データde出〜た
第1255回 10月のダート戦で狙える芝替わりとは?
2018/10/1(月)
今週から秋の東京・京都開催がスタートする。3日間開催で重賞も3つ組まれているが、今回も地味ながらダート戦に注目してみることにする。コース別にそれぞれ傾向・特徴は異なる中、今回は京都ダート1800mで興味深いデータを見つけた。データの集計期間は2012年以降から今年9月23日開催終了時点まで。データの集計・分析はJRA-VAN DataLab.とTARGET frontier JV を利用した。
10月に開催される中央場所のダートコースは、東京が1300m、1400m、1600m、2100m、京都が1200m、1400m、1800m、1900mとなっている。その中からは今回京都ダート1800mにスポットを当ててみたい。現在、重賞ではみやこSが組まれているコースだ。
■表1 10月の京都ダート1800m出走の前走コース別成績(2012年以降)
前走コース | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単回収率 | 複回収率 |
阪神・ダ1800 | 30-45-28-239/342 | 8.8% | 21.9% | 30.1% | 87 | 84 |
京都・ダ1800 | 15-15-13-112/155 | 9.7% | 19.4% | 27.7% | 62 | 66 |
阪神・ダ2000 | 7- 5- 2-31/45 | 15.6% | 26.7% | 31.1% | 110 | 82 |
阪神・ダ1400 | 4- 2- 2-41/49 | 8.2% | 12.2% | 16.3% | 144 | 63 |
阪神・芝1800外 | 4- 1- 4-24/33 | 12.1% | 15.2% | 27.3% | 191 | 119 |
小倉・ダ1700 | 4- 0- 6-51/61 | 6.6% | 6.6% | 16.4% | 65 | 78 |
京都・ダ1900 | 3- 2- 4-25/34 | 8.8% | 14.7% | 26.5% | 61 | 76 |
新潟・ダ1800 | 2- 2- 4-28/36 | 5.6% | 11.1% | 22.2% | 62 | 57 |
中山・ダ1800 | 2- 1- 3-24/30 | 6.7% | 10.0% | 20.0% | 68 | 72 |
京都・芝2000 | 2- 1- 1- 8/12 | 16.7% | 25.0% | 33.3% | 168 | 73 |
阪神・芝1600外 | 2- 0- 1-13/16 | 12.5% | 12.5% | 18.8% | 83 | 118 |
小倉・芝1800 | 2- 0- 0- 4/ 6 | 33.3% | 33.3% | 33.3% | 500 | 95 |
京都・芝1600外 | 2- 0- 0- 1/ 3 | 66.7% | 66.7% | 66.7% | 1556 | 373 |
札幌・ダ1700 | 1- 2- 3-31/37 | 2.7% | 8.1% | 16.2% | 9 | 29 |
函館・ダ1700 | 1- 1- 2-15/19 | 5.3% | 10.5% | 21.1% | 22 | 69 |
京都・ダ1400 | 1- 0- 1-24/26 | 3.8% | 3.8% | 7.7% | 28 | 18 |
東京・ダ1600 | 1- 0- 1- 6/ 8 | 12.5% | 12.5% | 25.0% | 175 | 297 |
京都・ダ1200 | 1- 0- 1- 7/ 9 | 11.1% | 11.1% | 22.2% | 508 | 145 |
中京・ダ1400 | 1- 0- 1- 2/ 4 | 25.0% | 25.0% | 50.0% | 180 | 220 |
阪神・芝2000 | 1- 0- 0-14/15 | 6.7% | 6.7% | 6.7% | 27 | 14 |
東京・芝1600 | 1- 0- 0- 1/ 2 | 50.0% | 50.0% | 50.0% | 110 | 90 |
東京・ダ1400 | 1- 0- 0- 2/ 3 | 33.3% | 33.3% | 33.3% | 4083 | 446 |
札幌・芝2600 | 1- 0- 0- 0/ 1 | 100.0% | 100.0% | 100.0% | 1980 | 540 |
中京・ダ1800 | 0- 4- 7-18/29 | 0.0% | 13.8% | 37.9% | 0 | 75 |
阪神・芝1400 | 0- 1- 3- 6/10 | 0.0% | 10.0% | 40.0% | 0 | 219 |
東京・ダ2100 | 0- 1- 0- 3/ 4 | 0.0% | 25.0% | 25.0% | 0 | 95 |
中京・芝1400 | 0- 1- 0- 3/ 4 | 0.0% | 25.0% | 25.0% | 0 | 180 |
中山・ダ2400 | 0- 1- 0- 4/ 5 | 0.0% | 20.0% | 20.0% | 0 | 96 |
京都・芝1400 | 0- 1- 0- 4/ 5 | 0.0% | 20.0% | 20.0% | 0 | 784 |
表1は10月の京都ダート1800mに出走した馬の前走コース別成績。やはり前開催である阪神を使っていた馬の頭数が圧倒的に多い。同じ距離である阪神ダート1800m組が【30.45.28.239】となっている。好走率は良くも悪くもなく、回収率も普通といったところか。厳密には阪神ダート1800mから京都ダート1800mに替わって歓迎もしくは、逆に不安となる馬もいるはずではある。しかし、変わり身の度合いという意味では、前走はダートではなく、芝を使っていた馬の方が大きい可能性を秘める。
実際、10月の京都ダート1800mでは前走芝を使っていた馬の好走がかなり多いことがわかった。表1で記したように、特に阪神芝1800m組は【4.1.4.24】という成績で、単・複の回収率も高い。以下、出走頭数は少なくなるが、京都芝2000mや阪神芝1600m、小倉芝1800mや京都芝1600m組など、前走芝のレースを使っていた馬の好走が目立つ。京都ダート1800m以外のコース成績を調べると、前走芝組はここまで好成績を残せていない。
■表2 前走芝に出走していた10月の京都ダート1800m出走馬の成績(2012年以降)
前走コース | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単回収率 | 複回収率 |
阪神・芝1800外 | 4- 1- 4-24/33 | 12.1% | 15.2% | 27.3% | 191 | 119 |
京都・芝2000 | 2- 1- 1- 8/12 | 16.7% | 25.0% | 33.3% | 168 | 73 |
阪神・芝1600外 | 2- 0- 1-13/16 | 12.5% | 12.5% | 18.8% | 83 | 118 |
小倉・芝1800 | 2- 0- 0- 4/ 6 | 33.3% | 33.3% | 33.3% | 500 | 95 |
京都・芝1600外 | 2- 0- 0- 1/ 3 | 66.7% | 66.7% | 66.7% | 1556 | 373 |
阪神・芝2000 | 1- 0- 0-14/15 | 6.7% | 6.7% | 6.7% | 27 | 14 |
東京・芝1600 | 1- 0- 0- 1/ 2 | 50.0% | 50.0% | 50.0% | 110 | 90 |
札幌・芝2600 | 1- 0- 0- 0/ 1 | 100.0% | 100.0% | 100.0% | 1980 | 540 |
阪神・芝1400 | 0- 1- 3- 6/10 | 0.0% | 10.0% | 40.0% | 0 | 219 |
中京・芝1400 | 0- 1- 0- 3/ 4 | 0.0% | 25.0% | 25.0% | 0 | 180 |
京都・芝1400 | 0- 1- 0- 4/ 5 | 0.0% | 20.0% | 20.0% | 0 | 784 |
京都・芝1400外 | 0- 1- 0- 0/ 1 | 0.0% | 100.0% | 100.0% | 0 | 250 |
小倉・芝1200 | 0- 0- 0-10/10 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0 | 0 |
新潟・芝1800外 | 0- 0- 0- 2/ 2 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0 | 0 |
京都・芝1600 | 0- 0- 0- 3/ 3 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0 | 0 |
札幌・芝1500 | 0- 0- 0- 2/ 2 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0 | 0 |
札幌・芝1200 | 0- 0- 0- 1/ 1 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0 | 0 |
阪神・芝1200 | 0- 0- 0- 1/ 1 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0 | 0 |
京都・芝1800外 | 0- 0- 0- 5/ 5 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0 | 0 |
小倉・芝2000 | 0- 0- 0- 4/ 4 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0 | 0 |
表2は前走芝に出走していた馬のみに絞り、10月の京都ダート1800m出走馬の成績を調べた。前述したように勝ち馬の数では阪神芝1800mが最多。以下、1600mや2000mと、1800m前後の距離が並ぶ。同じ芝でも1400m以下を使っていた馬では、やや苦しい。阪神芝1400m組は複勝率が40%あるものの、勝ち馬はゼロ。また、小倉芝1200m組も【0.0.0.10】という成績。芝短距離からの変わり身は、あまり期待できないと言えるだろう。
■表3 前走阪神芝1800m出走で好走した馬
日付 | レース名 | 馬名 | 着順 | 人気 | 種牡馬 | 母父馬 |
171022 | 未勝利* | キーフラッシュ | 1 | 9 | ストロングリターン | サザンヘイロー |
161030 | 未勝利* | キクノルア | 1 | 5 | カネヒキリ | パラダイスクリーク |
161015 | 未勝利* | テイエムグッドマン | 2 | 4 | アグネスデジタル | ミシエロ |
161010 | 500万下 | ゴールドインゴット | 3 | 3 | プリサイスエンド | サンデーウェル |
161009 | 500万下・牝 | ジュエルメーカー | 3 | 5 | エンパイアメーカー | フォーティナイナー |
141019 | 未勝利* | カラパナビーチ | 1 | 5 | キングカメハメハ | ファルブラヴ |
121021 | 500万下 | タフディシジョン | 3 | 8 | アグネスタキオン | Storm Cat |
121006 | 未勝利* | シゲルラシンバンザ | 1 | 5 | ダンスインザダーク | エンドスウィープ |
121006 | 未勝利* | キンショータイム | 3 | 6 | ブライアンズタイム | グラスワンダー |
ここで前走芝→京都ダート1800m替わりで好走した馬を具体的に見ていくことにする。表3は前走阪神芝1800mに出走し、10月の京都ダート1800mで好走した馬。2012年以降では9頭いる。レースのクラスを見ると、未勝利戦か500万クラスとなっている。常識的に考えると、上級クラスの馬よりはキャリアが浅い馬の方が、変わり身を期待できそうではある。特にダートを使ったことがなかった馬というのは、魅力的。表3のキーフラッシュやキクノルア、カラパナビーチ、キンショータイムは初めてのダート戦で一変してみせた。該当馬の人気を見ると、1、2番人気だったケースはない。配当的な妙味もあると言える。
経験したことがないダートで走るか走らないかの判断は、簡単ではないものの血統は大きなヒントになりそうだ。特にミスタープロスペクター系の血は注目に値する。アグネスデジタルやプリサイスエンド、フォーティナイナーやキングカメハメハなど、ダートがいかにも合いそうな血統が見られる。
他の系統もカネヒキリやアグネスタキオン、ブライアンズタイムなどパワータイプの血で構成されているケースが多く、芝よりもダート向きという印象の馬が結果を出している。
阪神芝1800m組以外の好走馬を見ても同様の傾向が見られる。クラスは未勝利戦、初ダート、ミスタープロスペクターの血。この3つの要素が揃った前走芝の馬は、大きな狙い目になると言えるだろう。
ライタープロフィール
小田原智大(おだわら ともひろ)
1975年6月、東京生まれ。早稲田大学商学部卒業後、業界紙記者を経て、(株)レイヤード入社。ライター&エディターとして活躍。JRA-VANデータの配信初期から、いち早くデータ競馬の有効性に着目する。05年5月より「競馬 最強の法則WEB」にて、障害戦を除く全重賞レースの傾向と対策、予想を展開。「オッズパーク ダートグレードデータ作戦」では、地方競馬の重賞の攻略にも取り組んでいる。仕事の関係でなかなか競馬場には行けなくなったが、年に1、2回行くローカル遠征が楽しみ。