データde出〜た
第1354回 二強対決になるか、それとも? オールカマーを展望する
2019/9/19(木)
今週末の重賞は、中山で古馬G2のオールカマー、阪神で菊花賞トライアルの神戸新聞杯がいずれも日曜日に行なわれる。昨年の当欄では神戸新聞杯を取り上げているので、今回はオールカマーを分析したい。今年は出走登録が10頭と少々寂しいものの、レイデオロ、ウインブライトという2頭のG1馬が出走を予定しており、その走りをしっかりと見届けたいところ。もちろん、ほかの馬も秋の飛躍につなげるために2頭を食う走りを見せたいはずだ。そんなG2戦を、過去10年のデータから展望してみたい。ただし、新潟開催となった14年は除外し、実際には9年分が集計の対象となる。データの分析には、JRA-VAN DataLab.とTARGET frontier JVを利用した。
■表1 人気別成績
人気 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単回率 | 複回率 |
1番人気 | 3- 4- 1- 1/ 9 | 33.3% | 77.8% | 88.9% | 60% | 115% |
2番人気 | 1- 1- 3- 4/ 9 | 11.1% | 22.2% | 55.6% | 34% | 81% |
3番人気 | 2- 2- 1- 4/ 9 | 22.2% | 44.4% | 55.6% | 135% | 104% |
4番人気 | 0- 1- 0- 8/ 9 | 0.0% | 11.1% | 11.1% | 0% | 43% |
5番人気 | 2- 0- 0- 7/ 9 | 22.2% | 22.2% | 22.2% | 167% | 55% |
6番人気 | 0- 1- 3- 5/ 9 | 0.0% | 11.1% | 44.4% | 0% | 146% |
7番人気 | 0- 0- 1- 8/ 9 | 0.0% | 0.0% | 11.1% | 0% | 37% |
8番人気 | 0- 0- 0- 9/ 9 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0% | 0% |
9番人気 | 1- 0- 0- 8/ 9 | 11.1% | 11.1% | 11.1% | 422% | 66% |
10番人気〜 | 0- 0- 0- 41/ 41 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0% | 0% |
表1は人気別成績。1番人気は堅調で、3着を外したのは12年4着のルルーシュしかいない。同馬を除く延べ8頭にはすべてG1連対歴があり、G1通用級の馬が1番人気に推されたら堅軸となりそうだ。また、2、3番人気は複勝率55.6%で並んでおり、上位人気馬が確実に走ってくる。裏を返すと穴馬は苦戦しており、7番人気以下は合わせて【1.0.1.66】。13年に9番人気のヴェルデグリーンが勝った例はあるが、この年はG1馬が10歳のマイネルキッツだけというやや手薄なメンバー構成で、そのため穴馬が台頭する余地が生まれたとも考えられそうだ。
■表2 厩舎の東西所属別別成績
厩舎 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単回率 | 複回率 |
関東 | 7- 2- 6- 63/ 78 | 9.0% | 11.5% | 19.2% | 83% | 44% |
関西 | 2- 7- 3- 32/ 44 | 4.5% | 20.5% | 27.3% | 20% | 53% |
表2は厩舎の東西所属別成績。特に着目したいのは1着と2着の数で、1着は関東馬7回に対して関西馬2回、逆に2着は関西馬7回に対して関東馬2回という結構な偏りが見られる。また、3着も関東6回、関西3回と少し差がついている。券種でいえば、馬単や3連単で狙う場合はこの傾向が参考になるかもしれない。
■表3 斤量別成績(4歳以上の牡馬・セン馬のみ)
斤量 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単回率 | 複回率 |
56キロ | 2- 4- 3- 54/ 63 | 3.2% | 9.5% | 14.3% | 65% | 44% |
57キロ | 2- 2- 6- 29/ 39 | 5.1% | 10.3% | 25.6% | 23% | 45% |
58キロ | 2- 0- 0- 2/ 4 | 50.0% | 50.0% | 50.0% | 165% | 70% |
59キロ | 1- 2- 0- 0/ 3 | 33.3% | 100.0% | 100.0% | 46% | 120% |
表3は斤量別成績。今年は牝馬や3歳馬の出走登録がないため、ここでは4歳以上の牡馬・セン馬のみを対象とした。オールカマーは別定戦で、G1などで実績を収めた馬は斤量を多く背負うことになるが、そうした馬ほど好成績を収めていることが、表3からは読み取れる。現在のオールカマーの設定では59キロを背負うことはないものの、以前に59キロで出走した3例はすべて連対。58キロも4戦2勝となっている。表1の項で人気馬が強いことを延べたが、その理由のひとつとして、斤量を背負う実績馬が確実に走っていることも挙げられるだろう。
■表4 前走クラス別成績
前走クラス | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単回率 | 複回率 |
未勝利 | 0- 0- 0- 1/ 1 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0% | 0% |
1勝(500万下) | 0- 0- 0- 0/ 0 | |||||
2勝(1000万下) | 0- 0- 0- 0/ 0 | |||||
3勝(1600万下) | 0- 0- 0- 8/ 8 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0% | 0% |
オープン特別 | 0- 0- 1- 16/ 17 | 0.0% | 0.0% | 5.9% | 0% | 14% |
G3 | 1- 2- 3- 40/ 46 | 2.2% | 6.5% | 13.0% | 82% | 40% |
G2 | 1- 0- 3- 20/ 24 | 4.2% | 4.2% | 16.7% | 19% | 42% |
G1 | 6- 6- 2- 9/ 23 | 26.1% | 52.2% | 60.9% | 126% | 107% |
海外 | 1- 1- 0- 1/ 3 | 33.3% | 66.7% | 66.7% | 66% | 83% |
表4は前走クラス別成績。前走G1の好走例が最多で、好走率も抜けて高く、しかも単複の回収率は100%を超えている。前走海外(すべてG1)を含め、このデータからも実績馬が強いレースであることがわかる。前走G1以外の好走馬は計11頭おり、そのうち10頭は前走でG2かG3に出走。つまり、前走が重賞以外のレースだった馬の好走は1頭しかなく、かなりの苦戦となっている。
■表5 前走レース別成績(同年の国内G1のみ)
前走レース名 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単回率 | 複回率 |
宝塚記念 | 3- 4- 2- 3/12 | 25.0% | 58.3% | 75.0% | 100% | 113% |
天皇賞・春 | 1- 1- 0- 4/ 6 | 16.7% | 33.3% | 33.3% | 33% | 73% |
ヴィクトリアマイル | 1- 0- 0- 0/ 1 | 100.0% | 100.0% | 100.0% | 780% | 280% |
安田記念 | 0- 1- 0- 0/ 1 | 0.0% | 100.0% | 100.0% | 0% | 170% |
大阪杯 | 0- 0- 0- 1/ 1 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0% | 0% |
表5は、同年の国内G1に限った前走レース別成績。同じ2200mということもあって前走宝塚記念の出走例が多く、成績も非常にいい。そのなかでも「宝塚記念で9着以内だった牡馬」に限れば【2.3.2.0】と、すべての馬が好走を果たしている。次いで出走例が多いのは天皇賞・春だが、距離が1000mの大幅短縮となる影響もあるのだろう、好走率は宝塚記念よりだいぶ下がる。いずれも出走例は1回ずつながら、1600mのヴィクトリアマイル、安田記念はその1回できっちり結果を出しており、こちらのほうが相性はいいようだ。
■表6 前走G1以外の1〜3着馬の芝2200m実績
年 | 着順 | 人気 | 馬名 | 主な芝2200m実績(前年・同年) |
09年 | 1 | 3 | マツリダゴッホ | 08年オールカマー1着 |
3 | 2 | シンゲン | 出走なし | |
10年 | 3 | 6 | トウショウシロッコ | 09、10年AJCC3着 |
11年 | 3 | 2 | カリバーン | 10年グレイトフルS(1600万下)1着 |
12年 | 2 | 4 | ダイワファルコン | 出走なし |
3 | 6 | ユニバーサルバンク | 11年京都新聞杯2着 | |
13年 | 1 | 9 | ヴェルデグリーン | 出走なし |
2 | 2 | メイショウナルト | 13年三田特別(1000万下)1着 | |
15年 | 3 | 7 | ミトラ | 15年AJCC2着 |
16年 | 3 | 6 | ツクバアズマオー | 16年湾岸S(1600万下)1着 |
17年 | 3 | 3 | タンタアレグリア | 17年AJCC1着 |
表6は、前走でG1以外のレースに出走し、オールカマーで1〜3着に入った11頭の一覧で、主な芝2200m実績(前年・同年のみ)を付記している。こうして見ると、11頭中8頭は芝2200mの重賞で3着以内か、条件戦で1着の実績を持っていたことがわかる。また、出走歴がなかった3頭のうち、09年3着のシンゲンと13年1着のヴェルデグリーンの2頭はのちに芝2200m重賞を制しており、結果としてこの距離を得意とする馬だった。前走G1などの格上馬が強いオールカマーにおいて実績面で見劣る馬が食い込むためには芝2200mの適性を活かすのが近道となるようだ。
【結論】
今年のオールカマーで人気が予想されるのがレイデオロとウインブライト。いずれもほかの馬より2キロ重い58キロを背負うことになるが、4歳以上の牡馬は斤量が重いほど好成績で、その点は心配しなくていいだろう。
レイデオロは宝塚記念以来。宝塚記念では5着と不本意な結果に終わったが、オールカマーに関しては「前走宝塚記念で9着以内だった牡馬」という凡走なしの条件を十分に満たす。ウインブライトはG1初勝利を飾った香港のクイーンエリザベス2世C以来。前走海外は【1.1.0.1】と悪くない成績を収めており、昨年2着のアルアインとまったく同じ実績あるローテーションなので不安はなさそうだ。
ただし、この2頭はどちらも関東馬。表2の項で確認した通り、関東馬は1着と3着が多く、2着が少ない傾向にあった。実際、集計対象の9年で関東馬の1、3着が4回あったのに対し、ワンツー決着は1回のみ。実績的には明らかに格上の2頭ではあるのだが、関西馬に割って入られる可能性は考慮しておいたほうがいいのかもしれない。
その候補となる関西馬としては、「前走宝塚記念で9着以内だった牡馬」という条件を満たすもう1頭の馬であるスティッフェリオだろう。そのほか、前走G1出走馬以外では前年・同年の芝2200m実績を重視し、18年AJCC2着のミッキースワロー、18年セントライト記念3着のグレイルの2頭を挙げておきたい。
ライタープロフィール
出川塁(でがわ るい)
1977年熊本県生まれ。上智大学文学部卒業後、出版社2社で競馬専門誌、競馬書籍の編集に携わり、2007年からフリーライターに。「競馬最強の法則」「サラブレ」「優駿」などへ寄稿するほか、出版社勤務時代を含めて制作に関わった競馬書籍は多数。馬券は単勝派だが、焼肉はタン塩派というわけではない。メインの競馬のほか、サッカーでも密かに活動中。