第1285回 単勝万馬券が出やすい条件とは?
2019/1/21(月)
一口に万馬券といっても馬券の券種によって出現率は異なる。単勝における万馬券はかなり獲るのが難しい部類に入るだろう。そもそもオッズ100倍以上の単勝を買ったことなどない人の方が多いのではないか。とはいえ、実際に単勝万馬券は飛び出しており、先々週の中山・京都では土日(1/12〜13)にかけて3本も発生している。今回は2014年以降のデータから単勝万馬券が出やすい条件を探っていきたい。なお、データ分析にはJRA-VAN DataLab.とTARGET frontier JVを利用した。
■表1 単勝万馬券の月別本数(2014年1月〜2019年1月13日)
月 | 本数 | 出現率 |
1月 | 14本 | 0.89% |
2月 | 13本 | 0.97% |
3月 | 10本 | 0.65% |
4月 | 19本 | 1.28% |
5月 | 14本 | 0.94% |
6月 | 14本 | 1.08% |
7月 | 10本 | 0.61% |
8月 | 13本 | 0.81% |
9月 | 6本 | 0.49% |
10月 | 14本 | 0.92% |
11月 | 6本 | 0.42% |
12月 | 13本 | 0.93% |
1〜3月 | 37本 | 0.83% |
4〜6月 | 47本 | 1.10% |
7〜9月 | 29本 | 0.65% |
10〜12月 | 33本 | 0.76% |
まず表1は単勝万馬券の月別本数と、その月の単勝万馬券出現率をまとめている。黄色で強調したように4月が19本と最も多く、出現率でも1.28%でトップとなっている。出現率では6月が1.08%と4月に次いで高い。下部に示した3か月ごとの本数でも4〜6月にかけて47本で最多となっており、気温が上がる春〜夏にかけて割合も増えていることがわかる。
全体的に見ても一年の前半の方が多く飛び出しており、後半の9・11月はそれぞれ6本と少ない。
■表2 単勝万馬券のクラス別本数(2014年1月〜2019年1月13日)
クラス | 本数 | 出現率 |
新馬 | 9本 | 0.62% |
未勝利 | 74本 | 1.19% |
500万下 | 35本 | 0.66% |
1000万下 | 10本 | 0.46% |
1600万下 | 13本 | 1.44% |
オープン特別 | 1本 | 0.13% |
G3 | 2本 | 0.54% |
G2 | 1本 | 0.51% |
G1 | 1本 | 0.78% |
続いて表2はクラス別本数。単勝万馬券の総数146本のうち、未勝利戦が半数を超える74本を占めている。一度も勝利経験がない馬が集まった未勝利戦ではコース替わりや芝からダート替わりなどの条件によって前走大敗から一変するケースも少なくない。
表1で示した一年の前半に単勝万馬券が多いというのも、未勝利戦の数が多いことが大きな要因として挙げられる。また、気温の上昇によって体調が上向く場合やローカル開催で展開に恵まれるケースもあるのだろう。
ただし、出現率で未勝利戦を大きく上回るのが1600万下のレースだ。1600万下の13本のうち、ハンデ戦から6本出ている。先日(1/12)の中山ダート1200mの初春Sでも横山典弘騎手騎乗の11番人気モアニケアラが豪快な差し切り勝ちで、単勝1万1580円の万馬券となった。このレースではルメール騎手のイーグルバローズが1.4倍の1番人気で6着と敗れており、3連単では100万円以上の波乱となっている。
単勝万馬券が飛び出す上で「断然の1番人気が敗れる」ということが非常に重要なファクターといえるだろう。
■表3 単勝万馬券のコース別本数(2014年1月〜2019年1月13日)
コース | 本数 | 出現率 |
東京ダ1600m | 10本 | 1.83% |
阪神ダ1800m | 9本 | 1.63% |
京都ダ1800m | 8本 | 1.40% |
中山ダ1800m | 7本 | 1.04% |
東京ダ1400m | 6本 | 1.26% |
小倉芝1200m | 5本 | 1.39% |
表3は単勝万馬券のコース別本数。上位5位まではダートが占めており、その中でも東京ダート1600m戦から最多の10本が出ている。出現率でも1.83%と高い。
2〜4位は東京以外の主要3場のダート1800m戦。短距離より中距離の1600m〜1800mの方が単勝100倍を超える超人気薄の激走が多いことがわかる。
芝では小倉1200m戦が最多の5本で、そのうち2〜3歳戦が4本。ペースが速くなりやすいコースで、前崩れとなることが多いのも大きな要因だろう。
■表4 単勝万馬券の騎手別本数(2014年1月〜2019年1月13日)
騎手 | 本数 |
丸山元気 | 6本 |
木幡初也 | 5本 |
松若風馬 | 4本 |
井上敏樹 | 4本 |
岩崎翼 | 4本 |
松山弘平 | 4本 |
武士沢友 | 4本 |
古川吉洋 | 4本 |
表4は単勝万馬券の騎手別本数。丸山元気騎手が最多の6本を生み出しており、そのうち昨年が3本と多い。昨秋の東京ダート1600m戦の西湖特別でも14番人気メイショウカマクラに騎乗して、2番手から抜け出して勝利。1万1680円の単勝万馬券となっている。丸山騎手の場合は6本中5本が条件戦での勝利で、注意しておきたい。
他では木幡初也騎手が5回で続き、松若・井上・岩崎・松山騎手などが4回となっているが、丸山騎手を含めて表の8名のうち6名が20代の騎手だった。減量特権の恩恵もあり、腕のある若い騎手には注目しておきたい。
■表5 単勝万馬券となった東京ダート1600m戦勝ち馬の前走コース別本数(2014年1月〜2019年1月13日)
前走コース | 本数 |
東京ダ1600m | 3本 |
福島ダ1700m | 2本 |
中山ダ1800m | 2本 |
中山芝1600m | 1本 |
京都ダ1800m | 1本 |
最後に表5は単勝万馬券出現数が最も多かった東京ダート1600m戦で、該当馬の前走コース別本数。3本と最も多かったのが前走も東京ダート1600m戦だったケース(前走で競走除外となっていた例を含む。ちなみに除外前のレースは中山ダート1800mだった)。それ以外も同距離か距離短縮の馬で、前走から距離延長の馬はいなかった。14年フェブラリーSにおいて16番人気(単勝2万7210円)で勝利したコパノリッキーは前走中山ダート1800mのフェアウェルS9着からの臨戦だった。
これは東京ダート1600m戦全般にもいえる傾向で、前走からの距離増減別成績(2014年〜2018年)は、同距離組(複勝率27.0%)、距離短縮組(複勝率19.7%)、距離延長組(複勝率11.7%)の順となっている。今週から始まる東京開催を予想するにあたって、ぜひ覚えておきたい。
ライタープロフィール
ケンタロウ(けんたろう)
1978年6月、鹿児島県生まれ。早稲田大学社会科学部卒業。初めて買った馬券が大当たりし、それから競馬にのめり込むように。データでは、開催日の馬場やコース適性に注目している。好きなタイプは逃げか追い込み。馬券は1着にこだわった単勝、馬単派。料理研究家ではない。