データde出〜た
第1332回 人気馬の取捨が大きなカギを握るプロキオンS
2019/7/4(木)
中京のダート1400mでは今年で8回目となるプロキオンS。この条件1回目の2012年こそ単勝万馬券の大波乱になったが、以降は馬連で3000円を切る落ち着いた結果が続いている。それだけに、人気馬の中から「買い」の馬を少数に絞ったり、軸をしっかりと決めたり、といった対応が必要だ。果たして信頼できる人気馬とはどんなタイプなのか、過去の傾向を分析したい。データの分析にはJRA-VAN DataLab.とTARGET frontier JV、馬天楼 for データde出〜たを利用し、集計対象は2012年以降の7回とした。
■表1 人気別成績
人気 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単回収 | 複回収 |
1 | 2-2-2-1/7 | 28.6% | 57.1% | 85.7% | 74% | 125% |
2 | 1-2-2-2/7 | 14.3% | 42.9% | 71.4% | 84% | 120% |
3 | 0-1-0-6/7 | 0.0% | 14.3% | 14.3% | 0% | 21% |
4 | 1-1-0-5/7 | 14.3% | 28.6% | 28.6% | 95% | 58% |
5 | 2-1-0-4/7 | 28.6% | 42.9% | 42.9% | 211% | 98% |
6 | 0-0-1-6/7 | 0.0% | 0.0% | 14.3% | 0% | 37% |
7 | 0-0-0-7/7 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0% | 0% |
8 | 0-0-1-6/7 | 0.0% | 0.0% | 14.3% | 0% | 58% |
9 | 0-0-0-7/7 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0% | 0% |
10〜 | 1-0-1-43/45 | 2.2% | 2.2% | 4.4% | 264% | 50% |
参考:単10倍未満 | 6-7-4-18/35 | 17.1% | 37.1% | 48.6% | 93% | 84% |
参考:単10倍以上 | 1-0-3-69/73 | 1.4% | 1.4% | 5.5% | 163% | 40% |
過去7年、1番人気が複勝率85.7%、2番人気が同71.4%を記録するなど、上位人気馬が好成績をマーク。連対馬14頭中13頭は5番人気以内から出ており、例外は2012年に12番人気で逃げ切り勝ちを収め、単勝1万1920円を記録したトシキャンディのみである。3着馬も4頭は1〜2番人気のため、人気順で5番人気以内、単勝オッズなら10倍を切ってくる馬を中心に考えたい。
■表2 前走人気・着順別成績(前走出走取消馬除く、前走人気は海外出走馬も除く)
前走 | 本競走5番人気以内 | 本競走6番人気以下 | |||||||
着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | ||
人気 | 1 | 3-5-2-6/16 | 18.8% | 50.0% | 62.5% | 0-0-0-11/11 | 0.0% | 0.0% | 0.0% |
2 | 2-1-0-1/4 | 50.0% | 75.0% | 75.0% | 0-0-2-3/5 | 0.0% | 0.0% | 40.0% | |
3 | 1-0-1-3/5 | 20.0% | 20.0% | 40.0% | 0-0-0-10/10 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | |
4 | 0-0-0-1/1 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0-0-0-8/8 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | |
5 | 0-0-1-2/3 | 0.0% | 0.0% | 33.3% | 0-0-0-4/4 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | |
6〜9 | 0-0-0-3/3 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 1-0-1-19/21 | 4.8% | 4.8% | 9.5% | |
10〜 | 0-0-0-2/2 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0-0-0-13/13 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | |
着順 | 1 | 2-3-4-7/16 | 12.5% | 31.3% | 56.3% | 0-0-0-17/17 | 0.0% | 0.0% | 0.0% |
2 | 4-1-0-4/9 | 44.4% | 55.6% | 55.6% | 0-0-0-5/5 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | |
3 | 0-2-0-1/3 | 0.0% | 66.7% | 66.7% | 0-0-0-6/6 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | |
4 | 0-0-0-1/1 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0-0-1-8/9 | 0.0% | 0.0% | 11.1% | |
5 | 0-1-0-1/2 | 0.0% | 50.0% | 50.0% | 0-0-0-6/6 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | |
6〜9 | 0-0-0-3/3 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 1-0-0-13/14 | 7.1% | 7.1% | 7.1% | |
10〜 | 0-0-0-1/1 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0-0-2-13/15 | 0.0% | 0.0% | 13.3% |
表2は、前走人気・前走着順別成績を、本競走で5番人気以内に支持された馬(左半分)と、6番人気以下だった馬(右半分)に分けて調べたものである。左側、本競走5番人気以内の好走馬から見ると、前走で4番人気以下だったのは、昨年3着のウインムート(前走天保山S4番人気1着)1頭のみ。そして前走で4着以下だったのは、一昨年2着のカフジテイク(前走ゴドルフィンマイル5着)1頭だけしかいない。まず「買える人気馬(5番人気以内)」としては、「前走3番人気以内かつ3着以内」という条件がひとつ挙げられる。
■表3 前走距離別成績(本競走1〜5番人気馬)
前走 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単回収 | 複回収 | 5番人気以内支持率 | |
ダート | 1200m | 2-1-1-0/4 | 50.0% | 75.0% | 100.0% | 277% | 172% | 4/16頭 25.0% |
1400m | 2-3-2-12/19 | 10.5% | 26.3% | 36.8% | 67% | 65% | 19/57頭 33.3% | |
1600m | 2-3-1-3/9 | 22.2% | 55.6% | 66.7% | 95% | 114% | 9/24頭 37.5% | |
1800m | 0-0-0-1/1 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0% | 0% | 1/3頭 33.3% | |
芝 | 全 | 0-0-0-2/2 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0% | 0% | 2/6頭 33.3% |
本競走の5番人気以内馬にかぎった前走距離別成績を見ると、ダート1200m戦出走馬が【2.1.1.0】でなんと複勝率100%を記録している。この「前走ダート1200m戦出走馬」は他の距離に比べ人気にはなりづらい中、それでも5番人気以内に推される馬が出てくれば、かなり信頼性は高いと考えたい。これに次いで前走ダート1600m戦出走馬も好成績を残すが、今年はこの組から5番人気以内に入る馬はなさそうだ。
■表4 前走ダート1400m戦出走、本競走1〜5番人気の好走馬
年 | 馬名 | 斤量 | 人気 | 着順 | 前走 | 斤量 | 人気 | 着順 |
13 | アドマイヤロイヤル | 56 | 2 | 1 | 欅S | 56 | 2 | 1 |
セイクリムズン | 57 | 5 | 2 | さきたま杯(Jpn2) | 57 | 1 | 2 | |
14 | キョウワダッフィー | 56 | 2 | 2 | 栗東S | 57 | 1 | 1 |
15 | コーリンベリー | 55 | 2 | 2 | かきつばた記念(Jpn3) | 52 | 1 | 1 |
16 | キングズガード | 56 | 2 | 3 | 栗東S | 55 | 1 | 1 |
17 | キングズガード | 56 | 5 | 1 | 天保山S | 58 | 3 | 2 |
18 | ウインムート | 56 | 2 | 3 | 天保山S | 58 | 5 | 1 |
一方、前走も同距離のダート1400m戦に出走していた馬は、同じ「本競走5番人気以内」でも信頼性はやや低くなる。好走馬は表4に挙げた7頭で、前走はオープン特別か地方競馬の交流重賞。うち5頭は前走で1着だった。残る2頭のうち、セイクリムズンは本競走より格上になる「Jpn2」のさきたま杯で2着。そしてキングズガード(2017年)は、本競走より2キロ重い58キロを背負っての2着だった。いずれにしても、前走ダート1400m組の人気馬は、表2で挙げた「前走3着以内」ではなく「前走2着以内」が必要で、できれば1着を取っているのが理想だ。
■表5 前走馬体重別成績(本競走1〜5番人気馬、前走海外除く)
前走馬体重 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単回収 | 複回収 |
〜459kg | 1-0-1-0/2 | 50.0% | 50.0% | 100.0% | 350% | 150% |
460〜479kg | 0-1-0-5/6 | 0.0% | 16.7% | 16.7% | 0% | 26% |
480〜499kg | 0-1-1-9/11 | 0.0% | 9.1% | 18.2% | 0% | 29% |
500kg〜 | 5-4-2-4/15 | 33.3% | 60.0% | 73.3% | 170% | 136% |
本競走5番人気以内の馬で、もうひとつはっきりした傾向が出ているのが、前走の馬体重別成績だ。前走時500キロ以上だった大型馬は連対率60.0%、複勝率73.3%を記録するのに対し、460〜479キロや480〜499キロは複勝率10%台後半と、かなり大きな差がついているので注意したい。なお、460キロ未満の好走2回は、いずれもキングズガードによるものである(2016年3着、2017年1着)。
■表6 本競走6番人気以下の好走馬
年 | 馬名 | 性齢 | 人気 | 着順 | 前走 | 距離 | 人気 | 着順 | ダート1400m実績 |
12 | トシキャンディ | 牝6 | 12 | 1 | 京葉S | ダ12 | 6 | 6 | 中央未経験(佐賀6-1-0-1 ) |
14 | ガンジス | 牡5 | 10 | 3 | すばるS | ダ14 | 2 | 10 | 根岸S2着、サマーCh2着 |
15 | キョウワダッフィー | 牡7 | 8 | 3 | 天保山S | ダ14 | 2 | 4 | 前年本競走2着 |
17 | ブライトライン | 牡8 | 6 | 3 | アハルテケS | ダ16 | 7 | 10 | 前年本競走4着、3走前59キロ2着 |
最後に、本競走6番人気以下で好走した4頭も見ておきたい。この4頭に共通するのは、前走のオープン特別(ダート)でひと桁人気に推され、馬券圏外に敗退していたこと。また、ダート1400mの重賞で連対実績があるなど、この距離で穴なら狙ってみたいと思わせるような、なにか材料のある馬を探りたい。
【結論】
今年は人気順がやや読みづらいメンバー構成になったが、上位人気必至で、なおかつ各条件をすんなりクリアしてくるのは、昨年の本競走で4馬身差の圧勝を飾っているマテラスカイだ。今年はドバイゴールデンシャヒーンからの参戦になるが、一昨年にはカフジテイクが同じく前走海外(ゴドルフィンマイル5着)から2着に好走した例もあり、臨戦過程を不安視する必要はないだろう。前走ダート1200m(表3)で2着(表2)という好材料を素直に評価したい。
その他の候補は前走ダート1400m戦出走馬。あくまで「当日5番人気以内なら」という条件つきになるが、オープン特別か地方交流重賞を500キロ以上・3番人気以内で勝ってきた馬(表4、5)はまずアルクトス。そしてサクセスエナジー(前走528キロ)は前走2着だが、さきたま杯(Jpn2)なら問題ない(表4)。これに次いで、前走1着でも500キロを割っていたヴェンジェンス、そして前走1着でも4番人気だったウインムートあたりが候補になる。
また、前走オープン特別馬券圏外の穴候補(表6)としては、ダート1400mで5勝をマークしているアディラート、中京ダート1400m1戦1勝のアードラーを挙げておきたい。
ライタープロフィール
浅田知広(あさだ ともひろ)
1970年12月、埼玉県生まれ。立命館大学文学部中退後、夕刊紙レース部のアルバイト、競馬データベース会社を経て、現在はフリー。パソコンが広く普及する以前から、パソコン通信でデータ手入力方式の競馬予想ソフトを公開するなど、競馬のみならずPCやネットワークにも精通。その知識を活かし、Webや雑誌で競馬ライターとして活躍するかたわら、ネットワークの専門誌にも連載を持つ。