データde出〜た
第1302回 春の最強スプリンターは? 高松宮記念を分析する
2019/3/21(木)
日曜に中京で春の最強スプリンター決定戦、高松宮記念が行われる。昨年このレースを制し、秋のスプリンターズSも勝利したファインニードルが引退。今年は短距離界の新王者が誕生するかが大きな見どころだ。今回のデータde出〜たでは、2012年以降に中京競馬場で行われた高松宮記念・近7年のデータから馬券で狙える有力馬を探っていきたい。なお、データの分析には、JRA-VAN DataLab.とTARGET frontier JVを利用した。
■表1 高松宮記念の人気別成績(過去7年)
人気 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単勝回収率 | 複勝回収率 |
1番人気 | 2- 0- 3- 2/ 7 | 28.6% | 28.6% | 71.4% | 74% | 97% |
2番人気 | 2- 3- 0- 2/ 7 | 28.6% | 71.4% | 71.4% | 134% | 128% |
3番人気 | 1- 2- 2- 2/ 7 | 14.3% | 42.9% | 71.4% | 110% | 148% |
4番人気 | 1- 0- 0- 6/ 7 | 14.3% | 14.3% | 14.3% | 92% | 37% |
5番人気 | 1- 0- 0- 6/ 7 | 14.3% | 14.3% | 14.3% | 124% | 32% |
6番人気 | 0- 1- 0- 6/ 7 | 0.0% | 14.3% | 14.3% | 0% | 70% |
7番人気 | 0- 0- 0- 7/ 7 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0% | 0% |
8番人気 | 0- 1- 0- 6/ 7 | 0.0% | 14.3% | 14.3% | 0% | 50% |
9番人気 | 0- 0- 0- 7/ 7 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0% | 0% |
10番人気 | 0- 0- 2- 5/ 7 | 0.0% | 0.0% | 28.6% | 0% | 282% |
11番人気以下 | 0- 0- 0- 55/ 55 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0% | 0% |
まず表1は高松宮記念近7年の人気別成績。1番人気馬は16年ビッグアーサーら2勝をあげ、複勝率71.4%。2番人気馬も昨年のファインニードルら2勝をあげ、連対率は71.4%でトップ。3番人気馬も14年コパノリチャードが勝利し、これら1〜3番人気馬はいずれも複勝率71.4%で並んでいる。以下、4・5番人気馬が1勝ずつで、勝ち馬は上位5番人気以内におさまっている。
また、2着馬は8番人気以内、3着馬は10番人気以内におさまっており、11番人気以下の人気薄の激走はなかった。馬連での万馬券は、不良馬場で行われ、2着に8番人気スノードラゴンが激走した14年のみ。堅めの決着が多いものの、昨年10番人気で3着に激走したナックビーナスのようにヒモ荒れとなるケースもある。
■表2 高松宮記念の脚質別成績(過去7年)
脚質 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単勝回収率 | 複勝回収率 |
逃げ | 0- 0- 1- 6/ 7 | 0.0% | 0.0% | 14.3% | 0% | 175% |
先行 | 5- 2- 2- 19/ 28 | 17.9% | 25.0% | 32.1% | 109% | 72% |
差し | 2- 4- 4- 46/ 56 | 3.6% | 10.7% | 17.9% | 12% | 41% |
追い込み | 0- 1- 0- 33/ 34 | 0.0% | 2.9% | 2.9% | 0% | 10% |
続いて表2は高松宮記念における脚質別成績。先行した馬が一昨年のセイウンコウセイら5勝をあげ、連対率25.0%・複勝率32.1%でトップだ。差し馬は昨年のファインニードルら2勝をあげ、3着以内数は10頭と最も多い。これら先行もしくは差し馬が中心といえる。
なお、逃げた馬は13年ハクサンムーンの3着1回で連対なし、追い込み馬も14年スノードラゴンの2着1回のみとどちらも厳しい。
■表3 高松宮記念の前走レース別成績(過去7年)
前走レース名 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単勝回収率 | 複勝回収率 |
シルクロードS | 3- 1- 2-12/18 | 16.7% | 22.2% | 33.3% | 100% | 60% |
阪急杯 | 2- 2- 1-28/33 | 6.1% | 12.1% | 15.2% | 27% | 27% |
オーシャンS | 1- 2- 3-41/47 | 2.1% | 6.4% | 12.8% | 8% | 66% |
チェアマンズS | 1- 0- 0- 0/ 1 | 100.0% | 100.0% | 100.0% | 650% | 260% |
フェブラリーS | 0- 1- 0- 4/ 5 | 0.0% | 20.0% | 20.0% | 0% | 44% |
京都牝馬S | 0- 1- 0- 3/ 4 | 0.0% | 25.0% | 25.0% | 0% | 45% |
香港スプリント | 0- 0- 1- 0/ 1 | 0.0% | 0.0% | 100.0% | 0% | 160% |
その他のレース | 0- 0- 0-16/16 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0% | 0% |
表3は前走レース別成績。出走数が多いのは表の上位3レースだが、特に黄色で強調したシルクロードS組に注目。16年ビッグアーサー、一昨年セイウンコウセイ、昨年ファインニードルと近3年続けて勝利、15年を除いて毎年1頭ずつ3着以内馬を出しており、複勝率33.3%は阪急杯組・オーシャンS組を大きく上回っている。
阪急杯組は14年コパノリチャードら2勝も、近2年は3着以内馬が出ていない。出走数最多のオーシャンS組は12年カレンチャンの1勝のみだが、複勝回収率では上位3レースの中で最も高い。チェアマンズS組の1勝は15年に勝利した香港馬のエアロヴェロシティだ。なお、フェブラリーS組・京都牝馬S組・香港スプリント組から3着以内に入った馬は過去にG1で勝利した経験があった。
■表4 シルクロードS組の前走着順別成績(過去7年)
前走着順 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単勝回収率 | 複勝回収率 |
前走1着 | 1- 1- 2- 1/ 5 | 20.0% | 40.0% | 80.0% | 110% | 140% |
前走2着 | 1- 0- 0- 3/ 4 | 25.0% | 25.0% | 25.0% | 217% | 57% |
前走3着 | 0- 0- 0- 0/ 0 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0% | 0% |
前走4着 | 0- 0- 0- 1/ 1 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0% | 0% |
前走5着 | 1- 0- 0- 1/ 2 | 50.0% | 50.0% | 50.0% | 195% | 75% |
前走6〜9着 | 0- 0- 0- 2/ 2 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0% | 0% |
前走10着以下 | 0- 0- 0- 4/ 4 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0% | 0% |
表4はシルクロードS組の前走着順別成績。前走1着だった馬は昨年のファインニードルが勝利し、連対率40%・複勝率80%と高い。前走1着かつ高松宮記念で2番人気以内だった馬は4頭すべて3着以内に入っている。
前走2着馬からは一昨年のセイウンコウセイ、前走5着馬からは16年ビッグアーサーがそれぞれ勝利。ビッグアーサーは前走シルクロードSで1番人気に支持されていた。
■表5 阪急杯組の前走人気別成績(過去7年)
前走人気 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単勝回収率 | 複勝回収率 |
前走1人気 | 1- 2- 0- 2/ 5 | 20.0% | 60.0% | 60.0% | 26% | 84% |
前走2人気 | 1- 0- 0- 4/ 5 | 20.0% | 20.0% | 20.0% | 154% | 52% |
前走3人気 | 0- 0- 0- 2/ 2 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0% | 0% |
前走4人気 | 0- 0- 1- 3/ 4 | 0.0% | 0.0% | 25.0% | 0% | 57% |
前走5人気 | 0- 0- 0- 3/ 3 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0% | 0% |
前走6〜9人 | 0- 0- 0- 8/ 8 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0% | 0% |
前走10番人気以下 | 0- 0- 0- 6/ 6 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0% | 0% |
表5は阪急杯組の前走人気別成績。前走1番人気だった馬は13年ロードカナロアが勝利し、連対率・複勝率60%と優秀だ。前走2番人気からは14年1着コパノリチャード、前走4番人気からは15年3着ミッキーアイルがそれぞれ出ている。
なお、前走5番人気以下だった馬はすべて4着以下と不振傾向にある。
■表6 オーシャンS組の前走着順別成績(過去7年)
前走着順 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単勝回収率 | 複勝回収率 |
前走1着 | 0- 0- 0- 6/ 6 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0% | 0% |
前走2着 | 0- 2- 1- 4/ 7 | 0.0% | 28.6% | 42.9% | 0% | 227% |
前走3着 | 0- 0- 0- 5/ 5 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0% | 0% |
前走4着 | 1- 0- 0- 2/ 3 | 33.3% | 33.3% | 33.3% | 130% | 43% |
前走5着 | 0- 0- 1- 2/ 3 | 0.0% | 0.0% | 33.3% | 0% | 56% |
前走6〜9着 | 0- 0- 1-10/11 | 0.0% | 0.0% | 9.1% | 0% | 111% |
前走10着以下 | 0- 0- 0-12/12 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0% | 0% |
表6はオーシャンS組の前走着順別成績。前走1着だった馬は6頭出走し、すべて4着以下と意外にも苦戦している。対して、前走2着だった馬は昨年のナックビーナスら3頭が3着以内に入り、複勝率42.9%と優秀だ。また、前走4着馬からは12年1着カレンチャン、前走5着・9着からも1頭ずつ3着に巻き返した馬が出ている。近年の傾向からオーシャンS組は前走勝ち馬よりも敗退組の方が妙味アリといえる。
■表7 高松宮記念で6番人気以下で好走した馬の前走成績(過去7年)
開催年 | 馬名 | 人気 | 着順 | 前走成績 |
2018 | ナックビーナス | 10 | 3 | オーシャンS 2着 |
2015 | ハクサンムーン | 6 | 2 | オーシャンS 2着 |
2014 | スノードラゴン | 8 | 2 | オーシャンS 2着 |
2013 | ハクサンムーン | 10 | 3 | オーシャンS 9着 |
最後に表7は高松宮記念において6番人気以下で好走した馬の前走成績。4頭すべて前走オーシャンS組で、そのうちの3頭は前走で2着に入っていた。昨年3着のナックビーナスを含むこの3頭は、前走オーシャンSで2着と好走していたにもかかわらず本番の高松宮記念では人気薄だったわけだ。
また、ハクサンムーンが13年に3着、15年に2着となっているほか、ロードカナロア(12年3着・13年1着)、レッツゴードンキ(一昨年・昨年とも2着)、ミッキーアイル(15年3着・16年2着)と計4頭が複数年にわたって好走している。近年の傾向としては、過去の好走馬が再度好走しやすいリピーター傾向があるレースといえそうだ。
<結論>
■表8 今年の高松宮記念の出走予定馬(3/20時点)
馬名 | 性齢 | 前走成績 |
モズスーパーフレア | 牝4 | オーシャンS 1着 |
レッツゴードンキ | 牝7 | 阪急杯 2着 |
セイウンコウセイ | 牡6 | シルクロードS 15着 |
スノードラゴン | 牡11 | オーシャンS 15着 |
ラブカンプー | 牝4 | オーシャンS 16着 |
ダノンスマッシュ | 牡4 | シルクロードS 1着 |
ダイメイプリンセス | 牝6 | オーシャンS 10着 |
ナックビーナス | 牝6 | オーシャンS 2着 |
ロジクライ | 牡6 | 阪急杯 3着 |
アレスバローズ | 牡7 | シルクロードS 5着 |
デアレガーロ | 牝5 | 京都牝馬S 1着 |
ティーハーフ | 牡9 | シルクロードS 3着 |
ヒルノデイバロー | 牡8 | 阪急杯 13着 |
ショウナンアンセム | 牡6 | オーシャンS 5着 |
ラインスピリット | 牡8 | 阪急杯 8着 |
ミスターメロディ | 牡4 | 阪急杯 7着 |
ダイメイフジ | 牡5 | オーシャンS 3着 |
キングハート | 牡6 | オーシャンS 9着 |
ペイシャフェリシタ | 牝6 | オーシャンS 4着 |
グランドボヌール | 牡5 | トリトンS 1着 |
カイザーメランジェ | 牡4 | オーシャンS 11着 |
フミノムーン | 牡7 | シルクロードS 16着 |
※フルゲート18頭。キングハート、ペイシャフェリシタは抽選対象。
グランドボヌール以下は除外対象。
今年の出走予定馬は表8のとおり。
1番人気に推されそうなのが京阪杯、シルクロードSと重賞連勝中のダノンスマッシュ。父は13年に高松宮記念を優勝しているロードカナロアで父子制覇がかかるが、過去の戦績を見ると左回りでは新馬戦2着、ファルコンSとNHKマイルCがともに7着と勝利していない。前走シルクロードS1着なので近年のデータからは3着以内に入る公算は高いが、不安があるとすれば左回りでの走りだろう。
前走オーシャンSを好時計で逃げ切ったモズスーパーフレアも上位人気は確実だろう。ただし、近年の高松宮記念で逃げ馬が不振であること、オーシャンS勝ち馬がいずれも4着以下に敗れていることもマイナス材料だ。昨秋から中山芝1200mで3勝をあげており、同コースへの適性が非常に高い半面、中京では過去2戦して8着、5着と勝てていないのも今回に向けては不安な点として挙げられる。
これら上位人気候補の2頭を昨春のファルコンSで破っているのがミスターメロディ。それも初めての芝のレースで、2着に0秒2差をつける快勝だった。前走阪急杯は7着に敗れたものの、そこで1番人気だったのは近年の傾向からプラス材料。勝利実績がある中京コースに替わって、一変を期待したい。
また、前走オーシャンS2着のナックビーナスもデータから推奨したい。昨夏のキーンランドCでは2着ダノンスマッシュに2馬身半差をつける快勝。前走オーシャンS2着も好相性だ。昨年の3着馬で、リピーター傾向のあるレースだという点を考えると、今年も再び好走する可能性は十分にあるだろう。
リピーター傾向という点からは、一昨年、昨年と2年続けて2着のレッツゴードンキもいるが、ほとんど好走例がない7歳というのが引っかかる。
ライタープロフィール
ケンタロウ(けんたろう)
1978年6月、鹿児島県生まれ。早稲田大学社会科学部卒業。初めて買った馬券が大当たりし、それから競馬にのめり込むように。データでは、開催日の馬場やコース適性に注目している。好きなタイプは逃げか追い込み。馬券は1着にこだわった単勝、馬単派。料理研究家ではない。