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第1286回 近年の傾向から読み解くシルクロードSの狙い目は?

2019/1/24(木)

今週から関東での開催は東京へと舞台を移すが、関西では京都開催が連続開催で行われる。日曜の京都メインは芝1200mのハンデ重賞、シルクロードS。昨年はファインニードルが勝利し、後の高松宮記念、スプリンターズS制覇へとつなげている。今回はシルクロードSをピックアップし、2014年以降の近5年のデータから馬券での狙い目を探っていきたい。なお、データ分析にはJRA-VAN DataLab.TARGET frontier JVを利用した。

■表1 シルクロードS近5年の上位3着以内馬一覧

年/馬場 着順 馬名 勝ちタイム 人気 4角通過順 上がり3F 600m通過 レース上がり
2018
(良)
1 ファインニードル 1分8秒3 4 2 33秒9 34秒0 34秒3
2 セイウンコウセイ 2馬身 5 1 34秒6
3 フミノムーン クビ 15 13 33秒4
2017
(良)
1 ダンスディレクター 1分7秒8 3 9 33秒1 33秒9 33秒9
2 セイウンコウセイ クビ 4 3 33秒6
3 セカンドテーブル 1馬身1/2 7 3 33秒9
2016
(稍重)
1 ダンスディレクター 1分7秒9 2 3 33秒3 33秒7 34秒2
2 ローレルベローチェ 1馬身1/2 5 1 34秒4
3 ワキノブレイブ 1馬身1/2 11 6 33秒7
2015
(良)
1 アンバルブライベン 1分7秒9 2 1 34秒0 33秒9 34秒0
2 サドンストーム 3/4馬身 3 11 33秒3
3 セイコーライコウ 1/2馬身 12 14 33秒1
2014
(良)
1 ストレイトガール 1分7秒4 2 2 33秒0 34秒1 33秒3
2 レディオブオペラ 2馬身1/2 1 1 33秒7
3 リトルゲルダ ハナ 13 6 33秒3

まず表1はシルクロードS近5年の3着以内馬一覧。勝ちタイムは14年〜17年までは1分7秒台の決着となっていたが、昨年は1分8秒3とやや時計が掛かっている。前半600mのタイムは例年ほぼ変わっていないので、昨年は上がりが掛かる馬場だったといえそうだ。今年も1回京都開催の芝のレースでは時計が掛かり気味で、今週からBコース替わりとはいえ1分8秒台の決着になるのではないか。

4角通過順では過去5年中4年で4コーナー先頭の馬が馬券に絡んでいる。京都芝1200mコースは上級条件といえども前半のペースが上がりにくく、それだけ前に行った馬に有利に働きやすい。ハナに行けるスピードのある馬には注目しておきたい。

最後に人気順を見ると、1番人気馬は未勝利で14年2着レディオブオペラしか馬券に絡んでいない。ただ、連対馬はすべて5番人気以内にはおさまっている。いっぽう、3着馬はいずれも7番人気以下と人気薄の激走が続いている。10番人気以下が4頭も3着に入っており、下位人気馬とはいえ侮れない傾向を示している。

■表2 シルクロードSの枠番別成績(過去5年)

枠番 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単勝回収率 複勝回収率
1枠 3- 2- 0- 4/ 9 33.3% 55.6% 55.6% 192% 112%
2枠 1- 0- 1- 7/ 9 11.1% 11.1% 22.2% 48% 213%
3枠 0- 0- 1- 8/ 9 0.0% 0.0% 11.1% 0% 137%
4枠 0- 2- 1- 7/10 0.0% 20.0% 30.0% 0% 203%
5枠 1- 0- 0- 9/10 10.0% 10.0% 10.0% 67% 23%
6枠 0- 0- 1- 9/10 0.0% 0.0% 10.0% 0% 40%
7枠 0- 1- 0-10/11 0.0% 9.1% 9.1% 0% 22%
8枠 0- 0- 1-11/12 0.0% 0.0% 8.3% 0% 65%

表2は近5年の枠番別成績。黄色で強調したように最内の1枠に入った馬が昨年のファインニードルら最多の3勝をあげ、勝率33.3%・連対率55.6%と非常に高い。連対した5頭はいずれも上位4番人気以内だったが、それでも複勝回収率は100%を超えている。

複勝回収率では1〜4枠がいずれも100%を超えており、内目の枠から人気薄が激走していることがわかる。逆に外目の5〜8枠はいずれも複勝率10%以下で、複勝回収率でも100%を割っている。1〜4枠の内枠有利の傾向は覚えておきたい。

■表3 シルクロードSの斤量別成績(過去5年)

斤量 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単勝回収率 複勝回収率
51kg 0- 0- 0- 4/ 4 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%
52kg 0- 0- 0- 1/ 1 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%
53kg 0- 0- 1- 6/ 7 0.0% 0.0% 14.3% 0% 177%
54kg 0- 0- 0-22/22 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%
55kg 1- 2- 2- 6/11 9.1% 27.3% 45.5% 47% 316%
55.5kg 1- 0- 0- 0/ 1 100.0% 100.0% 100.0% 440% 180%
56kg 0- 2- 1-15/18 0.0% 11.1% 16.7% 0% 58%
57kg 2- 0- 1- 6/ 9 22.2% 22.2% 33.3% 134% 145%
57.5kg 1- 0- 0- 3/ 4 25.0% 25.0% 25.0% 167% 57%
58kg 0- 1- 0- 1/ 2 0.0% 50.0% 50.0% 0% 185%
58.5kg 0- 0- 0- 1/ 1 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%

表3は斤量別成績。55キロの馬は14年ストレイトガールが勝利し、複勝率45.5%と優秀だ。昨年はフミノムーンが15番人気3着と激走している。また、55.5キロの馬も15年アンバルブライベンが勝利している。55キロ台の馬には要注意だ。

また、57キロの馬は昨年のファインニードルら2勝をあげ、複勝率33.3%と高い。逆に54キロ以下の軽ハンデ馬は14年リトルゲルダ(53キロ)の3着1回のみ。特に54キロの馬はすべて4着以下と苦戦傾向にある。

■表4 シルクロードSの前走レース別成績(過去5年)

前走レース名 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単勝回収率 複勝回収率
阪神カップ 2- 0- 0- 7/ 9 22.2% 22.2% 22.2% 123% 47%
淀短距離S 1- 4- 2-10/17 5.9% 29.4% 41.2% 25% 165%
尾張S 1- 0- 1- 0/ 2 50.0% 50.0% 100.0% 260% 695%
スプリンターズS 1- 0- 0- 5/ 6 16.7% 16.7% 16.7% 128% 55%
京阪杯 0- 1- 0- 5/ 6 0.0% 16.7% 16.7% 0% 61%
ラピスラズリS 0- 0- 1- 6/ 7 0.0% 0.0% 14.3% 0% 111%
スワンS 0- 0- 1- 2/ 3 0.0% 0.0% 33.3% 0% 580%
京都金杯 0- 0- 0- 6/ 6 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%
その他のレース 0- 0- 0-24/24 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%

表4は前走レース別成績。阪神C組が最多の2勝をあげているが、16年・17年連覇のダンスディレクターによるもの。同馬は前走の阪神Cで2・4着。ともに勝ち馬と0秒1差以内と接戦を演じていた。

出走数最多の淀短距離S組は15年アンバルブライベンが勝利し、連対率29.4%・複勝率41.2%と優秀だ。昨年以外の過去4年で3着以内に入っており、今年もチェックしておきたい。尾張S組も好相性だが、現在では条件変更されて今年は該当馬がいない。

他ではスプリンターズS組、京阪杯組から連対馬が出ているが、ともに複勝率16.7%と高くない。3着以内馬の前走はすべて1200〜1400mのレースだった。

■表5 淀短距離S組の前走着順別成績(過去5年)

前走着順 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単勝回収値 複勝回収値
前走1着 0- 3- 0- 1/ 4 0.0% 75.0% 75.0% 0% 197%
前走2着 1- 0- 1- 1/ 3 33.3% 33.3% 66.7% 146% 193%
前走3着 0- 0- 0- 2/ 2 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%
前走4着 0- 0- 0- 1/ 1 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%
前走5着 0- 1- 0- 0/ 1 0.0% 100.0% 100.0% 0% 220%
前走6〜9着 0- 0- 1- 4/ 5 0.0% 0.0% 20.0% 0% 246%
前走10着以下 0- 0- 0- 1/ 1 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%

表5は出走数が多い淀短距離S組の前走着順別成績。黄色で示したように前走で連対している馬が好成績をあげている。前走1着馬は2着3回で連対率75.0%、前走2着馬も15年アンバルブライベンが勝利して複勝率66.7%と、いずれも非常に高い。この組の3着以内馬7頭中5頭が前走連対馬で、ぜひチェックしておきたい

■表6 シルクロードSの前走からの斤量増減別成績(過去5年)

前走斤量 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単勝回収率 複勝回収率
増減無し 3- 2- 1-30/36 8.3% 13.9% 16.7% 48% 48%
前走1着 1- 2- 0- 3/ 6 16.7% 50.0% 50.0% 86% 138%
前走2着 1- 0- 1- 1/ 3 33.3% 33.3% 66.7% 146% 200%
今回増 1- 2- 0-10/13 7.7% 23.1% 23.1% 51% 54%
今回1〜1.5kg増 0- 0- 0- 8/ 8 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%
今回2〜2.5kg増 0- 2- 0- 0/ 2 0.0% 100.0% 100.0% 0% 240%
今回減 1- 1- 4-25/31 3.2% 6.5% 19.4% 14% 173%
今回1〜1.5kg減 1- 1- 3-10/15 6.7% 13.3% 33.3% 29% 277%
今回2〜2.5kg減 0- 0- 1-10/11 0.0% 0.0% 9.1% 0% 111%
今回3kg以上減 0- 0- 0- 5/ 5 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%

表6は前走からの斤量増減別成績。増減なし、今回増、今回減の3つに分かれており、それぞれの好走パターンを分類している。まず出走数最多の前走から増減なしの馬は、前走で連対して斤量そのままというケースで好成績を示している。

今回斤量増の馬は一気に2〜2.5キロ増えるケースで2頭とも連対しており、今回斤量減の馬は1〜1.5キロ減るケースに好走馬が集中している。ハンデ戦の場合はJRAのハンデキャッパーによって斤量を決められるが、前走からの増減やその幅によって傾向が大きく違ってくることが面白い要素といえる。

■表7 シルクロードSの種牡馬別成績(過去5年)

種牡馬 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単勝回収率 複勝回収率
アルデバラン2 2- 0- 0- 0/ 2 100.0% 100.0% 100.0% 555% 215%
アドマイヤムーン 1- 2- 1- 3/ 7 14.3% 42.9% 57.1% 110% 384%
フジキセキ 1- 0- 0- 2/ 3 33.3% 33.3% 33.3% 173% 50%
ルールオブロー 1- 0- 0- 0/ 1 100.0% 100.0% 100.0% 440% 180%
サクラバクシンオー 0- 1- 0- 8/ 9 0.0% 11.1% 11.1% 0% 47%
ストーミングホーム 0- 1- 0- 0/ 1 0.0% 100.0% 100.0% 0% 220%
Singspiel 0- 1- 0- 0/ 1 0.0% 100.0% 100.0% 0% 110%
トワイニング 0- 0- 1- 2/ 3 0.0% 0.0% 33.3% 0% 133%
マイネルラヴ 0- 0- 1- 4/ 5 0.0% 0.0% 20.0% 0% 246%
クロフネ 0- 0- 1- 4/ 5 0.0% 0.0% 20.0% 0% 156%
Closing Argument 0- 0- 1- 1/ 2 0.0% 0.0% 50.0% 0% 620%
ディープインパクト 0- 0- 0- 6/ 6 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%
その他の種牡馬 0- 0- 0-35/35 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%

最後に表7は種牡馬別成績。アルデバラン2の産駒成績はダンスディレクターの2勝によるもの。アドマイヤムーン産駒は昨年ファインニードルが勝利し、3着以内を独占している。同産駒はタフで上がりが掛かる芝1200mを得意としており、今年も要注目だ。

他にもルールオブロー、ストーミングホーム、トワイニング、マイネルラヴといったミスタープロスペクター系種牡馬から好走馬が出ており、3着以内馬15頭中10頭を占めている。逆にサンデーサイレンス後継種牡馬の産駒は14年ストレイトガール(フジキセキ産駒)の1勝のみで、ディープインパクト産駒も3着以内馬なしなど苦戦傾向にある。

<結論>

■表8 今年のシルクロードSの出走予定馬(1/23時点)

馬名 性齢/斤量 前走成績 斤量増減
セイウンコウセイ 牡6/58 JBCスプリント 14着 1
ラブカンプー 牝4/54 スプリンターズS 2着 1
ダイメイプリンセス 牝6/55 スプリンターズS 4着 0
アレスバローズ 牡7/57.5 京阪杯 10着 0.5
ダノンスマッシュ 牡4/56.5 京阪杯 1着 1.5
ナインテイルズ 牡8/56 淀短距離S 1着 -1
ノボバカラ 牡7/55 カペラS 15着 -1
ティーハーフ 牡9/57 淀短距離S 3着 -2
キングハート 牡6/56 カーバンクルS 8着 -2
サイタスリーレッド 牡6/57 ジャニュアリーS 6着 -1
ラインスピリット 牡8/56.5 阪神C 10着 -0.5
ペイシャフェリシタ 牝6/54 カーバンクルS 4着 -1
アンヴァル 牝4/53 淀短距離S 2着 -1
トウショウピスト 牡7/55 カーバンクルS 14着 -2
フミノムーン 牡7/54 淀短距離S 8着 -3
ライトフェアリー 牝7/53 タンザナイトS 14着 0
エスティタート 牝6/53 京阪杯 5着 -1
ビップライブリー 牡6/55 淀短距離S 5着 -2
リョーノテソーロ 牡4/54 淀短距離S 6着 -1
コスモドーム 牡8/52 淀短距離S 13着 -4
ユキノアイオロス セン11/51 ルミエールAD 12着 -1
コウエイタケル 牡8/55 淀短距離S 10着 -1
ストーミーシー 牡6/54 ニューイヤーS 7着 -2
カラクレナイ 牝5/54 カーバンクルS 5着 0
※フルゲート18頭。ビップライブリー、リョーノテソーロは抽選対象。
コスモドーム以下は除外対象。

2018/10/7 京都11R 夕刊フジ杯オパールステークス 1着 9番 アンヴァル

今年の出走予定馬は表8のとおり。

人気を集めそうなのは前走京阪杯を勝利しているダノンスマッシュ。前走は内枠に入り好位を追走して抜け出した。ミスプロ系のロードカナロア産駒というのも好材料で、外目の枠に入らなければ今回も勝ち負けできるのではないか。芝短距離界の主役になるためにはぜひとも勝ちたい一戦だろう。

M.デムーロ騎手騎乗で人気になりそうなラブカンプーだが、前走2着と好走したスプリンターズSまで使い詰めで今回一息入ったのがどう出るか。ハンデ54キロも不安材料で、馬体重や当日の気配もチェックしたい。

2019/1/14 京都11R 淀短距離ステークス 1着 10番 ナインテイルズ

これまでのデータから推奨したいのが前走淀短距離Sで連対したナインテイルズアンヴァルの2頭だ。ナインテイルズは2走前の京阪杯で12番人気ながら2着と好走。前走の淀短距離Sは5番人気で見事に差し切り勝ちを決めた。8歳馬だが昨秋から京都芝1200mで安定して力を示しており、今回も高く評価しておきたい。前走から斤量マイナス1キロも好材料だ。

アンヴァルはダノンスマッシュと同じロードカナロア産駒。昨年の前半から夏にかけては不振だったが、3走前のオパールSで復活勝利を果たした。2走前の京阪杯4着、前走の淀短距離S2着と京都芝1200mで安定した成績を残している。前走は差し馬が上位を独占する中で2番手から粘って好走しており、今回も期待したい。

他では父がミスタープロスペクター系のティーハーフフミノムーンの2頭の追い込みも3着候補の穴として注意しておきたい。

ライタープロフィール

ケンタロウ(けんたろう)

1978年6月、鹿児島県生まれ。早稲田大学社会科学部卒業。初めて買った馬券が大当たりし、それから競馬にのめり込むように。データでは、開催日の馬場やコース適性に注目している。好きなタイプは逃げか追い込み。馬券は1着にこだわった単勝、馬単派。料理研究家ではない。


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