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第1256回 復活はあるのか? 京都大賞典を占う
2018/10/4(木)
今週末は3日間の連続開催が予定されている。8日の月曜日・体育の日には京都大賞典が行われる。毎日王冠と並び、秋のG1戦線につながる重要な古馬重賞だ。今回はその一戦を占っていくことにする。過去10年の同レースを分析。データの分析にはJRA-VAN DataLab.とTARGET frontier JV を利用した。
■表1 過去10年の京都大賞典好走馬(1)
年 | 着順 | 馬名 | 性 | 齢 | 騎手 | 人気 | 2角 | 3角 | 4角 | 上り3F |
17年 | 1 | スマートレイアー | 牝 | 7 | 武豊 | 4 | 11 | 13 | 14 | 33.4 |
2 | トーセンバジル | 牡 | 5 | 岩田康誠 | 6 | 3 | 3 | 2 | 34.2 | |
3 | シュヴァルグラン | 牡 | 5 | M.デムーロ | 1 | 14 | 9 | 6 | 34 | |
16年 | 1 | キタサンブラック | 牡 | 4 | 武豊 | 1 | 2 | 2 | 2 | 33.6 |
2 | アドマイヤデウス | 牡 | 5 | 岩田康誠 | 6 | 3 | 3 | 3 | 33.4 | |
3 | ラブリーデイ | 牡 | 6 | ルメール | 2 | 3 | 3 | 3 | 33.5 | |
15年 | 1 | ラブリーデイ | 牡 | 5 | 川田将雅 | 1 | 5 | 6 | 6 | 32.3 |
2 | サウンズオブアース | 牡 | 4 | 浜中俊 | 2 | 4 | 5 | 5 | 32.8 | |
3 | カレンミロティック | セ | 7 | 蛯名正義 | 5 | 2 | 2 | 2 | 33.2 | |
14年 | 1 | ラストインパクト | 牡 | 4 | 川田将雅 | 3 | 3 | 3 | 3 | 33.8 |
2 | タマモベストプレイ | 牡 | 4 | 津村明秀 | 6 | 2 | 2 | 2 | 34.5 | |
3 | トーセンラー | 牡 | 6 | 武豊 | 1 | 7 | 7 | 7 | 33.6 | |
13年 | 1 | ヒットザターゲット | 牡 | 5 | 北村友一 | 11 | 6 | 9 | 8 | 34 |
2 | アンコイルド | 牡 | 4 | 吉田隼人 | 7 | 8 | 10 | 10 | 33.7 | |
3 | トーセンラー | 牡 | 5 | 幸英明 | 2 | 11 | 7 | 5 | 34.6 | |
12年 | 1 | メイショウカンパク | 牡 | 5 | 池添謙一 | 5 | 12 | 10 | 9 | 34.6 |
2 | オウケンブルースリ | 牡 | 7 | 浜中俊 | 7 | 8 | 5 | 3 | 35.2 | |
3 | ギュスターヴクライ | 牡 | 4 | 岩田康誠 | 2 | 6 | 3 | 1 | 35.3 | |
11年 | 1 | ローズキングダム | 牡 | 4 | 後藤浩輝 | 1 | 3 | 3 | 3 | 33.1 |
2 | ビートブラック | 牡 | 4 | 安藤勝己 | 4 | 4 | 4 | 4 | 33.2 | |
3 | オウケンブルースリ | 牡 | 6 | 浜中俊 | 3 | 5 | 4 | 5 | 33.1 | |
10年 | 1 | メイショウベルーガ | 牝 | 5 | 池添謙一 | 2 | 6 | 6 | 5 | 34.9 |
2 | オウケンブルースリ | 牡 | 5 | 内田博幸 | 1 | 9 | 8 | 8 | 34.7 | |
3 | プロヴィナージュ | 牝 | 5 | 佐藤哲三 | 4 | 3 | 3 | 3 | 35.8 | |
09年 | 1 | オウケンブルースリ | 牡 | 4 | 内田博幸 | 3 | 11 | 12 | 13 | 34.1 |
2 | スマートギア | 牡 | 4 | 福永祐一 | 4 | 14 | 14 | 14 | 33.8 | |
3 | トーセンキャプテン | 牡 | 5 | 四位洋文 | 7 | 6 | 6 | 7 | 34.8 | |
08年 | 1 | トーホウアラン | 牡 | 5 | 鮫島良太 | 4 | 6 | 6 | 7 | 34 |
2 | アドマイヤモナーク | 牡 | 7 | 安藤勝己 | 6 | 10 | 8 | 8 | 33.9 | |
3 | アイポッパー | 牡 | 8 | 上村洋行 | 7 | 5 | 3 | 3 | 34.3 |
まず過去10年の京都大賞典で3着以内に好走した馬を見ていくことにする(表1参照)。オウケンブルースリやラブリーデイ、キタサンブラックなど、G1クラスの馬が順当に勝利するケースもあれば、ヒットザターゲットのような伏兵が勝利するケースもある。例年、毎日王冠に比べて頭数が少なく、大きな波乱は起きにくいものの、上位人気同士で決まるケースもさほど多くない。
性別は牡馬が圧倒的に多い。牝馬の好走は2010年のメイショウベルーガとプロヴィナージュ。そして、昨年勝利したスマートレイアー。いずれも京都のG1やG2で好走実績があった。生半可な実績ではこの距離のG2で牡馬に太刀打ちするのは難しいと思われる。
年齢は4歳馬から8歳馬まで幅広い。3歳馬の出走はほぼないので、自然な結果と言えるだろうか。
騎手は武豊騎手と岩田康誠騎手、そして浜中俊騎手に注目。この3名は過去10年で3回馬券になっている。常に1、2番人気というわけではなく、伏兵馬を持ってくることもある。今年も、騎乗馬がいればチェックだ。
脚質の傾向としては逃げ馬が不振。開幕週で馬場の内側はいいものの、目標にされやすいせいか苦戦している。したがって、その分追い込み馬でも勝負になりやすい。メンバー中、上がり3位以内だった馬をチェックしてみたが、好走馬30頭のうち約3分の2が該当。最後に鋭い脚を使えそうな馬を狙うイメージを持ちたい。
■表2 過去10年の京都大賞典の好走馬(2)
年 | 着順 | 馬名 | 前走レース名 | 前着 | 前人 | 同年の主な重賞実績 |
17年 | 1 | スマートレイアー | 鳴尾記念G3 | 2 | 1 | 京都記念2着 |
2 | トーセンバジル | 新潟記念HG3 | 7 | 2 | 阪神大賞典3着 | |
3 | シュヴァルグラン | 宝塚記念G1 | 8 | 6 | 天皇賞(春)2着 | |
16年 | 1 | キタサンブラック | 宝塚記念G1 | 3 | 2 | 天皇賞(春)1着 |
2 | アドマイヤデウス | 天皇賞春G1 | 9 | 11 | 京都記念3着 | |
3 | ラブリーデイ | 宝塚記念G1 | 4 | 4 | ||
15年 | 1 | ラブリーデイ | 宝塚記念G1 | 1 | 6 | 京都記念1着 |
2 | サウンズオブアース | 天皇賞春G1 | 9 | 4 | ||
3 | カレンミロティック | 宝塚記念G1 | 13 | 5 | 天皇賞(春)3着 | |
14年 | 1 | ラストインパクト | 新潟記念HG3 | 3 | 3 | 小倉大賞典1着 |
2 | タマモベストプレイ | 丹頂SH | 1 | 1 | ||
3 | トーセンラー | 安田記念G1 | 14 | 8 | 京都記念2着 | |
13年 | 1 | ヒットザターゲット | 宝塚記念G1 | 11 | 9 | 小倉大賞典1着 |
2 | アンコイルド | 札幌記念G2 | 3 | 14 | 函館記念2着 | |
3 | トーセンラー | 宝塚記念G1 | 5 | 4 | 京都記念1着 | |
12年 | 1 | メイショウカンパク | オールカG2 | 6 | 10 | 新潟大賞典3着 |
2 | オウケンブルースリ | 阪神大賞G2 | 8 | 7 | ||
3 | ギュスターヴクライ | 天皇賞春G1 | 5 | 4 | 阪神大賞典1着 | |
11年 | 1 | ローズキングダム | 宝塚記念G1 | 4 | 5 | 日経新春杯3着 |
2 | ビートブラック | 宝塚記念G1 | 11 | 12 | ||
3 | オウケンブルースリ | 天皇賞春G1 | 10 | 12 | ||
10年 | 1 | メイショウベルーガ | 新潟記念HG3 | 4 | 2 | 日経新春杯1着 |
2 | オウケンブルースリ | JCG1 | 2 | 2 | ||
3 | プロヴィナージュ | 朝日チャG3 | 2 | 3 | 朝日CC2着 | |
09年 | 1 | オウケンブルースリ | 阪神大賞G2 | 7 | 1 | |
2 | スマートギア | 西宮SH1600 | 2 | 1 | ||
3 | トーセンキャプテン | オールカG2 | 7 | 6 | ||
08年 | 1 | トーホウアラン | 朝日チャG3 | 2 | 4 | |
2 | アドマイヤモナーク | 天皇賞春G1 | 6 | 7 | 日経新春杯1着 | |
3 | アイポッパー | 目黒記念HG2 | 5 | 4 | 阪神大賞典2着 |
好走馬についてさらに詳しく見ていく。表2は前走レース名、同レースでの着順、人気、そして同年の主な重賞実績を示した。前走レースは宝塚記念が最も多い。16年優勝のキタサンブラックなど、勝ち馬4頭が該当する。宝塚記念での着順を見ると、5着以内に善戦していた馬が5頭。そうでなかった馬は4頭で、そのうち3頭は二けた着順に惨敗していた。宝塚記念での着順はあまり気にしなくていいようだ。
あとは、天皇賞(春)組が5頭好走。春の古馬G1戦線で戦っていた馬が、やはり最も有力となる。その他のレースでは意外にも阪神大賞典組が2頭(オウケンブルースリが2回)いる。新潟記念組も3頭いるなど、基本的には重賞組が有力だ。
前走以外の実績として、同年の重賞実績にも注目。昨年優勝のスマートレイアーは同年の京都記念で2着に好走。そして昨年2着のトーセンバジルも、同年の阪神大賞典で3着に入線していた。芝中長距離のG2以上で3着以内に好走していた馬が多い印象だ。重賞実績ならばG3も評価すべきで、14年1着のラストインパクト、13年1着のヒットザターゲットはともに同年の小倉大賞典を制していた。
また近年、同年に重賞実績がなくて好走した馬はラブリーデイやサウンズオブアース、タマモベストプレイ。彼らには過去に京都の重賞で好走実績があった。この点は重要なファクターだと考えられる。
【結論】
それでは今年の京都大賞典を占っていくことにする。出走予定馬は表3の通り。
■表3 今年の京都大賞典出走予定馬
馬名 | 性 | 齢 | 前走レース | 着 | 人 | 同年重賞 |
アルバート | 牡 | 7 | 宝塚記念G1 | 13 | 15 | |
ウインテンダネス | 牡 | 5 | 目黒記念HG2 | 1 | 9 | 目黒記念1着 |
ケントオー | 牡 | 6 | 新潟大賞HG3 | 7 | 15 | |
サトノダイヤモンド | 牡 | 5 | 宝塚記念G1 | 6 | 1 | 金鯱賞3着 |
サンエイゴールド | 牡 | 5 | せきれい賞(盛岡) | 1 | 1 | |
シュヴァルグラン | 牡 | 6 | 天皇賞春G1 | 2 | 1 | |
スマートレイアー | 牝 | 8 | 宝塚記念G1 | 10 | 13 | |
パフォーマプロミス | 牡 | 6 | 宝塚記念G1 | 9 | 4 | 日経新春杯1着 |
ブレスジャーニー | 牡 | 4 | 丹頂SH | 4 | 3 | |
プラチナムバレット | 牡 | 4 | 七夕賞HG3 | 止 | 3 | |
モンドインテロ | 牡 | 6 | 札幌日経 | 5 | 2 | |
レッドジェノヴァ | 牝 | 4 | ワールド1600 | 1 | 1 |
本稿のタイトルとした「復活はあるのか?」というワードは、サトノダイヤモンドのことを指している。今春のG1では上位人気に支持されながらも結果を出せなかった。凱旋門賞への遠征がきっかけで、明らかに調子を崩している印象だ。実績・力は言うまでもなく、本来ならばこの秋のG1戦線の主役となる存在だ。今回、どれだけ復調しているかが、大きな注目点になるだろう。
結論を言うと、巻き返してくる可能性はかなり高いと見る。データ的には宝塚記念での着順はほぼ不問。3月には一応、金鯱賞で3着に食い込んでいる。過去に菊花賞やきさらぎ賞を勝っており、京都コースの適性はかなり高い。今回、久々の勝利も十分期待できるのではないだろうか。
ライバルはやはりシュヴァルグラン。天皇賞(春)2着以来の休み明けだが、特に心配はないだろう。あとは、今年の日経新春杯を勝ったパフォーマプロミス、目黒記念を勝ったウインテンダネスに注目。
連覇を狙うスマートレイアーは8歳。今年出走したレースはいずれも相手が厳しいが、年齢的に昨年以上のデキを望めるかどうか。データ的には好走の可能性はあるものの、上記4頭の勝負と見る。
ライタープロフィール
小田原智大(おだわら ともひろ)
1975年6月、東京生まれ。早稲田大学商学部卒業後、業界紙記者を経て、(株)レイヤード入社。ライター&エディターとして活躍。JRA-VANデータの配信初期から、いち早くデータ競馬の有効性に着目する。05年5月より「競馬 最強の法則WEB」にて、障害戦を除く全重賞レースの傾向と対策、予想を展開。「オッズパーク ダートグレードデータ作戦」では、地方競馬の重賞の攻略にも取り組んでいる。仕事の関係でなかなか競馬場には行けなくなったが、年に1、2回行くローカル遠征が楽しみ。