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第1207回 福島牝馬Sの穴馬のパターンとは?

2018/4/16(月)

今週は土曜日に福島競馬場で福島牝馬Sが行われる。一応、ヴィクトリアマイルへ向けての前哨戦だが、G1にはつながりにくい傾向にある。ローカル・小回り巧者による激しい戦いとなりやすい。データは新潟で行われた11年を除く、過去10年のデータを分析。データの分析には、JRA-VAN DataLab.TARGET frontier JVを利用。過去10年のデータを対象に分析した。

■表1 過去10年の福島牝馬Sの好走馬(11年の新潟開催を除く)

着順 馬名 人気 3角 4角 前走レース名 前着
17年 1 ウキヨノカゼ 3 11 11 中山牝馬HG3 6
2 フロンテアクイーン 4 9 7 中山牝馬HG3 8
3 クインズミラーグロ 1 13 11 中山牝馬HG3 3
16年 1 マコトブリジャール 15 2 2 愛知杯HG3 18
2 シャルール 1 6 7 初音S1600 1
3 オツウ 13 1 1 六甲S 12
15年 1 スイートサルサ 3 7 4 中山牝馬HG3
2 リラヴァティ 9 2 1 四国新聞1000 1
3 メイショウスザンナ 13 7 7 京都牝馬G3 9
14年 1 ケイアイエレガント 5 1 1 中山牝馬HG3 2
2 キャトルフィーユ 2 3 3 中山牝馬HG3 2
3 フィロパトール 16 2 2 但馬SH1600 11
13年 1 オールザットジャズ 1 5 5 中山牝馬HG3 3
2 マイネイサベル 3 9 6 中山牝馬HG3 1
3 ピュアブリーゼ 10 2 2 クリスマ1600 6
12年 1 オールザットジャズ 1 6 4 中山牝馬HG3 2
2 コスモネモシン 4 13 12 中山牝馬HG3 6
3 アカンサス 2 13 10 中山牝馬HG3 8
10年 1 レジネッタ 5 7 9 中山牝馬HG3 5
2 ブラボーデイジー 4 3 2 中山牝馬HG3 6
3 ウェディングフジコ 3 4 4 中山牝馬HG3 2
09年 1 ブラボーデイジー 7 2 1 中山牝馬HG3 6
2 アルコセニョーラ 11 14 12 福島民報 7
3 ヤマニンメルベイユ 13 1 2 中山牝馬HG3 16
08年 1 マイネカンナ 3 6 7 中山牝馬HG3 2
2 ハロースピード 4 13 12 中山牝馬HG3 5
3 ザレマ 1 4 3 京都牝馬G3 2

2009/4/25 福島11R 福島牝馬ステークス(G3) 1着 8番 ブラボーデイジー

まずは過去10年(11年は除く)の福島牝馬Sで3着以内に好走した馬を見ていくことにする。勝ち馬の顔ぶれを見ると桜花賞馬のレジネッタや牝馬重賞で活躍してきたオールザットジャズが連覇を果たしている。ただ、次走ヴィクトリアマイルで好走するケースは少なく、09年のブラボーデイジーぐらいだろうか。ここを叩いてG1へという感じのレースでもない。

ただし、別のレースとの結びつきは物凄く強い。それが中山牝馬S。福島牝馬S好走馬の前走レース・成績を記しているが、大半の馬が該当している。好走馬27頭中18頭もの馬が前走で中山牝馬Sを使っていた。同レースの再戦と言うべき性質のレースであり、同組の取捨は当然重要となる。

2016/4/23 福島11R 福島牝馬ステークス(G3) 1着 8番 マコトブリジャール

ただ、そうした傾向というのはすでに多くのファンに認知されているようだ。前走中山牝馬S組の好走馬は多い反面、配当妙味はほとんどなくなっている。二けた人気馬が激走しているケースはポツポツとあるのだが、09年のヤマニンメルベイユ以外は、中山牝馬S組ではないレースからのステップとなっている。

16年に15番人気で優勝したマコトブリジャールは前走愛知杯で18着、同3着のオツウは前走六甲S12着。リラヴァティやフィロパトールは前走1600万クラスで敗れていた。大穴となるだけに前走着順が悪いケースが大半だが、特定のレース・クラス・条件を経ているケースが良いなどというパターンは見当たらない。

■表2 福島牝馬Sを二けた人気で激走した馬

馬名 人気 着順 備考
マコトブリジャール 15 1 福島テレビOP3着
オツウ 13 3 ターコイズS3着
メイショウスザンナ 13 3 ターコイズS3着
フィロパトール 16 3 織姫賞など
ピュアブリーゼ 10 3 オークス2着
アルコセニョーラ 11 2 福島記念1着
ヤマニンメルベイユ 13 3 中山牝馬S1着

前走成績ではなく、それより以前の成績に注視すべきだろう。表2は二けた人気で激走した馬をまとめたもの。例えばマコトブリジャールは前年に福島テレビOPで3着という実績があった。アルコセニョーラも福島記念で1着の実績。つまり、実績的にはここで好走しても全く不思議はなかったということだ。あとは、ターコイズSで3着の実績があった馬が2頭。同レースは当時まだOP特別ではあったが、中山芝1600mという条件自体は福島芝1800mにもつながりやすいイメージがある。

あと、フィロパトールは条件クラスの福島芝で十分な勝ち鞍があった。織姫賞などを勝っており、コース実績という意味で十分だった。あとは過去にオークスで2着の実績があったピュアブリーゼが、ここで激走している。

さらに脚質的にも特徴があった。表1をあらためてみると、穴馬は逃げ・先行馬が大半。09年アルコセニョーラ以外は、3〜4コーナーを1〜2番手で通過しているケースが多いことがわかる。前々でレースができそうな馬が穴馬の候補となる。

■表3 中山牝馬S組の前走着順別成績

前入線順位 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回収率 複回収率
前走1着 0- 1- 0- 1/ 2 0.0% 50.0% 50.0% 0 110
前走2着 3- 1- 1- 1/ 6 50.0% 66.7% 83.3% 333 181
前走3着 1- 0- 1- 3/ 5 20.0% 20.0% 40.0% 52 54
前走4着 0- 0- 0- 6/ 6 0.0% 0.0% 0.0% 0 0
前走5着 1- 1- 0- 2/ 4 25.0% 50.0% 50.0% 232 132
前走6〜9着 2- 3- 1-15/21 9.5% 23.8% 28.6% 97 70
前走10着〜 0- 0- 1-18/19 0.0% 0.0% 5.3% 0 61

■表4 中山牝馬S組の前走着差別成績

前走着差 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回収率 複回収率
勝0.1〜0.2 0- 1- 0- 1/ 2 0.0% 50.0% 50.0% 0 110
勝0.0 0- 0- 0- 0/ 0          
負0.0 0- 0- 0- 0/ 0          
負0.1〜0.2 6- 1- 2- 7/16 37.5% 43.8% 56.3% 241 115
負0.3〜0.5 1- 4- 0-13/18 5.6% 27.8% 27.8% 76 73
負0.6〜0.9 0- 0- 1-17/18 0.0% 0.0% 5.6% 0 11
負1.0〜1.9 0- 0- 1- 8/ 9 0.0% 0.0% 11.1% 0 130

最後に中山牝馬S組についても見ておくことにする。同組の前走着順別成績は表3の通り。前走1着馬が芳しくないのは少し気になるが、基本的には同レースで善戦していた馬が有力。特に2着馬は【3.1.1.1】で好成績だ。敗れていても9着以内であれば気にする必要はない。10着以下に敗れている場合は割引が必要だろう。

念のため着差でも分析しておく(表4参照)。敗れていても0.1〜0.2秒以内の僅差負けならば、ここでは非常に有力。0.3〜0.5秒以内の負けでも十分走破圏内。0.6秒以上の負けになると苦しくなる印象だ。

ライタープロフィール

小田原智大(おだわら ともひろ)

1975年6月、東京生まれ。早稲田大学商学部卒業後、業界紙記者を経て、(株)レイヤード入社。ライター&エディターとして活躍。JRA-VANデータの配信初期から、いち早くデータ競馬の有効性に着目する。05年5月より「競馬 最強の法則WEB」にて、障害戦を除く全重賞レースの傾向と対策、予想を展開。「オッズパーク ダートグレードデータ作戦」では、地方競馬の重賞の攻略にも取り組んでいる。仕事の関係でなかなか競馬場には行けなくなったが、年に1、2回行くローカル遠征が楽しみ。


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