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第1267回 2歳500万条件競走(ダート)の狙い方

2018/11/12(月)

ダービー直後からはじまった2歳戦も約5カ月が経過。既に多くの馬が勝ち上がったこの時期は、500万条件のレースも増えてくる。このうち、10月から11月にかけてはまず芝のレースが増え、その後を追うように数を伸ばすのがダート戦だ。本コーナーでは10月に芝のレースについて取り上げたため、今回はダート競馬の季節に向けて「2歳500万・ダート戦」のデータを分析してみたい。データの分析には、JRA-VAN DataLab.TARGET frontier JVを利用し、集計期間は13年から17年の5年間とした。

■表1 前走コース、クラス別成績

コース 前走クラス 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回収 複回収
芝→ダ 5-6-5-124/140 3.6% 7.9% 11.4% 37% 60%
新馬 0-0-0-5/5 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%
未勝利 0-0-1-5/6 0.0% 0.0% 16.7% 0% 38%
500万下 2-2-0-53/57 3.5% 7.0% 7.0% 64% 34%
OPEN特別 1-1-1-38/41 2.4% 4.9% 7.3% 15% 31%
G3 2-2-2-18/24 8.3% 16.7% 25.0% 37% 171%
G2 0-1-1-5/7 0.0% 14.3% 28.6% 0% 122%
ダ→ダ 55-54-55-464/628 8.8% 17.4% 26.1% 106% 83%
新馬 14-14-11-72/111 12.6% 25.2% 35.1% 58% 72%
未勝利 19-20-21-199/259 7.3% 15.1% 23.2% 66% 67%
500万下 19-19-19-169/226 8.4% 16.8% 25.2% 115% 98%
地方 3-1-4-24/32 9.4% 12.5% 25.0% 529% 145%

まず表1は、前走コース・クラス別成績である。前走コース別では、前走もダート戦だった馬(表の下部)のほうが複勝率26.1%などの好成績。特に、ダートの新馬戦に出走していた馬は複勝率35.1%と、3頭に1頭以上は馬券に絡んでいる。ただ、新馬組の回収率は今ひとつ。回収率視点では、500万条件(または数は少ないが地方競馬)に出走していた馬のほうが良い。 一方、芝→ダート替わりで好結果を出すのは、重賞競走に出走していた馬。先日のJBCスプリントで2着になった、マテラスカイ(16年京王杯2歳S9着→寒椿賞2着)などがこのパターンだった。なお、この芝→ダート替わりの好走馬16頭のうち、ダート経験があった馬は6頭のみ(うち、ダート2戦1勝のマテラスカイ以外は、1戦1勝馬)。好走馬の3分の2ほどは、初ダートで好走している。

■表2 キャリア別成績

キャリア 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回収 複回収
1戦 14-15-11-73/113 12.4% 25.7% 35.4% 57% 73%
2戦以上 41-39-44-391/515 8.0% 15.5% 24.1% 117% 85%
2戦 14-9-14-99/136 10.3% 16.9% 27.2% 149% 85%
3戦 12-15-12-102/141 8.5% 19.1% 27.7% 153% 84%
4戦 5-5-7-94/111 4.5% 9.0% 15.3% 63% 59%
5戦 5-5-7-52/69 7.2% 14.5% 24.6% 86% 125%
6戦 1-4-2-22/29 3.4% 17.2% 24.1% 6% 64%
7戦 3-1-0-12/16 18.8% 25.0% 25.0% 116% 91%
8戦 0-0-2-6/8 0.0% 0.0% 25.0% 0% 155%
9戦 1-0-0-4/5 20.0% 20.0% 20.0% 650% 90%

ここからは、表1で好成績だった「ダート→ダート」の馬に絞ったデータを紹介する。表2はキャリア別成績。前述のようにキャリア1戦(=前走新馬戦優勝)馬の好走確率が高いが、回収率は今ひとつ。キャリア2戦以上は好走確率こそやや下がるものの、回収率からすれば、こちらのほうが狙っていきたい印象だ。特にキャリア2〜3戦馬は、好走確率と回収率のバランスが良く、好走馬の実数も多いため狙いやすい

■表3 前走新馬戦出走馬の各条件別成績

条件 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回収 複回収
人気・単オッズ 1〜2人気 9-7-4-17/37 24.3% 43.2% 54.1% 54% 70%
3〜5人気 5-6-5-16/32 15.6% 34.4% 50.0% 139% 107%
6人気〜 0-1-2-39/42 0.0% 2.4% 7.1% 0% 47%
単7.0〜9.9倍 3-4-2-6/15 20.0% 46.7% 60.0% 164% 141%
前走タイム差 勝1.0〜1.9 5-1-0-5/11 45.5% 54.5% 54.5% 180% 94%
勝0.6〜0.9 2-6-3-11/22 9.1% 36.4% 50.0% 20% 77%
勝0.3〜0.5 2-4-1-20/27 7.4% 22.2% 25.9% 37% 37%
勝0.1〜0.2 5-3-4-24/36 13.9% 22.2% 33.3% 83% 87%
勝0.0 0-0-3-11/14 0.0% 0.0% 21.4% 0% 78%
距離 今回延長 3-8-4-36/51 5.9% 21.6% 29.4% 34% 70%
同距離 6-4-7-26/43 14.0% 23.3% 39.5% 74% 79%
今回短縮 5-2-0-10/17 29.4% 41.2% 41.2% 86% 58%
馬体重増減 -19〜-10kg 0-0-0-2/2 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%
-9〜-4kg 1-4-3-14/22 4.5% 22.7% 36.4% 9% 81%
-3〜+3kg 8-2-3-29/42 19.0% 23.8% 31.0% 84% 54%
+4〜+9kg 2-6-3-19/30 6.7% 26.7% 36.7% 29% 68%
+10〜+19kg 3-2-2-7/14 21.4% 35.7% 50.0% 130% 136%
+20kg〜 0-0-0-1/1 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%

2017/10/14 東京9R プラタナス賞 1着 6番 ルヴァンスレーヴ

では、前走クラス別にもう少し細かいデータを見てみたい。まずは、好走確率が高い一方、回収率は今ひとつだった前走新馬組から。人気面では単勝3〜5番人気、単勝オッズでは7倍以上10倍未満あたりが高回収率。好走確率も上位人気馬に見劣らないため、新馬組がこのあたりの人気だったら、ぜひとも注目してほしい。 前走で1秒以上ちぎって勝った馬が良いが、このタイプで好走した6頭中5頭は1番人気。回収率は、5番人気・単勝1330円のプレスティージオ(15年ヤマボウシ賞)1頭に引き上げられた感が強い。その他では、離して勝つよりも、0.1〜0.2秒差(おおむね半馬身〜1馬身半程度)で勝ってきた馬のほうが、回収率は高めの傾向だ。注意したいのは、新馬戦を同タイムの接戦で勝ち上がってきた馬は連対がないことである。 前走からの距離変化では、距離短縮馬の好走確率が高め。ただ、回収率は単勝こそ86%を記録するものの、複勝は50%台にとどまる。そして馬体重では、2桁のプラスだった馬が好成績をマーク。太め残りというより、新馬を勝った後でさらにパワーアップしてきたとみるのが妥当だ。

■表4 前走未勝利戦出走馬の各条件別成績(脚質はTARGETによる分類)

条件 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回収 複回収
単オッズ 〜9.9 12-13-7-39/71 16.9% 35.2% 45.1% 66% 72%
10.0〜29.9 6-6-13-64/89 6.7% 13.5% 28.1% 104% 98%
30.0〜 1-1-1-96/99 1.0% 2.0% 3.0% 31% 34%
間隔 連闘 2-0-2-1/5 40.0% 40.0% 80.0% 400% 174%
中1週 2-0-1-25/28 7.1% 7.1% 10.7% 111% 40%
中2週 1-5-6-44/56 1.8% 10.7% 21.4% 8% 82%
中3週 4-5-1-47/57 7.0% 15.8% 17.5% 43% 36%
中4〜8週 8-8-8-59/83 9.6% 19.3% 28.9% 101% 87%
中9週〜 2-2-3-23/30 6.7% 13.3% 23.3% 22% 47%
前走脚質 逃げ 5-3-6-45/59 8.5% 13.6% 23.7% 32% 53%
先行 6-9-12-112/139 4.3% 10.8% 19.4% 37% 63%
中団 8-8-2-32/50 16.0% 32.0% 36.0% 199% 104%
後方 0-0-0-5/5 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%
マクリ 0-0-1-5/6 0.0% 0.0% 16.7% 0% 33%
枠番 1〜7枠 13-18-18-178/227 5.7% 13.7% 21.6% 45% 61%
8枠 6-2-3-21/32 18.8% 25.0% 34.4% 211% 104%
距離 今回延長 6-7-3-70/86 7.0% 15.1% 18.6% 96% 72%
同距離 10-9-12-103/134 7.5% 14.2% 23.1% 59% 60%
今回短縮 3-4-6-26/39 7.7% 17.9% 33.3% 23% 78%

表4は前走未勝利戦組。表1を見ると、新馬組に比べ好走確率は低く、回収率も単複ともに60%台と、全体としては「買えない」未勝利戦組だが、それでも条件によっては高回収率もあるグループだ。まず単勝オッズでは、新馬組の狙いどころよりも人気薄のゾーン、単勝10〜20倍台が単複の回収率104%、98%をマーク。30倍以上になると好走確率も回収率も一気に下がるため、20倍台までが目安だ。 未勝利勝ちからのレース間隔では、数は少ないものの連闘馬が複勝率80.0%。また、該当馬の多い中4〜8週あたりも上々の成績を残す。2歳500万のダート戦は毎週のようには適鞍はないが、じっくり間隔を取るか、積極的な連闘策に出るか、どちらかが良い傾向で、未勝利勝ちから中1〜3週ではあまり良い結果が出ていない。 少々意外だったのは、前走脚質別成績である。TARGETにより「中団」に分類された馬が、勝率〜複勝率まですべてトップ、単複の回収率も199%、104%という好成績だ。ダート戦といえば「逃げ」「先行」という印象が強いが、このタイプは「今回も行けない」と減点するよりは、「中団から差し切った」という事実を評価したほうが好結果に結びついている。 ただ、キャリアを数戦積んだからといっても、砂をかぶらない8枠のほうが良い、というのがその下にある枠番別成績の結果である。距離については、延長、同距離、短縮とも、勝率と連対率はほぼ互角。複勝率では短縮馬、単勝回収率では延長馬が良いが、このあたりよりは他の項目を優先したい印象を受ける。

■表5 前走500万条件出走馬の各条件別成績(脚質はTARGETによる分類)

条件 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回収 複回収
単オッズ 〜1.9 4-1-0-0/5 80.0% 100.0% 100.0% 122% 110%
2.0〜9.9 7-6-9-31/53 13.2% 24.5% 41.5% 71% 72%
10.0〜49.9 7-10-8-61/86 8.1% 19.8% 29.1% 181% 130%
50.0〜99.9 1-2-1-27/31 3.2% 9.7% 12.9% 199% 121%
100.0〜 0-0-1-50/51 0.0% 0.0% 2.0% 0% 55%
前走タイム差 負0.0 6-1-0-1/8 75.0% 87.5% 87.5% 350% 138%
負0.1〜0.2 2-4-5-15/26 7.7% 23.1% 42.3% 30% 70%
負0.3〜0.5 3-3-3-17/26 11.5% 23.1% 34.6% 161% 108%
負0.6〜0.9 1-6-4-28/39 2.6% 17.9% 28.2% 24% 146%
負1.0〜1.9 6-4-7-64/81 7.4% 12.3% 21.0% 139% 115%
負2.0〜 1-1-0-43/45 2.2% 4.4% 4.4% 137% 29%
前走脚質 逃げ 1-3-3-8/15 6.7% 26.7% 46.7% 10% 117%
先行 8-7-7-46/68 11.8% 22.1% 32.4% 86% 92%
中団 5-7-6-51/69 7.2% 17.4% 26.1% 101% 129%
後方 5-2-3-63/73 6.8% 9.6% 13.7% 180% 70%
枠番 1〜4枠 4-10-8-70/92 4.3% 15.2% 23.9% 25% 82%
5〜8枠 15-9-11-99/134 11.2% 17.9% 26.1% 177% 108%
距離 今回延長 4-3-4-54/65 6.2% 10.8% 16.9% 91% 81%
同距離 8-11-11-70/100 8.0% 19.0% 30.0% 83% 123%
今回短縮 7-5-4-45/61 11.5% 19.7% 26.2% 194% 72%

2016/12/24 中山9R 冬桜賞 1着 10番 ディオスコリダー

続いて表5は、前走も同クラスの500万条件に出走していた馬である。10月に掲載した2歳500万条件の芝→芝では、好走確率がもっとも低く、回収率も決して高くなかった同クラス組だが、ダート→ダートになると一転、好走確率はまずまずで、回収率は高くなる(表1)。 このうち、単勝1倍台に推された馬や、前走同タイム負けだった馬は好走確率が高く、回収率も単複ともに100%を超えてくるため、逆らいたくはない存在になる。その他を見ると、単勝オッズが2桁、つまり10.0倍〜99.9倍という幅広い範囲で、単複とも回収率100%を突破。特に単勝10.0〜49.9倍は複勝率が29.1%もあって狙いやすい。また、前走の勝ち馬からのタイム差も、0.3秒以上2秒未満で複勝回収率100%超になる。前走でかなり大きく負けて、あまり人気がないような馬でも、十分に狙えるのが同クラス組だ。 その他、前走脚質では未勝利戦組と同様、「中団」の馬が高回収率。枠番は未勝利戦組よりも内寄りに広がり、5〜8枠なら単複の回収率177%、108%を記録する。また、距離延長馬は明らかに好走確率が低く出ているが、回収率は特に悪い数字ではない。

■表6 前走地方競馬出走馬の各条件別成績

条件 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回収 複回収
所属 美浦 1-0-1-14/16 6.3% 6.3% 12.5% 76% 53%
栗東 2-1-2-3/8 25.0% 37.5% 62.5% 1965% 381%
地方 0-0-1-7/8 0.0% 0.0% 12.5% 0% 93%
前走着順 前走1〜4着 3-1-3-9/16 18.8% 25.0% 43.8% 1059% 260%
前走5着〜 0-0-1-15/16 0.0% 0.0% 6.3% 0% 30%
枠番 1〜3枠 0-0-0-7/7 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%
4〜5枠 0-0-3-7/10 0.0% 0.0% 30.0% 0% 142%
6〜8枠 3-1-1-10/15 20.0% 26.7% 33.3% 1130% 215%
距離 今回延長 1-1-1-10/13 7.7% 15.4% 23.1% 1183% 255%
同距離 2-0-1-10/13 15.4% 15.4% 23.1% 120% 50%
今回短縮 0-0-2-4/6 0.0% 0.0% 33.3% 0% 111%

最後に表6は、前走地方競馬出走馬である。地方から転厩してきた馬や、中央所属で交流重賞に出走した馬、そして地方競馬所属のまま中央に出走してきた馬と多彩だが、トータルでは表1にあった通り、単勝回収率529%、複勝回収率145%となる。中でも好成績を残すのは、栗東所属馬、前走1〜4着馬、今回6〜8枠といったあたり。ただ、いずれも該当馬が少ないことに加え、この組は16〜17年には連対ナシに終わっているため、あくまで参考程度としたい。

以上、2歳500万条件のダート戦について、主に前走クラスごとに注目できる条件を拾ってみた。前走もダートだった馬のうち配当妙味が高いのは、表1で高回収率だった前走500万組。前走で大きく負けていても好走確率が極端に低下することはなく、穴党の方なら特に注目だ。また、全体としてはあまり回収率が高くはない新馬・未勝利戦組でも、それぞれ高回収率の条件はあるため、該当馬がいれば積極的に狙っていきたい。

ライタープロフィール

浅田知広(あさだ ともひろ)

1970年12月、埼玉県生まれ。立命館大学文学部中退後、夕刊紙レース部のアルバイト、競馬データベース会社を経て、現在はフリー。パソコンが広く普及する以前から、パソコン通信でデータ手入力方式の競馬予想ソフトを公開するなど、競馬のみならずPCやネットワークにも精通。その知識を活かし、Webや雑誌で競馬ライターとして活躍するかたわら、ネットワークの専門誌にも連載を持つ。


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