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第1344回 ハイペースは必至!? 北九州記念の狙い方は?

2019/8/15(木)

今週日曜日は重賞が2つ組まれている。注目度は豪華メンバーが揃う札幌記念の方が上かもしれない。だが、北九州記念も興味深いメンバーが揃っており、馬券的な楽しみはこちらも負けていないだろう。今回は過去10年の北九州記念を分析し、レースの傾向を探ってみたい。データ分析にはJRA-VAN DataLab.TARGET frontier JVを利用した。

■表1 北九州記念の好走馬(過去10年)

着順 馬名 人気 性別 年齢 斤量 前走レース名 前着 前人 前走上り
18年 1 アレスバローズ 6 6 56 CBC賞HG3 1 4 33.2
2 ダイメイプリンセス 4 5 55 アイビスG3 1 1 31.8
3 ラブカンプー 7 3 51 アイビスG3 2 2 32.2
17年 1 ダイアナヘイロー 3 4 53 佐世保S1600 1 2 34.1
2 ナリタスターワン 14 5 55 アイビスG3 9 12 32.3
3 ラインスピリット 15 6 56 アイビスG3 6 6 31.9
16年 1 バクシンテイオー 8 7 54 バーデンH 3 7 33.8
2 ベルカント 1 5 56 アイビスG3 1 1 31.7
3 オウノミチ 3 5 54 バーデンH 1 4 34.1
15年 1 ベルカント 2 4 55 アイビスG3 1 1 31.9
2 ビッグアーサー 1 4 55 水無月S1600 1 1 33.4
3 ベルルミエール 4 4 53 CBC賞HG3 4 5 35.0
14年 1 リトルゲルダ 8 5 53 アイビスG3 4 7 32.3
2 メイショウイザヨイ 13 5 52 佐世保S1600 1 7 35.0
3 カイシュウコロンボ 17 6 54 CBC賞HG3 11 16 34.0
13年 1 ツルマルレオン 6 5 55 バーデンH 8 3 35.8
2 ニンジャ 5 4 53 九州スポ1000 1 3 33.1
3 バーバラ 2 4 53 佐世保S1600 1 1 34.5
12年 1 スギノエンデバー 8 4 55 佐世保特1000 1 1 33.6
2 シゲルスダチ 12 3 52 NST賞 8 7 33.7
3 エピセアローム 6 3 52 優駿牝馬G1 16 12 38.6
11年 1 トウカイミステリー 8 5 52 ルミエー 7 2 32.6
2 エーシンリジル 2 4 53 船橋SH1600 1 1 33.8
3 エーシンヴァーゴウ 1 4 56 アイビスG3 1 1 31.8
10年 1 メリッサ 5 6 52 アイビスG3 18 1 34.0
2 スカイノダン 3 4 52 北九州短1600 2 1 33.5
3 サンダルフォン 6 7 56 CBC賞HG3 13 5 35.2
09年 1 サンダルフォン 8 6 54 米子SH 4 8 33.3
2 レディルージュ 2 3 50 ジュライ1600 2 1 34.2
3 カノヤザクラ 1 5 56 アイビスG3 1 3 34.0

表1には過去10年の北九州記念で3着以内に好走した馬を記した。馬券の配当は記載していないが、1番人気の勝利がなく、8番人気が5回も優勝している。二けた人気も複数回好走しており、波乱度が高いレースであることがうかがえるだろう。実際、3連単で100万円を超えた年が2回もある。

好走馬の性別は牡馬に比べて牝馬が若干多い程度。年齢は3歳から7歳まで幅広い。ハンデは56キロから50キロまでとなっており、軽量馬の好走例が多い。それに対して斤量の重い馬は苦戦している。牝馬で56キロを背負った馬が2頭好走しているが、いずれも1番人気で2着、3着という結果。人気よりも着順は悪かったのだ。そして、牡馬・セン馬は、57キロ以上を背負い好走した馬が1頭もいない。

前走レースはアイビスサマーダッシュやCBC賞組が多い。昨年はその両レースで好走していた馬が上位を独占した。にもかかわらず6→4→7番人気という組み合わせとなったのは、不思議とも言える。また、2着のダイメイプリンセスは、前走アイビスSDで上がり3ハロンがメンバー中2位という記録。3着のラブカンプーも同レースで上がり3位をマークしていた。この点に注目したい。

このように前走のレースで、上がり3ハロン3位以内だった馬(表内の黄色が1位、水色が2位、緑色が3位)を調べたところ、好走馬30頭中14頭が該当した。約半分でかなりの割合を占めている。今回の北九州記念でどれだけいい脚を使えるかはわからないが、とにかく前走で鋭い瞬発力を見せていた馬がよく好走しているのだ。基本的に逃げ・先行が有利の芝短距離戦で、これだけ差しが決まる傾向というのはめずらしいのではないか。

■表2 北九州記念のラップタイム(過去10年)

ラップタイム 前3F 後3F
18年 11.6-10.2-10.6-11.2-11.3-11.7 32.4 34.2
17年 11.7-10.0-11.1-11.5-11.2-12.0 32.8 34.7
16年 11.9-10.7-11.0-11.3-11.5-12.1 33.6 34.9
15年 11.7-10.2-10.8-11.2-11.9-11.5 32.7 34.6
14年 11.7-10.5-10.9-11.1-11.2-12.1 33.1 34.4
13年 11.6-10.0-10.6-11.1-11.5-11.9 32.2 34.5
12年 11.6-10.1-10.5-11.3-11.6-11.8 32.2 34.7
11年 11.8-10.0-10.6-11.1-11.4-12.3 32.4 34.8
10年 11.6-10.0-10.5-11.2-11.5-12.3 32.1 35.0
09年 11.8-10.3-10.6-11.3-11.4-12.1 32.7 34.8

表2では北九州記念のレースラップタイムを記載。注目するのは、個別のラップではなく、前半3ハロンと後半3ハロンの差だ。前半の方がペースは速く、後半の方が時計はかかっている。短距離戦においてはごく自然な数値ではあるのだが、すべての年で速い流れになっている。京都芝1200mなどでは前・後半3ハロンの差がほぼないこともめずらしくない。小倉芝1200mはコース形態上、ハイペースになりやすいこともあり、この北九州記念も毎年厳しい流れになっている。そのため、差し馬が台頭しやすいのだろう。

前走上がり3位以内ではないのに好走した馬は、単純に前走1着の馬が多い。昨年1着のアレスバローズ、16年3着のオウノミチ、15年1着のベルカントなどが該当する。前走重賞・OP特別を勝っていれば、逃げ・先行タイプでも全く構わない。

11年2着のエーシンリジルも前走1着だが、1600万(3勝)クラスの船橋Sを勝ったばかりの上がり馬だ。G3のハンデ戦らしく、昇級馬でも勝負にはなる。なかでも小倉の条件クラスを勝ってきた馬が好走するケースが圧倒的に多い。17年1着のダイアナヘイローや、12年1着のスギノエンデバーらが該当する。

あとは3歳馬に注目したい。前走レースや成績、上がりの脚とは無関係に好走馬を出している。特に12年2着のシゲルスダチや、同年3着のエピセアロームが特徴的。3歳春には無理してクラシックなどの長い距離を使っているケースがあり、距離短縮で一変してくる馬がいても不思議はない。

あとは、10年1着のメリッサや、10年3着のサンダルフォンのように、前走重賞で大敗してしまったが、上位人気に支持されていた馬の巻き返しもある。以上のようなパターンの馬をマークしておけば、好走馬の大部分を網羅することができるのではないだろうか。

【結論】
それでは今年の北九州記念を展望していくことにする。出走予定馬は表3の通りだ。

■表3 今年の北九州記念出走予定馬

馬名 性別 年齢 斤量 前走レース名 前着 前人 前走上り
アレスバローズ 7 57.5 CBC賞HG3 2 7 34.4
アンヴァル 4 54 バーデンH 2 1 35.2
イエローマリンバ 4 53 バーデンH 10 6 36.1
※エイシンデネブ 4 52 佐世保S・3勝 1 4 34.1
エントリーチケット 5 54 バーデンH 12 4 35.7
カラクレナイ 5 55 バーデンH 1 5 35.1
キングハート 6 56 春雷SH(L) 6 12 34.0
クインズサリナ 5 51 バーデンH 7 9 35.5
シャドウノエル 4 52 テレビユ・3勝 1 3 34.6
※タマモブリリアン 6 52 CBC賞HG3 13 13 35.9
ダイメイプリンセス 6 55 アイビスG3 6 2 32.7
ディープダイバー 3 53 葵S 4 3 33.5
ディアンドル 3 52 葵S 1 1 33.7
ナインテイルズ 8 55 アイビスG3 13 15 33.4
ファンタジスト 3 54 NHKマG1 13 6 34.6
ミラアイトーン 5 56.5 鞍馬S 1 1 33.0
メイショウケイメイ 3 50 CBC賞HG3 11 10 36.0
※メイソンジュニア 5 54 バーデンH 3 3 35.0
モズスーパーフレア 4 55 高松宮記G1 15 2 35.8
※ラインシュナイダー 7 55 バレンタ 10 14 36.5
ラインスピリット 8 56 アイビスG3 10 11 33.4
ラブカンプー 4 53 アイビスG3 18 12 34.7

フルゲートは18頭。※は除外対象(8/14午前時点)

2018/7/29 新潟11R アイビスサマーダッシュ(G3) 1着 15番 ダイメイプリンセス

まずは前走で上がり3ハロン3位以内だった馬をチェックする。除外対象(8/14午前現在)の馬を除くと、アレスバローズ、ダイメイプリンセス、ディープダイバー、ミラアイトーンの4頭が該当した。いずれも有力と目されそうな実力馬だが、このレース連覇を狙うアレスバローズはハンデが57.5キロ。牡馬でトップハンデを背負わされており、この点は割り引き材料と考えたい。昨年2着のダイメイプリンセスは牝馬で55キロだが、昨年と同じ斤量だ。前走アイビスSDは6着ながら2番人気には支持されていた。こちらは逆に2年連続で好走できる可能性が十分あると見たい。

2019/5/5 京都10R 橘ステークス 1着 7番 ディープダイバー

ミラアイトーンは4連勝中で、非常に楽しみな馬。ただし、ハンデ56.5キロがカギ。微妙な数字で評価は難しい。ディープダイバーは3歳牡馬でハンデは53キロと手ごろ。こちらの方が狙いやすいかもしれない。同じ3歳馬のディアンドルは、前走葵S1着で当然有力。ファンタジストは前走NHKマイルCで13着だが、昨年の小倉2歳S優勝馬。距離短縮で一変する可能性があると見たい。

あとは前走1着のカラクレナイやシャドウノエルも、一応の連下候補。モズスーパーフレアは実績上位。前走高松宮記念は15着と惨敗したが、巻き返しを警戒したい。

ライタープロフィール

小田原智大(おだわら ともひろ)

1975年6月、東京生まれ。早稲田大学商学部卒業後、業界紙記者を経て、(株)レイヤード入社。ライター&エディターとして活躍。JRA-VANデータの配信初期から、いち早くデータ競馬の有効性に着目する。05年5月より「競馬 最強の法則WEB」にて、障害戦を除く全重賞レースの傾向と対策、予想を展開。「オッズパーク ダートグレードデータ作戦」では、地方競馬の重賞の攻略にも取り組んでいる。仕事の関係でなかなか競馬場には行けなくなったが、年に1、2回行くローカル遠征が楽しみ。


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