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第1284回 JRAダート重賞開幕戦を飾る馬は? 東海Sを分析する

2019/1/17(木)

ダートG1・フェブラリーSへ向けたステップレース、東海S。以前は同時期に京都でG3の平安Sが行われていたが、2013年からはG2の本競走がその役割を担うようになり、今年で7回目を迎える。そこで今回は、本競走が1月開催になった過去6回における傾向を見ていきたい。データの分析には、JRA-VAN DataLab.TARGET frontier JV馬天楼 for データde出〜たを利用した。

■表1 人気別成績

人気 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回収 複回収
1 4-0-2-0/6 66.7% 66.7% 100.0% 133% 125%
2 0-1-0-5/6 0.0% 16.7% 16.7% 0% 25%
3 0-1-1-4/6 0.0% 16.7% 33.3% 0% 63%
4 2-0-0-4/6 33.3% 33.3% 33.3% 221% 61%
5 0-0-0-6/6 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%
6 0-0-1-5/6 0.0% 0.0% 16.7% 0% 53%
7 0-0-0-6/6 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%
8 0-1-1-4/6 0.0% 16.7% 33.3% 0% 153%
9 0-1-0-5/6 0.0% 16.7% 16.7% 0% 85%
10 0-0-1-5/6 0.0% 0.0% 16.7% 0% 151%
11〜 0-2-0-28/30 0.0% 6.7% 6.7% 0% 71%
1〜4 6-2-3-13/24 25.0% 33.3% 45.8% 88% 68%
5〜7 0-0-1-17/18 0.0% 0.0% 5.6% 0% 17%
8〜16 0-4-2-42/48 0.0% 8.3% 12.5% 0% 93%

2018/1/21 中京11R 東海テレビ杯東海ステークス(G2) 1着 8番 テイエムジンソク

1番人気は【4.0.2.0】で複勝率100%。13年3着後に2連勝、16年3着後に2連勝ときており、もしこの順番通りなら今年は3着になってしまうが、3連複の軸馬としてなら信頼性は非常に高い。残る2頭の優勝馬は4番人気で、5番人気以下は好走しても2着までに終わっている。中でも5〜7番人気は【0.0.1.17】と、馬券に絡んだのは昨年6番人気3着のモルトベーネ1頭のみ。穴なら8番人気以下を狙ったほうがおもしろい。ここ2年の2〜3着馬4頭のうち、そのモルトベーネ以外の3頭は2桁人気馬だ。

■表2 枠番別成績

枠番 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回収 複回収 1〜4番人気 同複勝率
1枠 0-0-0-10/10 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0% 0-0-0-3/3 0.0%
2枠 0-1-2-7/10 0.0% 10.0% 30.0% 0% 199% 0-0-0-1/1 0.0%
3枠 0-1-2-8/11 0.0% 9.1% 27.3% 0% 116% 0-0-2-1/3 66.7%
4枠 3-0-0-8/11 27.3% 27.3% 27.3% 58% 34% 3-0-0-0/3 100.0%
5枠 1-1-1-9/12 8.3% 16.7% 25.0% 55% 59% 1-0-1-5/7 28.6%
6枠 0-1-0-11/12 0.0% 8.3% 8.3% 0% 16% 0-1-0-3/4 25.0%
7枠 1-1-1-9/12 8.3% 16.7% 25.0% 13% 97% 1-1-0-0/2 100.0%
8枠 1-1-0-10/12 8.3% 16.7% 16.7% 55% 59% 1-0-0-0/1 100.0%

枠番別では、4枠の3勝など優勝馬6頭は4〜8枠。表1で好走馬の多かった1〜4番人気馬でも、1〜3枠に入った7頭はすべて連対を外している。ただ、2、3枠は複勝回収率が100%を突破。1着候補や、人気馬の連対候補としては危険でも、3連単の相手候補などからは外したくない印象だ。1枠だけは減点材料としたい。

■表3 年齢別成績

年齢 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回収 複回収 1〜4番人気 同複勝率
4歳 1-0-1-10/12 8.3% 8.3% 16.7% 21% 20% 1-0-1-2/4 50.0%
5歳 3-3-3-10/19 15.8% 31.6% 47.4% 83% 190% 3-1-2-0/6 100.0%
6歳 1-0-2-24/27 3.7% 3.7% 11.1% 4% 49% 1-0-0-9/10 10.0%
7歳 1-2-0-18/21 4.8% 14.3% 14.3% 7% 34% 1-1-0-2/4 50.0%
8歳 0-1-0-7/8 0.0% 12.5% 12.5% 0% 63% 0-0-0-0 0.0%
9歳以上 0-0-0-3/3 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0% 0-0-0-0 0.0%

続いて年齢別の成績を見ると、5歳馬が【3.3.3.10】で複勝率47.4%などの好成績をマーク。毎年少なくとも1頭は馬券に絡み、14年以外の5回で連対を確保している。表の右に記したように、4番人気以内に推された5歳馬は複勝率100%。その一方で、17年はモルトベーネが12番人気2着、昨年はコスモカナディアンが13番人気2着と、ここ2年は穴馬が激走している。
対して、苦戦を強いられているのは6歳馬で【1.0.2.24】。ただ、昨年は1着テイエムジンソク、3着モルトベーネと2頭が好走し、残る1頭の3着馬も一昨年のメイショウウタゲ。好走馬3頭がここ2年に集中しているため、大きな減点は必要なさそうだ。

■表4 前走クラス、レース別成績(レースは好走馬輩出レース)

前走 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回収 複回収 1〜4番人気 同複勝率
1600万下 0-0-1-5/6 0.0% 0.0% 16.7% 0% 85% 0-0-0-1/1 0.0%
OPEN特別 2-2-2-40/46 4.3% 8.7% 13.0% 20% 61% 2-0-1-5/8 37.5%
中央G3 0-2-0-10/12 0.0% 16.7% 16.7% 0% 109% 0-1-0-3/4 25.0%
中央G1 2-1-3-10/16 12.5% 18.8% 37.5% 49% 71% 2-1-2-3/8 62.5%
地方 2-1-0-7/10 20.0% 30.0% 30.0% 41% 67% 2-0-0-1/3 66.7%
東京大賞典 2-1-0-4/7 28.6% 42.9% 42.9% 58% 95% 2-0-0-1/3 66.7%
師走S 1-2-1-9/13 7.7% 23.1% 30.8% 20% 193% 1-0-0-1/1 50.0%
ジャパンCダート 1-1-0-4/6 16.7% 33.3% 33.3% 110% 66% 1-1-0-1/3 66.7%
チャンピオンズC 1-0-3-5/9 11.1% 11.1% 44.4% 14% 82% 1-0-2-2/5 60.0%
ベテルギウスS 1-0-0-11/12 8.3% 8.3% 8.3% 55% 14% 1-0-0-2/3 33.3%
みやこS 0-2-0-4/6 0.0% 33.3% 33.3% 0% 218% 0-1-0-1/2 50.0%
フェアウェルS 0-0-1-4/5 0.0% 0.0% 20.0% 0% 26% 0-0-1-1/2 50.0%
初夢S 0-0-1-2/3 0.0% 0.0% 33.3% 0% 170% 該当なし

前走クラス別では、中央のG1組が複勝率37.5%と安定した結果を残す。好走馬6頭の前走は、13年(本競走としては14年)までのジャパンCダートと、14年以降(同15年以降)のチャンピオンズCだ。また、地方競馬出走組の好走馬3頭はいずれも東京大賞典から。名古屋グランプリ【0.0.0.2】など、他のレースからは好走馬が出ていない。
その他では、好走確率こそ低いものの、オープン特別組が馬券圏内に6頭を送り込んだ。このうち5頭は中山ダート1800mのフェアウェルSと師走Sで、レース名こそ違えども事実上同じレースである。その師走Sは一昨年に12月末から上旬へと移動したが、昨年の本競走ではコスモカナディアンが同レース12着から巻き返して2着に激走した。
なお、同じ中山ダート1800mのオープン特別でも、年明けのポルックスS組は【0.0.0.13】と相性が悪い。また、好走馬のレース間隔は、最長でもみやこS(昨年はJBC開催週が相当)の11月上旬以来。優勝馬6頭はすべて前走12月の出走馬から出ている。

■表5 前走G1からの好走馬

馬名 人気 着順 前走 人気 着順 備考
2013 ナムラタイタン 8 2 東京大賞典 7 4 東京大賞典最先着馬
2014 ニホンピロアワーズ 1 1 3 3
2015 コパノリッキー 1 1 2 2
2013 グレープブランデー 4 1 ジャパンCダート 11 5 JCダート最先着馬(※)
2014 グランドシチー 3 2 15 6
2015 インカンテーション 3 3 チャンピオンズC 4 10 左回りダート【5.0.1.2】
2016 ロワジャルダン 1 3 8 4 チャンピオンズC最先着馬
2018 テイエムジンソク 1 1 1 2
モルトベーネ 6 3 13 13 前年東海S2着
※:ジャパンCダート〜本競走間に1走挟んだ馬は除く

表5は、中央、地方を問わず前走でG1に出走していた好走馬9頭である。このうち7頭に共通するのは、前走で今回のメンバー中、最先着(対象は各レースからの直行馬のみ)を果たしていたことだ。東京大賞典組なら「4着以内で最先着」だった馬は【2.1.0.0】、その他の馬は【0.0.0.4】。ジャパンCダートとチャンピオンズC組は、最先着馬なら【2.1.1.2】、その他の馬は【0.0.2.7】となる。
残る好走馬2頭のうち、15年のインカンテーションは左回りダートで【5.0.1.2】の好成績で、うち中京では【2.0.1.1】。そして18年のモルトベーネは前年の本競走2着馬と、最先着馬以外なら、左回りやこのコースでの十分な実績が必要だ。

■表6 前走G1以外からの好走馬

馬名 人気 着順 前走 距離 人気 着順
2013 ホッコータルマエ 1 3 フェアウェルS ダ18 1 2
2014 マイネルバイカ 8 3 初夢S(1600万) ダ18 1 1
2015 グランドシチー 9 2 師走S ダ18 4 4
2016 アスカノロマン 4 1 ベテルギウスS ダ20 3 2
モンドクラッセ 2 2 みやこS ダ18 2 7
2017 グレンツェント 1 1 師走S ダ18 1 1
モルトベーネ 12 2 みやこS ダ18 11 6
メイショウウタゲ 10 3 師走S ダ18 11 4
2018 コスモカナディアン 13 2 師走S ダ18 4 12

最後に表6は、前走G1以外から好走した9頭で、すべて前走は中央のレースである。うち8頭は、前走で本競走と同距離の1800m戦に出走、7頭は前走で4番人気以内に推されていた。この「前走は中央・G1以外」組は、前走4番人気以内なら【2.3.2.14】複勝率33.3%、複勝回収率121%。このうち前走が1800m戦だった馬は【1.3.2.9】で同40.0%、159%になる。前走がG1以外なら、1800m戦で4番人気以内に推されていた馬がまず狙いだ。
なお、前走5番人気以下から好走した2頭、モルトベーネとメイショウウタゲ(ともに17年)は、前走2桁人気ながら6、4着にまとめ、再びここでは2桁人気にとどまった馬だった。前走2桁人気でもまずまずの走りを見せた馬がいれば、穴候補として注目したい。

【結論】

2018/11/4 京都12R JBCレディスクラシック(Jpn1) 1着 16番 アンジュデジール

表4、5から、まずは前走G1最先着馬に注目したい一戦だ。今回の登録馬中、チャンピオンズCの最先着馬はアンジュデジール(4着)。表3で好成績の5歳馬という点も強調材料になる。今回4番人気以内(表1)に入るかは微妙なところだが、まず前走G1組の中では筆頭格とみていいだろう。一方、東京大賞典組の登録馬は、次走に川崎記念(1月30日)が予定されているアポロケンタッキー1頭のみ。仮に本競走に出走しても、この組の好走条件である同レース4着以内を満たしていない(10着)。

前走G1以外の組では、観月橋Sのインティ(1番人気1着)と、師走Sのクインズサターン(4番人気3着)が、「中央の1800m戦に出走し4番人気以内」(表6)の条件をクリア。インティは、「5歳」という年齢も強調材料(表3)。加えて5連勝がすべて圧勝という戦歴から、1番人気に推されるようなら心強い(表1)。クインズサターンは来週の根岸Sに向かうと報じられているが、出走してくれば有力な1頭だ。
また、名古屋グランプリを2番人気で制したチュウワウィザードは、前走地方競馬組の好走が東京大賞典出走馬に限られる点はマイナス材料(表4)。ただ、もしこちらが1番人気なら軽視はできない存在になる(表1)。ほかに穴候補として、1800m戦を2桁人気で5着前後にまとめた馬(表6)、カゼノコシャイニービーム、タムロミラクル(想定では回避)の名前を挙げておきたい。

ライタープロフィール

浅田知広(あさだ ともひろ)

1970年12月、埼玉県生まれ。立命館大学文学部中退後、夕刊紙レース部のアルバイト、競馬データベース会社を経て、現在はフリー。パソコンが広く普及する以前から、パソコン通信でデータ手入力方式の競馬予想ソフトを公開するなど、競馬のみならずPCやネットワークにも精通。その知識を活かし、Webや雑誌で競馬ライターとして活躍するかたわら、ネットワークの専門誌にも連載を持つ。


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