第1353回 注目馬が続出する馬主「ゴドルフィン」を分析!|競馬情報ならJRA-VAN

競馬予想・競馬情報ならJRA-VAN

データde出〜た

データde出〜たバックナンバー

第1353回 注目馬が続出する馬主「ゴドルフィン」を分析!

2019/9/16(月)

ここに来て活躍が目立つ馬主がゴドルフィンだ。昨年3月、従来のシェイク・モハメド殿下などの名義から統一されると、その直後、ファインニードルが高松宮記念を勝ち、秋のスプリンターズSも制して最優秀短距離馬に。直近でも新潟2歳Sを快勝したウーマンズハート、セントウルSをレコード勝ちしたタワーオブロンドンなど、G1での活躍も期待される大物が現れている。そんな注目の馬主をデータから分析してみたい。集計期間は、現名義となった2018年3月17日から2019年9月8日まで。データの集計・分析には、JRA-VAN DataLab.TARGET frontier JVを利用した。

2019/8/25 新潟11R 新潟2歳ステークス(G3) 1着 6番 ウーマンズハート 2019/9/8 阪神11R セントウルステークス(G2) 1着 7番 タワーオブロンドン

■表1 2018年と2019年の成績比較

着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回率 複回率
2018年 60- 47- 36-401/544 11.0% 19.7% 26.3% 64% 63%
2019年 69- 67- 58-332/526 13.1% 25.9% 36.9% 84% 85%

※2018年は3月17日以降、2019年は9月8日まで

表1は、昨年(2018年・3月17日以降)と今年(2019年・9月8日まで)の成績を比較したもの。集計期間としては今年のほうが1カ月ほど短いが、それでも昨年を上回る69勝をマーク。数だけでなく、好走率、回収率も昨年を大きく上回っている。このデータを見る限り、今年に入ってゴドルフィンの成績が全体に向上しており、その延長線上にウーマンズハートやタワーオブロンドンらの登場がある、とも考えられそうだ。

■表2 距離別成績

馬場 距離 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回率 複回率
1000m〜1300m 15- 13- 15- 52/ 95 15.8% 29.5% 45.3% 114% 120%
1400m〜1600m 26- 17- 17-153/213 12.2% 20.2% 28.2% 89% 67%
1700m〜2000m 30- 30- 26-155/241 12.4% 24.9% 35.7% 56% 74%
2100m〜2400m 7-  6-  3- 21/ 37 18.9% 35.1% 43.2% 105% 84%
2500m〜 1-  1-  1- 14/ 17 5.9% 11.8% 17.6% 35% 70%
ダート 1000m〜1300m 12-  8-  7- 77/104 11.5% 19.2% 26.0% 54% 65%
1400m〜1600m 16- 15-  4- 87/122 13.1% 25.4% 28.7% 89% 56%
1700m〜2000m 20- 22- 20-165/227 8.8% 18.5% 27.3% 65% 74%
2100m〜2400m 1-  1-  0-  2/  4 25.0% 50.0% 50.0% 60% 62%
2500m〜 0-  0-  0-  0/  0          

表2は、距離別成績を芝・ダート別で示したもの。芝で成績がいいのは「1000〜1300m」と「2100〜2400m」で、データとしては出走回数が多い「1000〜1300m」のほうがより信頼できる。実際、芝のこの距離では前述したファインニードルやタワーオブロンドンといった一流馬が出ており、現2歳からもすずらん賞を快勝したケープコッドという楽しみな馬が出ている。加えて、回収率が高い点も見逃せない。

一方のダートは、芝に比べて全体に数値がダウン。そのなかでは「1400〜1600m」の好走率がもっとも高く、単勝回収率89%もまずまずで狙うならここだろう。

■表3 競馬場別成績

馬場 競馬場 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回率 複回率
札幌 4-  6-  4- 32/ 46 8.7% 21.7% 30.4% 94% 72%
函館 5-  6-  3-  9/ 23 21.7% 47.8% 60.9% 59% 160%
福島 4-  6-  3- 30/ 43 9.3% 23.3% 30.2% 38% 116%
新潟 4-  3-  7- 39/ 53 7.5% 13.2% 26.4% 59% 53%
東京 13- 14- 11- 65/103 12.6% 26.2% 36.9% 39% 66%
中山 9-  9-  2- 37/ 57 15.8% 31.6% 35.1% 73% 60%
中京 6-  7-  6- 45/ 64 9.4% 20.3% 29.7% 110% 96%
京都 11-  8-  7- 54/ 80 13.8% 23.8% 32.5% 132% 88%
阪神 18-  6- 12- 56/ 92 19.6% 26.1% 39.1% 101% 75%
小倉 5-  2-  7- 28/ 42 11.9% 16.7% 33.3% 52% 62%
ダート 札幌 2-  4-  0- 15/ 21 9.5% 28.6% 28.6% 18% 43%
函館 1-  1-  1-  5/  8 12.5% 25.0% 37.5% 27% 45%
福島 4-  1-  1- 17/ 23 17.4% 21.7% 26.1% 73% 76%
新潟 2-  4-  3- 33/ 42 4.8% 14.3% 21.4% 11% 82%
東京 7-  7-  2- 56/ 72 9.7% 19.4% 22.2% 104% 50%
中山 4-  3-  4- 56/ 67 6.0% 10.4% 16.4% 18% 49%
中京 6-  7-  2- 34/ 49 12.2% 26.5% 30.6% 98% 77%
京都 8-  6-  6- 39/ 59 13.6% 23.7% 33.9% 115% 86%
阪神 12- 12- 10- 58/ 92 13.0% 26.1% 37.0% 67% 76%
小倉 3-  1-  2- 18/ 24 12.5% 16.7% 25.0% 94% 56%

表3は、競馬場別成績を芝・ダート別で示したもの。芝で好走率が抜けて高いのが函館で、今年は開催が終了したものの、来年も期待したい。勝率ベースで見ていくと、函館に次いで高い数値を記録しているのが阪神、中山で、いずれも直線に急坂がある点は注目に値する。前述の函館も力の要る洋芝コースだから、ゴドルフィンの馬は総じてタフな芝を得意とする傾向があるようだ。とはいえ、京都や小倉の好走率もよく、直線が平坦でスピードを求められる芝が苦手というわけではない。

ダートは関西圏が軒並み好調で、京都、阪神、小倉、中京はいずれも勝率12%以上を記録。芝も関西圏の数値が良好で、関西圏そのものが得意と考えてもよさそうだ。

■表4 クラス別成績

クラス 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回率 複回率
新馬 13- 16-  7- 54/ 90 14.4% 32.2% 40.0% 107% 92%
未勝利 35- 38- 27-295/395 8.9% 18.5% 25.3% 52% 59%
1勝 34- 28- 25-206/293 11.6% 21.2% 29.7% 67% 73%
2勝 23- 13- 17- 85/138 16.7% 26.1% 38.4% 113% 83%
3勝 10- 10- 11- 54/ 85 11.8% 23.5% 36.5% 64% 83%
オープン特別 6-  4-  1-  7/ 18 33.3% 55.6% 61.1% 308% 147%
リステッド競走 1-  1-  1-  4/  7 14.3% 28.6% 42.9% 97% 172%
G3 2-  4-  4- 16/ 26 7.7% 23.1% 38.5% 20% 99%
G2 3-  0-  0-  8/ 11 27.3% 27.3% 27.3% 88% 39%
G1 2-  0-  1-  4/  7 28.6% 28.6% 42.9% 118% 97%
平場 77- 79- 55-546/757 10.2% 20.6% 27.9% 58% 66%
特別 52- 35- 39-187/313 16.6% 27.8% 40.3% 114% 91%

表4はクラス別成績。上から順に見ていくと、新馬戦が優秀な一方、未勝利戦はそれほどでもない。勝ち上がった馬は安定して走っており、条件戦では2勝クラスが好成績。オープンまで行った馬の成績も優秀で、なかでもオープン特別の成績は圧巻だ。重賞でもしっかり通用しており、ゴドルフィンの馬のポテンシャルの高さを感じさせる。また、平場戦より特別戦のほうが明らかに高い数値を残している点も記しておきたい。

■表5 騎手別成績

騎手 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回率 複回率
着別度数 川田将雅 10-12- 3-14/39 25.6% 56.4% 64.1% 96% 92%
田辺裕信 8- 4- 0-13/25 32.0% 48.0% 48.0% 146% 88%
M.デムーロ 7- 4- 4-13/28 25.0% 39.3% 53.6% 88% 88%
吉田隼人 6- 7- 1-14/28 21.4% 46.4% 50.0% 67% 88%
C.ルメール 5-13- 1-19/38 13.2% 47.4% 50.0% 32% 69%
単勝回収率 藤岡佑介 5- 3- 4-11/23 21.7% 34.8% 52.2% 195% 153%
北村宏司 5- 3- 4-22/34 14.7% 23.5% 35.3% 161% 110%
田辺裕信 8- 4- 0-13/25 32.0% 48.0% 48.0% 146% 88%
池添謙一 5- 1- 6-12/24 20.8% 25.0% 50.0% 138% 144%
浜中俊 2- 3- 2-16/23 8.7% 21.7% 30.4% 113% 67%

※単勝回収率順は騎乗20回以上が対象

表5は騎手別成績で、着別度数順と単勝回収率順(騎乗20回以上)の上位5騎手をそれぞれ示している。トップの10勝を挙げた川田将雅騎手は、昨年の短距離G1春秋制覇を飾ったファインニードルとのコンビが光る。単複の回収率も90%台で十分の数字だ。勝利数2位の田辺裕信騎手は、川田騎手をも上回る勝率32.0%、単勝回収率146%を記録。同3位のミルコ・デムーロ騎手も好走率が高く、回収率も単複ともに88%と悪くない。

単勝回収率順のランキングに目を転じると、トップの藤岡佑介騎手や4位の池添謙一騎手は好走率もかなりのもの。両騎手がゴドルフィンの馬に騎乗してきたら、積極的に狙ってみたい。

■表6 厩舎別成績

厩舎 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回率 複回率
着別度数 吉村圭司 10- 4- 9-28/51 19.6% 27.5% 45.1% 169% 104%
中内田充正 9- 2- 4-25/40 22.5% 27.5% 37.5% 86% 64%
安田隆行 8- 9- 4-11/32 25.0% 53.1% 65.6% 75% 111%
西浦勝一 8- 4- 7-20/39 20.5% 30.8% 48.7% 184% 128%
藤沢和雄 7-10- 3-15/35 20.0% 48.6% 57.1% 54% 69%
単勝回収率 西浦勝一 8- 4- 7-20/39 20.5% 30.8% 48.7% 184% 128%
野中賢二 4- 1- 2-31/38 10.5% 13.2% 18.4% 173% 65%
昆貢 5- 2- 0-25/32 15.6% 21.9% 21.9% 170% 79%
吉村圭司 10- 4- 9-28/51 19.6% 27.5% 45.1% 169% 104%
木村哲也 5- 5- 5-15/30 16.7% 33.3% 50.0% 156% 114%

※単勝回収率順は出走20回以上が対象

表6は厩舎別成績で、着別度数順と単勝回収率順(出走20回以上)の上位5厩舎をそれぞれ示している。こうして見ると、両方のランキングで1〜4位を関西所属の厩舎が占めている。表3の項で関西圏が得意と述べたが、その一因はこのあたりにもありそうだ。ランクインした厩舎はいずれも好成績を収めており、なかでも着別度数順1位、単勝回収率順4位の吉村圭司厩舎、同4位、1位の西浦勝一厩舎は、好走率、回収率ともに素晴らしい数字が並んでいる。

■表7 種牡馬別成績

種牡馬 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回率 複回率
着別度数 アドマイヤムーン 14-  4- 10- 70/ 98 14.3% 18.4% 28.6% 91% 63%
ストリートセンス 9-  8-  9- 30/ 56 16.1% 30.4% 46.4% 48% 86%
ハードスパン 8-  7-  4- 90/109 7.3% 13.8% 17.4% 107% 68%
ハーツクライ 8-  6-  5- 16/ 35 22.9% 40.0% 54.3% 78% 90%
ディープスカイ 8-  5-  1- 18/ 32 25.0% 40.6% 43.8% 132% 136%
単勝回収率 ディープスカイ 8-  5-  1- 18/ 32 25.0% 40.6% 43.8% 132% 136%
ストーミングホーム 7-  3-  7- 30/ 47 14.9% 21.3% 36.2% 121% 103%
ハードスパン 8-  7-  4- 90/109 7.3% 13.8% 17.4% 107% 68%
アドマイヤムーン 14-  4- 10- 70/ 98 14.3% 18.4% 28.6% 91% 63%
Teofilo 3-  2-  2- 14/ 21 14.3% 23.8% 33.3% 89% 55%

※単勝回収率順は出走20回以上が対象

表7は種牡馬別成績で、着別度数順と単勝回収率順(出走20回以上)の上位5種牡馬をそれぞれ示している。やはりと言うべきか、同一グループのダーレー・ジャパン スタリオンコンプレックスに繋養されている(いた)種牡馬がランキング上位に多く入った。勝利数トップのアドマイヤムーンはファインニードルの父。1着が多く勝率が高い反面、2着数は少ない傾向があるので、券種としては馬単や3連単の1着固定に向いている。同2位のストリートセンス、同3位のハードスパンは日本供用が1年のみだったため産駒の数は少ないが、それなりの結果を残している。単勝回収率順で1位のディープスカイ、2位のストーミングホームもダーレー・ジャパン スタリオンコンプレックスを離れているが、好走率も高く、侮れない存在だ。

注目はハーツクライで、ダーレー・ジャパン スタリオンコンプレックスの繋養ではないのに、着別度数順で4位に食い込んだ。好走率はかなり高く、ウーマンズハートという期待馬も現れている。今後もゴドルフィンが所有するハーツクライ産駒には気をつけたほうがいいかもしれない。

ライタープロフィール

出川塁(でがわ るい)

1977年熊本県生まれ。上智大学文学部卒業後、出版社2社で競馬専門誌、競馬書籍の編集に携わり、2007年からフリーライターに。「競馬最強の法則」「サラブレ」「優駿」などへ寄稿するほか、出版社勤務時代を含めて制作に関わった競馬書籍は多数。馬券は単勝派だが、焼肉はタン塩派というわけではない。メインの競馬のほか、サッカーでも密かに活動中。


データde出〜たバックナンバー

データ競馬のための最強ツール TARGET frontier JV(ターゲット)