データde出〜た
第1253回 Cコース替わりの中山芝1200m戦を考察する
2018/9/24(月)
今週は秋のスプリント王決定戦のスプリンターズSが行われる。近2年はレッドファルクスが2連覇しており、今年3連覇の偉業達成なるかにも注目が集まる。今回のデータde出〜たでは、木曜のスプリンターズS分析の前段階としてCコースに替わった開催後半の中山芝1200m戦を前3年と比較し、今年の芝の馬場状態を探っていきたい。また土曜の2歳OPカンナS、日曜にスプリンターズS前に行われる勝浦特別についても分析する。なお、データ分析にはJRA-VAN DataLab.とTARGET frontier JV を利用した。
■表1 セプテンバーS(1600万下)近4年の上位3着以内馬一覧(Cコース)
年/馬場 | 着順 | 馬名 | 勝ちタイム | 人気 | 脚質 | 上がり3F | 前半600m通過 | レース上がり |
2018 (稍重) |
1 | モズスーパーフレア | 1分7秒0 | 2 | 逃 | 33秒8 | 33秒2 | 33秒8 |
2 | アドマイヤナイト | 3馬身1/2 | 7 | 先 | 34秒1 | |||
3 | ナンヨーアミーコ | 3/4馬身 | 3 | 差 | 33秒6 | |||
2017 (稍重) |
1 | タマモブリリアン | 1分8秒0 | 2 | 先 | 34秒4 | 33秒5 | 34秒5 |
2 | アドマイヤナイト | 3/4馬身 | 1 | 差 | 34秒0 | |||
3 | デンコウウノ | ハナ | 6 | 逃 | 34秒6 | |||
2016 (稍重) |
1 | メラグラーナ | 1分8秒7 | 1 | 差 | 33秒3 | 34秒8 | 33秒9 |
2 | クードラパン | 3/4馬身 | 6 | 逃 | 34秒0 | |||
3 | マルヨバクシン | 1/2馬身 | 4 | 先 | 33秒8 | |||
2015 (良) |
1 | ヤサカオディール | 1分7秒9 | 10 | 先 | 34秒6 | 33秒3 | 34秒6 |
2 | カシノワルツ | クビ | 12 | 差 | 34秒1 | |||
3 | アブマーシュ | クビ | 6 | 差 | 33秒8 |
まず表1はCコース替わり初日に行われたセプテンバーSの今年と過去3年の上位3着以内馬一覧。近3年はいずれも稍重で行われているが、今年の1着馬モズスーパーフレアの勝ちタイムが非常に速い。前2年に比べても1秒以上、良馬場の15年と比較しても0秒9速く、今年はCコース替わりで例年より速いタイムが出ている。
モズスーパーフレアはスピードに勝っており、すんなり前に行けると強さを発揮するタイプ。今年のセプテンバーSでは前半33秒2で逃げて、後半は33秒8でそのまま押し切ってしまった。1600万下では異例ともいえる2着に3馬身半の大差がついたわけで、時計的には前3年のスプリンターズSよりも速かった。
2着にも2番手で先行していたアドマイヤナイトが入っており、前3年に比べて今年は前が止まりづらい馬場だったことがわかる。ちなみにアドマイヤナイトは昨年も同レースで2着に入っており、今年の走破時計の方が0秒5速かった。
■表2 初風特別(1000万下)近4年の上位3着以内馬一覧(Bコース)
年/馬場 | 着順 | 馬名 | 勝ちタイム | 人気 | 脚質 | 上がり3F | 前半600m通過 | レース上がり |
2018 (良) |
1 | ショウナンアエラ | 1分7秒9 | 2 | 先 | 33秒6 | 34秒1 | 33秒8 |
2 | イサチルホープ | 2馬身 | 10 | 先 | 33秒8 | |||
3 | ウォーターラボ | 1/2馬身 | 8 | 差 | 33秒6 | |||
2017 (重) |
1 | ダイメイプリンセス | 1分8秒3 | 9 | 先 | 35秒3 | 32秒9 | 35秒4 |
2 | タケショウベスト | 3/4馬身 | 1 | 先 | 34秒9 | |||
3 | アイファープリティ | 1馬身1/4 | 3 | 差 | 34秒9 | |||
2016 (良) |
1 | デンコウウノ | 1分8秒4 | 11 | 先 | 34秒2 | 34秒1 | 34秒3 |
2 | エスティタート | アタマ | 1 | 先 | 34秒1 | |||
3 | グレイトチャーター | 1馬身1/4 | 5 | 差 | 34秒1 | |||
2015 (良) |
1 | サザナミ | 1分8秒6 | 2 | 差 | 34秒4 | 33秒8 | 34秒8 |
2 | カービングパス | 1馬身1/4 | 1 | 差 | 34秒3 | |||
3 | エビスグレイト | クビ | 4 | 追 | 34秒0 |
表2はCコースに替わる前のBコースで行われた初風特別の今年と前3年の上位3着以内馬一覧。年によってレベルの差はあるとはいえ、今年勝利したショウナンアエラの勝ち時計1分7秒9は前2年と比べて0秒4〜5速い。特に16年と比較すると、前半600m通過34秒1で全く同じ。レース上がりの差がそのまま勝ち時計の差となっている。今秋の中山開催では開幕週を除いて、速い上がりが出やすい馬場状態になっているようだ。
BコースからCコースに替わって、今年は勝ち時計が高速化している。ハナを切った逃げ馬が直線の急坂を苦にせずに、そのまま残りやすい状況といえるだろう。今週良馬場で維持できれば、スプリンターズSでは持ち時計があるタイプ、前有利の状況が継続されるだろう。
■表3 カンナS(2歳OP)過去3年の上位3着以内馬一覧(Cコース)
年/馬場 | 着順 | 馬名 | 勝ちタイム | 人気 | 脚質 | 上がり3F | 前半600m通過 | レース上がり |
2017 (良) |
1 | ペイシャルアス | 1分9秒2 | 3 | 先 | 34秒9 | 34秒1 | 35秒1 |
2 | リンシャンカイホウ | 1/2馬身 | 6 | 逃 | 35秒2 | |||
3 | オジョーノキセキ | クビ | 5 | 差 | 34秒9 | |||
2016 (良) |
1 | タイムトリップ | 1分9秒1 | 1 | 先 | 35秒4 | 33秒5 | 35秒6 |
2 | ダノンハイパワー | 1馬身1/4 | 9 | 追 | 35秒0 | |||
3 | ナリノメジャー | 1/2馬身 | 7 | 差 | 35秒6 | |||
2015 (良) |
1 | ボーダレス | 1分8秒7 | 4 | 差 | 34秒3 | 33秒9 | 34秒8 |
2 | コスモアルコン | 1馬身1/4 | 2 | 逃 | 35秒0 | |||
3 | フレンチイデアル | 3/4馬身 | 3 | 差 | 34秒7 |
表3は土曜に行われる2歳オープンのカンナSの近3年の上位3着以内馬一覧。2歳戦だけあって勝ちタイムは1分9秒前後かかっているものの、今年は前3年よりも速くなることが想定される。上がりが速くなることも想定され、テンのスピードが重要なレースになりそうだ。ペースが緩くなれば、逃げ・先行馬同士の決着も十分にあるだろう。
■表4 カンナS過去3年の種牡馬別成績
種牡馬 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単勝回収率 | 複勝回収率 |
アドマイヤムーン | 1- 1- 0- 0/ 2 | 50.0% | 100.0% | 100.0% | 310% | 290% |
ロードアルティマ | 1- 0- 0- 0/ 1 | 100.0% | 100.0% | 100.0% | 290% | 150% |
ストロングリターン | 1- 0- 0- 0/ 1 | 100.0% | 100.0% | 100.0% | 820% | 280% |
ダノンシャンティ | 0- 1- 0- 2/ 3 | 0.0% | 33.3% | 33.3% | 0% | 180% |
マツリダゴッホ | 0- 1- 0- 0/ 1 | 0.0% | 100.0% | 100.0% | 0% | 210% |
キンシャサノキセキ | 0- 0- 2- 1/ 3 | 0.0% | 0.0% | 66.7% | 0% | 223% |
ダイワメジャー | 0- 0- 1- 2/ 3 | 0.0% | 0.0% | 33.3% | 0% | 130% |
その他の種牡馬 | 0- 0- 0-29/29 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0% | 0% |
表4は表3で示したカンナSの種牡馬別成績。アドマイヤムーン産駒は15年ボーダレスが勝利し、昨年のリンシャンカイホウが2着と好成績を残している。ロードアルティマ産駒も一昨年のタイムトリップが勝利している。
アドマイヤムーンもロードアルティマもミスタープロスペクター系種牡馬で、昨年の勝ち馬ペイシャルアスの父ストロングリターンも母父はミスプロ系だった。その他のサンデーサイレンス後継種牡馬の産駒は2・3着に留まっていた点は注目しておきたい。
■表5 勝浦特別(1000万下)過去3年の上位3着以内馬一覧(Cコース)
年/馬場 | 着順 | 馬名 | 性齢 | 勝ちタイム | 人気 | 脚質 | 上がり3F | 前半600m通過 | レース上がり |
2017 (良) |
1 | クラウンアイリス | 牝6 | 1分7秒8 | 8 | 差 | 33秒9 | 33秒4 | 34秒4 |
2 | ベルディーヴァ | 牝5 | クビ | 7 | 先 | 34秒4 | |||
3 | コロラトゥーレ | 牝3 | 1馬身 | 2 | 差 | 34秒3 | |||
2016 (良) |
1 | ペイシャフェリシタ | 牝3 | 1分8秒4 | 2 | 差 | 33秒6 | 34秒3 | 34秒1 |
2 | エリシェヴァ | 牝3 | 1馬身 | 6 | 先 | 34秒2 | |||
3 | ハピネス | 牝5 | 1/2馬身 | 3 | 先 | 34秒3 | |||
2015 (良) |
1 | キャレモンショコラ | 牝4 | 1分8秒0 | 5 | 先 | 34秒1 | 33秒9 | 34秒1 |
2 | バトルムーングロウ | 牝4 | 2馬身 | 13 | 先 | 34秒4 | |||
3 | ハピネス | 牝4 | クビ | 10 | 先 | 34秒1 |
表5はスプリンターズS直前に行われる勝浦特別の過去3年の上位3着以内馬一覧。3年とも1分8秒前後の勝ち時計となっているが、今年の一連の勝ち時計の出方からすると、1分7秒台前半は十分に考えられる。前後半600mのタイムには注目しておきたい。
また、勝浦特別の上位馬9頭はいずれも牝馬だった点はチェック。一昨年の勝ち馬ペイシャフェリシタは今年のオープン特別・春雷Sを勝利して、先日のキーンランドでも3着と好走している。
■表6 勝浦特別(1000万下)過去3年の前走からの斤量増減別成績
前走斤量 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単勝回収率 | 複勝回収率 |
増減無し | 2- 2- 1-11/16 | 12.5% | 25.0% | 31.3% | 82% | 154% |
今回増 | 0- 0- 0- 4/ 4 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0% | 0% |
今回減 | 1- 1- 2-24/28 | 3.6% | 7.1% | 14.3% | 53% | 66% |
表6は勝浦特別の前走からの斤量増減別成績。ハンデ戦でハンデキャッパーが斤量を決めるのだが、斤量増減なしの馬が一昨年のペイシャフェリシタら2勝をあげ、連対率25.0%・複勝率31.3%と優秀だ。複勝回収率も100%を大きく超えている。
今回斤量減の馬は昨年のクラウンアイリスが勝利。昨年は上位3着までが斤量減の馬だった。逆に今回斤量増の馬は4頭いずれも上位6番人気以内だったが、すべて着外に敗れている。勝浦特別は牝馬、そして斤量増減なしの馬を狙っていきたい。
ライタープロフィール
ケンタロウ(けんたろう)
1978年6月、鹿児島県生まれ。早稲田大学社会科学部卒業。初めて買った馬券が大当たりし、それから競馬にのめり込むように。データでは、開催日の馬場やコース適性に注目している。好きなタイプは逃げか追い込み。馬券は1着にこだわった単勝、馬単派。料理研究家ではない。