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第1206回 ダノンプレミアム回避で狙える馬は? 皐月賞を分析する

2018/4/12(木)

日曜に中山競馬場で牡馬クラシック一冠目となる皐月賞が行われる。今年は前走の弥生賞を勝利したダノンプレミアムがデビュー4連勝で本命視されていたが、先週の段階で出走回避を表明。一転して混戦ムードが漂ってきた。今回は良馬場で行われた2013年以降の近5年のデータから好走馬の特徴ならびにダノンプレミアム回避で狙えそうなタイプを探っていく。なお、データ分析にはJRA-VAN DataLab.TARGET frontier JVを利用した。

■表1 皐月賞近5年の上位3着以内馬一覧

年/馬場 着順 馬名 勝ちタイム 人気 4角通過順 上がり3F 1000m通過 レース上がり
2017
(良)
1 アルアイン 1分57秒8 9 5 34秒2 59秒0 34秒5
2 ペルシアンナイト クビ 4 5 34秒1
3 ダンビュライト 3/4馬身 12 3 34秒3
2016
(良)
1 ディーマジェスティ 1分57秒9 8 10 34秒0 58秒4 35秒6
2 マカヒキ 1馬身1/4 3 13 33秒9
3 サトノダイヤモンド 1馬身1/4 1 5 34秒8
2015
(良)
1 ドゥラメンテ 1分58秒2 3 7 33秒9 59秒2 34秒7
2 リアルスティール 1馬身1/2 2 3 34秒5
3 キタサンブラック 2馬身1/2 4 2 35秒2
2014
(良)
1 イスラボニータ 1分59秒6 2 4 34秒6 60秒2 35秒3
2 トゥザワールド 1馬身1/4 1 3 35秒2
3 ウインフルブルーム 1/2馬身 8 1 35秒6
2013
(良)
1 ロゴタイプ 1分58秒0 1 5 35秒3 58秒0 35秒9
2 エピファネイア 1/2馬身 2 3 35秒6
3 コディーノ 1馬身1/4 3 5 35秒8

まず表1は近5年の上位3着以内馬一覧。スローペースだった2014年以外の勝ちタイムは1分58秒前後といずれも速いタイムが出ている。1月開催や前哨戦の弥生賞あたりとは異なる時計の出方をしている点に注意が必要だ。上位馬の上がりに注目すると、13・14年は34秒後半〜35秒台掛かっているのに対して、近3年は33秒9〜34秒台前半の高速上がりを使っている馬が多い。展開にもよるが、昨年のように先行・好位につけても速い上がりを使えるタイプが台頭できるレースに変わってきたといえるだろう。

人気面では1番人気馬が【1.1.1.2】で13年ロゴタイプの1勝のみで、連対率40%・複勝率60%。2・3番人気馬も1勝ずつしているが、一昨年は8番人気ディーマジェスティ、昨年は9番人気アルアインと伏兵人気馬が勝利している。昨年は3着にも12番人気ダンビュライトが激走し、3連単では100万円を超える大波乱となった。13〜15年は堅めの決着が続いたが、近2年は波乱度合いが強くなっている

■表2 皐月賞の枠番別成績(近5年)

枠番 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単勝回収率 複勝回収率
1枠 1- 0- 0- 8/ 9 11.1% 11.1% 11.1% 56% 21%
2枠 1- 1- 0- 8/10 10.0% 20.0% 20.0% 46% 35%
3枠 0- 1- 0- 9/10 0.0% 10.0% 10.0% 0% 15%
4枠 1- 1- 1- 7/10 10.0% 20.0% 30.0% 37% 75%
5枠 0- 0- 1- 9/10 0.0% 0.0% 10.0% 0% 134%
6枠 1- 0- 2- 7/10 10.0% 10.0% 30.0% 224% 94%
7枠 0- 1- 0-13/14 0.0% 7.1% 7.1% 0% 10%
8枠 1- 1- 1-11/14 7.1% 14.3% 21.4% 220% 82%

表2は枠番別成績。勝ち馬も内・中・外からまんべんなく出ており、複勝率でもサンプルが少ない中ではそれほど大きな差はない。ただし、単勝回収率・複勝回収率に注目すると7枠を除いて、4枠から外の率が高いことがわかる。それだけ人気薄の好走馬が外目の枠から出ていることを示している。現時点で枠順はまだ発表されていないが、外枠だからといって人気薄では厳しいということはないだろう。

■表3 皐月賞のキャリア別成績(近5年)

キャリア 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単勝回収率 複勝回収率
3戦 0- 2- 2-11/15 0.0% 13.3% 26.7% 0% 50%
4戦 2- 1- 0-12/15 13.3% 20.0% 20.0% 180% 66%
5戦 2- 2- 2-19/25 8.0% 16.0% 24.0% 144% 106%
6戦 0- 0- 1-19/20 0.0% 0.0% 5.0% 0% 23%
7戦 1- 0- 0- 7/ 8 12.5% 12.5% 12.5% 46% 17%
8戦以上 0- 0- 0- 4/ 4 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%

表3はキャリア別成績。黄色で強調したように、3〜5戦の馬の複勝率が高い。4戦の馬は昨年のアルアインら、5戦の馬は一昨年のディーマジェスティらそれぞれ2勝をあげている。例外は7戦で勝利した13年ロゴタイプのみ。6戦の馬も3着1回のみと不振傾向にある。5戦と6戦で成績に大きな差があり、どうやら5戦以内とキャリアが浅めの方が本番での上積みが大きいのだろう。

■表4 皐月賞の前走レース別成績(近5年)

前走レース名 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単勝回収率 複勝回収率
共同通信杯 3- 0- 0- 1/ 4 75.0% 75.0% 75.0% 1015% 227%
スプリングS 1- 1- 1-17/20 5.0% 10.0% 15.0% 18% 29%
毎日杯 1- 0- 0- 7/ 8 12.5% 12.5% 12.5% 280% 81%
弥生賞 0- 3- 2-17/22 0.0% 13.6% 22.7% 0% 88%
アーリントンC 0- 1- 0- 1/ 2 0.0% 50.0% 50.0% 0% 160%
若葉S 0- 0- 1-12/13 0.0% 0.0% 7.7% 0% 36%
きさらぎ賞 0- 0- 1- 2/ 3 0.0% 0.0% 33.3% 0% 50%
その他のレース 0- 0- 0-15/15 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%

表4は前走レース別成績。黄色で示した共同通信杯組が一昨年のディーマジェスティら過半数の3勝をあげており、好相性を示している。唯一着外に敗れたのが昨年のスワーヴリチャード。勝利した3頭はいずれも前走の共同通信杯で連対を果たしていた。その他ではスプリングS組から13年ロゴタイプ、毎日杯組から昨年のアルアインがそれぞれ勝利している。トライアルの中では勝ち馬こそいないものの、弥生賞組が連対率・複勝率ともに最も高く、次いでスプリングS組、若葉S組は3着1回のみで苦戦傾向にある。

■表5 皐月賞の前走着順別成績(近5年)

前走着順 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単勝回収率 複勝回収率
前走1着 4- 3- 2-26/35 11.4% 20.0% 25.7% 177% 73%
前走2着 1- 1- 1-12/15 6.7% 13.3% 20.0% 30% 54%
前走3着 0- 0- 2- 9/11 0.0% 0.0% 18.2% 0% 134%
前走4着 0- 1- 0- 6/ 7 0.0% 14.3% 14.3% 0% 21%
前走5着 0- 0- 0- 4/ 4 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%
前走6〜9着 0- 0- 0-11/11 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%
前走10着以下 0- 0- 0- 4/ 4 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%

表5は前走着順別成績。出走数は多いものの、前走1着馬が昨年のアルアインら大半の4勝をあげ、勝率・連対率・複勝率いずれもトップだ。昨年は1・2着馬が該当しており、毎年1頭は3着以内に入っている。前走2着馬は15年ドゥラメンテが勝利し、複勝率20%と前走1着馬に次いで高い。勝ち馬5頭はすべて前走連対しており、3着以内馬は前走4着以内に入っていた。5着以下からの巻き返しは厳しいデータが出ている。

■表6 皐月賞の前走人気別成績(近5年)

前走人気 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単勝回収率 複勝回収率
前走1人気 3- 4- 2-12/21 14.3% 33.3% 42.9% 63% 90%
前走2人気 1- 1- 1-11/14 7.1% 14.3% 21.4% 160% 67%
前走3人気 0- 0- 0-10/10 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%
前走4人気 0- 0- 0-10/10 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%
前走5人気 0- 0- 2- 8/10 0.0% 0.0% 20.0% 0% 163%
前走6〜9人 1- 0- 0-19/20 5.0% 5.0% 5.0% 154% 26%
前走10人以下 0- 0- 0- 2/ 2 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%

表6は前走人気別成績。黄色で強調したように前走1番人気だった馬が15年ドゥラメンテら3勝をあげ、連対率33.3%・複勝率42.9%と高い。昨年は2着ペルシアンナイトが該当しており、毎年1頭は3着以内に入っている。前走2番人気馬からは昨年のアルアインが勝利。前走6〜9番人気からは一昨年のディーマジェスティ(前走共同通信杯6番人気1着)が勝利している。

■表7 皐月賞の種牡馬別成績(近5年)

種牡馬 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単勝回収値 複勝回収値
ディープインパクト 2- 2- 1-13/18 11.1% 22.2% 27.8% 296% 91%
キングカメハメハ 1- 1- 1-11/14 7.1% 14.3% 21.4% 32% 34%
フジキセキ 1- 0- 0- 3/ 4 25.0% 25.0% 25.0% 127% 47%
ローエングリン 1- 0- 0- 0/ 1 100.0% 100.0% 100.0% 370% 140%
ハービンジャー 0- 1- 0- 3/ 4 0.0% 25.0% 25.0% 0% 80%
シンボリクリスエス 0- 1- 0- 1/ 2 0.0% 50.0% 50.0% 0% 75%
ブラックタイド 0- 0- 1- 3/ 4 0.0% 0.0% 25.0% 0% 72%
ルーラーシップ 0- 0- 1- 1/ 2 0.0% 0.0% 50.0% 0% 670%
スペシャルウィーク 0- 0- 1- 0/ 1 0.0% 0.0% 100.0% 0% 470%
ハーツクライ 0- 0- 0- 6/ 6 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%
その他の種牡馬 0- 0- 0- 2/ 2 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%

表7は種牡馬別成績。ディープインパクト産駒が一昨年のディーマジェスティ、昨年のアルアインと2勝をあげるも、出走数が多くて連対率・複勝率が抜けて高いというわけではない。同産駒の3着以内馬5頭中4頭は前走を勝利しており、人気薄の2頭が勝ち切っている点に注意。逆に皐月賞で1番人気に推された一昨年のサトノダイヤモンドは3着、昨年のファンディーナは7着にそれぞれ敗れている。なお、キングカメハメハ産駒の3着以内馬3頭はいずれも皐月賞で上位3番人気以内に支持されていた。

■表8 皐月賞の母父別成績(近5年)

母父馬 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単勝回収率 複勝回収率
サンデーサイレンス 2- 2- 2- 6/12 16.7% 33.3% 50.0% 69% 190%
ブライアンズタイム 1- 0- 0- 2/ 3 33.3% 33.3% 33.3% 1030% 176%
Essence of Dubai 1- 0- 0- 0/ 1 100.0% 100.0% 100.0% 2240% 650%
Cozzene 1- 0- 0- 0/ 1 100.0% 100.0% 100.0% 510% 190%
フレンチデピュティ 0- 1- 0- 3/ 4 0.0% 25.0% 25.0% 0% 40%
スペシャルウィーク 0- 1- 0- 5/ 6 0.0% 16.7% 16.7% 0% 25%
Storm Cat 0- 1- 0- 1/ 2 0.0% 50.0% 50.0% 0% 75%
サクラバクシンオー 0- 0- 1- 1/ 2 0.0% 0.0% 50.0% 0% 145%
サクラユタカオー 0- 0- 1- 0/ 1 0.0% 0.0% 100.0% 0% 470%
Orpen 0- 0- 1- 0/ 1 0.0% 0.0% 100.0% 0% 150%
その他の種牡馬 0- 0- 0-54/54 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%

表8は出走馬の母父別成績。黄色で示した母父サンデーサイレンスが15年ドゥラメンテら2勝をあげ、連対率33.3%・複勝率50%と優秀だ。昨年の2・3着馬も該当しており、一昨年を除いて毎年1頭は3着以内に入っている。一昨年もエアスピネルが強力メンバーの中で4着に入っており、注目したい血統要素といえる。後継種牡馬ではなく、サンデーサイレンス自身が母父に入っているのが重要な点だ。

■表9 ダノンプレミアムの過去4戦における2・3着馬の上がり順位

レース名(頭数) 2着馬 順位 3着馬 順位
弥生賞(10) ワグネリアン 1 ジャンダルム 3
朝日杯FS(16) ステルヴィオ 2 タワーオブロンドン 5
サウジアラビアRC(18) ステルヴィオ 1 カーボナード 6
新馬(10) スプリングスマイル 1 ウインルーカス 4

最後に表9は今回の皐月賞で本命視されていたダノンプレミアムの過去4戦と2・3着馬のメンバー中の上がり順位をまとめたもの。ご存じの通り、ダノンプレミアムはスタートが良くて先行でき、なおかつ速い上がりで早々にセーフティリードを作れる馬だ。2着には上がり順位1位か2位の馬が入っている

朝日杯FSではダノンプレミアムが上がり最速だったから、同馬以外ではステルヴィオが最速。この馬が2回続けて2着に入っていることからも分かるようにダノンプレミアムが先行集団を一掃して、速い上がりを繰り出せる馬が2着に突っ込む展開となっていたわけだ。また、3着馬にもメンバー中上位の上がりを使った馬が入っていた。

 ダノンプレミアム不在の今回は早目に潰される可能性が少なくなった先行勢に利が出て、速い上がりを使える瞬発力型が損する形となると想定したい。ハイペースになると先行勢も厳しいが、平均ペース〜スローで前が踏ん張る展開を中心に馬券作戦を組み立てたい。

<結論>

■表10 今年の皐月賞の出走予定馬(4/11時点)

馬名 キャリア 前走成績
アイトーン 6戦 若葉S 1着(8番人気)
エポカドーロ 4戦 スプリングS 2着(3番人気)
オウケンムーン 4戦 共同通信杯 1着(6番人気)
キタノコマンドール 2戦 すみれS 1着(3番人気)
グレイル 3戦 共同通信杯 7着(1番人気)
ケイティクレバー 8戦 すみれS 2着(2番人気)
サンリヴァル 4戦 弥生賞 4着(5番人気)
ジェネラーレウーノ 4戦 京成杯 1着(1番人気)
ジャンダルム 4戦 弥生賞 3着(4番人気)
ジュンヴァルロ 4戦 若葉S 7着(5番人気)
ステルヴィオ 5戦 スプリングS 1着(1番人気)
スリーヘリオス 8戦 500万下 3着(7番人気)
タイムフライヤー 6戦 若葉S 5着(1番人気)
ダブルシャープ 9戦 若葉S 2着(3番人気)
マイネルファンロン 5戦 スプリングS 3着(6番人気)
ワグネリアン 4戦 弥生賞 2着(2番人気)
※フルゲート18頭。出走予定16頭で抽選予定馬はなし。

2018/2/11 東京11R 共同通信杯(G3) 1着 6番 オウケンムーン

今年の出走予定馬は表10のとおり。

ダノンプレミアム回避で人気に推されるのは前走弥生賞2着のワグネリアンだろう。ただし、1番人気のディープインパクト産駒が近2年敗れていること、これまで10頭以下の少頭数のレースしか経験していないことは大きなマイナス要因といえる。人気ほどの信頼度はないと見て、押さえに回したい。前走スプリングS1着のステルヴィオも表9で示したようにダノンプレミアムの恩恵がなくなる今回はあくまで押さえまでとしたい。

データならびに表9の推測から推奨したいのが前走共同通信杯勝ちのオウケンムーンと前走弥生賞3着のジャンダルム。オウケンムーンは相性の良い共同通信杯組でかつ中山芝2000mでの勝ち鞍もある。先行して3連勝と結果を残しており、血統背景は地味目でそれほど人気がない今回も狙い目だ。ジャンダルムは昨年末のホープフルSでも2着、前走弥生賞は3着だが、ダノンプレミアムがいない今回は恩恵が大きいだろう。出走予定馬で唯一の母父サンデーサイレンスも大きな強調材料だ。

2017/11/11 京都11R デイリー杯2歳ステークス(G2) 1着 3番 ジャンダルム

他ではスプリングS2着で2走前のあすなろ賞の内容が秀逸のエポカドーロ、休み明けでも中山芝2000m適性が高いジェネラーレウーノも上位評価にあげておきたい。なお、キタノコマンドールは前走実績がないすみれS組、タイムフライヤーも不振傾向の前走5着以下から評価を下げたい。今回は先行勢を中心に狙ってみたい。

ライタープロフィール

ケンタロウ(けんたろう)

1978年6月、鹿児島県生まれ。早稲田大学社会科学部卒業。初めて買った馬券が大当たりし、それから競馬にのめり込むように。データでは、開催日の馬場やコース適性に注目している。好きなタイプは逃げか追い込み。馬券は1着にこだわった単勝、馬単派。料理研究家ではない。


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