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第1334回 波乱傾向が強い函館記念の狙い目は?

2019/7/11(木)

今週は函館競馬場でハンデ重賞の函館記念が行われる。1番人気馬が不振で、近4年は10番人気以下の人気薄が毎年1頭ずつ激走するなど波乱傾向が強いレースとして知られている。今回は函館記念をピックアップし、2014年以降・近5年のデータから狙い目を探っていきたい。なお、データの分析にはJRA-VAN DataLab.TARGET frontier JVを利用した。

■表1 函館記念 上位3着以内馬一覧(近5年)

年(馬場/頭数) 着順 馬名 勝ちタイム 人気 4角通過順 上がり3F 前半1000m通過
2018
(良/15頭)
1 エアアンセム 1分59秒8 5 3 34秒7 60秒3
2 サクラアンプルール 1/2馬身 7 5 34秒6
3 エテルナミノル 1/2馬身 13 2 35秒0
2017
(重/16頭)
1 ルミナスウォリアー 2分1秒2 5 3 35秒6 60秒6
2 タマモベストプレイ 1馬身1/2 14 3 36秒1
3 ヤマカツライデン アタマ 7 1 36秒4
2016
(稍重/16頭)
1 マイネルミラノ 1分59秒0 3 1 35秒5 60秒0
2 ケイティープライド 2馬身 13 4 35秒4
3 ツクバアズマオー 1馬身1/2 9 8 35秒3
2015
(良/16頭)
1 ダービーフィズ 1分59秒1 3 4 35秒5 58秒6
2 ハギノハイブリッド アタマ 10 3 35秒7
3 ヤマカツエース 3馬身1/2 7 2 36秒6
2014
(良/16頭)
1 ラブイズブーシェ 2分0秒1 2 3 36秒0 59秒6
2 ダークシャドウ 3/4馬身 8 7 36秒3
3 ステラウインド 1馬身1/2 7 7 36秒5

まず表1は近5年の3着以内馬一覧。勝ち時計は1分59秒0から2分1秒2とかなり開きはある。年によってペースや上がり3Fは異なるものの、上位馬の4角通過順はすべて8番手以内におさまっている。勝ち馬はすべて4番手以内で、先行していないと勝ち切るのは厳しく、後方からの追い込みが決まらないレースといえそうだ。

人気順では1番人気馬が【0.0.0.5】とすべて4着以下に敗れており、不振傾向。とはいえ、勝ち馬はすべて上位5番人気以内の馬だった。特徴的なのは2・3着馬で、近5年すべて7番人気以下と伏兵が好走している。近4年は10番人気以下が1頭ずつ激走しており、3連単で10万円を超える波乱が続いている。

■表2 函館記念 斤量別成績(近5年)

斤量 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単勝回収率 複勝回収率
51kg以下 0- 0- 0- 2/ 2 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%
52kg 0- 1- 0- 4/ 5 0.0% 20.0% 20.0% 0% 138%
53kg 0- 0- 1- 1/ 2 0.0% 0.0% 50.0% 0% 250%
54kg 1- 0- 2-14/17 5.9% 5.9% 17.6% 37% 132%
55kg 2- 0- 2- 9/13 15.4% 15.4% 30.8% 143% 140%
56kg 2- 1- 0-18/21 9.5% 14.3% 14.3% 69% 57%
56.5kg 0- 1- 0- 0/ 1 0.0% 100.0% 100.0% 0% 1530%
57kg 0- 0- 0-10/10 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%
57.5kg 0- 1- 0- 5/ 6 0.0% 16.7% 16.7% 0% 73%
58kg 0- 1- 0- 1/ 2 0.0% 50.0% 50.0% 0% 205%

表2は斤量別成績。勝ち馬5頭は54〜56kgの間におさまっているが、その中でも黄色で強調した55kgの馬は昨年のエアアンセムら2勝をあげ、複勝率30.8%と優秀だ。単勝回収率・複勝回収率ともに100%を大きく超えている。

近5年でトップハンデの馬は1着こそないものの、昨年のサクラアンプルールら2着2回。なお、57kgの馬はすべて馬券圏外に敗れている。

■表3 函館記念 前走レース別成績(近5年)

前走レース名 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単勝回収率 複勝回収率
エプソムC 2- 1- 0- 5/ 8 25.0% 37.5% 37.5% 212% 128%
目黒記念 2- 0- 0- 4/ 6 33.3% 33.3% 33.3% 225% 90%
金鯱賞 1- 0- 0- 0/ 1 100.0% 100.0% 100.0% 900% 330%
巴賞 0- 1- 1-22/24 0.0% 4.2% 8.3% 0% 49%
天皇賞春 0- 1- 1- 4/ 6 0.0% 16.7% 33.3% 0% 366%
新潟大賞典 0- 1- 0- 4/ 5 0.0% 20.0% 20.0% 0% 128%
日経賞 0- 1- 0- 2/ 3 0.0% 33.3% 33.3% 0% 146%
マーメイドS 0- 0- 1- 0/ 1 0.0% 0.0% 100.0% 0% 1560%
ジューンS 0- 0- 1- 0/ 1 0.0% 0.0% 100.0% 0% 420%
NHKマイルC 0- 0- 1- 0/ 1 0.0% 0.0% 100.0% 0% 500%
その他のレース 0- 0- 0-23/23 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%

表3は前走レース別成績。エプソムC組は昨年のエアアンセムら2勝をあげるも、今年は出走予定馬がいない。目黒記念組は14年ラブイズブーシェ、15年ダービーフィズと2勝をあげている

出走数が最も多い巴賞組は勝ち星がなく、16年2着ケイティープライド(前走6着)、3着ツクバアズマオー(前走3着)の2頭しか好走馬が出ていない。巴賞連対馬がのべ【0.0.0.7】で、函館記念に直結しないのもこのレースが難解である要因の一つだ。連対率・複勝率ともに低く、巴賞以外の組から狙っていった方が良いだろう。

■表4 函館記念 前走からの距離増減別成績(近5年)

距離 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単勝回収率 複勝回収率
同距離 1- 1- 2-17/21 4.8% 9.5% 19.0% 42% 140%
今回延長 2- 2- 2-36/42 4.8% 9.5% 14.3% 40% 64%
今回短縮 2- 2- 1-11/16 12.5% 25.0% 31.3% 84% 198%

表4は前走からの距離増減別成績。黄色で強調した今回短縮組は表3で示した目黒記念組が2勝をあげているほか、勝率・連対率・複勝率いずれもトップだ。昨年は2着サクラアンプルール(前走日経賞3着)が該当しており、16年を除いて毎年1頭は3着以内に入っている。

次いで複勝率が高いのが同距離組で、複勝回収率は100%を超えている。なお、今回延長組は複勝率が最も低く、複勝回収率も唯一100%を切っていた。

■表5 函館記念 前走からの斤量増減別成績(近5年)

斤量 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単勝回収率 複勝回収率
増減無し 3- 1- 0-27/31 9.7% 12.9% 12.9% 67% 47%
今回増 0- 1- 0- 5/ 6 0.0% 16.7% 16.7% 0% 73%
今回減 2- 3- 5-32/42 4.8% 11.9% 23.8% 44% 165%
今回1〜1.5kg減 2- 2- 2-10/16 12.5% 25.0% 37.5% 116% 290%
今回2〜2.5kg減 0- 0- 0-15/15 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%
今回3kg以上減 0- 1- 3- 4/ 8 0.0% 12.5% 50.0% 0% 285%

表5は前走からの斤量増減別成績。複勝率が最も高いのが今回斤量減となる馬で、複勝回収率も唯一100%を超えている。ただ、減量の幅によって成績に大きな違いがある点に注意。1〜1.5kg減もしくは3kg以上減の馬は複勝率が高く、好成績をあげている。対して、2〜2.5s減の馬はすべて馬券圏外に敗退している。ここまでハッキリと傾向が出ているのも珍しい。ハンデは事前にハンデキャッパーによって決められるものであり、今年もこの傾向に乗ってみるのも手だろう。

■表6 函館記念 7番人気以下で激走した馬の過去重賞実績(近5年)

年度 馬名 人気 着順 過去重賞実績
2018 サクラアンプルール 7 2 17札幌記念 1着
エテルナミノル 13 3 18愛知杯 1着
2017 タマモベストプレイ 14 2 13きさらぎ賞 1着
ヤマカツライデン 7 3 なし
2016 ケイティープライド 13 2 なし
ツクバアズマオー 9 3 なし
2015 ハギノハイブリッド 10 2 14京都新聞杯 1着
ヤマカツエース 7 3 15ニュージーランドT 1着
2014 ダークシャドウ 8 2 11毎日王冠・エプソムC  1着
ステラウインド 7 3 なし

表6は各年で2・3着に好走した7番人気以下の馬の過去重賞実績(勝ち鞍)。10頭中半数以上の6頭は過去に重賞で勝利した経験があった。近走では着順を落としているが過去には重賞を制している、という実績馬は狙い目といえるだろう。

<結論>

■表7 函館記念 今年の出走予定馬(7/10時点)

馬名 斤量(増減) 前走成績
アメリカズカップ 55(-1) 巴賞 7着
アーバンキッド 54(-2) 巴賞 6着
エアスピネル 58(+1) マイルCS 10着
カルヴァリオ 54(-2) 巴賞 14着
ゴールドギア 52(-5) 湾岸S(1600万下) 5着
スズカデヴィアス 57.5(-1.5) 巴賞 1着
ステイフーリッシュ 57.5(+1.5) 鳴尾記念 3着
ドレッドノータス 56(-1) 巴賞 5着
ナイトオブナイツ 56(-1) 巴賞 2着
ブラックバゴ 55(-1) 鳴尾記念 6着
ポポカテペトル 55(0) 目黒記念 12着
マイスタイル 56(-2) 巴賞 9着
マイネルサージュ 55(-3) 巴賞 11着
マイネルファンロン 54(-2) 巴賞 12着
メートルダール 57(0) 新潟大賞典 9着
レッドローゼス 56(+2) 福島民報杯 1着

※フルゲート16頭。除外対象馬なし。

2018/8/18 新潟11R 日本海ステークス 1着 4番 ポポカテペトル
 2018/7/7 函館10R 八雲特別 1着 1番 ゴールドギア

今年の函館記念の出走予定馬は表7のとおり。

実績からエアスピネルが1番人気に推されそうだが、昨秋のマイルCS10着以来となる。2000m戦も一昨年の札幌記念5着以来と久々で、買い材料に乏しい。実績は今回のメンバーでは抜けた存在ではあるが、そういった馬が敗れるのが函館記念の特徴ともいえる。

これまで挙げたデータから狙ってみたいのがポポカテペトルゴールドギアポポカテペトルは長期休養明けの前走目黒記念では12着と敗れたものの、先行した同馬には厳しい流れだった。今回距離短縮は好材料で、一度使った上積みはかなり大きいだろう。大敗後でも狙ってみる価値は十分にある。

ゴールドギアは前走から5キロ減と表5で示した好成績ゾーンに入っている。まだ準オープンクラスの身ではあるが、昨夏の函館で行われた500万下・八雲特別を快勝。続く札幌のHTB賞では今回出走予定のレッドローゼスの2着に入っており、洋芝適性は高い。同馬の母ギンザボナンザは洋芝を得意としていた馬で、適性も受け継いでいるのだろう。52kgなら上位に食い込んでもおかしくない。

あとは雨で馬場が渋った場合のアメリカズカップ。前走からマイナス1キロは好材料で、過去にきさらぎ賞を制している重賞実績馬だ。先週の七夕賞で2着と好走したクレッシェンドラヴに前走福島民報杯で勝利しているレッドローゼスも、能力を発揮できれば上位争いに加わりそうだ。

ライタープロフィール

ケンタロウ(けんたろう)

1978年6月、鹿児島県生まれ。早稲田大学社会科学部卒業。初めて買った馬券が大当たりし、それから競馬にのめり込むように。データでは、開催日の馬場やコース適性に注目している。好きなタイプは逃げか追い込み。馬券は1着にこだわった単勝、馬単派。料理研究家ではない。


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