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第1257回 2歳戦で躍進中のブラックタイドを分析する

2018/10/8(月)

2017/12/24 中山11R 有馬記念(G1) 1着 2番 キタサンブラック

ブラックタイド産駒が2歳戦で好調だ。昨年までの2歳リーディングでは2014年の11位が最高だったが、今年は10月2日時点で4位。勝馬率も27.5%と高く、これは1位のロードカナロアを上回るほどの数字となっている。代表産駒のキタサンブラックは昨年限りで引退したが、同馬に続く大物の登場も十分に期待できるのではないか。もうディープインパクトの全兄とは呼ばせない。躍進するブラックタイドのデータを調べてみよう。集計期間は2015年1月4日〜2018年10月2日。データの分析には、JRA-VAN DataLab.TARGET frontier JV を利用した。

■表1 馬場別成績

馬場 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回率 複回率
93-  80-  99-1238/1510 6.2% 11.5% 18.0% 65% 77%
ダート 64-  70-  75- 898/1107 5.8% 12.1% 18.9% 71% 72%
障害 9-  9-  6- 77/101 8.9% 17.8% 23.8% 125% 104%

表1は芝、ダートおよび障害の成績を示したもの。まず、芝とダートを比較すると、好走率、回収率ともにあまり差がなく、芝だけでなくダートもこなしていることがわかる。これは、明らかに芝向きの全弟ディープインパクトとは大きく異なる傾向なので気をつけたい。また、障害戦は得意としており、単複の回収率がいずれも100%以上。狙ってみる価値がありそうだ。

■表2 牡牝別および厩舎所属別成績

項目 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回率 複回率
性別 牡馬・セン馬 92-  78-  93-1135/1398 6.6% 12.2% 18.8% 73% 76%
牝馬 65-  72-  81-1001/1219 5.3% 11.2% 17.9% 62% 73%
所属 関東 59-  72-  90-1112/1333 4.4% 9.8% 16.6% 39% 64%
関西 98-  78-  84-1019/1279 7.7% 13.8% 20.3% 98% 86%
地方 0- 0- 0- 5/ 5 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%

ここからのデータは障害戦を除き、平地戦のみを扱うこととする。表2は、牡牝別と厩舎の東西所属別(および地方)の成績を示したもの。なお、セン馬は牡馬に含めている。まず牡牝別では牡馬の好走率が若干高いものの、大きな差ではない。基本的に牡馬のほう高い数字が出やすいことを考慮しても、性別による偏りはほとんどない種牡馬といっていいだろう。一方、東西別では明らかに関西馬が優勢。関東馬の数字は物足りない水準にとどまっており、慎重に狙いたいところだ。

■表3 人気別成績

人気 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回率 複回率
1番人気 48-  23-  13-  31/ 115 41.7% 61.7% 73.0% 102% 95%
2番人気 30-  27-  16-  56/ 129 23.3% 44.2% 56.6% 103% 90%
3番人気 22-  15-  25-  88/ 150 14.7% 24.7% 41.3% 92% 85%
4番人気 15-  15-  13-  87/ 130 11.5% 23.1% 33.1% 108% 81%
5番人気 13-  22-  25- 128/ 188 6.9% 18.6% 31.9% 77% 86%
6番人気 3-  13-  13- 119/ 148 2.0% 10.8% 19.6% 40% 83%
7番人気 7-   8-  13- 165/ 193 3.6% 7.8% 14.5% 66% 56%
8番人気 7-   7-  22- 176/ 212 3.3% 6.6% 17.0% 113% 141%
9番人気 2-   2-  13- 172/ 189 1.1% 2.1% 9.0% 40% 72%
10番人気〜 10-  18-  21-1114/1163 0.9% 2.4% 4.2% 51% 58%

表3は人気別成績。大きな特徴となっているのが、上位人気での成績が優秀なことだ。1、2、4番人気で100%以上の単勝回収率を記録し、3番人気も92%。特に芝の成績がよく、1〜4番人気を合算して単勝回収率113%となっている。5番人気以下では、8番人気を除いてこれといった数字は見当たらず、あまり穴をあけるタイプの種牡馬ではなさそうだが、印を集めたブラックタイド産駒は頼りになる存在といえるだろう。

■表4 馬体重別成績

馬体重 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回率 複回率
〜399キロ 0-   0-   0-  11/  11 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%
400〜419キロ 4-   1-   6- 118/ 129 3.1% 3.9% 8.5% 65% 62%
420〜439キロ 17-  20-  20- 313/ 370 4.6% 10.0% 15.4% 53% 82%
440〜459キロ 30-  46-  56- 594/ 726 4.1% 10.5% 18.2% 24% 69%
460〜479キロ 44-  35-  37- 495/ 611 7.2% 12.9% 19.0% 93% 87%
480〜499キロ 35-  33-  35- 406/ 509 6.9% 13.4% 20.2% 104% 71%
500〜519キロ 17-  12-  16- 166/ 211 8.1% 13.7% 21.3% 74% 66%
520〜539キロ 7-   3-   3-  26/  39 17.9% 25.6% 33.3% 126% 84%
540キロ〜 3-   0-   1-   7/  11 27.3% 27.3% 36.4% 67% 46%

表4はレース当日の馬体重別成績。これを見ると、馬体重が大きい馬ほど好走率が高いことが一目瞭然。連対率と複勝率は綺麗に右肩上がりで、勝率も基本的には同様の傾向が出ている。ブラックタイド自身、現役時代は500キロ前後で走っており、キタサンブラックも最大542キロ。基本的に馬体重が大きい馬のほうが優秀なデータが出やすいことに加えて、自身の特徴を受け継いだ産駒がよく走っているのだろう。

■表5 距離別成績

距離 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回率 複回率
1000〜1300m 16-  14-  22- 224/ 276 5.8% 10.9% 18.8% 74% 68%
1400〜1600m 31-  28-  27- 386/ 472 6.6% 12.5% 18.2% 83% 85%
1700〜2000m 35-  35-  41- 494/ 605 5.8% 11.6% 18.3% 46% 80%
2100〜2400m 7-   2-   7- 101/ 117 6.0% 7.7% 13.7% 69% 66%
2500m〜 4-   1-   2-  33/  40 10.0% 12.5% 17.5% 55% 36%
ダート 1000〜1300m 12- 18- 19-172/221 5.4% 13.6% 22.2% 61% 68%
1400〜1600m 13- 20- 21-198/252 5.2% 13.1% 21.4% 46% 81%
1700〜2000m 37- 30- 33-490/590 6.3% 11.4% 16.9% 89% 73%
2100〜2400m 2-  2-  2- 38/ 44 4.5% 9.1% 13.6% 26% 27%
2500m〜 0-  0-  0-  0/  0          

表5は、距離別成績を芝ダート別で示したもの。芝は、2000mまでの距離では好走率にほとんど差がない。しかし、2000mを超えると数字がダウン。また、2500m以上の勝率は高く見えるものの、全4勝をキタサンブラックが挙げており、他の産駒では1勝もしていない。これらのことから、基本的に芝は2000mまでが守備範囲と考えていいのではないか。実際、過去の重賞勝ちもキタサンブラックを除くと1600〜1800mに集中している。一方のダートは、複勝率ベースで見ると1600mまでは20%以上なのに対して、1700m以上になると数字がやや落ちる。どうやら芝ダートともに、長めの距離はさほど得意とはいえないようだ。

■表6 競馬場別成績

競馬場 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回率 複回率
札幌 5-   8-   5-  55/  73 6.8% 17.8% 24.7% 64% 74%
函館 3-   3-   4-  58/  68 4.4% 8.8% 14.7% 20% 55%
福島 7-   7-   7- 102/ 123 5.7% 11.4% 17.1% 39% 47%
新潟 5-   6-  11- 101/ 123 4.1% 8.9% 17.9% 19% 57%
東京 10-   8-  10- 181/ 209 4.8% 8.6% 13.4% 48% 89%
中山 12-   9-  10- 158/ 189 6.3% 11.1% 16.4% 59% 51%
中京 5-   4-   9- 100/ 118 4.2% 7.6% 15.3% 68% 94%
京都 17-  17-  15- 185/ 234 7.3% 14.5% 20.9% 94% 82%
阪神 18-  15-  16- 164/ 213 8.5% 15.5% 23.0% 92% 118%
小倉 11-   3-  12- 134/ 160 6.9% 8.8% 16.3% 89% 68%
ダート 札幌 0-  2-  6- 35/ 43 0.0% 4.7% 18.6% 0% 53%
函館 2-  5-  2- 37/ 46 4.3% 15.2% 19.6% 21% 53%
福島 4-  1-  2- 56/ 63 6.3% 7.9% 11.1% 27% 20%
新潟 3-  5-  9- 59/ 76 3.9% 10.5% 22.4% 13% 73%
東京 8- 18- 17-147/190 4.2% 13.7% 22.6% 13% 85%
中山 14- 12- 21-155/202 6.9% 12.9% 23.3% 111% 89%
中京 4-  5-  2- 81/ 92 4.3% 9.8% 12.0% 17% 30%
京都 14-  9-  7-126/156 9.0% 14.7% 19.2% 214% 114%
阪神 13- 11-  8-155/187 7.0% 12.8% 17.1% 77% 56%
小倉 2-  2-  1- 47/ 52 3.8% 7.7% 9.6% 24% 54%

表6は、競馬場別成績を芝ダート別で示したもの。芝で得意なのは阪神で、勝率8.5%、複勝回収率118%はいずれも10場でトップとなっている。また、京都の単勝回収率94%もなかなかハイレベルな数字。表2の項で関西馬のほうが明らかに優秀と述べたが、それはこのあたりにも表れている。一方、関東の中央場となる東京、中山の好走率はもうひとつ。ただし、1〜3番人気馬に限れば、合わせて【15.3.4.16】、勝率39.5%、複勝率57.9%、単勝回収率170%、複勝回収率93%と信頼できる。こちらは表3の項で述べた傾向の通りだ。もちろん、阪神や京都でも上位人気馬は優秀な成績を残している。一方のダートは極端で、回収率が高い競馬場、低い競馬場が明確に分かれている。高いのは京都と中山。あとは阪神も単勝回収率77%だが、残る7場の単勝回収率は20%台以下にとどまった。複勝率や複勝回収率はそこまで悪くないものの、1着固定では買いづらい傾向となっている。

■表7 枠番別成績

枠番 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回率 複回率
全人気 1枠 13- 10-  6-123/152 8.6% 15.1% 19.1% 86% 87%
2枠 17-  5- 10-147/179 9.5% 12.3% 17.9% 62% 54%
3枠 11- 11- 11-130/163 6.7% 13.5% 20.2% 37% 91%
4枠 11-  7- 11-142/171 6.4% 10.5% 17.0% 65% 68%
5枠 10- 16- 13-159/198 5.1% 13.1% 19.7% 94% 89%
6枠 9- 12- 20-177/218 4.1% 9.6% 18.8% 56% 105%
7枠 12-  9- 18-162/201 6.0% 10.4% 19.4% 50% 57%
8枠 10- 10- 10-198/228 4.4% 8.8% 13.2% 69% 65%
1〜3番人気 1枠 10- 4- 1-10/25 40.0% 56.0% 60.0% 129% 96%
2枠 12- 2- 4-12/30 40.0% 46.7% 60.0% 173% 99%
3枠 9- 2- 1-11/23 39.1% 47.8% 52.2% 151% 70%
4枠 8- 1- 3- 9/21 38.1% 42.9% 57.1% 178% 91%
5枠 4- 7- 0- 8/19 21.1% 57.9% 57.9% 120% 117%
6枠 4- 4- 5-15/28 14.3% 28.6% 46.4% 68% 95%
7枠 7- 8- 9- 4/28 25.0% 53.6% 85.7% 100% 127%
8枠 5- 3- 3-18/29 17.2% 27.6% 37.9% 48% 53%

表7は、芝の枠番別成績を全人気と1〜3番人気に分けて示したもの。ご覧の通り、全人気に関してはこれといった傾向を見出しづらいのだが、1〜3番人気に限ると内寄りでの枠の強さが際立っている。1〜4枠で1〜3番人気に推されると、合わせて勝率39.4%、単勝回収率158%にも達するのだ。そういえば、内枠を引いたときのキタサンブラックの強さは抜群だったが、これは同馬に限ったことではなく、ブラックタイド産駒全体の傾向だったのである。

ライタープロフィール

出川塁(でがわ るい)

1977年熊本県生まれ。上智大学文学部卒業後、出版社2社で競馬専門誌、競馬書籍の編集に携わり、2007年からフリーライターに。「競馬最強の法則」「サラブレ」「優駿」などへ寄稿するほか、出版社勤務時代を含めて制作に関わった競馬書籍は多数。馬券は単勝派だが、焼肉はタン塩派というわけではない。メインの競馬のほか、サッカーでも密かに活動中。


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