウィクトーリアも残念ながら故障で引退と、上位人気に支持されそうな馬が次々といなくなった。よって、人気の予想は難しくなった。ただ、どうやら1番人気はダノンファンタジーになる可能性が高そうだ。

ダノンファンタジーはメンバー中唯一のG1馬。クラシックで安定した成績を残し、前走はローズSをレコード勝ちした。実績的にはもちろん最上位で、力もある。ただ、オークスで5着に敗れたのは事実。焦点はこのタイプを「1番人気で買えるかどうか」につきる。近年の傾向からは、4着以下に敗れる危険があり、「買いづらい」と言える。

問題は2番人気以下の人気順があまり読めないこと。仮にオークス以来の休み明けであるクロノジェネシスやコントラチェックが入ると、危ないパターンで、波乱の可能性が一層高まる。そうなると、ローズS2着のビーチサンバや紫苑S1着のパッシングスルー、同2着のフェアリーポルカがおのずと有力馬に浮上する。この手のタイプは2、3番人気であっても買いやすい。いずれにしても当日のオッズ次第だ。

2019/7/14 中京12R シンガポールターフクラブ賞 1着 6番 エスポワール

あとは、上がり馬にも注目。前走条件クラスで勝利している馬は4頭いる。その中ではエスポワールがやや人気を集めそうな雰囲気だ。当日5〜8番人気になるようであれば、積極的に狙ってみても良さそうだ。

ライタープロフィール

小田原智大(おだわら ともひろ)

1975年6月、東京生まれ。早稲田大学商学部卒業後、業界紙記者を経て、(株)レイヤード入社。ライター&エディターとして活躍。JRA-VANデータの配信初期から、いち早くデータ競馬の有効性に着目する。05年5月より「競馬 最強の法則WEB」にて、障害戦を除く全重賞レースの傾向と対策、予想を展開。「オッズパーク ダートグレードデータ作戦」では、地方競馬の重賞の攻略にも取り組んでいる。仕事の関係でなかなか競馬場には行けなくなったが、年に1、2回行くローカル遠征が楽しみ。


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