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第1238回 難解なハンデ重賞の小倉記念を読み解く

2018/8/2(木)

日曜に小倉競馬場で伝統のハンデ重賞、小倉記念が行われる。サマー2000シリーズのハンデ重賞の全体の傾向として1番人気の勝利が少ないことが挙げられるが、この小倉記念も過去10年で1番人気馬が未勝利と難解なレースとして知られている。今回は小倉記念に注目し、2013年以降の近5年の傾向から馬券的に狙える馬を探っていきたい。なお、データ分析にはJRA-VAN DataLab.TARGET frontier JVを利用した。

■表1 小倉記念の人気別成績(近5年)

人気 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単勝回収率 複勝回収率
1番人気 0- 0- 1- 4/ 5 0.0% 0.0% 20.0% 0% 30%
2番人気 0- 2- 1- 2/ 5 0.0% 40.0% 60.0% 0% 128%
3番人気 2- 0- 1- 2/ 5 40.0% 40.0% 60.0% 236% 126%
4番人気 1- 1- 0- 3/ 5 20.0% 40.0% 40.0% 142% 110%
5番人気 0- 1- 0- 4/ 5 0.0% 20.0% 20.0% 0% 52%
6番人気 1- 1- 2- 1/ 5 20.0% 40.0% 80.0% 176% 248%
7番人気 0- 0- 0- 5/ 5 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%
8番人気 0- 0- 0- 5/ 5 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%
9番人気 0- 0- 0- 5/ 5 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%
10番人気以下 1- 0- 0-25/26 3.8% 3.8% 3.8% 140% 30%

まず表1は小倉記念近5年の人気別成績。冒頭でも述べたように1番人気馬が勝利どころか連対もなく、13年マイネルラクリマの3着1回のみと苦戦傾向にある。前走で好走して今回1番人気に推されても信頼度は低いといえる。2番人気馬は勝ち星こそないが、連対率40%・複勝率60%とまずまずだ。

以下、3番人気馬が14年サトノノブレスら2勝、4番人気馬が昨年のタツゴウゲキ、6番人気馬が15年アズマシャトル、10番人気以下からは一昨年のクランモンタナ(11番人気馬)が勝利している。なかでも6番人気馬は近4年連続で3着以内に入っており、複勝率トップの80%と健闘が目立つ。黄色で強調したように2〜4番人気、6番人気と新聞紙上では○、▲、△あたりが多く付く馬の好走が多いといえるだろう。

■表2 小倉記念の斤量別成績(近5年)

斤量 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単勝回収率 複勝回収率
51kg 0- 0- 0- 2/ 2 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%
52kg 1- 0- 0- 7/ 8 12.5% 12.5% 12.5% 88% 32%
53kg 1- 1- 1-11/14 7.1% 14.3% 21.4% 49% 50%
54kg 1- 2- 0- 7/10 10.0% 30.0% 30.0% 366% 124%
55kg 0- 0- 1-11/12 0.0% 0.0% 8.3% 0% 25%
56kg 1- 2- 0- 8/11 9.1% 27.3% 27.3% 80% 77%
57kg 1- 0- 1- 7/ 9 11.1% 11.1% 22.2% 54% 62%
57.5kg 0- 0- 1- 1/ 2 0.0% 0.0% 50.0% 0% 95%
58kg 0- 0- 1- 2/ 3 0.0% 0.0% 33.3% 0% 50%

表2は斤量別成績。勝ち馬は52〜57キロの範囲におさまっており、連対馬は54、56キロが各3頭ずつと多い。55キロだけ連対馬がおらず、3着1回のみと不振傾向にある。 また、ハンデ頭の馬は近5年で【0.0.2.3】で連対馬が出ておらず、近3年は馬券圏内に絡めていない

■表3 小倉記念の年齢別成績(近5年)

年齢 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単勝回収率 複勝回収率
3歳 0- 2- 0- 0/ 2 0.0% 100.0% 100.0% 0% 255%
4歳 2- 1- 0- 8/11 18.2% 27.3% 27.3% 124% 68%
5歳 2- 2- 2-12/18 11.1% 22.2% 33.3% 77% 74%
6歳 0- 0- 2-17/19 0.0% 0.0% 10.5% 0% 25%
7歳以上 1- 0- 1-19/21 4.8% 4.8% 9.5% 174% 55%

表3は年齢別成績。黄色で強調したように4、5歳馬が2勝ずつあげており、連対率・複勝率ともに高い。逆に6歳馬は連対馬がおらず、不振傾向にある。ただ、7歳以上の高齢馬も馬券に絡んでおり、年齢で優劣を測るのは危険かもしれない。なお、3歳馬は連対率100%と好相性だが、今年は出走馬がいなかった。

■表4 小倉記念の前走距離別成績(近5年)

前走距離 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単勝回収率 複勝回収率
1400m 0- 0- 0- 2/ 2 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%
1600m 0- 0- 0- 3/ 3 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%
1800m 0- 1- 1-11/13 0.0% 7.7% 15.4% 0% 44%
2000m 4- 3- 4-33/44 9.1% 15.9% 25.0% 135% 73%
2200m 0- 0- 0- 2/ 2 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%
2400m 0- 1- 0- 1/ 2 0.0% 50.0% 50.0% 0% 130%
2500m 0- 0- 0- 2/ 2 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%
3200m 1- 0- 0- 1/ 2 50.0% 50.0% 50.0% 245% 90%

表4は前走距離別成績。出走数の半数以上を占める前走2000m組が昨年のタツゴウゲキら大半の4勝をあげており、毎年連対馬を出している。前走2000m以外では距離延長組が【0.1.1.16】で複勝率11.1%と低いのに対して、距離短縮組は【1.1.0.6】で14年サトノノブレス(前走天皇賞・春8着)が勝利しており、連対率25.0%と優秀だ。

■表5 前走2000m組の前走レース別成績(近5年)

前走レース名 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単勝回収率 複勝回収率
七夕賞 1- 0- 3-21/25 4.0% 4.0% 16.0% 28% 36%
マレーシアC(1600万下) 1- 0- 0- 5/ 6 16.7% 16.7% 16.7% 146% 46%
鳴尾記念 1- 0- 0- 2/ 3 33.3% 33.3% 33.3% 1220% 263%
関ケ原S(1600万下) 1- 0- 0- 0/ 1 100.0% 100.0% 100.0% 690% 220%
新潟大賞典 0- 1- 0- 2/ 3 0.0% 33.3% 33.3% 0% 96%
中日新聞杯 0- 1- 0- 0/ 1 0.0% 100.0% 100.0% 0% 280%
皐月賞 0- 1- 0- 0/ 1 0.0% 100.0% 100.0% 0% 250%
マーメイドS 0- 0- 1- 0/ 1 0.0% 0.0% 100.0% 0% 230%
福島民報杯 0- 0- 0- 1/ 1 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%
函館記念 0- 0- 0- 1/ 1 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%
サイレンスSC(1600万下) 0- 0- 0- 1/ 1 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%

表5は前走2000m組の前走レース別成績。出走数の半数以上を占めるのが七夕賞組だが、勝利したのは昨年のタツゴウゲキのみで連対率・複勝率ともに低い。ただし、七夕賞組の前走1着馬は【0.0.2.0】で2頭ともに3着に入っている

七夕賞以外では前走1600万下の馬が15年アズマシャトルら2勝、鳴尾記念組が一昨年のクランモンタナが勝利している。前走2000mハンデ重賞組は七夕賞組のタツゴウゲキ以外は2・3着止まりとなっている。

■表6 小倉記念の前走からの斤量増減別成績(近5年)

前走斤量 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単勝回収率 複勝回収率
増減無し 1- 1- 1-32/35 2.9% 5.7% 8.6% 20% 24%
今回増 0- 1- 2- 1/ 4 0.0% 25.0% 75.0% 0% 155%
今回減 4- 3- 2-23/32 12.5% 21.9% 28.1% 178% 87%
1〜1.5kg減 2- 1- 2- 5/10 20.0% 30.0% 50.0% 137% 127%

表6は前走からの斤量増減別成績。出走数が最も多い増減なしの馬は昨年のタツゴウゲキの1勝のみで、連対率・複勝率ともに低い。対して、斤量増の馬は勝ち星こそないものの、複勝率75.0%と非常に高い。昨年のベルーフも8番人気4着と人気以上に走れており、斤量増の馬は要注目だ。

また、斤量減の馬が大半の4勝があげているが、その中でも斤量1〜1.5キロ減の馬は15年アズマシャトルら2勝をあげており、連対率30.0%・複勝率50.0%と優秀だ。

■表7 小倉記念の種牡馬別成績(近5年)

種牡馬 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単勝回収率 複勝回収率
ディープインパクト 2- 1- 2-13/18 11.1% 16.7% 27.8% 230% 107%
ハーツクライ 1- 0- 1- 3/ 5 20.0% 20.0% 40.0% 138% 82%
マーベラスサンデー 1- 0- 0- 0/ 1 100.0% 100.0% 100.0% 710% 260%
ゼンノロブロイ 1- 0- 0- 0/ 1 100.0% 100.0% 100.0% 880% 280%
ハービンジャー 0- 3- 0- 1/ 4 0.0% 75.0% 75.0% 0% 185%
キングカメハメハ 0- 1- 0- 3/ 4 0.0% 25.0% 25.0% 0% 65%
ステイゴールド 0- 0- 1- 4/ 5 0.0% 0.0% 20.0% 0% 46%
チーフベアハート 0- 0- 1- 0/ 1 0.0% 0.0% 100.0% 0% 150%
その他の種牡馬 0- 0- 0-32/32 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%

表7は種牡馬別成績。ディープインパクト産駒が一昨年のクランモンタナら最多の2勝をあげているが、今年は出走予定馬がいない。ハーツクライ産駒はメイショウナルトが13年1着、14年3着と好走。昨年のカフジプリンスが9番人気5着と人気以上に走れている。

また、ハービンジャー産駒は勝ち星こそないものの、2着3回と好成績。昨年出走のベルーフも3着フェルメッツァとクビ差の4着なので、非常に相性が良いといえる。チーフベアハート産駒も3着1回があり、ノーザンダンサー系とくにダンチヒを経由した同系は好走確率が高いといえそうだ。

<結論>

■表8 今年の小倉記念の出走予定馬(8/1時点)

馬名 性齢 斤量(増減) 前走成績
エーティーサンダー 牡5 51(-6) シンガポールT(1000万下) 6着
キョウヘイ 牡4 55(-2) 垂水S(1600万下) 1着
キンショーユキヒメ 牝5 54(0) 七夕賞 7着
サトノクロニクル 牡4 57(-1) 天皇賞・春 12着
サンマルティン セ6 56(-1) 都大路S 1着
ストーンウェア 牡6 54(0) メイS 2着
ストロングタイタン 牡5 57(-1) 宝塚記念 11着
トリオンフ セ4 57(+1) 鳴尾記念 2着
マイネルサージュ 牡6 56(+1) 七夕賞 2着
マウントゴールド 牡5 54(-2) 下鴨S 1着
メドウラーク 牡7 56(+2) 七夕賞 1着
レイホーロマンス 牝5 51(0) 七夕賞 6着

2017/12/2 阪神11R チャレンジカップ(G3) 1着 3番 サトノクロニクル 2018/5/12 京都11R 都大路ステークス 1着 2番 サンマルティン

今年の出走予定馬は表8のとおり。

サトノクロニクル、サンマルティン、ストロングタイタン、トリオンフの4頭が上位人気になると予想されるが、この中でサトノクロニクル、サンマルティンの2頭をデータから推奨したい。サトノクロニクルは昨年のチャレンジCで芝2000m重賞を勝利。その時は菊花賞10着からの大幅距離短縮で勝ち切ってみせた。今回も天皇賞・春からの大幅距離短縮で同じような臨戦過程といえる。4歳馬、斤量1キロ減、ハーツクライ産駒も強調材料で、今回も好勝負になる公算が高い。

サンマルティンは昨年タツゴウゲキとハナ差の2着と好走。小倉記念と好相性のハービンジャー産駒で、斤量1キロ減も好材料といえる。成績を見ても春〜夏にかけて良績が集中しており、今年もチャンスだろう。逆にトリオンフは秋〜冬の成績が良く、夏場は条件戦でも勝ち切れないレースが見られる。ノーザンダンサー系ではあるが、ダンチヒを経由しておらず、押さえまで。ストロングタイタンは昨年1番人気に推されながら8着と敗退。ムラな面があるだけに信頼感は低い。

穴は前走七夕賞を制したメドウラーク。今回斤量増となるが、前走勝利しても人気がなく、伏兵で狙って面白い一頭だろう。

ライタープロフィール

ケンタロウ(けんたろう)

1978年6月、鹿児島県生まれ。早稲田大学社会科学部卒業。初めて買った馬券が大当たりし、それから競馬にのめり込むように。データでは、開催日の馬場やコース適性に注目している。好きなタイプは逃げか追い込み。馬券は1着にこだわった単勝、馬単派。料理研究家ではない。


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