データde出〜た
第1230回 今年は荒れるか!? 七夕賞を展望する
2018/7/5(木)
今週は日曜に中京競馬場でダート重賞のプロキオンS、福島競馬場で名物のハンデ重賞の七夕賞が行われる。七夕賞は昨年こそ堅めの決着におさまったが、波乱傾向が強い一戦として知られている。今回のデータde出〜たでは、七夕賞をピックアップし、2013年以降の近5年の傾向から馬券で狙える馬を探っていきたい。なお、データ分析にはJRA-VAN DataLab.とTARGET frontier JVを利用した。
■表1 七夕賞近5年の上位3着以内馬一覧
年/馬場 | 着順 | 馬名 | 勝ちタイム | 人気 | 4角通過順 | 上がり3F | 1000m通過 | レース上がり |
2017 (良) |
1 | ゼーヴィント | 1分58秒2 | 1 | 3 | 36秒1 | 58秒0 | 36秒6 |
2 | マイネルフロスト | 3/4馬身 | 5 | 1 | 36秒7 | |||
3 | ソールインパクト | 1馬身 | 7 | 5 | 36秒3 | |||
2016 (良) |
1 | アルバートドック | 1分58秒4 | 3 | 4 | 35秒9 | 57秒9 | 37秒2 |
2 | ダコール | 1/2馬身 | 5 | 6 | 35秒8 | |||
3 | オリオンザジャパン | 3馬身 | 11 | 9 | 35秒4 | |||
2015 (良) |
1 | グランデッツァ | 1分58秒2 | 2 | 2 | 34秒3 | 59秒5 | 34秒5 |
2 | ステラウインド | 1馬身1/4 | 8 | 9 | 34秒2 | |||
3 | マデイラ | 1/2馬身 | 16 | 2 | 34秒5 | |||
2014 (良) |
1 | メイショウナルト | 1分58秒7 | 5 | 1 | 36秒0 | 58秒9 | 36秒0 |
2 | ニューダイナスティ | 1馬身3/4 | 10 | 7 | 35秒3 | |||
3 | マイネルラクリマ | 3/4馬身 | 1 | 4 | 35秒8 | |||
2013 (良) |
1 | マイネルラクリマ | 1分58秒9 | 1 | 1 | 35秒7 | 58秒6 | 35秒9 |
2 | トレイルブレイザー | 2馬身1/2 | 7 | 2 | 35秒9 | |||
3 | タガノエルシコ | 3/4馬身 | 14 | 12 | 35秒7 |
まず表1は七夕賞近5年の上位3着以内馬一覧。5年すべて良馬場で行われ、いずれも1分58秒台と速い時計の決着で決まっている。平均ペースだった15年以外は前半1000m通過57秒9〜58秒9と速い流れとなっているのも近年の特徴だ。前半飛ばしている分、上がりは掛かっているが、後方からの差し・追い込みが決まりやすいこともなく、4コーナーで前にいる馬の健闘が目立っている。
人気順を見ると、勝ち馬は1番人気馬が2勝するなど上位5番人気以内で決まっているものの、2・3着馬は下位人気の馬が非常に多い。15年には2番人気グランデッツァが勝利したものの、2着に8番人気ステラウインド、3着に16番人気マデイラが激走し、3連単100万6440円の大波乱となっている。1着上位人気馬からのヒモ荒れが非常に目立つレースとなっている。
■表2 七夕賞の年齢別成績(近5年)
年齢 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単勝回収率 | 複勝回収率 |
4歳 | 2- 0- 0- 2/ 4 | 50.0% | 50.0% | 50.0% | 232% | 97% |
5歳 | 1- 1- 1-15/18 | 5.6% | 11.1% | 16.7% | 22% | 66% |
6歳 | 2- 3- 3-22/30 | 6.7% | 16.7% | 26.7% | 55% | 227% |
7歳以上 | 0- 1- 1-22/24 | 0.0% | 4.2% | 8.3% | 0% | 51% |
続いて表2は年齢別成績。少数ながら4歳馬が一昨年のアルバートドック、昨年のゼーヴィントと近2年続けて勝利している。なお、この2頭はともに上位3番人気以内に支持されていた。出走頭数最多の6歳馬は15年グランデッツァら2勝をあげ、昨年2着のマイネルフロストら毎年1頭は3着以内に入っている。3着以内馬8頭中6頭が5番人気以下の伏兵だった。5歳馬は13年マイネルラクリマの1勝のみ。なお、7歳以上の馬は勝ち星がなく、連対率・複勝率ともに低い。
■表3 七夕賞の斤量別成績(近5年)
斤量 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単勝回収率 | 複勝回収率 |
〜48kg | 0- 0- 0- 1/ 1 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0% | 0% |
50kg | 0- 0- 0- 2/ 2 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0% | 0% |
51kg | 0- 0- 0- 2/ 2 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0% | 0% |
52kg | 0- 0- 1- 5/ 6 | 0.0% | 0.0% | 16.7% | 0% | 666% |
53kg | 0- 0- 2- 9/11 | 0.0% | 0.0% | 18.2% | 0% | 100% |
54kg | 0- 0- 0- 9/ 9 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0% | 0% |
55kg | 0- 1- 1- 9/11 | 0.0% | 9.1% | 18.2% | 0% | 149% |
56kg | 1- 1- 0-12/14 | 7.1% | 14.3% | 14.3% | 85% | 60% |
56.5kg | 0- 0- 0- 1/ 1 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0% | 0% |
57kg | 4- 1- 0- 6/11 | 36.4% | 45.5% | 45.5% | 161% | 93% |
57.5kg | 0- 0- 0- 2/ 2 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0% | 0% |
58kg | 0- 2- 1- 3/ 6 | 0.0% | 33.3% | 50.0% | 0% | 170% |
表3は斤量別成績。表の黄色で強調したように、斤量57キロの馬が昨年のゼーヴィントら4勝と勝ち切る傾向が強い。連対馬5頭はいずれも上位5番人気以内に推されていた。58キロの馬は勝ち星こそないものの、連対率33.3%・複勝率50.0%と高い。ちなみに57.5キロの馬も一昨年マイネルラクリマが14番人気4着と上位に入っており、重い斤量を背負った馬の好走が目立つ。JRAのハンデキャッパーによって57キロ以上と決められた馬は主力級と考えた方が良いだろう。
その他では56キロの馬が14年メイショウナルトの1勝。勝ち馬はすべて56キロ以上の馬だった。また、2・3着には52キロ以上の馬が入っており、51キロ以下の軽量馬は苦戦傾向にある。
■表4 七夕賞の前走レース別成績(近5年)
前走レース名 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単勝回収値 | 複勝回収値 |
鳴尾記念 | 2- 1- 0-10/13 | 15.4% | 23.1% | 23.1% | 126% | 64% |
エプソムC | 1- 0- 1- 8/10 | 10.0% | 10.0% | 20.0% | 59% | 39% |
都大路S | 1- 0- 0- 1/ 2 | 50.0% | 50.0% | 50.0% | 200% | 95% |
アメリカJCC | 1- 0- 0- 0/ 1 | 100.0% | 100.0% | 100.0% | 340% | 150% |
目黒記念 | 0- 1- 0- 9/10 | 0.0% | 10.0% | 10.0% | 0% | 46% |
新潟大賞典 | 0- 1- 0- 5/ 6 | 0.0% | 16.7% | 16.7% | 0% | 38% |
仁川S | 0- 1- 0- 0/ 1 | 0.0% | 100.0% | 100.0% | 0% | 630% |
ドバイSC | 0- 1- 0- 0/ 1 | 0.0% | 100.0% | 100.0% | 0% | 640% |
福島民報杯 | 0- 0- 1- 1/ 2 | 0.0% | 0.0% | 50.0% | 0% | 2000% |
米子S | 0- 0- 1- 2/ 3 | 0.0% | 0.0% | 33.3% | 0% | 336% |
芦ノ湖特別 | 0- 0- 1- 0/ 1 | 0.0% | 0.0% | 100.0% | 0% | 380% |
アハルテケS | 0- 0- 1- 0/ 1 | 0.0% | 0.0% | 100.0% | 0% | 720% |
その他のレース | 0- 0- 0-25/25 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0% | 0% |
表4は前走レース別成績。鳴尾記念組が15年グランデッツァら2勝も、今年は出走予定馬がいない。エプソムC組は一昨年アルバートドック、都大路S組は13年マイネルラクリマ、アメリカJCC組は昨年のゼーヴィントがそれぞれ勝利している。
好走馬は多くのレースから出ているが、前走クラス別ではオープン特別組が【1.1.3.10】で複勝率33.3%と高い。この組の3着以内馬5頭のうち、13年マイネルラクリマ以外の4頭は10番人気以下の人気薄だった。前走オープン特別組は穴で注意したい。なお、前走牝馬限定戦だった馬は【0.0.0.4】で3着以内馬が出ていない。
■表5 七夕賞の前走人気別成績(近5年)
前走人気 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単勝回収率 | 複勝回収率 |
前走1人気 | 2- 0- 1- 1/ 4 | 50.0% | 50.0% | 75.0% | 185% | 180% |
前走2人気 | 0- 0- 0- 2/ 2 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0% | 0% |
前走3人気 | 1- 0- 0- 0/ 1 | 100.0% | 100.0% | 100.0% | 450% | 210% |
前走4人気 | 0- 0- 1- 3/ 4 | 0.0% | 0.0% | 25.0% | 0% | 37% |
前走5人気 | 1- 2- 0- 4/ 7 | 14.3% | 42.9% | 42.9% | 84% | 132% |
前走6〜9人 | 1- 2- 2-21/26 | 3.8% | 11.5% | 19.2% | 46% | 115% |
前走10人以下 | 0- 0- 1-30/31 | 0.0% | 0.0% | 3.2% | 0% | 129% |
表5は前走人気別成績。黄色で強調したように前走5番人気以内だった馬が好成績をあげている。特に前走1番人気だった馬は昨年のゼーヴィントら2勝で、複勝率75%と好相性だ。これら前走5番人気以内だった馬はのべ【4.2.2.10】で連対率33.3%、複勝率44.4%と優秀だ。
なお、前走10番人気以下だった馬は15年3着のマデイラのみと苦戦傾向にある。
■表6 七夕賞の前走からの斤量増減別成績(近5年)
前走斤量 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単勝回収率 | 複勝回収率 |
増減無し | 2- 2- 1-27/32 | 6.3% | 12.5% | 15.6% | 50% | 62% |
今回増 | 3- 2- 1- 7/13 | 23.1% | 38.5% | 46.2% | 106% | 125% |
今回減 | 0- 1- 3-27/31 | 0.0% | 3.2% | 12.9% | 0% | 194% |
表6は前走からの斤量増減別成績。前走から斤量増の馬が昨年のゼーヴィントら近3年続けて勝利し、連対率38.5%・複勝率46.2%と優秀だ。昨年は1・2着馬が該当しており、毎年1頭は3着以内に好走している。
また、斤量増減なしの馬が14年メイショウナルトら2勝をあげている。なお、斤量減の馬は連対率・複勝率ともに最も低いが、好走した4頭はいずれも7番人気以下の人気薄だった。
<結論>
■表7 今年の七夕賞の出走予定馬(7/4現在)
馬名 | 性齢 | 斤量(増減) | 前走成績 |
キンショーユキヒメ | 牝5 | 54kg(-1) | マーメイドS 7着 |
サーブルオール | 牡5 | 55kg(-1) | エプソムC 4着 |
シルクドリーマー | 牡9 | 53kg(-3) | ステイヤーズS 7着 |
パワーポケット | 牡6 | 50kg(-4) | 夏至S(1600万下) 8着 |
バーディーイーグル | 牡8 | 53kg(-3) | エプソムC 8着 |
プラチナムバレット | 牡4 | 57kg(0) | 都大路S 14着 |
マイネルサージュ | 牡6 | 55kg(+1) | 福島民報杯 1着 |
マイネルフロスト | 牡7 | 57kg(+1) | エプソムC 9着 |
マイネルミラノ | 牡8 | 57kg(-1) | エプソムC 11着 |
メドウラーク | 牡7 | 54kg(-2) | 米子S 11着 |
レイホーロマンス | 牝5 | 51kg(-1) | マーメイドS 6着 |
ワンブレスアウェイ | 牝5 | 53kg(0) | マーメイドS 2着 |
※フルゲート16頭。全馬出走可能。
今年の出走予定馬は表7のとおり。
出走予定馬は12頭とやや少なめだが、ハンデ差も大きく、人気も割れ加減になりそうだ。 これまでのデータからまず推奨したいのが4歳馬のプラチナムバレット。前走の都大路Sは14着と大敗したが、レース中にハ行していたとのことで参考外といえる。4歳馬、前走1番人気、57キロと好材料が揃っており、本命候補としたい。
もう一頭推したいはマイネルフロスト。昨年の2着馬で休み明けの前走エプソムCは9着。福島芝は相性が良く、前走から斤量1キロ増も好材料といえる。昨年に続いての好走も十分あるだろう。
他では前走福島民報杯勝ちのマイネルサージュも今回斤量増で注目。穴なら前走オープン特別組からメドウラークをあげておきたい。人気になりそうなサーブルオールはデータからは強調材料がなく、押さえ評価まで。前走牝馬限定のマーメイドS組だったワンブレスアウェイ、キンショーユキヒメはやや軽視したい。
ライタープロフィール
ケンタロウ(けんたろう)
1978年6月、鹿児島県生まれ。早稲田大学社会科学部卒業。初めて買った馬券が大当たりし、それから競馬にのめり込むように。データでは、開催日の馬場やコース適性に注目している。好きなタイプは逃げか追い込み。馬券は1着にこだわった単勝、馬単派。料理研究家ではない。