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第1250回 実績馬か上がり馬か? セントライト記念を展望する

2018/9/13(木)

今週末の中央競馬は3日間開催で、平地重賞は日曜日にローズS、月曜日にセントライト記念が組まれている。いずれもG1の前哨戦となる重要なトライアルだ。このうち、昨年の当欄ではローズSを取り上げているため、今回はセントライト記念を分析したい。集計期間は過去10年だが、新潟開催となった2014年は除外し、実際には9年分となる。データの分析には、JRA-VAN DataLab.TARGET frontier JVを利用した。

■表1 人気別成績

人気 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回率 複回率
1番人気 2- 2- 1- 4/ 9 22.2% 44.4% 55.6% 37% 71%
2番人気 2- 1- 1- 5/ 9 22.2% 33.3% 44.4% 115% 72%
3番人気 1- 2- 2- 4/ 9 11.1% 33.3% 55.6% 68% 103%
4番人気 1- 1- 1- 6/ 9 11.1% 22.2% 33.3% 71% 87%
5番人気 0- 1- 1- 7/ 9 0.0% 11.1% 22.2% 0% 68%
6番人気 2- 0- 1- 6/ 9 22.2% 22.2% 33.3% 381% 125%
7番人気 0- 0- 1- 8/ 9 0.0% 0.0% 11.1% 0% 66%
8番人気 0- 0- 0- 9/ 9 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%
9番人気 1- 1- 0- 7/ 9 11.1% 22.2% 22.2% 205% 142%
10番人気〜 0- 1- 1-61/63 0.0% 1.6% 3.2% 0% 32%

表1は人気別成績。1番人気の数字は若干心許ない印象もあるが、皐月賞かダービーで3着以内に入っていた馬に限れば【2.2.1.1】と堅実。しかし、それ以外の馬は【0.0.0.3】と苦戦している。1番人気馬については春の実績を重く見たいところだ。以下、2、3番人気の好走率は1番人気と遜色なく、4〜6番人気が3着以内に入るケースも少なくない。7番人気や9番人気が好走した例もあり、ひとケタ人気に収まっていればチャンスありと考えていいのではないか。

■表2 厩舎所属別成績

厩舎所属 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回率 複回率
関東 8- 5- 4-71/88 9.1% 14.8% 19.3% 75% 57%
関西 1- 4- 5-42/52 1.9% 9.6% 19.2% 24% 70%
地方 0- 0- 0- 4/ 4 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%

表2は厩舎の所属別成績。集計対象の9年では、関東8勝、関西1勝と大きな差がついている。2、3着の回数は互角だが、特に馬単や3連単で狙う際の1着に関しては、関東馬を重視したほうがいいかもしれない。

■表3 馬体重別成績

馬体重 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回率 複回率
〜439キロ 0- 1- 0-10/11 0.0% 9.1% 9.1% 0% 15%
440〜459キロ 1- 2- 0-17/20 5.0% 15.0% 15.0% 21% 34%
460〜479キロ 1- 3- 4-33/41 2.4% 9.8% 19.5% 3% 57%
480〜499キロ 2- 2- 4-37/45 4.4% 8.9% 17.8% 18% 77%
500〜519キロ 2- 0- 1-15/18 11.1% 11.1% 16.7% 156% 40%
520キロ〜 3- 1- 0- 5/ 9 33.3% 44.4% 44.4% 413% 138%

表3は馬体重別成績。注目したいのは、520キロ以上の大型馬の成績が非常にいいこと。480キロ以上というくくりで見ても集計対象の9年で計7勝を挙げており、十分な馬格を持つ馬の分がいい様子が見てとれる。決定的なファクターとまではいえないが、迷った際などには参考にしてもよさそうだ。

■表4 前走クラス別成績

前走クラス 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回率 複回率
未勝利 0- 0- 0- 1/ 1 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%
500万下 1- 0- 2-37/40 2.5% 2.5% 7.5% 15% 35%
1000万下 2- 4- 1-30/37 5.4% 16.2% 18.9% 66% 85%
1600万下 0- 0- 0- 1/ 1 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%
オープン特別 0- 0- 0- 9/ 9 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%
G3 1- 1- 3-16/21 4.8% 9.5% 23.8% 30% 48%
G2 0- 1- 1- 3/ 5 0.0% 20.0% 40.0% 0% 86%
G1 5- 3- 2-15/25 20.0% 32.0% 40.0% 168% 106%

表4はクラス別成績。格上のクラスから見ていこう。前走G1はさすがの数字で、3着以内に入った計10頭の前走はすべてダービーだった。出走例は少ないが、前走G2も好成績。前走G3は好走率こそ落ちるものの、好走例は5頭ある。そして、この5頭の前走はすべてラジオNIKKEI賞となっている。条件戦からの好走も計10頭と多い。なお、前走1000万下の場合は前走6着まで好走例があり、前走500万下から好走した3頭はすべて前走1着だった。

■表5 前走ダービー出走馬のキャリア別成績

キャリア 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回率 複回率
5戦 2- 0- 1- 2/ 5 40.0% 40.0% 60.0% 336% 156%
6戦 3- 2- 0- 2/ 7 42.9% 71.4% 71.4% 360% 131%
7戦 0- 0- 1- 3/ 4 0.0% 0.0% 25.0% 0% 35%
8戦 0- 1- 0- 3/ 4 0.0% 25.0% 25.0% 0% 205%
9戦 0- 0- 0- 2/ 2 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%
10戦 0- 0- 0- 1/ 1 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%

前走ダービー出走馬の場合、キャリアに着目すると面白い。表5の通り、キャリア5戦か6戦なら抜群の成績を残す一方、キャリア7戦以上は明らかに数字がダウンするのだ。また、表1の項で「皐月賞かダービーで3着以内の実績を持つ1番人気馬は【2.2.1.1】」と述べたが、このケースで3着以内に入れなかった唯一の馬が、キャリア10戦のサトノラーゼンだった点も示唆に富んでいる。キャリアが少ない馬のほうが夏から秋かけての余地が残されているという推論も成り立ちそうで、非常に興味深いデータだ。

■表6 前走ラジオNIKKEI賞出走馬の前走着順別成績

前走着順 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回率 複回率
1、2着 1- 1- 2- 2/ 6 16.7% 33.3% 66.7% 106% 143%
3着〜 0- 0- 1-11/12 0.0% 0.0% 8.3% 0% 13%

表6は、前走ラジオNIKKEI賞出走馬の前走着順別成績。これもわかりやすい傾向が出ており、セントライト記念で3着以内に入った5頭中4頭は、ラジオNIKKEI賞で1、2着に入っていた。唯一の例外である17年3着のサトノクロニクルは、ラジオNIKKEI賞で1番人気に推されていた馬だった。すなわち、ラジオNIKKEI賞で1、2着か1番人気が目安とみなすことができそうだ。

■表7 前走500万下・1000万下の前走距離別成績(芝のみ)

前走距離 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回率 複回率
1800m 2- 0- 2- 4/ 8 25.0% 25.0% 50.0% 153% 196%
2000m 0- 2- 0-30/32 0.0% 6.3% 6.3% 0% 18%
2200m 1- 2- 1-13/17 5.9% 17.6% 23.5% 108% 142%

表7は、前走で500万下か1000万下に出走していた馬の前走距離別成績(芝のみ)。この組で好走例がある前走距離は、表7に掲載した3つだけだった。興味深いのは、前走が条件戦の場合、芝1800mか芝2200mに出走していると好成績を収めているのに対して、芝2000mは好走率がかなり下がってしまうこと。前走が条件戦だった馬は、その距離に注目すると好結果につながるのではないか。

■表8 種牡馬別成績

種牡馬 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単勝回収値% 複勝回収値%
ステイゴールド 3- 0- 1- 6/10 30.0% 30.0% 40.0% 281% 164%
アグネスタキオン 2- 0- 1- 4/ 7 28.6% 28.6% 42.9% 355% 144%
ディープインパクト 1- 3- 2-17/23 4.3% 17.4% 26.1% 6% 40%
シンボリクリスエス 1- 0- 0- 9/10 10.0% 10.0% 10.0% 62% 23%
ブラックタイド 1- 0- 0- 1/ 2 50.0% 50.0% 50.0% 625% 225%
トーセンホマレボシ 1- 0- 0- 0/ 1 100.0% 100.0% 100.0% 610% 150%
ブライアンズタイム 0- 2- 0- 2/ 4 0.0% 50.0% 50.0% 0% 322%
タニノギムレット 0- 1- 0- 6/ 7 0.0% 14.3% 14.3% 0% 47%
ジャングルポケット 0- 1- 0- 4/ 5 0.0% 20.0% 20.0% 0% 52%
スクリーンヒーロー 0- 1- 0- 0/ 1 0.0% 100.0% 100.0% 0% 820%
サッカーボーイ 0- 1- 0- 0/ 1 0.0% 100.0% 100.0% 0% 230%

※1、2着馬を出した種牡馬のみ

表8は種牡馬別成績で、今回は1、2着馬を出した種牡馬のみ掲載した。まずは、集計対象の9年で3勝のステイゴールドを筆頭に、サンデーサイレンス系の種牡馬が8勝を挙げている点が目につく。そのサンデー系で注意点を挙げるとすれば、出走例が最多のディープインパクトは2、3着どまりのケースも多いということ。サンデー系以外の父を持つ馬で唯一1着となったのは、シンボリクリスエス産駒のユールシンギング(13年)。同系統のブライアンズタイムやタニノギムレット、スクリーンヒーローも2着馬を出しており、ロベルト系も注目の存在といえる。

【結論】

2018/1/14 中山11R 京成杯(G3) 1着 15番 ジェネラーレウーノ 2018/1/20 京都10R 若駒ステークス 1着 4番 ケイティクレバー

今年のセントライト記念に登録がある17頭のうち、今回調べたデータから有力と思われる馬を探していこう。

まず、前走でダービーに出走していた馬は5頭。この組はキャリアが5戦か6戦だと好走率が高く、該当するのはオウケンムーン、グレイル、コズミックフォース、ジェネラーレウーノの4頭。なかでも父ハーツクライがサンデーサイレンス系のグレイル、父スクリーンヒーローがロベルト系のジェネラーレウーノが血統的にはよさそうで、両馬ともに前走時で490キロ台と十分な馬格を備えている点も好感。さらに絞るなら、勝ち切る例が多い関東馬のジェネラーレウーノが有力となるだろうか。

前走G1の好走例はダービー組なのだが、NHKマイルC2着以来となるギベオンも人気を集めそうな1頭。ただし、本馬は関西馬かつディープインパクト産駒で、いずれも2、3着が多い傾向があるにあることは頭に入れておきたい。

最後に前走条件戦組では、前走で芝1800mか2200mのレースを使っていた馬の成績がよかった。この観点から浮かび上がるのは ケイティクレバー、タニノフランケル、ダブルフラットの3頭。ケイティクレバーの前走は1600万下となるが、前走1000万下が好走できて1600万下で好走できない理由はないだろう。

最後にレイエンダにも触れておこう。昨年のダービー馬レイデオロの全弟で、これまで3戦3勝という戦歴からも注目される1頭だが、前走の1000万下は芝2000mで、父のキングカメハメハもサンデー系でもロベルト系でもない。今後が楽しみな素質馬には違いないが、今回のデータ分析にはあまり沿わない馬という評価としたい。

ライタープロフィール

出川塁(でがわ るい)

1977年熊本県生まれ。上智大学文学部卒業後、出版社2社で競馬専門誌、競馬書籍の編集に携わり、2007年からフリーライターに。「競馬最強の法則」「サラブレ」「優駿」などへ寄稿するほか、出版社勤務時代を含めて制作に関わった競馬書籍は多数。馬券は単勝派だが、焼肉はタン塩派というわけではない。メインの競馬のほか、サッカーでも密かに活動中。


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