第1204回 チューリップ賞組の順位逆転は? 桜花賞を分析する|競馬情報ならJRA-VAN

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第1204回 チューリップ賞組の順位逆転は? 桜花賞を分析する

2018/4/5(木)

今週日曜には阪神競馬場で牝馬三冠の第一弾・桜花賞が行われる。今年は前哨戦・チューリップ賞で、昨年の阪神JF上位馬が引き続き1〜3着を独占。そのまま桜花賞も3頭の争いになる可能性が大いにある。一方で、前走勝ちからじっくりここを目標に調整してきた馬も何頭も見られ、こちらも不気味な存在だ。果たしてどんな結果が出るのか、過去の傾向をみてみたい。データの分析には、JRA-VAN DataLab.TARGET frontier JV馬天楼 for データde出〜たを利用した。

■表1 人気別成績

人気 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回収 複回収 過去5年 同複勝率
1 3-1-1-5/10 30.0% 40.0% 50.0% 52% 58% 1-0-1-3 40.0%
2 2-4-0-4/10 20.0% 60.0% 60.0% 87% 122% 0-3-0-2 60.0%
3 1-2-1-6/10 10.0% 30.0% 40.0% 50% 106% 1-1-0-3 40.0%
4 0-1-1-8/10 0.0% 10.0% 20.0% 0% 53% 0-0-0-5 0.0%
5 1-0-3-6/10 10.0% 10.0% 40.0% 102% 129% 1-0-1-3 40.0%
6 0-0-1-9/10 0.0% 0.0% 10.0% 0% 81% 0-0-1-4 20.0%
7 1-1-0-8/10 10.0% 20.0% 20.0% 180% 107% 1-1-0-3 40.0%
8 1-0-1-8/10 10.0% 10.0% 20.0% 408% 123% 1-0-1-3 40.0%
9 0-0-0-10/10 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0% 0-0-0-5 0.0%
10 0-0-0-10/10 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0% 0-0-0-5 0.0%
11〜 1-1-2-74/78 1.3% 2.6% 5.1% 55% 87% 0-0-1-38 2.6%

2016/4/10 阪神11R 桜花賞(G1) 1着 13番 ジュエラー (3番人気)

過去10年、1番人気は複勝率50.0%止まりで、回収率も加味すれば2〜3番人気のほうがおもしろい存在になる。また、6〜8番人気の好走馬5頭はすべて近5年から。9番人気以下になるとちょうど5年前・13年プリンセスジャックの14番人気3着しかなく苦しいが、近年の傾向からは8番人気までなら、先入観は捨ててじっくりと個々の馬を分析する必要がありそうだ。

■表2 枠番別成績

枠番 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回収 複回収
1枠 0-0-1-19/20 0.0% 0.0% 5.0% 0% 37%
2枠 0-0-0-19/19 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%
3枠 1-1-0-18/20 5.0% 10.0% 10.0% 51% 25%
4枠 2-2-0-15/19 10.5% 21.1% 21.1% 114% 80%
5枠 4-0-3-13/20 20.0% 20.0% 35.0% 248% 192%
6枠 0-2-2-16/20 0.0% 10.0% 20.0% 0% 62%
7枠 2-2-3-23/30 6.7% 13.3% 23.3% 161% 91%
8枠 1-3-1-25/30 3.3% 13.3% 16.7% 4% 134%
1〜2 0-0-1-38/39 0.0% 0.0% 2.6% 0% 19%
3〜8 10-10-9-110/139 7.2% 14.4% 20.9% 94% 99%

枠番別の成績を見ると、1〜2枠が計【0.0.1.38】の大不振で、好走は15年3着のコンテッサトゥーレのみ。対して3枠から外は、その全馬を買っても単複の回収率は90%台に乗っている。本稿執筆段階では枠順未発表のため結論には反映できないが、各データをクリアしていても1〜2枠を引いてしまう馬がいれば、減点が必要だ。

■表3 脚質別成績

脚質 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回収 複回収 4番人気以下
逃げ 1-1-0-8/10 10.0% 20.0% 20.0% 102% 57% 1-0-0-8/9
先行 2-1-1-32/36 5.6% 8.3% 11.1% 121% 40% 1-1-1-29/32
中団 3-4-6-73/86 3.5% 8.1% 15.1% 77% 98% 2-1-4-66/73
後方 4-4-3-35/46 8.7% 17.4% 23.9% 24% 89% 0-1-3-30/34
※TARGET frontier JVによる分類

「TARGET frontier JV」の分類による脚質別の成績を見ると、3着以内馬30頭中24頭が「中団」以降から。他のレースではなかなか厳しい結果の出ることが多い「後方」からでも8連対を記録している。ただ、その「後方」から勝ったのはブエナビスタ、マルセリーナ、ハープスター、ジュエラーと、すべて3番人気以内の馬で、単勝回収率は24%。4番人気以下から連対したのはクルミナル(15年2着)だけのため、「後方」になりそうな馬なら、人気馬以外は3着までの候補と考えたい。

■表4 前走レース別成績

前走 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回収 複回収 1〜3番人気 同複勝率
チューリップ賞 7-4-6-27/44 15.9% 25.0% 38.6% 98% 151% 5-3-1-5 64.3%
フィリーズレビュー 2-0-2-52/56 3.6% 3.6% 7.1% 150% 47% 0-0-1-1 50.0%
エルフィンS 1-1-0-2/4 25.0% 50.0% 50.0% 95% 102% 1-1-0-1 66.7%
クイーンC 0-3-0-14/17 0.0% 17.6% 17.6% 0% 219% 0-1-0-7 12.5%
フラワーC 0-1-1-10/12 0.0% 8.3% 16.7% 0% 45% 0-1-0-0 100.0%
阪神JF 0-1-0-2/3 0.0% 33.3% 33.3% 0% 56% 0-1-0-0 100.0%
アネモネS 0-0-1-23/24 0.0% 0.0% 4.2% 0% 17% 該当なし
フェアリーS 0-0-0-1/1 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%

前走レース別では、やはりチューリップ賞組が3着以内30頭中17頭と他を圧倒。全馬を買っても単複の回収率は98%、151%と高く、まずはこの組が中心になる。一方、他のステップレース、フィリーズレビューやアネモネSは複勝率でもひと桁。好走すれば穴にはなるが、複勝回収率はそれぞれ47%、17%と、むやみに狙っても苦しい。 なお、シンザン記念からの直行馬(今年はアーモンドアイが該当)は、JRA-VAN Data Lab.でデータが提供されている86年以降でみても不在だった。ただ、シンザン記念連対馬が他のレースを挟んで出走すると【3.1.0.3】で、07年ダイワスカーレット(シンザン記念2着)、12年ジェンティルドンナ(同1着)、16年ジュエラー(同2着)と3連勝中だ。

■表5 前走チューリップ賞からの好走馬

馬名 桜花賞 チューリップ賞
人気 着順 人気 着順
09 ブエナビスタ 1 1 1 1
ジェルミナル 5 3 3 5
10 アパパネ 1 1 1 2
エーシンリターンズ 11 3 8 3
12 ジェンティルドンナ 2 1 2 4
13 アユサン 7 1 5 3
レッドオーヴァル 2 2 1 7
プリンセスジャック 14 3 8 8
14 ハープスター 1 1 1 1
ヌーヴォレコルト 5 3 4 2
15 レッツゴードンキ 5 1 2 3
クルミナル 7 2 1 11
コンテッサトゥーレ 8 3 4 6
16 ジュエラー 3 1 1 2
シンハライト 2 2 2 1
17 リスグラシュー 3 2 2 3
ソウルスターリング 1 3 1 1

好成績を残すチューリップ賞組の好走馬は表5の17頭。特に13年以降に好走馬が増えているが、傾向が大きく変わったのは14年以降で、該当9頭すべてがチューリップ賞で4番人気以内、そして7頭が3着以内。同レース4着以下からクルミナルとコンテッサトゥーレが馬券に絡んだ15年は、チューリップ賞が重馬場、桜花賞は良馬場で行われた年だった。また、その14年以降に「チューリップ賞4番人気以内かつ3着以内」を満たした馬は【3.2.2.0】と全馬が馬券圏内。今年のチューリップ賞1〜3着馬はすべて3番人気以内だったため、そのまま桜花賞でも上位を独占する可能性も十分にあり得る。

■表6 阪神JF、チューリップ賞の着順・人気別、桜花賞成績

レース 着順・人気 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回収 複回収
チューリップ賞 1着 2-1-1-4/8 25.0% 37.5% 50.0% 30% 73%
2着 2-0-1-7/10 20.0% 20.0% 30.0% 78% 64%
3着 2-1-1-6/10 20.0% 30.0% 40.0% 282% 151%
1番人気 4-2-1-2/9 44.4% 66.7% 77.8% 113% 167%
2番人気 2-2-0-3/7 28.6% 57.1% 57.1% 215% 134%
3番人気 0-0-1-5/6 0.0% 0.0% 16.7% 0% 55%
阪神JF 1着 2-1-1-4/8 25.0% 37.5% 50.0% 50% 65%
2着 2-2-1-4/9 22.2% 44.4% 55.6% 126% 111%
3着 1-0-0-6/7 14.3% 14.3% 14.3% 582% 68%
1番人気 2-0-1-5/8 25.0% 25.0% 37.5% 30% 41%
2番人気 2-1-1-6/10 20.0% 30.0% 40.0% 130% 96%
3番人気 1-0-0-6/7 14.3% 14.3% 14.3% 582% 68%
4番人気 1-1-1-5/8 12.5% 25.0% 37.5% 225% 173%

冒頭にも触れたように、今年のチューリップ賞1〜3着馬は、昨年同コースで行われたG1・阪神JFでも1〜3着を占めていた。そこでチューリップ賞に加え、阪神JFでの人気・着順別の桜花賞成績を見ておきたい。 まずチューリップ賞については、1着から3着まですべて2勝ずつを挙げ、好走確率にも極端に大きな差はない。そのため、チューリップ賞1〜2着馬よりも3着馬に妙味がある(回収率が高い)という結果が出ている。その他では、チューリップ賞と阪神JFの3着馬、そして阪神JFの3番人気馬はそれぞれ好走1頭ずつと、他の上位馬、上位人気馬に比べると苦戦している。

■表7 前走チューリップ賞以外からの好走馬

馬名 桜花賞 前走
人気 着順 レース 人気 着順
08 レジネッタ 12 1 フィリーズレビュー 4 3
エフティマイア 15 2 クイーンC 10 6
ソーマジック 5 3 アネモネS 2 1
09 レッドディザイア 2 2 エルフィンS 1 1
10 オウケンサクラ 3 2 フラワーC 3 1
11 マルセリーナ 2 1 エルフィンS 2 1
ホエールキャプチャ 1 2 クイーンC 2 1
トレンドハンター 4 3 フラワーC 5 1
12 ヴィルシーナ 4 2 クイーンC 2 1
アイムユアーズ 3 3 フィリーズレビュー 1 1
14 レッドリヴェール 2 2 阪神JF 5 1
16 アットザシーサイド 6 3 フィリーズレビュー 1 2
17 レーヌミノル 8 1 フィリーズレビュー 1 2

表7は、前走チューリップ賞以外からの好走馬13頭である。このうち9頭は前走5番人気以内の1着馬、そして2頭はフィリーズレビューの1番人気・2着馬(本年は該当なし)だった。08年に大波乱を演出したレジネッタ、エフティマイアは傾向から外れるため、思い切った穴狙いにかじを切るならこだわる必要はないが、まずは前走を上位人気で勝ってきた馬を重視したい。

■表8 新馬戦着順別桜花賞成績

新馬戦 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回収 複回収 過去5年 同複勝率
1着 6-6-4-72/88 6.8% 13.6% 18.2% 89% 115% 5-3-4-39 23.5%
2着以下 4-4-6-73/87 4.6% 9.2% 16.1% 60% 51% 0-2-1-35 7.9%

最後に表8は、新馬戦で勝った馬と敗れた馬の成績をまとめたものである。表の右に記したように、特に近年は新馬戦優勝馬が目立って活躍しており、過去5年では3着以内15頭中12頭を新馬戦1着馬が占めていた。残る3頭は、13年2着のレッドオーヴァルが前走チューリップ賞7着(1番人気)、14年3着のヌーヴォレコルトは前走チューリップ賞2着、そして昨年2着のリスグラシューが前走チューリップ賞3着。つまり、過去5年の3着以内馬は15頭すべて「新馬戦1着馬か、前走チューリップ賞組」である。また、過去10年で見ても単複の回収率は新馬戦1着馬が89、115%に対し、2着以下に敗退した馬は60、51%と差がついている。

【結論】

上位人気はまずまずで、近年は中位人気の健闘も見られる桜花賞。前哨戦の中でもやはりチューリップ賞組が中心となり、中でも最近は同レース4番人気以内で馬券に絡んだ馬の安定感が光っている。別路線では、5番人気以内で勝ってくるか、フィリーズレビュー1番人気・2着馬が大半を占める。また、ここ5年は別路線なら新馬戦1着が条件だ。加えて、1、2枠は苦戦しているため、枠順抽選の結果にも注目したい。

2017/11/26 京都9R 白菊賞 1着 4番 リリーノーブル

まず今年はチューリップ賞の上位3頭がいずれも3番人気以内と、近年の信頼できるパターン(表5本文)に入っているため、ラッキーライラックマウレアリリーノーブルの3頭は有力だ。中でも注目したいのは、3着に敗退したリリーノーブル。表1で記したように、今回1番人気よりは2〜3番人気のほうに妙味があることや、表6の中ではチューリップ賞2番人気3着、阪神JF2着と、阪神JFの3番人気以外は好材料が揃っていることが好材料になる。またラッキーライラックも、配当妙味が薄いこと以外は特に減点はない。そしてマウレアは、チューリップ賞3番人気や阪神JF3着が、あまり良くない結果が出ている。ただ繰り返しになるが、近年はチューリップ賞を上位人気で馬券に絡んだ馬は、桜花賞でも馬券圏内を外していないため、他の組を一歩リードしていると考えたい。

その他の組の中では、新馬戦を勝ち(表8)、前走も勝ってきた(表7)レッドサクヤが筆頭格だ。対して、上位人気必至のアーモンドアイは新馬戦で敗れている点が減点材料になる。また、シンザン記念以来というステップは判断が難しいが、間にレースを挟んだ馬であれば同レース連対馬が好結果を出しているため(表4本文)、この「シンザン記念連対」を高く評価するなら上位の一角と考えてもいいだろう。なお、表2で記したように1〜2枠は苦戦しているため、枠順抽選の結果も見て最終的な判断は下すようにしたい。

ライタープロフィール

浅田知広(あさだ ともひろ)

1970年12月、埼玉県生まれ。立命館大学文学部中退後、夕刊紙レース部のアルバイト、競馬データベース会社を経て、現在はフリー。パソコンが広く普及する以前から、パソコン通信でデータ手入力方式の競馬予想ソフトを公開するなど、競馬のみならずPCやネットワークにも精通。その知識を活かし、Webや雑誌で競馬ライターとして活躍するかたわら、ネットワークの専門誌にも連載を持つ。


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