データde出〜た
第1208回 実績馬が上がり馬か!? マイラーズCを占う
2018/4/19(木)
今週日曜日に京都競馬場でマイラーズCが行われる。安田記念へ向けての重要な前哨戦で、昨年はイスラボニータが勝利した。一方ではクルーガーのような上がり馬が勝つケースもある。京都で行われるようになった12年以降のレースを分析し、傾向を探っていきたい。データの分析には、JRA-VAN DataLab.とTARGET frontier JVを利用。過去6年のデータを対象に分析した。
■表1 12年以降のマイラーズC好走馬
年 | 着順 | 馬名 | 人気 | 前走レース名 | 前着 | |
17年 | 1 | イスラボニータ | 2 | 阪神カッG2 | 2 | |
2 | エアスピネル | 1 | 東京新聞G3 | 3 | ||
3 | ヤングマンパワー | 7 | 東京新聞G3 | 6 | ||
16年 | 1 | クルーガー | 3 | 中日新聞HG3 | 6 | |
2 | ダノンシャーク | 5 | 阪急杯G3 | 7 | ||
3 | クラレント | 11 | ダービーHG3 | 14 | ||
15年 | 1 | レッドアリオン | 8 | 洛陽S | 1 | |
2 | サンライズメジャー | 5 | スワンSG2 | 2 | ||
3 | フィエロ | 1 | 香港MG1 | 6 | ||
14年 | 1 | ワールドエース | 3 | 白富士S | 5 | |
2 | フィエロ | 1 | 六甲S | 1 | ||
3 | エキストラエンド | 2 | 東京新聞G3 | 2 | ||
13年 | 1 | グランプリボス | 5 | 香港MG1 | 12 | |
2 | サンレイレーザー | 8 | 六甲S | 2 | ||
3 | ダノンシャーク | 3 | 京都金杯HG3 | 1 | ||
12年 | 1 | シルポート | 3 | 中山記念G2 | 2 | |
2 | ダノンシャーク | 6 | 東京新聞G3 | 5 | ||
3 | コスモセンサー | 7 | 東京新聞G3 | 2 |
まずは12年以降に行われたマイラーズCの好走馬を見ていくことにする(表1参照)。過去6年のレースでは冒頭に述べたイスラボニータらが勝利している。ただ、1番人気の成績は案外よくない。2着が2回と3着が1回だけ。勝利したケースはない。二けた着順の激走は16年3着のクラレントだけ。超大穴の激走もそれほどないが、一筋縄ではいかないレースのようだ。
前走レースとしては実はダービー卿CT組が最も多い。しかし、好走馬は先のクラレントだけ。相性が悪いローテーションだ。同じG3でも別定戦の東京新聞杯はまだ大丈夫。【0.2.3.4】という成績で、エアスピネルやエキストラエンド、ダノンシャークなどの好走馬が出ている。ただし、勝ち馬はいないので注意が必要だ。
勝ち馬に注目してみると前走香港マイルや中山記念、阪神Cといった同格以上のレースからきているケースが多い。ある意味自然な流れと言える。ただ、一方で洛陽Sや白富士SといったOP特別からきて勝利していくケースもある。素質がある上がり馬が勢いで駆け抜けていくこともあるので、そうした想定も必要なレースだ。
■表2 12年以降のマイラーズC好走馬の主な実績
年 | 着順 | 馬名 | ※1 | ※2 | ※3 | 備考 |
17年 | 1 | イスラボニータ | 2着 | |||
2 | エアスピネル | 1着 | 3着 | |||
3 | ヤングマンパワー | 16着 | 6着 | 富士S1着 | ||
16年 | 1 | クルーガー | 京成杯3着 | |||
2 | ダノンシャーク | 10着 | マイルCS1着 | |||
3 | クラレント | サマーマイル王者 | ||||
15年 | 1 | レッドアリオン | 14着 | |||
2 | サンライズメジャー | |||||
3 | フィエロ | 2着 | ||||
14年 | 1 | ワールドエース | 皐月賞2着 | |||
2 | フィエロ | |||||
3 | エキストラエンド | 1着 | 2着 | |||
13年 | 1 | グランプリボス | 2着 | |||
2 | サンレイレーザー | |||||
3 | ダノンシャーク | 6着 | 1着 | |||
12年 | 1 | シルポート | 8着 | 16着 | ||
2 | ダノンシャーク | 2着 | 5着 | |||
3 | コスモセンサー | 2着 |
※2・・・京都金杯
※3・・・東京新聞杯
さらに過去の好走馬について調べてみることにする(表2参照)。前走レースだけでなく、直近の重要なレースに注目して見ることにする。そのレースとは前年のマイルCS、今年に入っての京都金杯、東京新聞杯だ。いずれも古馬のマイル重賞。ここに出走しているケースが多々ある。
例えば、昨年のイスラボニータは前年のマイルCSで2着に入っていた。同じように15年3着のフィエロ、13年1着のグランプリボスが同レースで2着だった。マイルCSでの着順はそこまでこだわらないが、好着順を取っている馬は有力な連軸候補となる。
同じように同年の京都金杯に出走していた馬を調べる。すると、昨年2着のエアスピネル、14年3着のエキストラエンドらが該当する。また、東京新聞杯も関連性があると言える。コスモセンサーやエキストラエンドが、同レースで好走を果たしていた。
無論、この3レースに出走してないケースも当然ある。16年1着のクルーガーや15年1着のレッドアリオンなどがそのパターン。クルーガーは前走中日新聞杯で6着に敗れていたが、オープンクラスに再昇級してすぐの競馬。2走前には1600万クラスを勝ち、3歳時に京成杯3着の実績があった。また、14年1着のワールドエースは、前走白富士Sが長期休養明けで5着。3歳時には皐月賞で2着の実績があった。同馬は上がり馬とは言えないが、遅れてきた素質馬的な雰囲気がある。そうしたタイプの馬にも十分勝機があるレースとなっている。
また、16年2着時のダノンシャークはすでにマイルCSを勝っていたG1馬。同年3着のクラレントはサマーマイルシリーズの王者という目立つ実績があった。そのような馬の巻き返しが盲点になるケースもありそうだ。
【結論】
それでは今年のマイラーズCを占ってみることにする。出走予定馬は表3の通り。
■表3 今年のマイラーズC出走予定馬
馬名 | ※1 | ※2 | ※3 | 前走成績 | 前着 | 備考 |
エアスピネル | 2着 | マイルチG1 | 2 | |||
カデナ | 14着 | 東京新聞G3 | 14 | 弥生賞1着 | ||
ガリバルディ | 11着 | 15着 | 東京新聞G3 | 15 | ||
グァンチャーレ | 六甲S | 2 | ||||
サングレーザー | 3着 | 阪神カッG2 | 3 | |||
ダッシングブレイズ | 金鯱賞G2 | 5 | ||||
テイエムイナズマ | 14着 | 京都金杯HG3 | 14 | |||
ネオフレグランス | 帆柱山特1000 | 1 | ||||
ピークトラム | ポルック | 12 | ||||
ブラックムーン | 6着 | 1着 | 京都金杯HG3 | 1 | ||
ベルキャニオン | 7着 | 東京新聞G3 | 7 | |||
ムーンクレスト | 10着 | 東風S | 10 | |||
モズアスコット | 阪急杯G3 | 2 | ||||
ヤングマンパワー | 14着 | マイルチG1 | 14 | |||
ロジクライ | 六甲S | 1 | シンザン記念1着 |
※2・・・京都金杯
※3・・・東京新聞杯
注目はエアスピネルだろう。昨年のこのレースでは2着、前年のマイルCSでも惜しい2着に好走しており、京都芝1600mでの安定度と実績は一枚上と言えるだろう。
マイルCSでは6着に終わったが、今年の京都金杯を制したブラックムーンにも引き続き注目。東京新聞杯組は大きく負けている馬が多く、狙いにくい印象だ。
上がり馬としてはロジクライが面白い。1600万クラス→OPクラスと芝1600mのレースを連勝。3歳時にはシンザン記念優勝の実績があり、元々資質があった馬が軌道に乗ってきた印象もある。
あとは前走重賞で好走しているサングレーザーやモズアスコットをマークしておくことにする。
ライタープロフィール
小田原智大(おだわら ともひろ)
1975年6月、東京生まれ。早稲田大学商学部卒業後、業界紙記者を経て、(株)レイヤード入社。ライター&エディターとして活躍。JRA-VANデータの配信初期から、いち早くデータ競馬の有効性に着目する。05年5月より「競馬 最強の法則WEB」にて、障害戦を除く全重賞レースの傾向と対策、予想を展開。「オッズパーク ダートグレードデータ作戦」では、地方競馬の重賞の攻略にも取り組んでいる。仕事の関係でなかなか競馬場には行けなくなったが、年に1、2回行くローカル遠征が楽しみ。