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第1241回 芝1200mにおけるディープ産駒の傾向とは?

2018/8/13(月)

2018/7/1 中京11R CBC賞(G3) 1着 8番 アレスバローズ

今週末に行なわれる北九州記念の出走予定馬で有力視される1頭が、前走のCBC賞を制したアレスバローズだ。同馬の父ディープインパクトには短距離戦を苦手とする印象もあるが、実際のところ芝1200mではどのような成績を収めているのだろうか。そこで今回は「芝1200mにおけるディープインパクト」に関するデータを調べてみたい。集計期間は、ディープインパクト産駒が最初に中央競馬のレースに出走した10年6月20日から今年8月5日まで。データの分析には、JRA-VAN DataLab.TARGET frontier JVを利用した。

■表1 芝・距離別成績    

距離 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回率 複回率
1000m 2-   4-   2-  27/  35 5.7% 17.1% 22.9% 44% 48%
1200m 78-  75-  48- 563/ 764 10.2% 20.0% 26.3% 65% 69%
1400m 119- 112-  91- 686/1008 11.8% 22.9% 31.9% 70% 73%
1500m 13-  12-   7-  47/  79 16.5% 31.6% 40.5% 111% 141%
1600m 351- 324- 268-1632/2575 13.6% 26.2% 36.6% 65% 79%
1700m 4-   2-   1-   7/  14 28.6% 42.9% 50.0% 90% 97%
1800m 418- 316- 294-1676/2704 15.5% 27.1% 38.0% 76% 79%
2000m 338- 303- 257-1589/2487 13.6% 25.8% 36.1% 65% 76%
2200m 68-  64-  52- 371/ 555 12.3% 23.8% 33.2% 67% 88%
2300m 1-   3-   1-  10/  15 6.7% 26.7% 33.3% 11% 74%
2400m 82-  62-  63- 346/ 553 14.8% 26.0% 37.4% 83% 77%
2500m 5-   5-   7-  65/  82 6.1% 12.2% 20.7% 67% 57%
2600m 15-  18-  14- 127/ 174 8.6% 19.0% 27.0% 84% 78%
3000m 2-   3-   4-  24/  33 6.1% 15.2% 27.3% 10% 81%
3200m 0-   1-   1-  13/  15 0.0% 6.7% 13.3% 0% 50%
3400m 0-   1-   3-   8/  12 0.0% 8.3% 33.3% 0% 79%
3600m 0-   4-   1-   2/   7 0.0% 57.1% 71.4% 0% 171%

最初にディープインパクト産駒の芝における距離別成績を確認しておきたい。表1を見ると、好走率が高いのは1500mから2400mにかけての距離ということがわかる。一方、1400m以下や2500m以上の距離では好走率が若干ダウン。やはりというべきか、今回のテーマとなる芝1200mは、基本的には得意な条件とはいえないようだ。このことを踏まえたうえで、それでも狙える条件があるのかどうかを調べていこう。

■表2 年度別成績

年度 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回率 複回率
2010年 2-  2-  0-  2/  6 33.3% 66.7% 66.7% 78% 98%
2011年 5-  2-  2- 30/ 39 12.8% 17.9% 23.1% 104% 51%
2012年 12-  2-  4- 33/ 51 23.5% 27.5% 35.3% 152% 95%
2013年 10- 11-  6- 62/ 89 11.2% 23.6% 30.3% 73% 88%
2014年 7- 10-  8-117/142 4.9% 12.0% 17.6% 38% 51%
2015年 12-  9- 10- 97/128 9.4% 16.4% 24.2% 51% 51%
2016年 13- 13-  7- 83/116 11.2% 22.4% 28.4% 73% 68%
2017年 10- 12-  6- 73/101 9.9% 21.8% 27.7% 59% 80%
2018年 7- 14-  5- 67/ 93 7.5% 22.6% 28.0% 52% 80%
※2018年は8月5日まで

表2は年度別成績。まだ産駒が少なかった2013年までは、芝1200mでもなかなか高い好走率を記録していたのだが、古馬の産駒も増えてきた2014年から2015年にかけては好走率を落とした時期があった。その後、2016年以降は複勝率28%前後で安定。ディープインパクト産駒の数が十分に増えたことで、芝1200mに適性がある産駒の見極めがしやすくなり、好走率も落ち着いてきたのかもしれない。

■表3 牡牝・年齢別成績

項目 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回率 複回率
性別 牡馬・セン馬 15- 16- 13-130/174 8.6% 17.8% 25.3% 60% 63%
牝馬 34- 42- 23-307/406 8.4% 18.7% 24.4% 51% 65%
年齢 2歳 7-  5-  1- 12/ 25 28.0% 48.0% 52.0% 94% 76%
3歳 18- 18- 11-140/187 9.6% 19.3% 25.1% 48% 60%
4歳 16- 18- 11-122/167 9.6% 20.4% 26.9% 77% 66%
5歳 5- 17- 11-101/134 3.7% 16.4% 24.6% 29% 81%
6歳 3-  0-  2- 55/ 60 5.0% 5.0% 8.3% 52% 35%
7歳以上 0-  0-  0-  7/  7 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%

表3は牡牝および年齢別成績で、セン馬は牡馬に含めている。牡牝別の成績から見ていくと、牡馬と牝馬の好走率はほぼ同等。出走数、好走数ともに牝馬のほうが多いこともあって、牝馬のほうが芝1200mに向いているような印象もあるが、データ上では明確な差はない

次に年齢別成績。際立つのは2歳の好走率で、ディープインパクト産駒が2歳戦の芝1200mに出走してきた場合は狙ってみてもいいだろう。以降、3歳と4歳の好走率は同程度で、5歳になるとややダウン。6歳になるとさらに下がり、7歳以上では好走例自体がない。このあたりは加齢の影響と考えられ、一般的な傾向に準じてよさそうだ。

■表4 競馬場別成績

競馬場 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回率 複回率
全クラス 札幌 7-  4-  5- 30/ 46 15.2% 23.9% 34.8% 98% 82%
函館 10- 12-  6- 72/100 10.0% 22.0% 28.0% 105% 71%
福島 10-  8-  7- 63/ 88 11.4% 20.5% 28.4% 66% 91%
新潟 4-  4-  4- 39/ 51 7.8% 15.7% 23.5% 48% 75%
中山 7-  2-  7- 49/ 65 10.8% 13.8% 24.6% 63% 62%
中京 9- 13-  3- 56/ 81 11.1% 27.2% 30.9% 84% 77%
京都 7-  5-  4- 67/ 83 8.4% 14.5% 19.3% 62% 49%
阪神 4-  8-  2- 36/ 50 8.0% 24.0% 28.0% 42% 60%
小倉 20- 19- 10-151/200 10.0% 19.5% 24.5% 42% 62%
重賞 札幌 1- 1- 0- 4/ 6 16.7% 33.3% 33.3% 93% 56%
函館 1- 1- 1- 3/ 6 16.7% 33.3% 50.0% 53% 141%
福島 0- 0- 0- 0/ 0          
新潟 0- 0- 1- 0/ 1 0.0% 0.0% 100.0% 0% 380%
中山 0- 1- 1- 7/ 9 0.0% 11.1% 22.2% 0% 58%
中京 3- 1- 1-11/16 18.8% 25.0% 31.3% 124% 73%
京都 1- 0- 1- 8/10 10.0% 10.0% 20.0% 156% 132%
阪神 0- 1- 1- 2/ 4 0.0% 25.0% 50.0% 0% 160%
小倉 0- 0- 1- 2/ 3 0.0% 0.0% 33.3% 0% 73%

表4は競馬場別成績で、上半分は全クラス、下半分は重賞に限った成績を示している。また、芝1200mの設定がない東京は割愛した。全クラスの成績から明らかな傾向と言えるのは、20勝の小倉を筆頭に、函館と福島で各10勝などローカルの芝1200mで勝利数を稼いでいること。好走率が高い札幌や中京もローカルに含まれる競馬場だ。

重賞に限ったデータを見ても、同様にローカルの成績がいい。特に中京で行なわれるCBC賞では15年から今年までの4年間で3勝を挙げており、来年以降もディープインパクト産駒に注目してみたい。なお、北九州記念の行なわれる小倉の重賞では、過去に3走して3着1回という成績。ただし、これはバーバラ1頭が3回出走したものなので、ディープインパクト産駒全体の傾向とまでは言いづらいのが実情ではある。

■表5 人気別成績

人気 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回率 複回率
1番人気 30- 22- 10- 52/114 26.3% 45.6% 54.4% 62% 76%
2番人気 19- 13-  7- 45/ 84 22.6% 38.1% 46.4% 94% 80%
3番人気 6- 12-  5- 42/ 65 9.2% 27.7% 35.4% 65% 78%
4番人気 9-  7-  3- 43/ 62 14.5% 25.8% 30.6% 129% 74%
5番人気 7-  6-  9- 46/ 68 10.3% 19.1% 32.4% 113% 110%
6番人気 2-  5-  6- 40/ 53 3.8% 13.2% 24.5% 66% 102%
7番人気 2-  0-  2- 45/ 49 4.1% 4.1% 8.2% 81% 35%
8番人気 1-  5-  1- 45/ 52 1.9% 11.5% 13.5% 29% 62%
9番人気 0-  1-  0- 48/ 49 0.0% 2.0% 2.0% 0% 16%
10番人気〜 2-  4-  5-157/168 1.2% 3.6% 6.5% 36% 52%

表5は人気別成績。まず気をつけたいのが、1番人気の成績がひと息という点だ。好走率、回収率とも水準に達しておらず、本命視されている場合は慎重に扱ったほうがいいかもしれない。反面、2番人気の成績はなかなか優秀。そして、より狙ってみたいのが4〜6番人気のゾーンだ。4番人気は単勝回収率129%、5番人気も同113%と高く、6番人気は複勝回収率が102%。芝1200mですこし人気を落としたディープインパクト産駒は要注意の存在となる。

■表6 枠番別成績

枠番 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回率 複回率
1枠 4-  7-  1- 67/ 79 5.1% 13.9% 15.2% 92% 53%
2枠 8-  4-  5- 65/ 82 9.8% 14.6% 20.7% 56% 49%
3枠 7- 15-  6- 64/ 92 7.6% 23.9% 30.4% 24% 83%
4枠 12- 10-  6- 73/101 11.9% 21.8% 27.7% 90% 77%
5枠 11- 12-  7- 55/ 85 12.9% 27.1% 35.3% 66% 87%
6枠 11-  5-  6- 71/ 93 11.8% 17.2% 23.7% 59% 57%
7枠 11- 10-  6- 78/105 10.5% 20.0% 25.7% 82% 56%
8枠 14- 12- 11- 90/127 11.0% 20.5% 29.1% 56% 80%

表6は枠番別成績で、着目したいのは1〜3枠の成績があまりよくないことだ。勝率ベースでいえば、4〜8枠の勝率はすべて10%以上あるのに対して、1〜3枠はいずれも10%未満。特に最内の1枠は勝率5.1%にとどまっている。このデータを見る限り、芝1200mのディープインパクト産駒は真ん中から外の枠に入った場合に狙ったほうが無難と言えそうだ。

■表7 母父別成績

母父 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回率 複回率
トニービン 6- 4- 3-29/42 14.3% 23.8% 31.0% 57% 68%
Dixieland Band 6- 1- 2- 9/18 33.3% 38.9% 50.0% 151% 123%
フレンチデピュティ 5- 4- 0-10/19 26.3% 47.4% 47.4% 74% 65%
Storm Cat 5- 3- 3-27/38 13.2% 21.1% 28.9% 110% 58%
Souvenir Copy 5- 2- 3-12/22 22.7% 31.8% 45.5% 193% 172%
サクラバクシンオー 4- 1- 0-17/22 18.2% 22.7% 22.7% 66% 32%
Distorted Humor 3- 6- 1-11/21 14.3% 42.9% 47.6% 57% 211%
ブライアンズタイム 3- 4- 2-32/41 7.3% 17.1% 22.0% 164% 90%
Unbridled's Song 3- 2- 1- 7/13 23.1% 38.5% 46.2% 124% 96%
Danehill 3- 1- 2-16/22 13.6% 18.2% 27.3% 97% 122%

表7は母父別成績。ただし、母父それぞれの出走数は決して多くなく、上位でも1、2頭の産駒によって記録された成績であるケースも少なくない。そこで全体的な傾向について見ていくと、上位10頭のうち横文字表記の種牡馬が6頭も入っていることに気がつく。言い換えると、輸入繁殖牝馬を母に持つディープインパクト産駒が芝1200mで良績を収めているということでもある。血統にあまり詳しくない方も、その点だけでも注意すると結果につながりやすくなるかもしれない。

ライタープロフィール

出川塁(でがわ るい)

1977年熊本県生まれ。上智大学文学部卒業後、出版社2社で競馬専門誌、競馬書籍の編集に携わり、2007年からフリーライターに。「競馬最強の法則」「サラブレ」「優駿」などへ寄稿するほか、出版社勤務時代を含めて制作に関わった競馬書籍は多数。馬券は単勝派だが、焼肉はタン塩派というわけではない。メインの競馬のほか、サッカーでも密かに活動中。


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