データde出〜た
第1327回 リフレッシュ効果で激走!? ディープブリランテ産駒を分析する
2019/6/17(月)
今回はディープインパクトではなく、ディープブリランテ産駒に注目してみたい。2012年に日本ダービーを制した馬で、同期にはゴールドシップ(宝塚記念など)やフェノーメノ(天皇賞・春)らがいる。ディープブリランテ産駒は2016年にデビュー。現5歳世代が最も年上で、代表馬にはラジオNIKKEI賞や中山金杯を制したセダブリランテスがいる。今のところ超大物は出ていないが、今年はミッキーブリランテ(シンザン記念3着)やグレイスアン(フェアリーS3着)が重賞で好走。最近のレースでは6月9日の江の島特別(2勝クラス)でナイトバナレットが9番人気ながら2着に入るなど、存在感をアピールしている。
そんなディープブリランテ産駒の成績データから、特徴を調べていくことにする。データの集計・分析にはJRA-VAN DataLab.とTARGET frontier JVを利用。集計期間は今年の6月9日(日)開催終了時点までとする。
■表1 ディープブリランテ産駒の芝・ダート成績(2019年6月9日まで)
コース | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 |
芝 | 83-77-86-842/1088 | 7.6% | 14.7% | 22.6% |
ダート | 24-33-37-448/542 | 4.4% | 10.5% | 17.3% |
まずはディープブリランテ産駒の芝・ダート別成績を見ていくことにする(表1参照)。芝が88勝に対し、ダートは24勝。出走回数は芝とダートで2倍近くの差があり、芝の方がだいぶ勝率はいい。連対率や複勝率も芝の方が高い。ダートでの勝ち鞍の内訳を調べると、未勝利クラスが大半で、1勝クラスの勝利はかなり少ない。2勝クラス以上は勝ち鞍がなく、2着もない。こうした成績を見ると、ディープブリランテ産駒は明らかに芝向きだと考えられる。ダートは得意でないと言ってもいいだろう。よって、次からは芝成績に絞ってデータを見ていくことにする。
■表2 ディープブリランテ産駒の距離別成績(芝・2019年6月9日まで)
距離 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単回収率 | 複回収率 |
1000m | 0- 2- 1- 8/ 11 | 0.0% | 18.2% | 27.3% | 0 | 66 |
1200m | 14- 15- 14-143/186 | 7.5% | 15.6% | 23.1% | 115 | 80 |
1400m | 11- 6- 19-134/170 | 6.5% | 10.0% | 21.2% | 63 | 116 |
1500m | 0- 1- 2- 13/ 16 | 0.0% | 6.3% | 18.8% | 0 | 140 |
1600m | 27- 15- 22-216/280 | 9.6% | 15.0% | 22.9% | 106 | 91 |
1700m | 0- 1- 0- 0/ 1 | 0.0% | 100.0% | 100.0% | 0 | 110 |
1800m | 15- 18- 9-154/196 | 7.7% | 16.8% | 21.4% | 57 | 62 |
2000m | 8- 10- 12-136/166 | 4.8% | 10.8% | 18.1% | 43 | 55 |
2200m | 5- 6- 3- 13/ 27 | 18.5% | 40.7% | 51.9% | 118 | 109 |
2300m | 0- 0- 0- 1/ 1 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0 | 0 |
2400m | 2- 2- 3- 16/ 23 | 8.7% | 17.4% | 30.4% | 50 | 97 |
2500m | 0- 0- 1- 0/ 1 | 0.0% | 0.0% | 100.0% | 0 | 250 |
2600m | 1- 1- 0- 8/ 10 | 10.0% | 20.0% | 20.0% | 33 | 30 |
1000m〜1300m | 14- 17- 15-151/197 | 7.1% | 15.7% | 23.4% | 108 | 79 |
1400m〜1600m | 38- 22- 43-363/466 | 8.2% | 12.9% | 22.1% | 87 | 101 |
1700m〜2000m | 23- 29- 21-290/363 | 6.3% | 14.3% | 20.1% | 50 | 59 |
2100m〜2400m | 7- 8- 6- 30/ 51 | 13.7% | 29.4% | 41.2% | 85 | 102 |
2500m〜 | 1- 1- 1- 8/ 11 | 9.1% | 18.2% | 27.3% | 30 | 50 |
表2はディープブリランテ産駒の距離別成績(芝)。2200mの【5.6.3.13】、勝率18.5%・連対率40.7%、複勝率51.9%という数字が目立つ。2400mの成績も比較的良く、2100〜2400mが【7.8.6.30】。2500m以上は【1.1.1.8】で、芝中長距離での成績がいい。ディープブリランテ自身が日本ダービーを勝っていることもあり、産駒が2400m前後を得意にしても全く不思議はない。
2000m以下では1600mの成績が若干いいが、それほど目立つ数字ではない。1000〜1300m、1400〜1600m、1700〜2000mというカテゴリー別に分けてみると、それぞれ似たような成績が出た。勝率は7%前後、連対率は15%前後、複勝率は22%前後となっている。
■表3 ディープブリランテ産駒の前走距離との比較別成績(芝)
前走平地距離 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単回収率 | 複回収率 |
今回延長 | 20- 17- 19-243/299 | 6.7% | 12.4% | 18.7% | 62 | 59 |
今回短縮 | 24- 26- 18-172/240 | 10.0% | 20.8% | 28.3% | 66 | 98 |
500m以上延長 | 0- 0- 2- 28/ 30 | 0.0% | 0.0% | 6.7% | 0 | 46 |
500m以上短縮 | 1- 2- 0- 13/ 16 | 6.3% | 18.8% | 18.8% | 15 | 73 |
続いて表3は、今回の距離と前走距離を比較した場合の成績。まず単純に今回延長と今回短縮を比べると、短縮の方が成績はいい。また、500m以上の延長・短縮を見ても、延長は【0.0.2.28】という成績だった。表2では中長距離の成績がいいことがわかったが、距離延長ではいい結果を出してはいなかった。
この結果から言えるのは、ディープブリランテ産駒全般が中長距離向きではないということだろう。むしろ短距離から長距離まで幅広いタイプが出るのが特徴。ただ、中長距離を主戦場としている馬の方が、安定した成績を残しているということではないだろうか。
■表4 ディープブリランテ産駒の競馬場別成績(芝)
場所 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単回収率 | 複回収率 |
札幌 | 1- 1- 4- 43/ 49 | 2.0% | 4.1% | 12.2% | 12 | 59 |
函館 | 1- 2- 2- 38/ 43 | 2.3% | 7.0% | 11.6% | 9 | 21 |
福島 | 4- 8- 1- 55/ 68 | 5.9% | 17.6% | 19.1% | 31 | 66 |
新潟 | 11- 12- 10- 79/112 | 9.8% | 20.5% | 29.5% | 124 | 85 |
東京 | 13- 13- 19-155/200 | 6.5% | 13.0% | 22.5% | 43 | 100 |
中山 | 10- 2- 6-104/122 | 8.2% | 9.8% | 14.8% | 72 | 40 |
中京 | 13- 9- 9- 68/ 99 | 13.1% | 22.2% | 31.3% | 185 | 94 |
京都 | 13- 12- 12-139/176 | 7.4% | 14.2% | 21.0% | 90 | 79 |
阪神 | 11- 7- 16-104/138 | 8.0% | 13.0% | 24.6% | 83 | 119 |
小倉 | 6- 11- 7- 57/ 81 | 7.4% | 21.0% | 29.6% | 59 | 92 |
中央開催 | 47- 34- 53-502/636 | 7.4% | 12.7% | 21.1% | 70 | 87 |
ローカル | 36- 43- 33-340/452 | 8.0% | 17.5% | 24.8% | 89 | 76 |
右回り | 46- 43- 48-540/677 | 6.8% | 13.1% | 20.2% | 65 | 75 |
左回り | 37- 32- 37-296/402 | 9.2% | 17.2% | 26.4% | 101 | 95 |
直線 | 0- 2- 1- 6/ 9 | 0.0% | 22.2% | 33.3% | 0 | 81 |
続いて表4は競馬場別成績。こちらからも興味深い傾向が出た。まず、札幌と函館の成績が非常に悪い。つまり洋芝で少し力がいる馬場を苦手としている。レース条件を見ると、年齢で成績の偏りはない。例えば、2歳限定戦だけ成績が悪いのであれば、「仕上がりが遅い」と言えるのだが、そうではなかった。
一方、良績を残しているのが中京。【13.9.9.68】で勝率13.1%・連対率22.2%・複勝率31.3%となった。同じローカルでは、新潟の成績も比較的良い。中央場所では中山よりも東京の方が連対率・複勝率はいい。京都と阪神は互角に近い成績。つまり、広々とした左回りのコースを得意としている。このあたりは、同じサンデーサイレンス系の種牡馬であるハーツクライに少し似ている印象だ。
■表5 ディープブリランテ産駒の間隔別成績(芝・10番人気以下)
間隔 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単回収率 | 複回収率 |
連闘 | 0- 0- 0- 15/ 15 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0 | 0 |
2週 | 1- 0- 0- 49/ 50 | 2.0% | 2.0% | 2.0% | 150 | 34 |
3週 | 0- 2- 0- 45/ 47 | 0.0% | 4.3% | 4.3% | 0 | 44 |
4週 | 0- 0- 3- 28/ 31 | 0.0% | 0.0% | 9.7% | 0 | 155 |
5〜 9週 | 0- 0- 1- 69/ 70 | 0.0% | 0.0% | 1.4% | 0 | 6 |
10〜25週 | 3- 3- 1- 60/ 67 | 4.5% | 9.0% | 10.4% | 235 | 132 |
半年以上 | 0- 0- 0- 12/ 12 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0 | 0 |
初出走他 | 0- 2- 2- 50/ 54 | 0.0% | 3.7% | 7.4% | 0 | 240 |
最後に配当的な妙味がある狙い方を紹介しよう。表5はディープブリランテ産駒の間隔別成績で、10番人気以下の馬のみを集計したもの。前走からの間隔が10〜25週の場合、【3.3.1.60】という成績だ。連闘から9週の成績と比較すると、明らかに違う。つまり、適度な間隔で使われている馬よりも、少し間隔をあけた方がいいというわけだ。半年以上の休みは【0.0.0.12】、初出走馬が【0.2.2.50】なので、長い休養が好ましいかは微妙だが、半年以内の休養であれば歓迎。短期の放牧などを挟み、リフレッシュしてきた馬が穴をあけるパターンが多いことを覚えておきたい。
ライタープロフィール
小田原智大(おだわら ともひろ)
1975年6月、東京生まれ。早稲田大学商学部卒業後、業界紙記者を経て、(株)レイヤード入社。ライター&エディターとして活躍。JRA-VANデータの配信初期から、いち早くデータ競馬の有効性に着目する。05年5月より「競馬 最強の法則WEB」にて、障害戦を除く全重賞レースの傾向と対策、予想を展開。「オッズパーク ダートグレードデータ作戦」では、地方競馬の重賞の攻略にも取り組んでいる。仕事の関係でなかなか競馬場には行けなくなったが、年に1、2回行くローカル遠征が楽しみ。