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第1240回 巻き返しが当たり前? 関屋記念を分析!

2018/8/9(木)

今週は日曜日に新潟競馬場で関屋記念が行われる。サマーマイルシリーズの2戦目にあたるレースで、後のG1にもつながる注目の一戦だ。過去10年ではジャスタウェイやダノンシャークらが好走している。いつものように過去10年のデータを分析し、レースの傾向を探っていきたい。データの分析にはJRA-VAN DataLab.TARGET frontier JVを利用した。

■表1 過去10年の関屋記念好走馬(1)    

着順 馬名 人気 3角 4角 上り3F 前走レース名 前人 前着
17年 1 マルターズアポジー 7 1 1 34.3 七夕賞HG3 2 11
2 ウインガニオン 4 2 2 33.9 中京記念HG3 5 1
3 ダノンリバティ 5 4 4 33.6 中京記念HG3 3 5
16年 1 ヤングマンパワー 3 6 6 33.7 多摩川H1600 2 1
2 ダノンリバティ 7 3 3 34.2 中京記念HG3 5 5
3 マジックタイム 1 14 14 33.1 ヴィクトG1 6 6
15年 1 レッドアリオン 2 1 1 33.3 中京記念HG3 2 8
2 マジェスティハーツ 6 8 10 32.4 鳴尾記念G3 8 2
3 ヤングマンパワー 9 3 3 33 NHKマG1 10 6
14年 1 クラレント 4 6 5 33.8 中京記念HG3 2 8
2 ダノンシャーク 1 3 3 34.2 安田記念G1 9 4
3 サトノギャラント 6 15 14 33.6 中京記念HG3 3 7
13年 1 レッドスパーダ 4 2 2 34.4 パラダイ 3 1
2 ジャスタウェイ 1 16 15 33.2 エプソムG3 3 2
3 レオアクティブ 3 10 9 33.9 バーデンH 1 3
12年 1 ドナウブルー 1 2 2 32.6 安田記念G1 14 10
2 エーシンリターンズ 5 3 3 32.5 中京記念HG3 4 14
3 スピリタス 8 8 6 32.6 NST賞 5 2
11年 1 レインボーペガサス 4 3 3 34 飛鳥S1600 1 1
2 エアラフォン 2 10 11 33.1 ストーH1600 2 1
3 サトノフローラ 3 8 8 33.6 カルミア500* 3 1
10年 1 レッツゴーキリシマ 6 1 1 33.2 福島記念HG3 1 7
2 セイクリッドバレー 2 15 14 32.1 エプソムG3 4 4
3 リザーブカード 10 11 12 32.4 ダービーHG3 9 7
09年 1 スマイルジャック 2 12 14 32.5 安田記念G1 5 9
2 ヒカルオオゾラ 1 15 15 32.7 エプソムG3 1 2
3 マイネルスケルツィ 13 2 2 34 谷川岳S 2 4
08年 1 マルカシェンク 1 9 9 32.3 ダービーHG3 1 8
2 リザーブカード 5 7 7 32.6 都大路SH 3 14
3 タマモサポート 8 1 1 33.3 福島民報 7 13

まずは過去10年の関屋記念で好走した馬を見ていくことにする(表1)。好走馬30頭の顔触れには、同一の名前がちらほらと見えており、コース実績や適性は重要視してもいいファクターだと考えられる。人気的には上位から中位人気の馬でほぼ占める印象。二けた人気馬の激走は11年以降出ていない。

新潟芝1600mといえばコーナーが2回で、長い直線が二本あるコース形態。一般的には馬の力が発揮されやく、展開の紛れは少ないと考えられる。ただ、脚の使いどころは少々難しい。最後の直線が長いとはいえ、上がりの鋭さだけで好走できる感じではない。関屋記念好走馬の3〜4コーナーの位置取りなどを見ると、そうした特徴がうかがえる。

好走馬の上がり3ハロンを示し、メンバー中1位から3位だった馬には色をつけているが、上位を独占するようなケースはほとんどない。近年はむしろ減少傾向で、昨年は1頭も該当しない結果となった。その分、逃げ・先行馬が残るケースがでてきており、昨年優勝のマルターズアポジーや15年優勝のレッドアリオンがいい例と言えるだろう。

2017/8/13 新潟11R 関屋記念(G3) 1着 3番 マルターズアポジー

好走馬の前走レースを見ていくと、大きな特徴が見て取れる。それは08年から11年までと、12年以降とでは大きく異なるという点。中京記念が芝1600mとなり、サマーマイルシリーズの1戦目となったのが12年からなので、その影響だと言える。12年以降の好走馬は前走中京記念出走馬がかなり多くなっており、ほぼ毎年のように馬券になっている。そして、同レースでの人気と着順を見ると、また面白い傾向がわかる。

それは着順が悪くても上位人気に支持されていた馬が多い。例えば、15年優勝のレッドアリオンは8着に敗れていたが2番人気に支持されていた。昨年優勝のマルターズアポジーは七夕賞だが、2番人気で11着に敗れていた。つまり、前走重賞で上位人気に支持され、着外に敗れていた馬がここで巻き返すというのが、大きなパターンとして確立されている。

昨年2着のウインガニオンや13年ジャスタウェイのように前走重賞好走馬でも割り引く必要はないと思うが、このようなタイプは少ない。特にG1ともなると特別。マジックタイムやヤングマンパワー、ダノンシャークなど前走G1で善戦していた馬も好走馬に名を連ねている。前走OP特別や1600万クラスの好走馬も目立つが、純粋な昇級馬ではない。その理由は後述することにする。

■表2 過去10年の関屋記念好走馬(2)

着順 馬名 主な実績
17年 1 マルターズアポジー 小倉大賞典1着
2 ウインガニオン 関屋記念1着
3 ダノンリバティ 16年関屋記念2着
16年 1 ヤングマンパワー 15年関屋記念3着
2 ダノンリバティ  
3 マジックタイム ダービー卿CT1着
15年 1 レッドアリオン マイラーズC1着
2 マジェスティハーツ 鳴尾記念2着
3 ヤングマンパワー アーリントンC1着
14年 1 クラレント 京王杯SC2着
2 ダノンシャーク 13年マイルCS3着
3 サトノギャラント  
13年 1 レッドスパーダ 10年東京新聞杯1着
2 ジャスタウェイ 12年毎日王冠2着
3 レオアクティブ 12年京成杯AH1着
12年 1 ドナウブルー ヴィクトリアマイル2着
2 エーシンリターンズ  
3 スピリタス  
11年 1 レインボーペガサス  
2 エアラフォン  
3 サトノフローラ  
10年 1 レッツゴーキリシマ  
2 セイクリッドバレー 新潟大賞典2着
3 リザーブカード  
09年 1 スマイルジャック マイラーズC3着
2 ヒカルオオゾラ エプソムC2着
3 マイネルスケルツィ  
08年 1 マルカシェンク 小倉大賞典2着
2 リザーブカード  
3 タマモサポート 東京新聞杯3着

表2は関屋記念好走馬の主な実績を記した。前述した前走OP特別や1600万クラス組も、過去には重賞実績があった。16年1着のヤングマンパワーは、前年の関屋記念で3着。13年1着レッドスパーダは、ずいぶん前になるが東京新聞杯で1着、13年3着のレオアクティブは前年に京成杯AHを制していた。

その他の馬を見ると、関屋記念を中心に、左回りのマイル前後の重賞で好走実績がある馬が多い。12年以降は特にその傾向が強まっているような印象を受ける。マイラーズCやヴィクトリアマイルといった格上重賞の実績も強調材料となる。

【結論】

それでは今年の関屋記念を占っていこう。出走予定馬は表3の通りだ。

■表3 今年の関屋記念出走予定馬

馬名 前走レース名 前人 前着 主な実績
ウインガニオン 中京記念HG3 2 8 17年関屋記念2着
エイシンティンクル 豊明S1600 4 1  
ショウナンアンセム パラダイ 2 1  
ジョーストリクトリ 米子S 5 10  
スターオブペルシャ パラダイ 1 9  
チェッキーノ 米子S 2 7  
チャンピオンルパン 湘南S1600 6 2  
フロンティア 中京記念HG3 7 4  
プリモシーン NHKマG1 5 5 フェアリーS1着
ベルキャニオン エプソムG3 9 6  
ヤングマンパワー マイラーG2 5 12 16年関屋記念1着
リライアブルエース 中京記念HG3 4 3 中京記念3着
ロードクエスト パラダイ 3 2  
ロッカフラベイビー 新潟大賞HG3 12 14  
ワントゥワン 中京記念HG3 3 5  

フルゲートが18頭に対し、1週前登録馬数が15頭。その点はさびしい。実際の顔触れを見ると、強力な実績馬もやや少ない印象だ。前走重賞組、まずは中京記念に出走していた馬はウインガニオンとフロンティア、リライアブルエース、ワントゥワン。この中では昨年の関屋記念で2着に好走しているウインガニオンにまず注目したい。前走は8着だが2番人気。巻き返しの準備は整っている。ワントゥワンは過去に重賞実績はないが、前走3番人気で5着と感触は悪くない。

2017/7/23 中京11R トヨタ賞中京記念(G3) 1着 3番 ウインガニオン

前走マイラーズCで5番人気・12着のヤングマンパワーは、関屋記念での実績が豊富。今年はG1やG2実績馬が少ないので総合的には実績上位とみたい。チェッキーノのオークス2着などの実績はあるが、古馬のマイル重賞の実績としては不足している。長期休養明けを叩かれて、前走より上積みはあるだろうが、今回は様子見としてみたい。あとは、逃げる可能性がある馬として、ショウナンアンセムに注目。道悪ながら逃げて連勝中だ。3歳馬ではNHKマイルCを善戦で、フェアリーS1着の実績があるプリモシーンもマークしておきたい。

ライタープロフィール

小田原智大(おだわら ともひろ)

1975年6月、東京生まれ。早稲田大学商学部卒業後、業界紙記者を経て、(株)レイヤード入社。ライター&エディターとして活躍。JRA-VANデータの配信初期から、いち早くデータ競馬の有効性に着目する。05年5月より「競馬 最強の法則WEB」にて、障害戦を除く全重賞レースの傾向と対策、予想を展開。「オッズパーク ダートグレードデータ作戦」では、地方競馬の重賞の攻略にも取り組んでいる。仕事の関係でなかなか競馬場には行けなくなったが、年に1、2回行くローカル遠征が楽しみ。


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