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第1355回 秋のG1で荒れるレース、堅いレースは?

2019/9/23(月)

今週日曜のスプリンターズSで開幕する秋のG1戦線。12月28日のホープフルSまで3か月の長丁場、最初の目標は「全勝」という方もいるかもしれないが、それを実現できる人はほぼいないだろう。逆に最初から飛ばしすぎた結果、勝負をかけたいレースで懐具合がさみしくなっている、という事態だけは避けたいところだ。そこで今回は、秋のG1の中で荒れやすいレース、平穏に収まりやすいレースを探ってみたい。本命党、穴党がそれぞれターゲットにすべきは果たしてどの一戦か。データの分析には、JRA-VAN DataLab.TARGET frontier JVを利用し、2009年以降の10年間で中央競馬の平地G1として10回行われているレースを対象とした(チャンピオンズCには13年以前のジャパンCダート5回を含む。最終週のホープフルSは対象外)。

■表1 単勝・馬連・3連複の配当集計

レース 単勝 馬連 3連複
最低 平均 最高 最低 平均 最高 最低 平均 最高
スプリンターズS 130円 1,261円 4,650円 400円 4,928円 13,030円 4,300円 26,335円 65,370円
秋華賞 130円 421円 1,010円 250円 1,642円 3,550円 640円 10,884円 50,030円
菊花賞 140円 884円 2,320円 330円 3,688円 10,660円 1,050円 29,086円 136,350円
天皇賞(秋) 220円 1,033円 3,330円 900円 4,430円 16,490円 1,400円 9,667円 24,850円
エリザベス女王杯 270円 1,557円 7,710円 700円 14,310円 102,030円 1,320円 23,877円 157,480円
マイルCS 230円 1,269円 5,240円 1,590円 5,114円 14,240円 2,000円 17,584円 53,970円
ジャパンC 140円 611円 1,330円 590円 2,644円 10,160円 960円 18,950円 80,880円
チャンピオンズC 190円 1,400円 6,640円 1,390円 4,222円 11,040円 920円 17,026円 32,660円
阪神JF 160円 575円 1,460円 510円 5,318円 35,990円 1,210円 53,694円 490,320円
朝日杯FS 230円 948円 3,450円 520円 4,718円 14,050円 700円 12,673円 42,820円
有馬記念 160円 580円 1,700円 440円 3,279円 12,350円 1,050円 9,379円 24,290円

2014/10/5 新潟11R スプリンターズステークス(G1) 1着 18番 スノードラゴン (13番人気)

表1は各G1レースについて、単勝、馬連、3連複それぞれの最低、平均、最高配当を調べたものである。平均配当ではエリザベス女王杯の馬連や、阪神JFの3連複が群を抜いているが、エリザベス女王杯は10年(馬連10万2030円)、阪神JFは12年(3連複49万320円)1回の影響が非常に大きい。最高配当と最低配当をカットした8回の平均を取ると、エリザベス女王杯は単勝949円、馬連5046円、3連複9996円。阪神JFはそれぞれ516円、2085円、5676円。特に阪神JFは、むしろ平穏に収まりやすいレースである。

こうした特定の1レースの影響が少なく、荒れる年が多いのは今週行われるスプリンターズSで、平均配当は3券種すべてで高配当ベスト4にランクイン。穴党にとっては、シーズン最初から高配当獲得最大のチャンスが訪れることになるかもしれない。また、同じ短距離路線であるマイルCSも単勝と馬連で平均配当3位を記録している。

そしてスプリンターズSとは逆に、3券種すべて低配当ベスト4に入るのが、秋のG1・2レース目の秋華賞と、有馬記念だ。本命党なら、スプリンターズSでまずは試運転を終え、次の秋華賞で勝負ということになるだろう。また、有馬記念のほか天皇賞(秋)、ジャパンCで形成される、いわゆる「秋の古馬三冠」は、3券種のうち1つ以上が低配当ベスト4に入っている。おおむね、天皇賞(秋)→ジャパンC→有馬記念と進むにつれて波乱度は低下していく傾向だ。

■表2 1番人気馬の成績(複勝率順)

レース名 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回収 複回収
有馬記念 5-3-1-1/10 50.0% 80.0% 90.0% 110% 116%
天皇賞(秋) 4-2-2-2/10 40.0% 60.0% 80.0% 123% 108%
ジャパンC 4-2-2-2/10 40.0% 60.0% 80.0% 109% 100%
菊花賞 5-1-1-3/10 50.0% 60.0% 70.0% 112% 96%
朝日杯FS 4-2-1-3/10 40.0% 60.0% 70.0% 123% 91%
チャンピオンズC 4-2-1-3/10 40.0% 60.0% 70.0% 105% 100%
秋華賞 4-1-2-3/10 40.0% 50.0% 70.0% 79% 82%
エリザベス女王杯 1-3-3-3/10 10.0% 40.0% 70.0% 27% 91%
阪神JF 4-1-1-4/10 40.0% 50.0% 60.0% 95% 80%
スプリンターズS 4-1-0-5/10 40.0% 50.0% 50.0% 117% 70%
マイルCS 1-2-2-5/10 10.0% 30.0% 50.0% 23% 73%

2018/11/25 東京11R ジャパンカップ(G1) 1着 1番 アーモンドアイ(1番人気)

1番人気馬の複勝率は、その天皇賞(秋)・ジャパンC・有馬記念がトップ3を占め、単複の回収率はいずれも100%を突破。加えて、秋の中央競馬では唯一のダートG1・チャンピオンズCでも単複回収率100%以上を記録した。一方、表1で荒れ気味だったスプリンターズSとマイルCSが、ワースト2となっている。
また、レースごとの勝率に注目すると、11レース中9レースが40.0〜50.0%とほぼ横並び。そんな中、マイルCSとエリザベス女王杯の1番人気は、過去10年で1勝のみに終わっている。

■表3 6番人気以下の成績(複勝率順)

レース名 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回収 複回収
スプリンターズS 3-3-9-95/110 2.7% 5.5% 13.6% 81% 94%
チャンピオンズC 4-4-5-94/107 3.7% 7.5% 12.1% 107% 71%
菊花賞 3-3-7-117/130 2.3% 4.6% 10.0% 43% 61%
有馬記念 1-4-4-97/106 0.9% 4.7% 8.5% 16% 49%
朝日杯FS 2-4-3-104/113 1.8% 5.3% 8.0% 43% 47%
天皇賞(秋) 1-3-5-111/120 0.8% 3.3% 7.5% 27% 35%
ジャパンC 0-3-6-111/120 0.0% 2.5% 7.5% 0% 47%
エリザベス女王杯 3-5-1-114/123 2.4% 6.5% 7.3% 93% 61%
マイルCS 2-2-4-121/129 1.6% 3.1% 6.2% 54% 37%
阪神JF 0-3-4-123/130 0.0% 2.3% 5.4% 0% 47%
秋華賞 0-2-4-122/128 0.0% 1.6% 4.7% 0% 34%

今度は、6番人気以下の成績も見てみよう。高複勝率を記録するのは、スプリンターズSとチャンピオンズC。スプリンターズSは「1番人気の複勝率が低い(表2)」「6番人気以下の複勝率が高い(表3)」結果、「平均配当が高い(表1)」ことがわかる。一方のチャンピオンズCは、1番人気の複勝率が70.0%と悪くなかったため、間の2〜5番人気が低調であると予想される。
同様に天皇賞(秋)・ジャパンC、有馬記念も、6番人気以下の穴馬が少なからず好走している。こちらも2〜5番人気が奮わないため、1番人気が好成績を残しながら、平均配当は「ガチガチ」にまでは至っていないのだろう。
そして、6番人気以下の複勝率が最低の4.7%にとどまったのが、表1の平均配当が低かった秋華賞だ。表2にあった1番人気の勝率40.0%、複勝率70.0%は、秋のG1では平均的な数字だったが、こちらは2〜5番人気の成績が良いために、6番人気以下の好走が少なく、平均配当も下がっていると考えられる。

■表4 レース・人気別複勝率

レース名 1 2〜3 4〜5 6以下
スプリンターズS 50.0% 40.0% 10.0% 13.6%
秋華賞 70.0% 55.0% 30.0% 4.7%
菊花賞 70.0% 30.0% 20.0% 10.0%
天皇賞(秋) 80.0% 35.0% 30.0% 7.5%
エリザベス女王杯 70.0% 40.0% 30.0% 7.3%
マイルCS 50.0% 45.0% 40.0% 6.2%
ジャパンC 80.0% 35.0% 30.0% 7.5%
チャンピオンズC 70.0% 35.0% 15.0% 12.1%
阪神JF 60.0% 40.0% 45.0% 5.4%
朝日杯FS 70.0% 40.0% 30.0% 8.0%
有馬記念 90.0% 40.0% 20.0% 8.5%

その2〜5番人気を「2〜3」と「4〜5」に分け、人気別の複勝率をまとめたのが表4である。秋華賞は特に、2〜3番人気が複勝率55.0%と群を抜いた好成績だ。また、表1〜3から予想されたように、チャンピオンズCと天皇賞(秋)・ジャパンC・有馬記念は、1番人気以外の上位人気勢が今ひとつに終わっている。

■表5 10番人気以下の成績(1〜3着数順)

レース名 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回収 複回収
スプリンターズS 2-2-2-64/70 2.9% 5.7% 8.6% 108% 75%
マイルCS 1-2-0-86/89 1.1% 3.4% 3.4% 58% 29%
エリザベス女王杯 1-2-0-80/83 1.2% 3.6% 3.6% 92% 57%
チャンピオンズC 1-0-3-63/67 1.5% 1.5% 6.0% 99% 48%
阪神JF 0-2-1-87/90 0.0% 2.2% 3.3% 0% 48%
菊花賞 0-1-3-86/90 0.0% 1.1% 4.4% 0% 40%
有馬記念 0-1-2-63/66 0.0% 1.5% 4.5% 0% 32%
朝日杯FS 0-1-2-70/73 0.0% 1.4% 4.1% 0% 37%
天皇賞(秋) 0-1-1-78/80 0.0% 1.3% 2.5% 0% 14%
ジャパンC 0-0-2-78/80 0.0% 0.0% 2.5% 0% 36%
秋華賞 0-0-1-87/88 0.0% 0.0% 1.1% 0% 25%

最後に2桁人気馬の成績も見ると、スプリンターズSが断トツという結果になった。表3の6番人気以下は【3.3.9.95】、そしてこの10番人気以下は【2.2.2.64】。6番人気以下の連対馬6頭中4頭を、10番人気以下が占めている。その内訳は、10年10番人気1着のウルトラファンタジー、14年13番人気1着のスノードラゴン、15年11番人気2着のサクラゴスペル、そして昨年11番人気2着のラブカンプー。4頭のうち3頭は近5年の激走で、今年も大いに一発の期待をかけたいところだ。対して、6番人気以下の好走率最下位の秋華賞は、13年にリラコサージュ(15番人気)が3着に食い込んだのみである。

以上、秋のG1の配当・人気傾向をまとめてみた。穴党なら、まずは今週のスプリンターズSで好ダッシュを決めたいところ。本命党なら次の秋華賞が最初の勝負レースになるが、決して「1番人気で頭鉄板」というレースではないことには注意したい。

ライタープロフィール

浅田知広(あさだ ともひろ)

1970年12月、埼玉県生まれ。立命館大学文学部中退後、夕刊紙レース部のアルバイト、競馬データベース会社を経て、現在はフリー。パソコンが広く普及する以前から、パソコン通信でデータ手入力方式の競馬予想ソフトを公開するなど、競馬のみならずPCやネットワークにも精通。その知識を活かし、Webや雑誌で競馬ライターとして活躍するかたわら、ネットワークの専門誌にも連載を持つ。


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