第1229回 夏の福島・函館のダート1700m戦を分析する|競馬情報ならJRA-VAN

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第1229回 夏の福島・函館のダート1700m戦を分析する

2018/7/2(月)

夏の福島・中京開催が始まり、本格的な夏競馬に突入している。この時期のローカル開催でよく見られるのがダート1700m戦。1600mでも1800mでもなく、小回りの競馬場特有の距離設定といえるだろう。今回の当コラムでは現在開催中である福島・函館のダート1700m戦の2015年以降における特徴を分析し、馬券での狙いどころを探っていきたい。なお、データ分析にはJRA-VAN DataLab.TARGET frontier JVを利用した。

■表1 夏の福島ダート1700m戦の脚質別成績(2015年〜17年の近3年) 

脚質 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単勝回収率 複勝回収率
逃げ 15-   8-   8-  51/  82 18.3% 28.0% 37.8% 217% 143%
先行 37-  39-  32- 124/ 232 15.9% 32.8% 46.6% 119% 150%
差し 15-  20-  24- 351/ 410 3.7% 8.5% 14.4% 34% 52%
追い込み 1-   3-   0- 295/ 299 0.3% 1.3% 1.3% 1% 6%
マクリ 3-   1-   7-   8/  19 15.8% 21.1% 57.9% 73% 122%

まずは福島から見ていこう。表1は福島ダート1700m戦の脚質別成績。黄色で強調したように、逃げ・先行馬が好成績をあげている。勝率では18.3%で逃げ馬がトップ、連対率・複勝率では先行馬が最も高い。好走馬の多くが逃げ粘り、もしくは先行押し切りといった特徴を示している。逆に差し・追い込み勢は不振で、前に位置していないとほぼ勝負に加わることが厳しいと言っていいだろう。小回りのローカル特有の1コーナーに入るまでの位置取りが大きく成績に左右している。

また、マクリも地力があるゆえに途中から動いていけることもあって複勝率は50%を超えており、複勝回収率でも100%を超えている。

■表2 夏の福島ダート1700m戦の種牡馬別成績(2015年〜17年の近3年)

種牡馬 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単勝回収率 複勝回収率
キングカメハメハ 11- 5- 4-29/49 22.4% 32.7% 40.8% 108% 141%
ゴールドアリュール 4- 6- 1-44/55 7.3% 18.2% 20.0% 62% 51%
クロフネ 4- 4- 3-24/35 11.4% 22.9% 31.4% 324% 98%
エンパイアメーカー 3- 3- 1-22/29 10.3% 20.7% 24.1% 34% 46%
カネヒキリ 3- 0- 2-16/21 14.3% 14.3% 23.8% 91% 61%
サイレントディール 3- 0- 0- 1/ 4 75.0% 75.0% 75.0% 465% 145%
ネオユニヴァース 2- 4- 1-23/30 6.7% 20.0% 23.3% 24% 64%
パイロ 2- 2- 1- 9/14 14.3% 28.6% 35.7% 137% 126%
ジャングルポケット 2- 1- 4- 4/11 18.2% 27.3% 63.6% 60% 225%
サウスヴィグラス 2- 1- 2-14/19 10.5% 15.8% 26.3% 55% 67%
ルーラーシップ 2- 0- 0- 1/ 3 66.7% 66.7% 66.7% 260% 93%
※上位10位以内を掲載。

2015/7/18 福島11R 安達太良ステークス 1着 8番 ロワジャルダン

続いて表2は福島ダート1700m戦の種牡馬別成績。11勝と勝利数が抜けて多いのがキングカメハメハ産駒だ。連対率・複勝率ともに高く、複勝回収率でも100%を大きく超えている。同産駒では15年にロワジャルダンが1000万の猪苗代特別、1600万下の安達太良Sと連勝している。

他では少数ながらサイレントディール産駒が3勝と好相性を示しており、パイロ産駒も単勝回収率・複勝回収率ともに100%を超えている。意外なのがジャングルポケット産駒の複勝率の高さだ。また、ルーラーシップ産駒もキングカメハメハ系で、昨年未勝利で2勝をあげており、今年も注目しておきたい。

■表3 夏の福島ダート1700m戦出走の降級馬の前走距離(2015年〜17年の近3年)

前走距離 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単勝回収率 複勝回収率
同距離 1- 0- 0- 0/ 1 100.0% 100.0% 100.0% 1590% 410%
今回延長 3- 4- 3- 9/19 15.8% 36.8% 52.6% 101% 126%
1200m 0- 0- 1- 0/ 1 0.0% 0.0% 100.0% 0% 170%
1400m 2- 2- 1- 1/ 6 33.3% 66.7% 83.3% 258% 235%
1600m 1- 2- 1- 8/12 8.3% 25.0% 33.3% 31% 69%
今回短縮 2- 1- 3-16/22 9.1% 13.6% 27.3% 56% 51%

表3は福島ダート1700mに出走する降級馬の前走距離。今回距離短縮組よりも同距離もしくは距離延長組の成績の方が格段に良い。距離延長組の中では距離が近いダート1600m組よりもダート1200mか1400mから距離を伸ばした馬の成績が非常に優秀だ。

ダート1600mは東京コースで芝スタートの弊害があると思われ、前走上のクラスの1200〜1400mで速い流れを経験した降級馬は今回楽にレースの流れに乗れるのだろう。一気の距離延長となる降級馬こそ積極的に狙っていきたい

■表4 夏の函館ダート1700m戦の脚質別成績(2015年〜18年6月24日)

脚質 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単勝回収率 複勝回収率
逃げ 38-  18-  11-  74/ 141 27.0% 39.7% 47.5% 206% 129%
先行 68-  78-  75- 178/ 399 17.0% 36.6% 55.4% 137% 167%
差し 15-  21-  31- 453/ 520 2.9% 6.9% 12.9% 93% 59%
追い込み 0-   4-   4- 465/ 473 0.0% 0.8% 1.7% 0% 3%
マクリ 7-   7-   7-  21/  42 16.7% 33.3% 50.0% 191% 188%

ここからは函館ダート1700m戦を分析する。まず表4は脚質別成績。福島と同様に逃げ・先行馬が抜群の成績を示しているが、福島よりも逃げ切りの勝率が高い点に注目したい。これは函館コースが3〜4コーナーから緩やかな下り坂になっており、福島の直線が約300mなのに対してそれより約40m短い260mなのが大きく起因しているだろう。複勝率で見ても逃げ・先行馬ともに福島よりも10%ほど高く、前につけることが好走の最大要因といえそうだ。

逆に福島よりも差し・追い込み馬は厳しく、ほぼ勝負に加われないといっていい。なお、途中からマクっていける馬も好成績を示している。

■表5 夏の函館ダート1700m戦の枠番別成績(2015年〜18年6月24日)

枠番 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単勝回収率 複勝回収率
1枠 6- 12-  9-101/128 4.7% 14.1% 21.1% 38% 56%
2枠 16- 10- 11- 91/128 12.5% 20.3% 28.9% 79% 71%
3枠 7- 12-  9-116/144 4.9% 13.2% 19.4% 60% 63%
4枠 9- 11- 22-165/207 4.3% 9.7% 20.3% 22% 61%
5枠 22- 16- 17-170/225 9.8% 16.9% 24.4% 119% 79%
6枠 20- 17- 10-195/242 8.3% 15.3% 19.4% 101% 74%
7枠 20- 30- 20-180/250 8.0% 20.0% 28.0% 126% 89%
8枠 28- 20- 30-178/256 10.9% 18.8% 30.5% 113% 111%

2018/6/23 函館11R 大沼ステークス 1着 10番 リーゼントロック

表5は函館ダート1700m戦の枠番別成績。小回りコースゆえに内枠有利かと思われるが、実際はそうではなく、内枠でも好成績は2枠のみ。むしろ5枠から外の勝利数が非常に多く、大外の8枠が勝利数と複勝率でトップ。複勝回収率でも唯一100%を超えている。先日の大沼Sでも8枠に入った6番人気リーゼントロックが先行抜け出しで勝利。大外枠ゆえに馬群に揉まれにくいというメリットが大きいのだろう。

■表6 夏の函館ダート1700m戦の種牡馬別成績(2015年〜18年6月24日)

種牡馬 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単勝回収率 複勝回収率
ダイワメジャー 7- 5- 5-22/39 17.9% 30.8% 43.6% 135% 105%
マンハッタンカフェ 7- 5- 5-19/36 19.4% 33.3% 47.2% 186% 104%
キングカメハメハ 6- 6- 7-68/87 6.9% 13.8% 21.8% 42% 52%
ゴールドアリュール 6- 2- 7-43/58 10.3% 13.8% 25.9% 133% 81%
エンパイアメーカー 6- 0- 0-49/55 10.9% 10.9% 10.9% 127% 37%
スズカマンボ 5- 2- 3-32/42 11.9% 16.7% 23.8% 140% 84%
ディープスカイ 5- 2- 1-15/23 21.7% 30.4% 34.8% 453% 216%
シンボリクリスエス 5- 1- 2-40/48 10.4% 12.5% 16.7% 153% 47%
パイロ 4- 3- 3- 7/17 23.5% 41.2% 58.8% 53% 170%
クロフネ 4- 2- 4-37/47 8.5% 12.8% 21.3% 19% 59%

最後に表6は函館ダート1700m戦の種牡馬別成績。サンデー系の種牡馬の中でもダイワメジャー、マンハッタンカフェの両産駒が最多の7勝をあげており、連対率・複勝率ともに非常に高い。どちらも複勝回収率では100%を超えており、今年も注目だ。

福島とは違ってキングカメハメハ産駒はそれほどでなく、他では黄色で強調したディープスカイ産駒・パイロ産駒も連対率・複勝率ともに高い。サンデー系ではダイワメジャー、マンハッタンカフェ、ディープスカイの各産駒、エーピーインディ系ではパイロ産駒はぜひチェックしておきたい。

ライタープロフィール

ケンタロウ(けんたろう)

1978年6月、鹿児島県生まれ。早稲田大学社会科学部卒業。初めて買った馬券が大当たりし、それから競馬にのめり込むように。データでは、開催日の馬場やコース適性に注目している。好きなタイプは逃げか追い込み。馬券は1着にこだわった単勝、馬単派。料理研究家ではない。


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