データde出〜た
第1288回 1番人気が大不振! 東京新聞杯を分析する
2019/1/31(木)
今週は日曜日に東京競馬場で東京新聞杯が行われる。今春のヴィクトリアマイルや安田記念を目指す馬たちが集まるG3戦だ。いつものように過去10年のデータを分析し、レースの傾向を探っていくことにする。データの集計・分析にはJRA-VAN DataLab.とTARGET frontier JVを利用した。
■表1 東京新聞杯の人気別成績(過去10年)
人気 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単回収率 | 複回収率 |
1番人気 | 0- 1- 2- 7/ 10 | 0.0% | 10.0% | 30.0% | 0 | 47 |
2番人気 | 2- 0- 2- 6/ 10 | 20.0% | 20.0% | 40.0% | 96 | 68 |
3番人気 | 3- 1- 0- 6/ 10 | 30.0% | 40.0% | 40.0% | 179 | 84 |
4番人気 | 0- 1- 1- 8/ 10 | 0.0% | 10.0% | 20.0% | 0 | 51 |
5番人気 | 3- 3- 1- 3/ 10 | 30.0% | 60.0% | 70.0% | 328 | 211 |
6番人気 | 0- 1- 1- 8/ 10 | 0.0% | 10.0% | 20.0% | 0 | 63 |
7番人気 | 0- 1- 1- 8/ 10 | 0.0% | 10.0% | 20.0% | 0 | 87 |
8番人気 | 2- 0- 0- 8/ 10 | 20.0% | 20.0% | 20.0% | 374 | 92 |
9番人気 | 0- 1- 1- 8/ 10 | 0.0% | 10.0% | 20.0% | 0 | 138 |
10番人気 | 0- 0- 0- 10/ 10 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0 | 0 |
11番人気 | 0- 0- 1- 8/ 9 | 0.0% | 0.0% | 11.1% | 0 | 120 |
12番人気 | 0- 0- 0- 9/ 9 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0 | 0 |
13番人気 | 0- 0- 0- 9/ 9 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0 | 0 |
14番人気 | 0- 0- 0- 9/ 9 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0 | 0 |
15番人気 | 0- 1- 0- 6/ 7 | 0.0% | 14.3% | 14.3% | 0 | 218 |
16番人気 | 0- 0- 0- 7/ 7 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0 | 0 |
まずは人気別成績を見ていくことにする(表1参照)。1番人気の成績が【0.1.2.7】。勝ち鞍がなく、2着もわずか1回で連対率は10%。かなり苦しい成績となっている。ただ、上位人気が軒並み成績不振というわけではない。3番人気や5番人気が3勝を挙げている。1番人気から5番人気までの成績は【8.6.6.30】。勝ち馬が8頭おり、2・3着馬の6割が該当している。中心馬に関しては上位人気から選ぶ方が良さそうだ。
■表2 東京新聞杯の1番人気成績(過去10年)
日付 | 馬名 | 年齢 | 着順 | 着差 | 前走レース名 | 前着 |
180204 | グレーターロンドン | 6 | 9 | 0.4 | ディセン | 3 |
170205 | エアスピネル | 4 | 3 | 0.1 | 京都金杯HG3 | 1 |
160207 | ダッシングブレイズ | 4 | 止 | ---- | リゲルS | 1 |
150208 | フルーキー | 5 | 3 | 0.1 | 京都金杯HG3 | 4 |
140217 | コディーノ | 4 | 4 | 0.2 | 天皇賞秋G1 | 5 |
130203 | ドナウブルー | 5 | 10 | 1 | マイルチG1 | 3 |
120205 | ダノンシャーク | 4 | 5 | 0.5 | 京都金杯HG3 | 2 |
110206 | ダノンヨーヨー | 5 | 7 | 0.3 | マイルチG1 | 2 |
100130 | トライアンフマーチ | 4 | 2 | 0.2 | キャピタ | 1 |
090131 | タマモサポート | 6 | 6 | 0.8 | 京都金杯HG3 | 1 |
1番人気に支持された馬についてもう少し調べてみることにする(表2参照)。昨年はグレーターロンドンが1番人気で9着に敗れた。しかし、同馬はこの年の夏に、中京記念をレコードで制した。東京新聞杯での敗因は、力がなかったわけでも、左回りのマイル戦が苦手だったわけでもない。そのほかの馬を見てみると、エアスピネルやダノンシャーク、ダノンヨーヨーなどの名前がある。いずれもマイルG1で勝ち負けができた実力馬だ。ダッシングブレイズは不運な競走中止によるものだし、力を出し切れずに敗れているケースが多いと言えるだろう。
また、1番人気になるような馬は前走好着順であるケースがほとんどだ。前走1、2着馬が多い。G1で3着や5着に善戦していた馬もおり、人気を集めるのも当然と言える。しかし、実際には2010年のトライアンフマーチ2着が最高着順。同馬は前走オープン特別のキャピタルSを使われ、勝利していた。また、3歳時には皐月賞で2着に好走しており、格上実績馬ではあった。
■表3 東京新聞杯出走馬の前走着順別成績(過去10年)
前入線順位 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単回収率 | 複回収率 |
前走1着 | 3- 3- 1- 19/ 26 | 11.5% | 23.1% | 26.9% | 85 | 65 |
前走2着 | 2- 1- 2- 9/ 14 | 14.3% | 21.4% | 35.7% | 165 | 94 |
前走3着 | 0- 0- 2- 11/ 13 | 0.0% | 0.0% | 15.4% | 0 | 46 |
前走4着 | 0- 0- 1- 7/ 8 | 0.0% | 0.0% | 12.5% | 0 | 22 |
前走5着 | 2- 2- 2- 9/ 15 | 13.3% | 26.7% | 40.0% | 98 | 106 |
前走6〜9着 | 3- 3- 1- 28/ 35 | 8.6% | 17.1% | 20.0% | 107 | 137 |
前走10着〜 | 0- 1- 1- 37/ 39 | 0.0% | 2.6% | 5.1% | 0 | 21 |
前走着順に関するデータをもう少し見ていくことにする。1番人気に限らず、全馬を対象として調べた(表3参照)。前走好着順の馬は、それほど不振ではなかった。特に前走2着馬はよく、勝率14.3%、単勝回収率165%の好成績だ。前走1着馬も総合的には【3.3.1.19】という成績で悪くなかった。一方、前走3着・4着馬は連対がなかった。しかし、前走5着馬が【2.2.2.9】の好成績。連対率は26.7%、複勝率は40%で優秀だった。
また、前走6〜9着馬が【3.3.1.28】でまずまずの成績。回収率は単・複ともに100%を超えており、狙い目としては面白い。着順があまり良くない馬の巻き返しを考える場合は、このあたりがターゲットになる。前走10着以下の馬は【0.1.1.37】で、大きく成績が落ちてしまう。二けた着順に敗れていた馬は割り引きが必要だろう。
■表4 東京新聞杯出走馬の前走着差別成績(過去10年)
前走着差 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単回収率 | 複回収率 |
勝2.0〜 | 0- 0- 0- 0/ 0 | |||||
勝1.0〜1.9 | 0- 0- 0- 0/ 0 | |||||
勝0.6〜0.9 | 0- 0- 0- 0/ 0 | |||||
勝0.3〜0.5 | 0- 1- 0- 1/ 2 | 0.0% | 50.0% | 50.0% | 0 | 150 |
勝0.1〜0.2 | 1- 2- 0- 9/ 12 | 8.3% | 25.0% | 25.0% | 97 | 72 |
勝0.0 | 2- 0- 1- 9/ 12 | 16.7% | 16.7% | 25.0% | 87 | 43 |
負0.0 | 1- 1- 1- 5/ 8 | 12.5% | 25.0% | 37.5% | 80 | 91 |
負0.1〜0.2 | 1- 1- 2- 16/ 20 | 5.0% | 10.0% | 20.0% | 48 | 62 |
負0.3〜0.5 | 5- 3- 3- 26/ 37 | 13.5% | 21.6% | 29.7% | 160 | 115 |
負0.6〜0.9 | 0- 1- 3- 24/ 28 | 0.0% | 3.6% | 14.3% | 0 | 101 |
負1.0〜1.9 | 0- 1- 0- 26/ 27 | 0.0% | 3.7% | 3.7% | 0 | 8 |
負2.0〜2.9 | 0- 0- 0- 1/ 1 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0 | 0 |
負3.0〜3.9 | 0- 0- 0- 1/ 1 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0 | 0 |
負4.0〜 | 0- 0- 0- 2/ 2 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0 | 0 |
前走着順だけでなく、前走着差についても調べておくことにした(表4参照)。注目すべき点は前走勝っている馬よりも、前走で負けている馬になる。前走0.3秒から0.5秒差で負けている馬は出走が最も多く、【5.3.3.26】という成績。勝率13.5%、連対率21.6%、複勝率29.7%はなかなかの成績だ。タイム差なしで負けていた馬に近い好走率を誇っている。0.6秒以上離されて負けていた馬が勝ったケースはなく、好走率も大きく下がることがわかる。着順の傾向とリンクするのは自然で、着差が大きく開いていた馬もよくない。
■表5 東京新聞杯出走馬の前走クラス別成績(過去10年)
前走クラス | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単回収率 | 複回収率 |
1600万下 | 2- 0- 0- 7/ 9 | 22.2% | 22.2% | 22.2% | 196 | 77 |
OPEN特別 | 2- 6- 2- 36/ 46 | 4.3% | 17.4% | 21.7% | 46 | 104 |
G3 | 1- 3- 4- 42/ 50 | 2.0% | 8.0% | 16.0% | 12 | 33 |
G2 | 1- 0- 3- 16/ 20 | 5.0% | 5.0% | 20.0% | 25 | 82 |
G1 | 4- 1- 1- 17/ 23 | 17.4% | 21.7% | 26.1% | 205 | 96 |
最後に前走クラス別成績をチェックしておくことにする(表5参照)。どのクラスからも勝ち馬が出ているが、前走G1組の成績がいい。4頭の勝ち馬が出ており、その内3頭が前走エリザベス女王杯を使っていた牝馬。昨年優勝のリスグラシューらがいる。前走G2やG3組はあまり成績が良くない。前走オープン特別組の方が、連対率や複勝率で勝る。具体的にはニューイヤーSやキャピタルS組が好ステップだ。
前走1600万クラス組からも勝ち馬が2頭出ている。出走頭数は9頭と少ないが、勝率と連対率はG1組を上回る。15年にはヴァンセンヌがここで重賞初制覇を飾り、同年の安田記念では2着に好走した。将来有望な上がり馬がいれば積極的に狙ってみるのもいいだろう。
【結論】
それでは今年の東京新聞杯を占っていくことにする。出走予定馬は表6の通りだ。
■表6 今年の東京新聞杯出走予定馬
馬名 | 年齢 | 前走レース | 前着 | 着差 |
インディチャンプ | 4 | 元町S1600 | 1 | -0.5 |
グァンチャーレ | 7 | 京都金杯HG3 | 6 | 0.3 |
ゴールドサーベラス | 7 | 京都金杯HG3 | 9 | 0.4 |
サトノアレス | 5 | 阪神カッG2 | 15 | 2.5 |
ショウナンアンセム | 6 | ニューイ | 10 | 0.8 |
ジャンダルム | 4 | マイルチG1 | 16 | 0.7 |
ストーミーシー | 6 | ニューイ | 7 | 0.7 |
タワーオブロンドン | 4 | キャピタ | 2 | 0 |
テトラドラクマ | 4 | オーロカH | 6 | 0.5 |
ヤングマンパワー | 7 | 中山金杯HG3 | 16 | 2.1 |
リライアブルエース | 6 | 京都金杯HG3 | 12 | 0.5 |
レアリスタ | 7 | 毎日王冠G2 | 13 | 3.3 |
レイエンダ | 4 | チャレンG3 | 6 | 1 |
レッドオルガ | 5 | ターコイHG3 | 6 | 0.3 |
ロードクエスト | 6 | 京都金杯HG3 | 13 | 0.5 |
ロジクライ | 6 | マイルチG1 | 14 | 0.6 |
フルゲートには満たない16頭の登録だったが、興味深いメンバーが揃った。藤沢和雄厩舎所属の3頭、タワーオブロンドンとレイエンダ、サトノアレスは実績馬で注目。上がり馬のインディチャンプに、前年の富士Sを勝っているロジクライあたりも人気を集めそうだ。ただ、具体的にどの馬が1番人気になるかはわからない。
データ的には1番人気が大不振であり、今年はどの馬になるかは気になるところだ。ただ、1番人気馬が明確に不利だという根拠はなく、無条件に軽視するわけにもいかない。
ひとまず前走レース・前走着順・前走着差から有力候補の馬を考えてみたい。前走G1組はジャンダルムとロジクライだが、ともに二けた着順に終わっている。着差を見れば巻き返しがあっても全くおかしくないのだが、データ的には推しにくい。
前走G2組やG3組は頭数が多い。京都金杯で6〜9着に入り、着差も0.5秒差以内のグァンチャーレとゴールドサーベラスは要注意だろうか。ターコイズS6着(0.3秒差)のレッドオルガもマークしたい。前走オープン特別組ではキャピタルS2着のタワーオブロンドンが有力になるだろう。
前走1600万クラス組ではインディチャンプが注目株。3歳時に毎日杯でブラストワンピースとギベオンに続く3着と好走。本馬も重賞を勝てる潜在能力がありそうだ。目下、有松特別→元町Sと連勝中。勢い十分の上がり馬で、どんなレースをするか非常に楽しみだ。
ライタープロフィール
小田原智大(おだわら ともひろ)
1975年6月、東京生まれ。早稲田大学商学部卒業後、業界紙記者を経て、(株)レイヤード入社。ライター&エディターとして活躍。JRA-VANデータの配信初期から、いち早くデータ競馬の有効性に着目する。05年5月より「競馬 最強の法則WEB」にて、障害戦を除く全重賞レースの傾向と対策、予想を展開。「オッズパーク ダートグレードデータ作戦」では、地方競馬の重賞の攻略にも取り組んでいる。仕事の関係でなかなか競馬場には行けなくなったが、年に1、2回行くローカル遠征が楽しみ。