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第1290回 無敗の2歳王者が始動! 共同通信杯を展望する

2019/2/7(木)

今回は3歳重賞の共同通信杯を読み解いていく。なんといっても注目は、ここから始動する2歳王者のアドマイヤマーズ。無傷の5連勝を飾り、クラシック本番へと弾みをつけるのか。それとも、初めて土をつける馬は現れるのか。過去10年のデータから今年のレースを展望してみたい。データの分析には、JRA-VAN DataLab.TARGET frontier JVを利用した。

■表1 人気別成績

人気 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回率 複回率
1番人気 2-  2-  2-  4/ 10 20.0% 40.0% 60.0% 50% 70%
2番人気 2-  3-  1-  4/ 10 20.0% 50.0% 60.0% 72% 83%
3番人気 3-  2-  2-  3/ 10 30.0% 50.0% 70.0% 184% 140%
4番人気 1-  0-  1-  8/ 10 10.0% 10.0% 20.0% 56% 47%
5番人気 0-  1-  1-  8/ 10 0.0% 10.0% 20.0% 0% 76%
6番人気 2-  2-  0-  6/ 10 20.0% 40.0% 40.0% 362% 157%
7番人気 0-  0-  0- 10/ 10 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%
8番人気 0-  0-  0- 10/ 10 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%
9番人気 0-  0-  2-  8/ 10 0.0% 0.0% 20.0% 0% 140%
10番人気〜 0-  0-  1- 30/ 31 0.0% 0.0% 3.2% 0% 55%

表1は人気別成績。1、2番人気がいずれも複勝率60.0%、3番人気はそれを上回る複勝率70.0%を記録し、合わせて19頭の1〜3着馬を出している。ほぼ毎年1〜3番人気のうち2頭は1〜3着に入っている計算で、ここを軽視して馬券を買うのは難しそうだ。続く4〜6番人気からも計8頭が1〜3着に入った一方、7番人気以下から連対した例はなく、3着が3回あるのみ。基本的には上位人気馬が確実に好走を果たすレースと言える。

■表2 斤量別成績(牡馬のみ)

斤量 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回率 複回率
56キロ 8-  9- 10- 79/106 7.5% 16.0% 25.5% 62% 80%
57キロ 2-  1-  0-  9/ 12 16.7% 25.0% 25.0% 52% 27%

表2は斤量別成績。過去10年、牝馬の好走例はなく、今年は出走登録もなかったため、ここでは牡馬のみを集計対象とした。実績を重ねた牡馬は57キロで出走することになるが、56キロと比べて好走率は下がらない。勝率や連対率はむしろ高いぐらいなので、1キロ重い斤量をさほど気にする必要はないだろう。

■表3 前走着順別成績

前走着順 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回率 複回率
前走1着 4- 4- 2-31/41 9.8% 19.5% 24.4% 71% 46%
前走2着 3- 3- 1- 9/16 18.8% 37.5% 43.8% 75% 85%
前走3着 2- 2- 4- 4/12 16.7% 33.3% 66.7% 70% 148%
前走4着〜 0- 1- 3-47/51 0.0% 2.0% 7.8% 0% 63%

表3は前走着順別成績。明確な傾向が出ており、前走で1〜3着に入っていないと好走の確率が著しく下がる。一方、前走4着以下から巻き返した馬は4頭のみ。それらの馬に共通するのは、前走がオープン・重賞だったことと、前々走で1着もしくはオープンで連対していたこと(なお2016年の勝ち馬ディーマジェスティも、前走がホープフルS出走取消、前々走は未勝利戦1着で、このパターンと合致する)。言い換えると、前走条件戦で4着以下だった馬や、過去2走でいずれも凡走に終わった馬は大幅な割引となる。

■表4 前走クラス別成績

前走クラス 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回率 複回率
新馬 1- 1- 0- 4/ 6 16.7% 33.3% 33.3% 101% 76%
未勝利 0- 0- 0-14/14 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%
500万下 1- 2- 2-30/35 2.9% 8.6% 14.3% 38% 36%
オープン特別 3- 3- 2- 8/16 18.8% 37.5% 50.0% 111% 98%
G3 3- 2- 6-21/32 9.4% 15.6% 34.4% 29% 131%
G2 1- 0- 0- 4/ 5 20.0% 20.0% 20.0% 452% 114%
G1 1- 2- 0- 5/ 8 12.5% 37.5% 37.5% 35% 92%

表4は前走クラス別成績。成績がいいのは前走オープン特別組だが、今年は該当する登録馬がいない。そこで重賞から見ていくと、前走がG1〜G3だった馬はいずれも好走率、回収率のどちらか(もしくは両方)が優秀で、前走オープン特別組がいないのであればここから狙っていくのが無難だろう。前走500万下組からは5頭が好走も数値としては微妙で、吟味が必要になる。数値としては前走新馬のほうが高く、こちらを狙う手も考えられる。

■表5 前走新馬戦1着の好走馬

人気 着順 馬名 前走 種牡馬
距離 人気
15年 3 1 リアルスティール 芝1800m 1 ディープインパクト
18年 3 2 サトノソルタス 芝1800m 1 ディープインパクト

今年は前走1着の登録馬が多い。そこでここからは、前走1着から共同通信杯で好走した馬の共通項を、前走クラス別で探っていきたい。

表5は、前走新馬戦1着から好走した馬について共通項をまとめたもの。該当するのは、15年1着のリアルスティールと18年2着のサトノソルタスの2頭で、芝1800mの新馬戦を制した直後ながら3番人気と高い評価を受けていたことで共通する。そして、父はいずれもディープインパクト。このあたりに注目してみたい。

■表6 前走500万下1着の好走馬

人気 着順 馬名 備考
15年 1 2 ドゥラメンテ 過去3走すべて上がり1位
4 3 アンビシャス 過去2走すべて上がり1位
18年 6 1 オウケンムーン 過去3走すべて上がり1位

表6は、前走500万下1着から好走した馬について共通項をまとめたもの。該当するのは15年2着のドゥラメンテと3着のアンビシャス、18年1着のオウケンムーンの3頭で、共通するのはそれまでに出走したレースですべて上がり1位を記録していたことだ。表4の項で確認した通り、この組の好走率はそれほど高くないが、全レースで上がり1位を記録してきたほどの脚力の持ち主なら好走も可能ということだろう。

■表7 前走G2・G3で1着だった出走馬

人気 着順 馬名 前走
距離 距離
11年 1 9 ダノンバラード ラジオNIKKEI杯2歳S・G3 芝2000m
12年 1 2 ディープブリランテ 東京スポーツ杯2歳S・G3 芝1800m
14年 1 1 イスラボニータ 東京スポーツ杯2歳S・G3 芝1800m
16年 2 6 スマートオーディン 東京スポーツ杯2歳S・G3 芝2000m
1 9 ハートレー ホープフルS・G2 芝2000m
18年 1 7 グレイル 京都2歳S・G3 芝2000m

表7は、前走G2・G3で1着だった出走馬をまとめたもの。前走で重賞を勝っているだけに6頭中5頭が1番人気、もう1頭も2番人気と高く評価されているが、結果は【1.1.0.4】と意外に振るわない。そのなかで好走した2頭、12年2着のディープブリランテ、14年1着のイスラボニータの共通項として挙げられるのが、いずれも前走で東京スポーツ杯2歳Sを制していたことだ。このレースは、共同通信杯と同じ東京芝1800mで行なわれる。16年6着のスマートオーディンのように直結しなかった例もあるが、同条件で重賞1着の実績はやはり軽視できない。

一方、東スポ杯以外の重賞で1着だった3頭の前走に注目すると、11年9着のダノンバラードがラジオNIKKEI杯2歳S、16年9着のハートレーがホープフルS、18年7着のグレイルが京都2歳Sと、いずれもコーナー4つの芝2000m重賞。距離の違いに加え、東京芝1800mとはコースレイアウトも大きく異なり、適性の違いが結果に反映されたとも考えられそうだ。

【結論】

2018/12/16 阪神11R 朝日杯フューチュリティS(G1) 1着 6番 アドマイヤマーズ

2019/1/14 京都6R 3歳新馬 1着 4番 ゲバラ

今年は出走登録が8頭と少なく、そのうちシュヴァルツリーゼが熱発のため出走回避を表明するなど、さらに少頭数になる可能性もある。

最初に取り上げるべきは2歳王者のアドマイヤマーズだが、前走G1で1着だった馬の出走は過去10年に1頭もいない。さらに遡ると06年に前走朝日杯FS1着のフサイチリシャールが2着に入った例があり、同馬は新馬戦4着のあと前走まで4連勝。アドマイヤマーズは無傷の4連勝なので、戦績としては上をいっている。ただし、フサイチリシャールが1800mでも2勝を挙げていたのに対して、アドマイヤマーズは4戦すべて1600m。有力な1頭には違いないが、距離に関してはあくまで未知数となる。

実績で続くのは前走の京都2歳S1着のクラージュゲリエだが、共同通信杯には直結していない前走2000m重賞1着に該当する。今年は少頭数戦のため簡単に軽視もできないが、適性面で他馬に上回られる可能性があることは指摘しておきたい。

前走500万下1着に該当するのは2戦2勝のダノンキングリー。新馬戦で上がり1位を記録できなかったのはこの組としては不満だが、前走は圧巻だった。3戦目でさらに上昇してくれば面白い存在になるか。前走新馬戦1着では、ディープインパクト産駒のゲバラに注目してみたい。

ライタープロフィール

出川塁(でがわ るい)

1977年熊本県生まれ。上智大学文学部卒業後、出版社2社で競馬専門誌、競馬書籍の編集に携わり、2007年からフリーライターに。「競馬最強の法則」「サラブレ」「優駿」などへ寄稿するほか、出版社勤務時代を含めて制作に関わった競馬書籍は多数。馬券は単勝派だが、焼肉はタン塩派というわけではない。メインの競馬のほか、サッカーでも密かに活動中。


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