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第1318回 桜花賞馬不在となるオークスを分析する

2019/5/16(木)

ヴィクトリアマイルで1分30秒5という驚異のレコードが飛び出した東京競馬は今週、牝馬クラシック2冠目のオークスが行われる。牝馬限定戦としては最長の芝2400mで施行され、桜花賞から800mも距離が延びるところにこのレースの難しさと面白さがある。今年は桜花賞馬のグランアレグリアが不在。今回は2009年以降・過去10年のデータならびに2000年以降で桜花賞馬不在だったオークス計4回の結果から馬券での狙いどころを探っていきたい。なお、データ分析にはJRA-VAN DataLab.TARGET frontier JVを利用した。

■表1 オークスの人気別成績(過去10年)

人気 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単勝回収率 複勝回収率
1番人気 5-  2-  1-  2/ 10 50.0% 70.0% 80.0% 96% 106%
2番人気 1-  3-  3-  3/ 10 10.0% 40.0% 70.0% 98% 102%
3番人気 2-  0-  1-  7/ 10 20.0% 20.0% 30.0% 124% 68%
4番人気 0-  1-  1-  8/ 10 0.0% 10.0% 20.0% 0% 49%
5番人気 1-  1-  1-  7/ 10 10.0% 20.0% 30.0% 38% 85%
6番人気 0-  1-  1-  8/ 10 0.0% 10.0% 20.0% 0% 65%
7番人気 1-  0-  0-  9/ 10 10.0% 10.0% 10.0% 372% 80%
8番人気 0-  1-  1-  8/ 10 0.0% 10.0% 20.0% 0% 123%
9番人気 1-  0-  1-  8/ 10 10.0% 10.0% 20.0% 285% 127%
10番人気以下 0-  0-  0- 87/ 87 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%

まず表1は過去10年の人気別成績。1番人気馬は昨年のアーモンドアイら近3年続けて勝利し、最多の5勝をあげている。連対率70%・複勝率80%と高く、複勝回収率でも100%を超えている。2番人気馬は14年ヌーヴォレコルトの1勝のみだが、複勝率は1番人気馬に次ぐ70%。こちらも複勝回収率は100%を超えている。これら1・2番人気馬で過去10年の3着以内馬30頭中、半数の15頭を占めている

以下、3番人気馬が2勝、5・7・9番人気馬が1勝ずつ。9番人気馬の勝利は13年メイショウマンボ。2着馬は8番人気以内、3着馬も9番人気以内にすべておさまっており、10番人気以下の激走はなかった。特に近5年の3着以内馬はすべて上位6番人気以内で、堅めの決着が続いている

■表2 オークスの脚質別・上がり3F順位別成績(過去10年)

脚質上り 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単勝回収率 複勝回収率
逃げ 0-  1-  0-  9/ 10 0.0% 10.0% 10.0% 0% 78%
先行 1-  2-  1- 32/ 36 2.8% 8.3% 11.1% 6% 26%
差し 7-  4-  9- 64/ 84 8.3% 13.1% 23.8% 107% 67%
追い込み 3-  2-  0- 42/ 47 6.4% 10.6% 10.6% 19% 14%
3F  1位 7-  3-  2-  1/ 13 53.8% 76.9% 92.3% 370% 189%
3F  2位 1-  2-  1-  6/ 10 10.0% 30.0% 40.0% 38% 73%
3F  3位 2-  2-  2-  3/  9 22.2% 44.4% 66.7% 135% 135%
3F 〜5位 1-  1-  2- 17/ 21 4.8% 9.5% 19.0% 177% 72%
3F 6位以下 0-  1-  3-120/124 0.0% 0.8% 3.2% 0% 17%

表2はオークスの脚質別と上がり3ハロン順位別成績。脚質別では勝ち馬11頭(10年はアパパネとサンテミリオンが1着同着)中10頭は中団・後方からの差し、追い込み馬が占めている。特に中団からの差し馬は昨年のアーモンドアイら過半数の7勝。逆に逃げ、先行馬は一昨年ソウルスターリングの1勝のみで、3着以内数も少ない。ほとんどの出走馬にとって未体験の芝2400mという距離では、道中で脚を溜めた差し・追い込み組の方が好走しやすいのだろう。

上がり3ハロン順位別では、上がり1位の馬が昨年のアーモンドアイら7勝。勝率・連対率・複勝率いずれも非常に高い。馬券圏外だったのは一昨年ディアドラの4着だけで、「どの馬が上がり最速をマークできるか」と探すことがオークス攻略の大きなポイントだ。上がり2位は好走率が下がるものの、上がり3位は連対率・複勝率ともに高い。上がり上位の脚を使える馬が好走しやすい一戦だ。

■表3 オークスのキャリア別成績(過去10年)

キャリア 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単勝回収率 複勝回収率
2戦 0-  0-  0-  4/  4 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%
3戦 0-  1-  1-  8/ 10 0.0% 10.0% 20.0% 0% 46%
4戦 4-  3-  3- 23/ 33 12.1% 21.2% 30.3% 43% 65%
5戦 4-  4-  2- 23/ 33 12.1% 24.2% 30.3% 58% 51%
6戦 2-  0-  1- 30/ 33 6.1% 6.1% 9.1% 92% 35%
7戦 0-  1-  3- 25/ 29 0.0% 3.4% 13.8% 0% 61%
8戦 1-  0-  0- 13/ 14 7.1% 7.1% 7.1% 265% 57%
9戦以上 0-  0-  0- 21/ 21 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%

表3はキャリア別成績。黄色で強調した4戦・5戦の馬がそれぞれ4勝をあげ、複勝率30.3%のトップタイで並んでいる。近5年で見ても勝ち馬はすべて4戦・5戦の馬から出ており、3着以内馬は計13頭と大半を占めている。他では6戦の馬が2勝、8戦の馬が1勝。3戦の馬は勝ち星こそないものの、複勝率は4・5戦の馬に次ぐ20%と高い。

■表4 オークスの前走レース別成績(過去10年)

前走レース名 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単勝回収率 複勝回収率
桜花賞 8- 5- 5-59/77 10.4% 16.9% 23.4% 69% 45%
忘れな草賞 2- 0- 0- 8/10 20.0% 20.0% 20.0% 440% 101%
フローラS 1- 4- 4-35/44 2.3% 11.4% 20.5% 8% 74%
皐月賞 0- 0- 1- 0/ 1 0.0% 0.0% 100.0% 0% 270%
スイートピーS 0- 0- 0-22/22 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%
その他のレース 0- 0- 0-23/23 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%

表4は前走レース別成績。出走数が抜けて多い桜花賞組が昨年のアーモンドアイら大半の8勝をあげている。昨年は上位3着までを独占し、毎年1頭は3着以内に入っている

桜花賞組に勝ち星で続くのが忘れな草賞組で11年エリンコート、15年ミッキークイーンと2勝をあげている。エリンコートは前走を含めて2連勝中。ミッキークイーンは2走前のクイーンCでタイム差なしの2着に入り、前走を勝ってオークスへと臨んでいた。勢いがある忘れな草賞勝ち馬の一発には注意しておきたい。

トライアルのフローラS組は10年サンテミリオンの1勝のみだが、2・3着が4回ずつと多く、複勝率では桜花賞組に迫っている。なお、スイートピーS組からは3着以内馬が出ておらず、不振傾向にある。

■表5 桜花賞組の前走着順別成績(過去10年)

前走着順 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単勝回収率 複勝回収率
前走1着 4- 1- 0- 4/ 9 44.4% 55.6% 55.6% 120% 78%
前走2着 1- 2- 3- 3/ 9 11.1% 33.3% 66.7% 22% 106%
前走3着 2- 1- 1- 5/ 9 22.2% 33.3% 44.4% 135% 85%
前走4着 0- 0- 0- 4/ 4 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%
前走5着 0- 0- 0- 6/ 6 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%
前走6〜9着 0- 1- 0-15/16 0.0% 6.3% 6.3% 0% 10%
前走10着以下 1- 0- 1-22/24 4.2% 4.2% 8.3% 118% 37%

表5は桜花賞組の前走着順別成績。前走1着馬が昨年のアーモンドアイら最多の4勝をあげているが、今年は桜花賞馬グランアレグリアが出走しない。前走2着馬は16年シンハライトの1勝のみだが、複勝率では前走1着馬を上回ってトップだ。複勝回収率でも100%を超えている。また、前走3着馬は一昨年のソウルスターリングら2勝をあげている。

なお、前走4・5着馬の好走はなく、前走6着以下から勝利したのは13年メイショウマンボのみ。前走6着以下から好走した3頭はいずれも過去に重賞での勝利経験があった。

■表6 フローラS組の前走着順別成績(過去10年)

前走着順 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単勝回収率 複勝回収率
前走1着 1- 2- 1- 6/10 10.0% 30.0% 40.0% 38% 90%
前走2着 0- 1- 2- 5/ 8 0.0% 12.5% 37.5% 0% 158%
前走3着 0- 1- 0- 8/ 9 0.0% 11.1% 11.1% 0% 86%
前走4着 0- 0- 0- 2/ 2 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%
前走5着 0- 0- 1- 3/ 4 0.0% 0.0% 25.0% 0% 80%
前走6〜9着 0- 0- 0- 6/ 6 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%
前走10着以下 0- 0- 0- 5/ 5 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%

表6はフローラS組の前走着順別成績。前走1着馬は10年サンテミリオンが勝利しており、連対率30.0%・複勝率40.0%と高い。3着以内馬4頭中3頭は前走フローラSで上位3番人気以内に支持されていた。

前走2着馬も複勝率37.5%と高く、3着以内に好走した3頭はいずれも前走で上位4番人気以内だった。フローラS組は前走上位人気で連対した馬に注意しておきたい。

■表7 オークスの種牡馬別成績(過去10年)

種牡馬 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単勝回収率 複勝回収率
ディープインパクト 3- 3- 3-22/31 9.7% 19.4% 29.0% 46% 58%
前走1着 2- 1- 1- 9/13 15.4% 23.1% 30.8% 95% 51%
前走2着 1- 2- 1- 1/ 5 20.0% 60.0% 80.0% 40% 164%
前走3着以下 0- 0- 1-12/ 13 0.0% 0.0% 7.7% 0% 24%
キングカメハメハ 1- 1- 0-10/12 8.3% 16.7% 16.7% 17% 25%
ゼンノロブロイ 1- 0- 2- 8/11 9.1% 9.1% 27.3% 34% 90%
ハーツクライ 1- 0- 1-11/13 7.7% 7.7% 15.4% 75% 26%
スペシャルウィーク 1- 0- 0- 5/ 6 16.7% 16.7% 16.7% 23% 18%
デュランダル 1- 0- 0- 1/ 2 50.0% 50.0% 50.0% 1860% 400%
ロードカナロア 1- 0- 0- 0/ 1 100.0% 100.0% 100.0% 170% 110%
スズカマンボ 1- 0- 0- 0/ 1 100.0% 100.0% 100.0% 2850% 710%
Frankel 1- 0- 0- 0/ 1 100.0% 100.0% 100.0% 240% 130%
マンハッタンカフェ 0- 2- 0- 5/ 7 0.0% 28.6% 28.6% 0% 42%
ハービンジャー 0- 1- 0- 4/ 5 0.0% 20.0% 20.0% 0% 70%
ルーラーシップ 0- 1- 0- 3/ 4 0.0% 25.0% 25.0% 0% 50%
Monsun 0- 1- 0- 0/ 1 0.0% 100.0% 100.0% 0% 780%
その他の種牡馬 0- 0- 4-78/82 0.0% 0.0% 4.9% 0% 13%

表7は種牡馬別成績。出走数最多のディープインパクト産駒は16年シンハライトら3勝をあげ、連対率19.4%・複勝率29.0%。同産駒は前走着順別成績も表示したが、3着以内馬9頭中8頭は前走で連対を果たしていた

ディープインパクト産駒以外はキングカメハメハ産駒以下が1勝ずつをあげている。キングカメハメハ産駒は10年アパパネの1勝のみだが、キングカメハメハ後継種牡馬のロードカナロアとルーラーシップの産駒が昨年は1・2着を占めている。

■表8 桜花賞馬が出走しなかったオークスの3着以内馬一覧(2000年以降)

開催年 着順 人気 馬名 前走成績
2016 1 1 シンハライト 桜花賞 2着
2 2 チェッキーノ フローラS 1着
3 5 ビッシュ フローラS 5着
2007 1 5 ローブデコルテ 桜花賞 4着
2 1 ベッラレイア フローラS 1着
3 8 ラブカーナ スイートピーS 2着
2005 1 1 シーザリオ 桜花賞 2着
2 2 エアメサイア 桜花賞 4着
3 3 ディアデラノビア フローラS 1着
2002 1 4 スマイルトゥモロー 桜花賞 6着
2 12 チャペルコンサート 桜花賞 7着
3 2 ユウキャラット 忘れな草賞 1着

最後に表8は、2000年以降で桜花賞馬が出走しなかったオークスの3着以内馬一覧。16年を含めて計4回あるが、勝ち馬はすべて前走桜花賞組となっている。勝ち馬4頭はいずれも前走の桜花賞で上がり3ハロン3位以内の脚を使っていた。

また、2・3着には前走フローラSもしくは忘れな草賞の1着馬が入っている点にも注目しておきたい。

<結論>

■表9 今年のオークスの出走予定馬(5/15現在)

馬名 キャリア 前走成績
ウィクトーリア 5戦 フローラS 1着
カレンブーケドール 5戦 スイートピーS 1着
クロノジェネシス 5戦 桜花賞 3着
シゲルピンクダイヤ 4戦 桜花賞 2着
シャドウディーヴァ 6戦 フローラS 2着
ダノンファンタジー 6戦 桜花賞 4着
ビーチサンバ 5戦 桜花賞 5着
ノーワン 7戦 桜花賞 11着
コントラチェック 5戦 フラワーC 1着
メイショウショウブ 7戦 ニュージーランドT 2着
フィリアプーラ 4戦 桜花賞 15着
ラヴズオンリーユー 3戦 忘れな草賞 1着
シェーングランツ 6戦 桜花賞 9着
アクアミラビリス 4戦 桜花賞 13着
エールヴォア 6戦 桜花賞 7着
ウインゼノビア 6戦 フローラS 7着
アイリスフィール 3戦 デイジー賞 1着
エアジーン 4戦 フローラS 10着
グラディーヴァ 3戦 矢車賞 1着
ジョディー 8戦 フローラS 3着
フェアリーポルカ 4戦 フローラS 5着
メイショウアステカ 3戦 500万下 1着
ルタンブル 7戦 忘れな草賞 2着

※フルゲート18頭。ルタンブルは除外対象。
アイリスフィールからメイショウアステカは抽選対象。

2018/11/3 京都3R 2歳未勝利 1着 9番 シゲルピンクダイヤ 2019/2/11 東京11Rデイリー杯クイーンC (G3) 1着 9番 クロノジェネシス

今年の出走予定馬は表9の通り。

1番人気馬は予測が難しいものの、前走フラワーCを逃げ切ったコントラチェック、前走桜花賞3着でクイーンC勝ちがあるクロノジェネシス、前走忘れな草賞を勝利して3戦3勝と底を見せていないラヴズオンリーユーのいずれかだろう。

これまでのデータからこの3頭の中ではコントラチェックの評価を下げておきたい。オークスでは分が悪い逃げ・先行タイプで、芝1800mまでの経験しかなく、初めての東京コースというのも割引材料だ。目下絶好調のレーン騎手が騎乗予定で、実力以上に人気が先行することも十分考えられる。

クロノジェネシスは前走桜花賞で上がり2位タイの末脚で3着に入っている。東京コースは2戦2勝と相性が良く、当然1着候補だ。ラヴズオンリーユーは3連勝中と勢いがある忘れな草賞勝ち馬で、ディープインパクト産駒の好走傾向にも当てはまる。ただ、オークスでの勝ち星がないキャリア3戦馬という点で、クロノジェネシスより下としておきたい。

データから推奨したいのが前走桜花賞2着のシゲルピンクダイヤ。桜花賞ではスタートで後手を踏んだものの、道中後方から上がり最速となる32秒7の脚で一気に追い込んだ。複勝率が高い桜花賞2着馬で、キャリア4戦も強調材料。懸念されるのは長距離適性に不安があるダイワメジャー産駒ということだろうが、末脚を温存できるタイプだけに問題ないと見る。種牡馬で人気が下がるなら逆に妙味がありそうだ。

他では前走フローラS勝ちのウィクトーリアにも注目。表8で示した桜花賞馬不在の年にフローラS1着馬が好走するケースに当てはまる。穴で桜花賞上がり2位タイだったエールヴォアとともに連下でマークしておきたい。

ライタープロフィール

ケンタロウ(けんたろう)

1978年6月、鹿児島県生まれ。早稲田大学社会科学部卒業。初めて買った馬券が大当たりし、それから競馬にのめり込むように。データでは、開催日の馬場やコース適性に注目している。好きなタイプは逃げか追い込み。馬券は1着にこだわった単勝、馬単派。料理研究家ではない。


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