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第1251回 「スーパー未勝利」ダート戦は、単勝15倍の壁に注目!

2018/9/17(月)

先週の本コーナーでは出川塁氏が「スーパー未勝利戦」(4回阪神、中山の3歳未勝利戦)を取り上げ、特にキャリアと前走着順の関係については詳しく分析されており、たいへん興味深いものだった。それに刺激され当方もさらに調べてみると、「単勝オッズ」でもおもしろい傾向が見られたため、今回はそれを紹介したい。データの分析には、JRA-VAN DataLab.TARGET frontier JVを利用し、集計対象は秋の阪神・中山の「スーパー未勝利戦」(14年は中山代替の新潟)。また、本年は17日の阪神4レースを最後に芝の「スーパー未勝利戦」は終了し、今後はすべてダートで行われるため、ここでも特に表記がなければダート戦を対象としている。集計期間は13年から17年の5年間とした。

■表1 人気別成績

人気 ダート戦 芝(参考)
着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回収 複回収 勝率 連対率 複勝率
1 37-31-17-35/120 30.8% 56.7% 70.8% 72% 92% 20.0% 45.0% 55.0%
2 15-19-18-68/120 12.5% 28.3% 43.3% 48% 66% 10.0% 15.0% 30.0%
3 26-16-21-57/120 21.7% 35.0% 52.5% 135% 101% 20.0% 25.0% 30.0%
4 11-17-15-77/120 9.2% 23.3% 35.8% 79% 83% 15.0% 20.0% 35.0%
5 9-8-9-94/120 7.5% 14.2% 21.7% 79% 61% 0.0% 10.0% 15.0%
6 9-4-8-99/120 7.5% 10.8% 17.5% 98% 62% 0.0% 10.0% 15.0%
7 3-5-11-101/120 2.5% 6.7% 15.8% 30% 64% 10.0% 10.0% 10.0%
8 4-4-3-109/120 3.3% 6.7% 9.2% 102% 60% 5.0% 10.0% 30.0%
9 4-9-4-103/120 3.3% 10.8% 14.2% 102% 124% 5.0% 15.0% 25.0%
10 0-1-7-112/120 0.0% 0.8% 6.7% 0% 64% 15.0% 20.0% 30.0%
11〜 2-6-7-635/650 0.3% 1.2% 2.3% 10% 36% 0.0% 2.7% 3.4%

まずは、先週も出川氏が表1として紹介していた人気別成績を、芝・ダートに分けて集計してみた。今年は開催後半がすべてダート戦ということからもわかるように、「スーパー未勝利戦」に芝のレースは少なく、基本的には先週の表と大きな変わりはない。「狙い目」として挙げられていた3番人気はやはり良く、ダート戦にかぎると複勝回収率も100%を越えてくる(全レースでは96%)。

■表2 単勝オッズ別成績

単勝オッズ ダート戦 芝(参考)
着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回収 複回収 勝率 連対率 複勝率
1.0〜1.4 2-0-0-0/2 100.0% 100.0% 100.0% 125% 100% 該当なし
1.5〜1.9 10-7-0-5/22 45.5% 77.3% 77.3% 80% 85% 100.0% 100.0% 100.0%
2.0〜2.9 20-15-8-17/60 33.3% 58.3% 71.7% 83% 89% 33.3% 33.3% 33.3%
3.0〜3.9 14-11-17-30/72 19.4% 34.7% 58.3% 67% 86% 20.0% 50.0% 70.0%
4.0〜4.9 9-16-7-41/73 12.3% 34.2% 43.8% 55% 69% 5.9% 23.5% 35.3%
5.0〜6.9 23-17-21-59/120 19.2% 33.3% 50.8% 114% 95% 17.2% 24.1% 34.5%
7.0〜9.9 13-17-17-97/144 9.0% 20.8% 32.6% 77% 80% 7.4% 14.8% 22.2%
10.0〜14.9 17-13-15-110/155 11.0% 19.4% 29.0% 136% 90% 2.6% 5.1% 15.4%
15.0〜19.9 2-4-11-109/126 1.6% 4.8% 13.5% 26% 49% 12.1% 21.2% 24.2%
20.0〜29.9 5-6-5-145/161 3.1% 6.8% 9.9% 83% 56% 6.5% 16.1% 22.6%
30.0〜49.9 5-5-7-169/186 2.7% 5.4% 9.1% 98% 76% 2.4% 2.4% 11.9%
50.0〜99.9 0-7-8-217/232 0.0% 3.0% 6.5% 0% 84% 0.0% 2.3% 2.3%
100.0〜 0-2-4-491/497 0.0% 0.4% 1.2% 0% 26% 0.0% 2.8% 2.8%

2018/5/26 東京11R 欅ステークス 1着 6番 ドリームキラリ(初勝利:2015年9月27日)

さて、今回のポイントとなる単勝オッズ別成績が表2である。単勝10倍以上15倍未満と、15倍以上20倍未満の間に大きな差があり、連対率、複勝率で約15ポイントの差がついている。また、15〜19.9倍と、30〜40倍台を比較すると勝率、連対率は逆転しており、複勝率でもさほど大きな差はないため、当然回収率は単複とも30〜40倍台が上。単勝10倍台後半は配当妙味の面からも、かなり買う価値が低いゾーンになってしまっているのだ。表の右に記したように芝ではこれほど極端な差はなく、「スーパー未勝利」がダート戦ばかりになる、この開催後半2週では特に有効なデータと言えそうだ。

■表3 参考:6〜8月・3歳未勝利・ダート戦の単勝オッズ別成績

単勝オッズ 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回収 複回収
1.0〜1.4 18-9-2-3/32 56.3% 84.4% 90.6% 72% 96%
1.5〜1.9 79-43-30-39/191 41.4% 63.9% 79.6% 71% 88%
2.0〜2.9 147-85-70-158/460 32.0% 50.4% 65.7% 77% 83%
3.0〜3.9 114-103-80-222/519 22.0% 41.8% 57.2% 75% 84%
4.0〜4.9 94-62-77-238/471 20.0% 33.1% 49.5% 86% 83%
5.0〜6.9 110-122-95-488/815 13.5% 28.5% 40.1% 80% 76%
7.0〜9.9 81-135-109-635/960 8.4% 22.5% 33.9% 70% 80%
10.0〜14.9 86-94-109-854/1143 7.5% 15.7% 25.3% 93% 72%
15.0〜19.9 28-59-61-652/800 3.5% 10.9% 18.5% 60% 69%
20.0〜29.9 35-62-79-941/1117 3.1% 8.7% 15.8% 75% 77%
30.0〜49.9 38-38-57-1173/1306 2.9% 5.8% 10.2% 109% 81%
50.0〜99.9 28-37-51-1552/1668 1.7% 3.9% 7.0% 114% 84%
100.0〜 11-22-48-3001/3082 0.4% 1.1% 2.6% 54% 77%

では、「スーパー未勝利戦」以外はどうだろうか。表2は「スーパー未勝利戦」にかぎらない傾向という可能性もあるため、比較として6〜8月の3歳未勝利・ダート戦について調べたのが表3である。こちらでも確かに15倍未満と15倍以上で差は出ているものの、連対率で約5ポイント、複勝率で約7ポイントと、表2ほど極端なものではない。ここから20倍台、30〜40倍台と徐々に低下し、単勝オッズ別の好走確率としてはかなり自然なもののように見える。回収率を見れば完全にオッズ相応とも言えないが、少なくとも表2とは明らかに傾向が異なることはわかるだろう。

■表4 単勝オッズ別成績推移(ダート戦)

単勝オッズ 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回収 複回収
7.0〜9.9 2017年 4-3-4-14/25 16.0% 28.0% 44.0% 125% 104%
2016年 2-3-3-18/26 7.7% 19.2% 30.8% 68% 87%
2015年 3-3-3-28/37 8.1% 16.2% 24.3% 71% 60%
2014年 4-3-3-16/26 15.4% 26.9% 38.5% 135% 97%
2013年 0-5-4-21/30 0.0% 16.7% 30.0% 0% 62%
10.0〜14.9 2017年 4-4-7-25/40 10.0% 20.0% 37.5% 127% 113%
2016年 5-3-2-19/29 17.2% 27.6% 34.5% 211% 117%
2015年 4-3-2-16/25 16.0% 28.0% 36.0% 199% 106%
2014年 1-2-2-21/26 3.8% 11.5% 19.2% 56% 58%
2013年 3-1-2-29/35 8.6% 11.4% 17.1% 101% 53%
15.0〜19.9 2017年 0-0-0-20/20 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%
2016年 0-0-1-25/26 0.0% 0.0% 3.8% 0% 11%
2015年 0-0-4-23/27 0.0% 0.0% 14.8% 0% 54%
2014年 2-3-2-17/24 8.3% 20.8% 29.2% 137% 105%
2013年 0-1-4-24/29 0.0% 3.4% 17.2% 0% 64%

2018/9/8 中山10R 鋸山特別 1着 8番 デザートスネーク(初勝利:2017年9月24日)

続いて表4は「スーパー未勝利戦」(ダート)に戻り、その「15倍」近辺の「7〜9倍台」「10〜14倍台」「15〜19倍台」について、13〜17年の年別成績を見たものである。注目したいのは「15〜19倍台」で、連対馬が出ていたのは期間内の前半2年、13年と14年のみ。15〜16年は好走しても3着まで、そして昨年はついに3着馬すら不在となってしまった。また、「10〜14倍台」は昨年成績をやや落とし、その分「7〜9倍台」が上がっているが、これは15年、16年に逆転現象が起きており、昨年は自然な形に戻ったと言えるだろう。いずれにしても、近年はこの「15倍の壁」が厚くなっているようだ。

■表5 15〜17年、単勝オッズ別成績

単勝オッズ 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回収 複回収
1.0〜1.4 該当なし
1.5〜1.9 5-4-0-2/11 45.5% 81.8% 81.8% 80% 89%
2.0〜2.9 10-10-4-7/31 32.3% 64.5% 77.4% 80% 97%
3.0〜3.9 8-4-11-15/38 21.1% 31.6% 60.5% 72% 87%
4.0〜4.9 5-11-5-28/49 10.2% 32.7% 42.9% 47% 68%
5.0〜6.9 14-8-11-37/70 20.0% 31.4% 47.1% 119% 87%
7.0〜9.9 9-9-10-60/88 10.2% 20.5% 31.8% 85% 80%
10.0〜14.9 13-10-11-60/94 13.8% 24.5% 36.2% 172% 113%
15.0〜19.9 0-0-5-68/73 0.0% 0.0% 6.8% 0% 24%
20.0〜29.9 2-5-2-81/90 2.2% 7.8% 10.0% 60% 56%
30.0〜49.9 2-2-4-104/112 1.8% 3.6% 7.1% 69% 59%
50.0〜99.9 0-4-4-126/134 0.0% 3.0% 6.0% 0% 68%
100.0〜 0-1-1-274/276 0.0% 0.4% 0.7% 0% 20%

表4を受けて15〜17年の単勝オッズ別成績(ダート戦)を改めて集計したのが表5だ。表2でも大きな差があったが、過去3年にかぎったこの表5では、ひと目で明白な差がついていることがわかる。

■表6 単勝13〜14倍台の年別成績

単勝オッズ 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回収 複回収
13.0〜14.9 4-7-5-47 6.9% 17.5% 25.4% 89% 93%
15〜17 3-5-4-25 8.1% 21.6% 32.4% 111% 124%
2017年 1-2-3-10/16 6.3% 18.8% 37.5% 91% 131%
2016年 2-1-1-9/13 15.4% 23.1% 30.8% 205% 141%
2015年 0-2-0-6/8 0.0% 25.0% 25.0% 0% 82%
2014年 1-1-0-9/11 9.1% 18.2% 18.2% 133% 65%
2013年 0-1-1-13/15 0.0% 6.7% 13.3% 0% 35%

最後に、単勝「10〜14倍台」の中でも「15倍の壁」に近いところ、「13〜14倍台」だけを抽出した成績も見ておきたい。こちらもやはり15年以降の成績は向上し、15〜17年の複勝率は32.4%、単複の回収率はそれぞれ111%、124%をマークした。表5の「10〜14倍台」に比べると特に勝率が低く、その分単勝回収率も172%から111%になっているが、それでも100%超なら文句なし。15倍を切っていれば、13倍や14倍でもまったく問題ないという結果だ。

以上、この時期に行われる「スーパー未勝利戦」から、特にダート戦の単勝オッズに注目していくつか傾向を調べてみた。近年は特に「単勝15倍」を境にまったく結果が異なっており、また、もし穴を狙いたいなら、15〜19倍台よりは20倍以上のほうが良い、という表2や表5の結果だ。本稿執筆中の15日(土)にはダートの3歳未勝利戦が3鞍行われ、単勝15倍以上で馬券に絡んだ3頭(各レース1頭ずつ)は、15〜19倍台ではなく、いずれも20倍以上の馬だった。今週、来週の阪神・中山合計10競走は、いつも以上にレース直前の単勝オッズを意識して馬券を組み立て、好結果に繋げたい。

ライタープロフィール

浅田知広(あさだ ともひろ)

1970年12月、埼玉県生まれ。立命館大学文学部中退後、夕刊紙レース部のアルバイト、競馬データベース会社を経て、現在はフリー。パソコンが広く普及する以前から、パソコン通信でデータ手入力方式の競馬予想ソフトを公開するなど、競馬のみならずPCやネットワークにも精通。その知識を活かし、Webや雑誌で競馬ライターとして活躍するかたわら、ネットワークの専門誌にも連載を持つ。


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