第1315回 荒れ模様の京王杯スプリングCを分析する|競馬情報ならJRA-VAN

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第1315回 荒れ模様の京王杯スプリングCを分析する

2019/5/6(月)

今週は土曜に京王杯スプリングC、日曜にはヴィクトリアマイルと、平地2重賞はともに東京競馬場を舞台として行われる。どちらも波乱が多いレースで、特に穴党の方にとっては非常に楽しみな両レースだ。月曜掲載分の今回は、まず京王杯スプリングCから過去の傾向を見てみよう。データの分析には、JRA-VAN DataLab.TARGET frontier JVを利用した。

■表1 人気別成績

人気 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回収 複回収 過去5年
1 1-0-0-9 10.0% 10.0% 10.0% 47% 18% 0-0-0-5
2 1-2-4-3 10.0% 30.0% 70.0% 50% 136% 1-2-2-0
3 1-2-1-6 10.0% 30.0% 40.0% 45% 94% 1-0-0-4
4 3-0-1-6 30.0% 30.0% 40.0% 228% 102% 1-0-1-3
5 1-2-0-7 10.0% 30.0% 30.0% 87% 104% 1-0-0-4
6 0-0-1-9 0.0% 0.0% 10.0% 0% 38% 0-0-0-5
7 0-2-2-6 0.0% 20.0% 40.0% 0% 176% 0-2-2-1
8 1-0-0-9 10.0% 10.0% 10.0% 143% 40% 0-0-0-5
9 0-0-0-10 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0% 0-0-0-5
10 2-0-0-8 20.0% 20.0% 20.0% 782% 157% 1-0-0-4
11〜 0-2-1-62 0.0% 3.1% 4.6% 0% 60% 0-1-0-29

2017/5/13東京11R 京王杯スプリングC(G2) 1着 10番レッドファルクス (2番人気)

過去10年、1番人気は【1.0.0.9】で2013年の優勝馬・ダイワマッジョーレ以外はすべて4着以下に敗退している。そのダイワマッジョーレも単勝配当は470円と1番人気にしては高い部類で、単勝4倍を切る支持を受けた馬は【0.0.0.6】に終わっている。対して2〜5番人気はいずれも複勝回収率90%以上を記録し、特に2番人気は複勝率70.0%、複勝回収率136%の好成績。過去5年にかぎれば【1.2.2.0】と馬券圏内を外していない。

その他では7番人気が複勝率40.0%、過去5年では【0.2.2.1】の好結果を出している。また、2桁人気馬も過去10年で5頭が好走しているが、単勝オッズ65倍以上だった馬は全体で【0.0.0.37】。穴馬は人気順だけではなく、単勝オッズも参考にして見極めたい。

■表2 性齢別成績

性別 年齢 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回収 複回収 1〜5番人気 同複勝率
牡・セン 4歳 2-0-4-35/41 4.9% 4.9% 14.6% 29% 43% 2-0-2-10 28.6%
5歳 4-2-4-30/40 10.0% 15.0% 25.0% 86% 122% 3-1-3-11 38.9%
6歳 1-4-2-34/41 2.4% 12.2% 17.1% 12% 52% 1-3-1-8 38.5%
7歳 1-3-0-14/18 5.6% 22.2% 22.2% 48% 73% 1-2-0-0 100.0%
8歳 1-1-0-8/10 10.0% 20.0% 20.0% 384% 158% 0-0-0-1 0.0%
9歳 0-0-0-1/1 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0% 該当なし
牝馬 1-0-0-13/14 7.1% 7.1% 7.1% 284% 60% 0-0-0-1 0.0%

牡・セン馬の年齢別では、5歳馬が最多の好走馬10頭を輩出し、複勝率も25.0%でトップ。一方、4歳馬は連対率4.9%、複勝率14.6%にとどまり、ベテラン馬にもチャンスがあるレースだ。5番人気以内の馬にかぎった成績を見ても、4歳馬はやや劣勢である。なお、牝馬は14頭出走し、馬券に絡んだのは2010年の優勝馬・サンクスノート(5歳)1頭のみに終わっている。

■表3 枠番別成績

枠番 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回収 複回収 1〜5番人気 6番人気以下
1枠 0- 1- 2-14/17 0.0% 5.9% 17.6% 0% 35% 0-1-2-5 0-0-0-9
2枠 0- 1- 2-16/19 0.0% 5.3% 15.8% 0% 50% 0-1-1-2 0-0-1-14
3枠 2- 1- 1-15/19 10.5% 15.8% 21.1% 82% 111% 2-0-0-7 0-1-1-8
4枠 0- 0- 3-17/20 0.0% 0.0% 15.0% 0% 50% 0-0-2-4 0-0-1-13
5枠 2- 1- 0-17/20 10.0% 15.0% 15.0% 214% 62% 1-1-0-4 1-0-0-13
6枠 2- 2- 1-15/20 10.0% 20.0% 25.0% 115% 66% 1-2-1-1 1-0-0-14
7枠 4- 2- 1-17/24 16.7% 25.0% 29.2% 236% 168% 3-1-0-3 1-1-1-14
8枠 0- 2- 0-24/26 0.0% 7.7% 7.7% 0% 49% 0-0-0-5 0-2-0-19
1〜4枠 2- 3- 8-62/75 2.7% 6.7% 17.3% 20% 62% 2-2-5-18 0-1-3-44
5〜8枠 8- 7- 2-73/90 8.9% 16.7% 18.9% 136% 87% 5-4-1-13 3-3-1-60

枠番別では、7枠が最多の4勝をマークし、隣の6枠も好走馬5頭を輩出。その6、7枠を含む5〜8枠は計【8.7.2.73】。1〜4枠は【2.3.8.62】と、好走しても3着止まりが多い。特に6番人気以下の穴馬は、連対した7頭中6頭が5〜8枠だった。

■表4 馬体重増減別成績

馬体重増減 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回収 複回収
今回減 1-8-5-72/86 1.2% 10.5% 16.3% 5% 65%
同体重 5-0-2-20/27 18.5% 18.5% 25.9% 386% 104%
今回増 4-2-3-43/52 7.7% 11.5% 17.3% 56% 79%

1着候補の選定には、前走からの馬体重増減も押さえておきたいポイントになる。マイナス体重で出走した馬は【1.8.5.72】と2〜3着こそ多いものの、優勝したのは2016年のサトノアラジン1頭だけ。同馬は前走比マイナス8キロでも526キロという大型馬だった。

■表5 前走クラス別、主な前走レース別成績

前走 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回収 複回収
1600万下 2-1-1-11/15 13.3% 20.0% 26.7% 152% 248%
OPEN特別 1-1-2-36/40 2.5% 5.0% 10.0% 17% 36%
中央G3 3-5-3-34/45 6.7% 17.8% 24.4% 36% 76%
中央G2 1-2-2-23/28 3.6% 10.7% 17.9% 142% 74%
中央G1 3-1-2-27/33 9.1% 12.1% 18.2% 157% 56%
地方 0-0-0-2/2 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%
海外 0-0-0-2/2 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%
高松宮記念 3-1-2-26/32 9.4% 12.5% 18.8% 162% 58%
ダービー卿CT 2-2-2-21/27 7.4% 14.8% 22.2% 34% 82%
東京新聞杯 1-3-1-0/5 20.0% 80.0% 100.0% 144% 244%
阪神牝馬S 1-0-0-7/8 12.5% 12.5% 12.5% 497% 106%
マイラーズC 0-2-1-16/19 0.0% 10.5% 15.8% 0% 55%
阪神C 0-0-1-0/1 0.0% 0.0% 100.0% 0% 180%

前走クラス別の成績を見ると、古馬のG2競走でありながら前走G3以下からの好走馬が多く、3着以内馬30頭中19頭を占める(以下、表6以降も含め前走地方競馬、海外競馬出走馬は除く)。特に好走馬が多いのは【3.5.3.34】のG3組だ。なお、重賞で好走馬を輩出しているのは表に挙げた6レースのみ。中では【1.3.1.0】の東京新聞杯組が特に目立っており、該当馬がいれば見逃せない。

■表6 前走東京新聞杯+ダービー卿チャレンジT組の前走着順別成績

前走着順 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回収 複回収
1〜3着 2-4-2-7/15 13.3% 40.0% 53.3% 61% 128%
4着以下 1-1-1-14/17 5.9% 11.8% 17.6% 42% 90%

G3組で好走馬を輩出しているのは、東京新聞杯とダービー卿チャレンジTの2競走。このどちらかから駒を進めてきた馬の前走着順別成績を見ると、前走1〜3着馬が【2.4.2.7】複勝率53.3%の好成績。前走4着以下の【1.1.1.14】同17.6%とは大きな差があり、素直に前走好走馬を信頼したい。前走4着以下から好走した3頭は、2012年サダムパテック(重賞2勝、皐月賞2着)、13年ガルボ(重賞3勝)、17年クラレント(重賞6勝)と、かなりの実績を持つ馬でなければ巻き返せていない。

■表7 前走G1・G2組の好走馬

馬名 人気 着順 前走 人気 着順 芝1400m実績
09 トウショウカレッジ 3 2 高松宮記念 G1 10 4 オープン特別1着
ファリダット 2 3 2 6 阪神C2着
11 ジョーカプチーノ 2 3 1 10 スワンS3着
14 レッドスパーダ 10 1 18 17 阪神C2着
15 サクラゴスペル 5 1 12 8 オープン特別2着
17 レッドファルクス 2 1 1 3 1勝
10 サンクスノート 10 1 阪神牝馬S G2 11 10 東京芝1400m2勝
11 シルポート 3 2 マイラーズC 7 1 東京芝1400m2勝
14 エールブリーズ 7 3 マイラーズC 8 11 東京芝1400m3勝
16 サンライズメジャー 7 2 マイラーズC 6 6 スワンS2着
ロサギガンティア 2 3 阪神C 3 1 阪神C1着

続いて前走G1、G2からの好走馬を見てみよう。前走G1組の好走馬はすべて芝1200mの高松宮記念組で、同レースでの人気や着順はバラバラ。芝1400mの実績もさほど問われない。注目すべきは本競走での人気で、前走G1組で好走した6頭中5頭は2〜5番人気に推された馬だった。1番人気に支持された馬は【0.0.0.6】と好走なし、2〜5番人気は【2.1.2.4】複勝率55.6%、そして6番人気以下は【1.0.0.17】同5.6%となる。

一方の前走G2組は、芝1400mでの実績がカギになる。サンクスノート、シルポート、そしてエールブリーズの3頭は、本競走と同じ東京芝1400mで2勝以上を挙げており、特にエールブリーズは3戦全勝での出走。残る2頭はサンライズメジャーが本コース未経験、ロサギガンティアは1戦1勝で、ともに他場の芝1400m・G2で連対実績を持っていた。2009年には1400m戦初出走のスマイルジャック(前走マイラーズC3着)が、1番人気で7着敗退を喫している。

■表8 前走オープン特別・1600万条件組の好走馬

馬名 性齢 人気 着順 前走 人気 着順 実績/前走上がり順位
10 マルカフェニックス 牡6 5 2 オーストラリアT OP特別 9 8 阪神C1着
アーバニティ 牡6 3 3 オーストラリアT 4 6 オーシャンS1着
15 オメガヴェンデッタ セン4 7 3 谷川岳S 4 6 重賞未経験
18 ムーンクエイク セン5 4 1 洛陽S 3 5 重賞未経験
09 スズカコーズウェイ 牡5 8 1 朱雀S 1600万 1 1 前走上がり600m1位
11 ストロングリターン 牡5 4 1 難波S 2 1 前走上がり600m2位
12 レオプライム 牡5 11 2 心斎橋S 3 1 前走上がり600m1位
インプレスウィナー 牡5 13 3 晩春S 11 1 前走上がり600m2位

2018/5/12東京11R 京王杯スプリングC(G2) 1着 5番ムーンクエイク

最後に表8は、前走オープン特別と1600万条件から馬券に絡んだ8頭である。オープン特別組の4頭は、前走で5着以下に敗れたにもかかわらず、G2の本競走で7番人気以内とまずまずの支持を受けていた。オープン特別組全体では複勝率10.0%(表5)と劣勢だが、本競走7番人気以内の馬にかぎれば【1.1.2.8】複勝率33.3%、複勝回収率120%になる。また、4頭のうち2頭は重賞優勝実績馬、残る2頭は重賞未経験馬で、重賞に出走経験があれば優勝実績が必要になる。上位人気に推された馬では、2014年3番人気9着のシャイニープリンス、2015年3番人気6着のサトノルパンなどが「重賞経験あり・勝利なし」で掲示板外に敗退した。

そして1600万条件組の好走馬4頭は、すべて5歳の牡馬。また、前走でメンバー中最速、または2位の上がり3ハロンタイムを記録し、勝ってきたことも共通している。この「5歳牡馬、前走1600万条件1着、前走上がり1〜2位」のすべてを満たした馬は【2.1.1.1】で複勝率80.0%。格下だと甘く見るのは禁物だ。

以上、京王杯スプリングCの傾向を分析してみた。荒れ模様で、1番人気馬を候補から外すことで高配当を狙っていきたいレースではあるが、表1本文で触れたように単勝オッズが65倍以上にもなるような馬では苦しい。前走でG1やG2に「出走していた」だけではプラス材料にはならないため(表5)、前走G3以下の馬でも好走条件を満たせば積極的に候補に加えていきたい。また、馬単や3連単を購入する際は、枠順(表3)や馬体重の増減(表4)にも注意が必要だ。

ライタープロフィール

浅田知広(あさだ ともひろ)

1970年12月、埼玉県生まれ。立命館大学文学部中退後、夕刊紙レース部のアルバイト、競馬データベース会社を経て、現在はフリー。パソコンが広く普及する以前から、パソコン通信でデータ手入力方式の競馬予想ソフトを公開するなど、競馬のみならずPCやネットワークにも精通。その知識を活かし、Webや雑誌で競馬ライターとして活躍するかたわら、ネットワークの専門誌にも連載を持つ。


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