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第1333回 若手で注目の西村淳也騎手、横山武史騎手を分析する

2019/7/8(月)

夏競馬に入り、2歳戦もレース数が増えてくる時期ではあるが、今回は若駒ではなく、まだキャリアが短い若手ジョッキーを取り上げたい。6月終了時点で30勝とリーディング20位につけている関西の西村淳也騎手(19歳)、同22位の横山武史騎手(20歳)の二人に注目し、今年前半の活躍をデータで分析してみる。なお、データの分析にはJRA-VAN DataLab.TARGET frontier JVを利用した。

■表1 西村淳也騎手の芝・ダート距離別成績(2019年、6/30終了時点)

芝距離 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単勝回収率 複勝回収率
1000m 1- 1- 0- 3/ 5 20.0% 40.0% 40.0% 84% 92%
1200m 6- 6- 2-32/46 13.0% 26.1% 30.4% 85% 140%
1400m 0- 1- 0-11/12 0.0% 8.3% 8.3% 0% 15%
1600m 2- 1- 3-11/17 11.8% 17.6% 35.3% 144% 143%
1800m 0- 2- 0-23/25 0.0% 8.0% 8.0% 0% 14%
2000m 2- 1- 7-24/34 5.9% 8.8% 29.4% 31% 197%
2200m 1- 0- 0- 7/ 8 12.5% 12.5% 12.5% 450% 83%
2400m 0- 0- 0- 4/ 4 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%
2600m 2- 0- 0- 4/ 6 33.3% 33.3% 33.3% 200% 78%
ダート距離 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単勝回収率 複勝回収率
1000m 1-  2-  3-  4/ 10 10.0% 30.0% 60.0% 164% 132%
1150m 0-  1-  0-  9/ 10 0.0% 10.0% 10.0% 0% 24%
1200m 3-  5-  5- 30/ 43 7.0% 18.6% 30.2% 53% 77%
1300m 0-  0-  0-  1/  1 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%
1400m 2-  2-  2- 22/ 28 7.1% 14.3% 21.4% 74% 79%
1700m 4-  4-  5- 24/ 37 10.8% 21.6% 35.1% 46% 61%
1800m 5-  2- 10- 53/ 70 7.1% 10.0% 24.3% 71% 72%
1900m 0-  1-  1-  9/ 11 0.0% 9.1% 18.2% 0% 46%
2000m 1-  1-  0-  3/  5 20.0% 40.0% 40.0% 270% 106%
2400m 0-  1-  0-  0/  1 0.0% 100.0% 100.0% 0% 330%

まず表1は西村淳也騎手の芝・ダート距離別成績。西村騎手はデビュー2年目で、栗東・田所秀孝厩舎所属の19歳。昨年は13勝にとどまったが、今年は6月終了時点で30勝と勝ち星を伸ばしている。

全30勝のうち、最多の6勝をあげているのが芝1200m戦。連対率26.1%・複勝率30.4%と高く、複勝回収率も140%と優秀だ。また、芝1600m戦では2勝をあげ、複勝率35.3%。2勝は6・7番人気馬であげたもので、単勝回収率・複勝回収率ともに100%を超えている。他にも芝2000m戦で複勝率・複勝回収率ともに高い数値をマークしている。対して、芝1400m戦、芝1800m戦では勝ち星がなく、複勝率も低かった。1200m・1600m・2000mといった「芝短距離〜中距離の根幹距離」で買いのジョッキーといえるだろう。

ダートでは1000m戦で複勝率60%と非常に高い数値を残している。ダート1000m戦はすべて小倉での成績で、今夏も注目しておきたい。

■表2 西村淳也騎手の競馬場別成績(2019年、6/30終了時点)

場所 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単勝回収率 複勝回収率
函館 1-  0-  0-  7/  8 12.5% 12.5% 12.5% 65% 23%
福島 5-  6-  5- 35/ 51 9.8% 21.6% 31.4% 70% 97%
新潟 5-  4-  6- 41/ 56 8.9% 16.1% 26.8% 68% 70%
東京 0-  0-  0-  3/  3 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%
中京 7-  8- 13- 69/ 97 7.2% 15.5% 28.9% 93% 93%
京都 1-  0-  1- 27/ 29 3.4% 3.4% 6.9% 57% 31%
阪神 4-  5-  8- 47/ 64 6.3% 14.1% 26.6% 65% 117%
小倉 7-  8-  5- 45/ 65 10.8% 23.1% 30.8% 59% 107%

表2は西村騎手の競馬場別成績。黄色で強調した福島、小倉で複勝率が30%以上と高い。小倉では複勝回収率が100%を超えている。3場開催時はローカルで騎乗することが多く、小倉や福島では騎乗馬の質が向上するためだろう。騎乗数が最も多い中京で勝利数が増えてくると、もっと注目度は上がるはずだ。なお、京都では1勝のみと少なく、主場で騎乗した際にいかにアピールできるかが今後の課題となってきそうだ。

■表3 西村淳也騎手の芝レースでの距離増減別成績(2019年、6/30終了時点)

前走距離 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単勝回収率 複勝回収率
同距離 5-  5-  6- 41/ 57 8.8% 17.5% 28.1% 105% 148%
今回延長 2-  1-  3- 45/ 51 3.9% 5.9% 11.8% 19% 54%
今回短縮 6-  3-  3- 28/ 40 15.0% 22.5% 30.0% 116% 103%

2019/4/7 福島12R 喜多方特別 1着 7番 ラニカイサンデー

表3は西村騎手の芝レースにおける、前走からの距離増減別成績。今回短縮で最多の6勝をあげており、勝率・連対率・複勝率ともに最も高い。4月の福島芝1200m、500万下・喜多方特別では7番人気のラニカイサンデーで勝利。同馬は前走芝1600mからの短縮だった。他にも米子Sでは11頭立ての最低人気だったシャイニービーム(前走1800m)を3着に好走させるなど「芝での距離短縮」が得意な騎手といえる。

また、前走と同距離でも複勝率28.1%と高く、複勝回収率は148%と優秀だ。だが前走から延長となると勝率・連対率・複勝率ともに低い。西村騎手のこの夏の注目ポイントとしては、小倉芝1200m戦で前走と同距離もしくは距離短縮の馬に乗る場合。このケースでは積極的に狙っていきたい。

■表4 横山武史騎手の芝・ダート距離別成績(2019年、6/30終了時点)

芝距離 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単勝回収率 複勝回収率
1000m 0-  0-  0-  4/  4 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%
1200m 5-  5-  0- 33/ 43 11.6% 23.3% 23.3% 348% 93%
1400m 0-  2-  1- 10/ 13 0.0% 15.4% 23.1% 0% 142%
1600m 1-  0-  2- 16/ 19 5.3% 5.3% 15.8% 29% 229%
1800m 1-  5-  1- 23/ 30 3.3% 20.0% 23.3% 35% 86%
2000m 6-  5-  2- 29/ 42 14.3% 26.2% 31.0% 130% 57%
2200m 0-  1-  0-  4/  5 0.0% 20.0% 20.0% 0% 46%
2400m 0-  0-  1-  5/  6 0.0% 0.0% 16.7% 0% 20%
2600m 1-  1-  0-  6/  8 12.5% 25.0% 25.0% 41% 60%
ダート距離 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単勝回収率 複勝回収率
1000m 3-  0-  1-  8/ 12 25.0% 25.0% 33.3% 185% 62%
1150m 1-  0-  0-  7/  8 12.5% 12.5% 12.5% 47% 20%
1200m 5-  3-  2- 29/ 39 12.8% 20.5% 25.6% 79% 72%
1300m 0-  0-  0-  4/  4 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%
1400m 0-  0-  2- 21/ 23 0.0% 0.0% 8.7% 0% 52%
1600m 1-  1-  1- 11/ 14 7.1% 14.3% 21.4% 15% 115%
1700m 3-  3-  6- 24/ 36 8.3% 16.7% 33.3% 40% 80%
1800m 2-  5-  4- 33/ 44 4.5% 15.9% 25.0% 69% 63%
1900m 0-  0-  1-  6/  7 0.0% 0.0% 14.3% 0% 70%
2100m 0-  0-  1-  4/  5 0.0% 0.0% 20.0% 0% 50%

2019/6/29 函館11R TVh杯 1着 15番 パラダイスガーデン

続いて表4は横山武史騎手の芝・ダート距離別成績。横山武史騎手は美浦・鈴木伸尋厩舎所属で、現在3年目の20歳。今年は1回小倉、1回新潟の開催リーディングを獲得し、日本ダービーでは父・横山典弘騎手のお手馬だったリオンリオンに騎乗(結果15着)するなど売り出し中だ。先日は函館芝1200mの1600万下・TVh杯で14番人気パラダイスガーデンに騎乗して、豪快に差し切り勝ちを決めるなど、注目度は確実に上がっている。

全29勝中6勝と最も勝ち星が多いのは芝2000m戦。ただ、連対率26.2%・複勝率31.0%をマークしているものの、複勝回収率はそれほど高くない。芝1200m戦はパラダイスガーデンの1勝が大きく、単勝回収率が跳ね上がっている。

芝・ダートの比較では、芝が【14.19.7.130】で連対率19.4%・複勝率23.5%、単勝回収率132%・複勝回収率94%。一方、ダートは【15.12.18.147】で連対率14.1%・複勝率23.4%、単勝回収率54%・複勝回収率67%となっている。現時点では芝での騎乗の方が期待値的に高い騎手といえるだろう。

■表5 横山武史騎手騎手の競馬場別成績(2019年、6/30終了時点)

場所 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単勝回収値 複勝回収値
函館 4-  7-  3- 27/ 41 9.8% 26.8% 34.1% 329% 104%
福島 3-  6-  1- 32/ 42 7.1% 21.4% 23.8% 27% 60%
新潟 7-  7-  5- 43/ 62 11.3% 22.6% 30.6% 105% 90%
東京 1-  1-  4- 46/ 52 1.9% 3.8% 11.5% 4% 116%
中山 1-  3-  0- 27/ 31 3.2% 12.9% 12.9% 15% 56%
中京 3-  2-  8- 62/ 75 4.0% 6.7% 17.3% 18% 52%
阪神 0-  0-  0-  3/  3 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%
小倉 10-  5-  4- 37/ 56 17.9% 26.8% 33.9% 171% 86%

表5は横山騎手の競馬場別成績。最多の10勝をあげているのが小倉で、連対率26.8%・複勝率33.9%と優秀だ。現在騎乗中の函館では、複勝率で小倉を上回っており、単勝回収率・複勝回収率ともに100%を超えている。新潟でも7勝をあげ、複勝率は30%オーバーと高い。西村騎手同様にローカルでの活躍が目立つが、今後は東京や中山といった関東主場でも勝ち星を伸ばしていきたいところだ。

■表6 横山武史騎手へ乗り替わった馬の前走着順別成績(2019年、6/30終了時点)

前走着順 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単勝回収率 複勝回収率
前走1着 0-  1-  0- 10/ 11 0.0% 9.1% 9.1% 0% 24%
前走2着 4-  2-  1-  3/ 10 40.0% 60.0% 70.0% 89% 118%
前走3着 2-  4-  3-  6/ 15 13.3% 40.0% 60.0% 54% 90%
前走4着 1-  3-  2- 15/ 21 4.8% 19.0% 28.6% 24% 100%
前走5着 3-  0-  2- 11/ 16 18.8% 18.8% 31.3% 96% 61%
前走6〜9着 7-  7-  6- 54/ 74 9.5% 18.9% 27.0% 269% 102%
前走10着以下 3-  4-  5- 92/104 2.9% 6.7% 11.5% 43% 101%

最後に表6は横山騎手へ乗り替わった馬の前走着順別成績。乗り替わり時は【20.21.19.191】で連対率16.3%・複勝率23.9%。前走から継続騎乗の方が率は高いのだが、乗り替わった際の方が単勝回収率112%・複勝回収率95%と期待値は高くなっている

表の黄色で強調したように前走2着馬は連対率60%・複勝率70%と高い。また、前走6着以下に敗れている馬で複勝回収率100%を超えているように、前走からの一変があるのが横山武史騎手の大きな魅力だろう。この夏の注目ポイントは函館・札幌の芝のレースで、前走着外の馬を馬券圏内にもってくる大胆な騎乗に期待したい

ライタープロフィール

ケンタロウ(けんたろう)

1978年6月、鹿児島県生まれ。早稲田大学社会科学部卒業。初めて買った馬券が大当たりし、それから競馬にのめり込むように。データでは、開催日の馬場やコース適性に注目している。好きなタイプは逃げか追い込み。馬券は1着にこだわった単勝、馬単派。料理研究家ではない。


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