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第1329回 「夏の中京」をデータから分析する

2019/6/24(月)

カレンダー上では3回東京・3回阪神から夏開催に突入済み。とはいえ、宝塚記念が終わり、関東は福島、関西は中京に主場が移る今週末から夏本番と感じるファンの方も少なくはないだろう。そこで今回は「夏の中京」に着目したデータを分析してみたい。集計期間は過去3年で、芝とダートを分けて傾向を調べていく。データの分析にはJRA-VAN DataLab.TARGET frontier JVを利用した。

■表1 芝・人気別成績

人気 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回率 複回率
1番人気 48-  25-  18-  65/ 156 30.8% 46.8% 58.3% 72% 73%
2番人気 37-  29-  24-  66/ 156 23.7% 42.3% 57.7% 96% 96%
3番人気 19-  23-  29-  85/ 156 12.2% 26.9% 45.5% 74% 92%
4番人気 18-  17-  23-  98/ 156 11.5% 22.4% 37.2% 101% 90%
5番人気 8-  15-  13- 120/ 156 5.1% 14.7% 23.1% 55% 66%
6番人気 11-   8-  15- 122/ 156 7.1% 12.2% 21.8% 128% 81%
7番人気 5-  12-   7- 131/ 155 3.2% 11.0% 15.5% 61% 78%
8番人気 5-  10-  12- 125/ 152 3.3% 9.9% 17.8% 96% 128%
9番人気 3-   5-   5- 133/ 146 2.1% 5.5% 8.9% 102% 63%
10番人気〜 2-  12-  10- 716/ 740 0.3% 1.9% 3.2% 14% 39%

表1〜4では芝に関するデータを確認していく。表1は芝の人気別成績。1番人気の数値は標準レベルで決して悪くはないが、それ以上に目立つのは2〜4番人気の好調ぶりだ。特に2番人気の連対率や複勝率は1番人気に迫るほどで、4番人気も勝率11.5%、単勝回収率101%と好調。3番人気も複勝率45.5%、複勝回収率92%だから、夏の中京芝では2〜4番人気が総じて狙い目と言える。また、6番人気、8番人気も優秀で、偶然とは思われるが、偶数のひとケタ人気が好成績を収めている。一方、10番人気以下の好走率は、この人気帯としても厳しい水準にとどまっており、極端な穴は狙いづらいようだ。

■表2 芝・前走競馬場別成績

前走競馬場 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回率 複回率
札幌 0-   0-   0-   0/   0          
函館 0-   0-   0-   4/   4 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%
福島 4-   2-   0-  34/  40 10.0% 15.0% 15.0% 120% 81%
新潟 5-   3-   7-  63/  78 6.4% 10.3% 19.2% 62% 50%
東京 13-  17-  20- 103/ 153 8.5% 19.6% 32.7% 44% 80%
中山 1-   0-   3-  22/  26 3.8% 3.8% 15.4% 25% 164%
中京 16-  23-  18- 213/ 270 5.9% 14.4% 21.1% 55% 61%
京都 28-  18-  18- 270/ 334 8.4% 13.8% 19.2% 91% 76%
阪神 53-  58-  55- 573/ 739 7.2% 15.0% 22.5% 56% 70%
小倉 2-   2-   1-  24/  29 6.9% 13.8% 17.2% 24% 46%
地方 1-   0-   0-  35/  36 2.8% 2.8% 2.8% 23% 8%
海外 0-   0-   1-   0/   1 0.0% 0.0% 100.0% 0% 190%

表2は芝の前走競馬場別成績。出走例が多いのは同じく関西圏の阪神、京都、中京で、このなかで勝率が高いのは前走京都。単勝回収率91%も優秀だ。ただし、連対率と複勝率は前走阪神もしくは中京のほうが高く、軸馬としてはこちらのほうが安定している。また、前走関東圏も侮れず、出走例がそこそこある前走東京は複勝率32.7%でなかなかの狙い目となる。前走福島は出走例こそ少ないものの、勝率10.0%、単勝回収率120%と勝ち切るケースに注意したい。

■表3 芝・騎手別成績

騎手 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回率 複回率
着別度数 福永祐一 34- 24- 10- 65/133 25.6% 43.6% 51.1% 101% 80%
M.デムーロ 30- 14- 18- 52/114 26.3% 38.6% 54.4% 109% 98%
川田将雅 13- 13-  8- 49/ 83 15.7% 31.3% 41.0% 72% 81%
和田竜二 11-  8- 16-103/138 8.0% 13.8% 25.4% 56% 64%
松若風馬 8-  4-  9- 76/ 97 8.2% 12.4% 21.6% 56% 103%
単勝回収率 中谷雄太 2-  1-  0- 28/ 31 6.5% 9.7% 9.7% 263% 72%
川又賢治 4-  2-  1- 40/ 47 8.5% 12.8% 14.9% 128% 65%
森裕太朗 1-  1-  0- 44/ 46 2.2% 4.3% 4.3% 122% 99%
秋山真一郎 3-  5-  2- 50/ 60 5.0% 13.3% 16.7% 117% 55%
M.デムーロ 30- 14- 18- 52/114 26.3% 38.6% 54.4% 109% 98%

※単勝回収率順は騎乗30回以上

表3は芝の騎手別成績で、上半分は着別度数順、下半分は単勝回収率順(騎乗30回以上)を示している。着別度数順で傑出した成績を残しているのが1位の福永祐一騎手と2位のM・デムーロ騎手のふたり。回収率も高く、夏の中京の芝では価値の高い存在と言えそうだ。一方の単勝回収率順では、好走率も比較的高い川又賢治騎手秋山真一郎騎手を穴ジョッキーとして挙げておきたい。

■表4 芝・種牡馬別成績

種牡馬 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回率 複回率
着別度数 ディープインパクト 20- 24- 19-101/164 12.2% 26.8% 38.4% 58% 77%
ステイゴールド 14- 10-  9- 68/101 13.9% 23.8% 32.7% 177% 100%
ダイワメジャー 13-  8- 12- 61/ 94 13.8% 22.3% 35.1% 66% 89%
ハーツクライ 9-  8-  9- 71/ 97 9.3% 17.5% 26.8% 119% 67%
ヴィクトワールピサ 7-  3-  3- 34/ 47 14.9% 21.3% 27.7% 102% 63%
単勝回収率 ディープブリランテ 7-  2-  2- 20/ 31 22.6% 29.0% 35.5% 297% 94%
ステイゴールド 14- 10-  9- 68/101 13.9% 23.8% 32.7% 177% 100%
ハーツクライ 9-  8-  9- 71/ 97 9.3% 17.5% 26.8% 119% 67%
ロードカナロア 6-  4-  3- 20/ 33 18.2% 30.3% 39.4% 107% 75%
ヴィクトワールピサ 7-  3-  3- 34/ 47 14.9% 21.3% 27.7% 102% 63%

※単勝回収率順は出走30回以上

2017/7/23 中京11R 中京記念(G3) 1着 3番 ウインガニオン

表4は芝の種牡馬別成績で、上半分は着別度数順、下半分は単勝回収率順(出走30回以上)を示している。最多勝はディープインパクトだが、好走率が抜けて高いというほどではなく、回収率はもうひとつ。より注目したいのは2位のステイゴールドで、ディープインパクトを上回る勝率を残しているうえに、単複の回収率は断然高い。重賞でも17年中京記念で1着ウインガニオン、2着グランシルクと産駒がワンツーを決めた。また、単勝回収率順でトップのディープブリランテも素晴らしい成績を収めており、なかでも2歳戦では【6.1.2.4】と驚異的だ。

■表5 ダート・人気別成績

人気 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回率 複回率
1番人気 23-  26-  15-  50/ 114 20.2% 43.0% 56.1% 50% 75%
2番人気 20-  18-  14-  62/ 114 17.5% 33.3% 45.6% 81% 77%
3番人気 22-  15-  18-  59/ 114 19.3% 32.5% 48.2% 116% 97%
4番人気 12-  12-  14-  76/ 114 10.5% 21.1% 33.3% 90% 84%
5番人気 9-  13-  10-  82/ 114 7.9% 19.3% 28.1% 72% 77%
6番人気 9-   7-  14-  84/ 114 7.9% 14.0% 26.3% 108% 97%
7番人気 1-   6-   2- 105/ 114 0.9% 6.1% 7.9% 11% 37%
8番人気 1-   4-   8- 101/ 114 0.9% 4.4% 11.4% 20% 58%
9番人気 5-   5-   3- 101/ 114 4.4% 8.8% 11.4% 157% 88%
10番人気〜 12-   8-  17- 710/ 747 1.6% 2.7% 5.0% 107% 68%

表5〜8ではダートに関するデータを見ていく。表5はダートの人気別成績で、1番人気が勝率20.2%、単勝回収率50%と振るわないのは気になるところだ。対照的に2〜6番人気は総じて良好で、なかでも3番人気の勝率19.3%、複勝率48.2%は1番人気に迫る優秀な数字となっている。また、9番人気が単勝回収率157%、10番人気以下も単勝回収率107%と、穴馬の一撃にも注意したほうがいいだろう。

■表6 ダート・前走競馬場別成績

前走競馬場 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回率 複回率
札幌 0-   0-   0-   2/   2 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%
函館 0-   0-   1-   6/   7 0.0% 0.0% 14.3% 0% 27%
福島 4-   2-   0-  16/  22 18.2% 27.3% 27.3% 134% 57%
新潟 3-   3-   1-  81/  88 3.4% 6.8% 8.0% 21% 30%
東京 7-   8-   6- 102/ 123 5.7% 12.2% 17.1% 57% 46%
中山 0-   0-   1-  20/  21 0.0% 0.0% 4.8% 0% 29%
中京 16-  12-  25- 184/ 237 6.8% 11.8% 22.4% 48% 75%
京都 22-  22-  20- 277/ 341 6.5% 12.9% 18.8% 164% 111%
阪神 53-  59-  57- 594/ 763 6.9% 14.7% 22.1% 78% 71%
小倉 2-   0-   1-  15/  18 11.1% 11.1% 16.7% 101% 58%
地方 2-   4-   0-  49/  55 3.6% 10.9% 10.9% 77% 73%
海外 0-   1-   0-   0/   1 0.0% 100.0% 100.0% 0% 140%

表6はダートの前走競馬場別成績。やはり関西圏の阪神、京都、中京を使っていた馬の出走例が多く、なかでも前走京都は単勝回収率164%、複勝回収率111%と目を引く。その大きな要因となっているのが前走6着以下からの巻き返しで、該当馬に限ると単勝回収率201%、複勝回収率131%とさらに数字が上昇する。京都は右回りで直線平坦、中京は左回りで直線急坂と特性が異なるため、コース替わりによって逆襲する可能性があるのだろう。また、京都と同じく右回りで直線平坦の前走福島が単勝回収率134%、前走小倉も単勝回収率101%という点も押さえておきたい。

■表7 ダート・騎手別成績

騎手 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回率 複回率
着別度数 福永祐一 12- 7- 7-51/77 15.6% 24.7% 33.8% 147% 76%
M.デムーロ 10-10-11-37/68 14.7% 29.4% 45.6% 53% 71%
和田竜二 10- 8-12-62/92 10.9% 19.6% 32.6% 68% 85%
幸英明 10- 2- 8-79/99 10.1% 12.1% 20.2% 271% 81%
川田将雅 6-10- 7-31/54 11.1% 29.6% 42.6% 42% 76%
単勝回収率 岩崎翼 2- 2- 2-31/37 5.4% 10.8% 16.2% 307% 166%
川又賢治 3- 1- 2-38/44 6.8% 9.1% 13.6% 301% 100%
幸英明 10- 2- 8-79/99 10.1% 12.1% 20.2% 271% 81%
国分優作 5- 0- 4-44/53 9.4% 9.4% 17.0% 227% 79%
森裕太朗 2- 2- 1-45/50 4.0% 8.0% 10.0% 199% 90%

※単勝回収率順は騎乗30回以上

表7はダートの騎手別成績で、上半分は着別度数順、下半分は単勝回収率順(騎乗30回以上)を示している。表3で見た芝と同じく、ダートでも福永騎手とM・デムーロ騎手が着別度数順で1位、2位を占めている。特に福永騎手はダートでも単勝回収率147%と抜群で、芝・ダートを問わず狙ってみたい存在だ。とはいえ、芝ほど両騎手が突出しているわけではなく、3位の和田竜二騎手、4位の幸英明騎手も10勝で続く。ふたケタ勝利を挙げているのはここまでで、夏の中京ダートではこの4騎手を中心にレースが展開されそうだ。

■表8 ダート・種牡馬別成績

種牡馬 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回率 複回率
着別度数 ゴールドアリュール 7-11- 6-60/84 8.3% 21.4% 28.6% 49% 73%
クロフネ 6- 4- 8-50/68 8.8% 14.7% 26.5% 143% 80%
ネオユニヴァース 6- 2- 4-30/42 14.3% 19.0% 28.6% 115% 104%
ハーツクライ 4- 2- 2-38/46 8.7% 13.0% 17.4% 70% 65%
シニスターミニスター 4- 2- 2-15/23 17.4% 26.1% 34.8% 127% 117%
単勝回収率 キンシャサノキセキ 2- 3- 4-26/35 5.7% 14.3% 25.7% 462% 132%
マンハッタンカフェ 4- 0- 0-29/33 12.1% 12.1% 12.1% 411% 82%
プリサイスエンド 4- 2- 1-24/31 12.9% 19.4% 22.6% 194% 80%
クロフネ 6- 4- 8-50/68 8.8% 14.7% 26.5% 143% 80%
ワークフォース 2- 2- 4-32/40 5.0% 10.0% 20.0% 143% 76%

※単勝回収率順は出走30回以上

2017/7/9 中京11R プロキオンS(G3) 1着 12番 キングズガード

表8はダートの種牡馬別成績で、上半分は着別度数順、下半分は単勝回収率順(出走30回以上)を示している。最多の7勝を挙げたゴールドアリュールは好走率も悪くはないが、回収率がひと息。むしろ、好走率でさほど差がない2位のクロフネや3位のネオユニヴァースのほうが回収率で優位に立っており、馬券的にはこれらのほうが面白そうだ。そして、さらに優秀なのが5位のシニスターミニスターで、好走率、回収率ともに申し分ない数字を記録。重賞のプロキオンSでもキングズガードが16年3着、17年1着、インカンテーションが18年2着と、産駒が3年連続で好走を果たしている。一方の単勝回収率順では、1位のキンシャサノキセキと2位のマンハッタンカフェが単勝回収率400%以上を記録。3位のプリサイスエンドも好走率が高く、この3種牡馬は特に狙ってみたい。

ライタープロフィール

出川塁(でがわ るい)

1977年熊本県生まれ。上智大学文学部卒業後、出版社2社で競馬専門誌、競馬書籍の編集に携わり、2007年からフリーライターに。「競馬最強の法則」「サラブレ」「優駿」などへ寄稿するほか、出版社勤務時代を含めて制作に関わった競馬書籍は多数。馬券は単勝派だが、焼肉はタン塩派というわけではない。メインの競馬のほか、サッカーでも密かに活動中。


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