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第1337回 前走函館で同条件を走った札幌出走馬を分析

2019/7/22(月)

今週末から夏競馬の後半戦にあたる新潟、小倉、札幌の開催が始まる。そのなかでも今回は札幌にスポットライトをあてたい。開催日程の関係上、札幌では前走函館の馬をしばしば見かける。距離設定もほぼ共通しているため「前走函館芝1200m→今走札幌芝1200m」といった馬も多く出走してくる。そこで今回は、このような「前走函館で同条件(芝・ダートと距離)を走っていた札幌出走馬」についてのデータを調べてみたい。集計期間は2014〜2018年の過去5年分。データの分析にはJRA-VAN DataLab.TARGET frontier JVを利用した。

■表1 コース別成績

コース 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回率 複回率
札幌芝1200m 35- 45- 44-375/499 7.0% 16.0% 24.8% 95% 95%
札幌芝1800m 16- 12- 15-116/159 10.1% 17.6% 27.0% 66% 62%
札幌芝2000m 9-  7- 15-142/173 5.2% 9.2% 17.9% 46% 66%
札幌芝2600m 7- 11-  5- 68/ 91 7.7% 19.8% 25.3% 92% 72%
札幌ダ1000m 18- 33- 27-189/267 6.7% 19.1% 29.2% 64% 95%
札幌ダ1700m 50- 44- 50-402/546 9.2% 17.2% 26.4% 92% 82%
札幌ダ2400m 3-  1-  2-  8/ 14 21.4% 28.6% 42.9% 400% 114%

表1はコース別成績で、それぞれのコースで函館の同条件に出走していた馬のみが集計対象となっている。施行数が多いコースのなかで好走率が高いのは芝1800mとダート1700m。ただし、芝1800mは単複の回収率が60%台にとどまり、人気になりがちな様子も見てとれるため、回収率的にはダート1700mのほうが狙いやすいとは言えそうだ。また、ダート1000mは複勝率が高く、堅実に3着以内に入ってくる。そのほか、レース数は少ないものの、芝2600mは5項目すべての数値が優秀で、前走函館2600mの馬が出てきたら狙ってみたい。明らかに苦戦傾向と言えるのが芝2000mで、このケースはすこし注意したほうがいいかもしれない。

■表2 クラス別成績

クラス 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回率 複回率
未勝利 57-  65-  65- 473/ 660 8.6% 18.5% 28.3% 85% 98%
1勝 36-  50-  57- 483/ 626 5.8% 13.7% 22.8% 66% 77%
2勝 29-  24-  26- 227/ 306 9.5% 17.3% 25.8% 112% 75%
3勝 0-   1-   1-  10/  12 0.0% 8.3% 16.7% 0% 39%
オープン特別 7-   8-   4-  40/  59 11.9% 25.4% 32.2% 58% 81%
G3 7-   4-   4-  49/  64 10.9% 17.2% 23.4% 127% 54%
G2 2-   1-   1-  18/  22 9.1% 13.6% 18.2% 168% 98%

2018/9/1 札幌11R 札幌2歳ステークス(G3)
1着 3番 ニシノデイジー

表2はクラス別成績。好走率、回収率ともにバランスがとれているのは2勝クラスで、前走函館同距離組ではもっとも狙いやすそうだ。その2勝クラスを上回る好走率を記録しているのがオープン特別。回収率を見る限り、人気にもなるようだが信頼度は高い。重賞のG2やG3は単勝回収率が高く、ダークホースにも要注意。実際、内容を確認すると5〜8番人気が勝ち切る例が多く、たとえば昨年の札幌2歳Sを制したニシノデイジーは函館芝1800mの未勝利戦を勝ち上がったあと、6番人気で重賞制覇を飾っている。

■表3 人気別成績

人気 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回率 複回率
1番人気 48-  26-  23-  60/ 157 30.6% 47.1% 61.8% 73% 77%
2番人気 21-  33-  21-  70/ 145 14.5% 37.2% 51.7% 65% 82%
3番人気 20-  17-  19- 103/ 159 12.6% 23.3% 35.2% 80% 65%
4番人気 7-  27-  21-  96/ 151 4.6% 22.5% 36.4% 36% 83%
5番人気 12-  17-  20- 106/ 155 7.7% 18.7% 31.6% 92% 92%
6番人気 12-   9-  13- 102/ 136 8.8% 15.4% 25.0% 139% 89%
7番人気 6-   8-  13- 121/ 148 4.1% 9.5% 18.2% 81% 81%
8番人気 3-   2-   6- 113/ 124 2.4% 4.0% 8.9% 59% 41%
9番人気 2-   5-   5- 117/ 129 1.6% 5.4% 9.3% 34% 56%
10番人気〜 7-   9-  17- 412/ 445 1.6% 3.6% 7.4% 115% 111%

表3は人気別成績。1番人気は水準を若干下回っており、2番人気も勝率が低め。3番人気こそまずまずの数値だが、4番人気は勝率が物足りず、全体として上位人気の成績はそれほどでもない。その一方で5〜7番人気の中穴級や10番人気以下の大穴ゾーンは回収率が高く、妙味ある数値を残している。函館→札幌で同条件を使うローテでは上位人気馬をあまり過信せず、穴馬を見落とさないことがポイントになりそうだ。

■表4 前走着順別成績

前走着順 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回率 複回率
前走1着 17-  16-  21- 110/ 164 10.4% 20.1% 32.9% 93% 81%
前走2着 34-  40-  28- 110/ 212 16.0% 34.9% 48.1% 56% 71%
前走3着 32-  26-  20- 111/ 189 16.9% 30.7% 41.3% 91% 79%
前走4着 13-  20-  22- 136/ 191 6.8% 17.3% 28.8% 44% 70%
前走5着 10-  15-  23- 120/ 168 6.0% 14.9% 28.6% 75% 85%
前走6〜9着 27-  32-  32- 450/ 541 5.0% 10.9% 16.8% 131% 93%
前走10着〜 5-   3-  11- 255/ 274 1.8% 2.9% 6.9% 40% 92%

表4は前走着順別成績。上から順に見ていくと、前走1着は水準以上の回収率を記録。原則として昇級戦になる前走1着だが、このローテでは即通用することも多い。一方、前走2着は回収率がもうひと息で、やや過剰人気の気配がある。むしろ、前走3着もさほど変わらない好走率を記録しており、回収率でも有利なこちらのほうが狙い目かもしれない。そして、見逃せないのが前走6〜9着の回収率の高さだ。前項で5〜7番人気や10番人気以下の回収率が高いことを述べたが、まさにこの前走6〜9着の馬たちが原動力となっている。前走函館の同条件で掲示板を外していたからといって、軽視しないように注意したい。

■表5 前走騎手別成績

前走騎手 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回率 複回率
継続騎乗 71- 87- 78-671/907 7.8% 17.4% 26.0% 88% 86%
乗り替わり 67- 66- 80-629/842 8.0% 15.8% 25.3% 80% 82%

表5は、前走から騎手が「継続騎乗」か「乗り替わり」かで成績を比較したもの。一般的には、前走と同じジョッキーがまたがる継続騎乗のほうが結果を出しやすいとされるが、この条件においては明確な差は見られず、わずかながら乗り替わりのほうが勝率は高いぐらい。前走函館の同距離という似た条件だけに、前走でも騎乗した経験が有利に働くのかと思いきや、データを見る限りではそれほどのアドバンテージにはなっていない。

■表6 出走間隔別成績

出走間隔 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回率 複回率
連闘 5-   4-   4-  20/  33 15.2% 27.3% 39.4% 137% 106%
中1週 29-  41-  33- 264/ 367 7.9% 19.1% 28.1% 62% 86%
中2週 45-  35-  51- 349/ 480 9.4% 16.7% 27.3% 82% 73%
中3週 19-  23-  24- 183/ 249 7.6% 16.9% 26.5% 97% 91%
中4週 16- 16- 14-143/189 8.5% 16.9% 24.3% 103% 75%
中5週 11- 12- 16-135/174 6.3% 13.2% 22.4% 122% 98%
中6週 9- 12-  6- 98/125 7.2% 16.8% 21.6% 90% 142%
中7週 1-  5-  4- 51/ 61 1.6% 9.8% 16.4% 47% 32%
中8週 1-  3-  3- 23/ 30 3.3% 13.3% 23.3% 19% 44%
中9週〜 2-  2-  3- 34/ 41 4.9% 9.8% 17.1% 24% 39%

表6は出走間隔別成績。明らかに成績がいいのは連闘で、函館最終週→札幌開幕週のローテで同条件を使ってきた馬がいたら積極的に狙ってみたい。また、複勝率ベースで見ると連闘に限らず、出走間隔が短いほうが好走率は高い傾向にある。ただし、回収率が高いのは中3週から中6週。穴を狙うのであれば、函館戦からすこし間隔をとって札幌に転戦してきた馬が狙い目となるようだ。

■表7 前走4角通過順別成績

前走4角 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回率 複回率
1番手 14-  18-  19- 115/ 166 8.4% 19.3% 30.7% 37% 66%
2番手 36-  24-  20- 154/ 234 15.4% 25.6% 34.2% 136% 74%
3〜4番手 35-  41-  33- 230/ 339 10.3% 22.4% 32.2% 62% 73%
5〜6番手 15-  34-  26- 225/ 300 5.0% 16.3% 25.0% 52% 70%
7〜9番手 23-  25-  36- 308/ 392 5.9% 12.2% 21.4% 94% 119%
10番手〜 15-  10-  23- 261/ 309 4.9% 8.1% 15.5% 115% 83%

表7は前走4角通過順別成績。意外にも前走4角1番手だった馬の成績がそれほどでもなく、特に回収率は低調な水準にとどまっている。函館同様、札幌も直線が短いだけに、前走で逃げていた馬は有利に思えるが、それゆえにかなり人気を集める部分があるようだ。好走率でいえば前走4角2番手や3番手だった馬のほうが高く、特にダートで前走4角2番手だった馬の成績は非常にいい。また、前走7〜9番手や前走10番手以降は好走率が下がるものの、回収率は高く、差し馬の激走に警戒しておきたい。

ライタープロフィール

出川塁(でがわ るい)

1977年熊本県生まれ。上智大学文学部卒業後、出版社2社で競馬専門誌、競馬書籍の編集に携わり、2007年からフリーライターに。「競馬最強の法則」「サラブレ」「優駿」などへ寄稿するほか、出版社勤務時代を含めて制作に関わった競馬書籍は多数。馬券は単勝派だが、焼肉はタン塩派というわけではない。メインの競馬のほか、サッカーでも密かに活動中。


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