第1203回 今年は波乱か平穏か? ニュージーランドTを分析する|競馬情報ならJRA-VAN

競馬予想・競馬情報ならJRA-VAN

データde出〜た

データde出〜たバックナンバー

第1203回 今年は波乱か平穏か? ニュージーランドTを分析する

2018/4/2(月)

今週は日曜に桜花賞が控えているが、平行してG1の前哨戦も進行中。土曜には阪神牝馬SとニュージーランドTが行われる。このうち月曜掲載分の今回は、一昨年が3連単105万馬券、昨年は49万馬券と波乱が続くニュージーランドTを取り上げたい。信頼できる馬や、波乱の立役者となるのはどんなタイプか、過去の傾向を見てみよう。データの分析には、JRA-VAN DataLab.TARGET frontier JVを利用した。

■表1 人気別成績

人気 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回収 複回収
1 4-1-1-4/10 40.0% 50.0% 60.0% 128% 87%
2 2-2-2-4/10 20.0% 40.0% 60.0% 89% 102%
3 0-1-1-8/10 0.0% 10.0% 20.0% 0% 48%
4 0-1-1-8/10 0.0% 10.0% 20.0% 0% 45%
5 0-2-1-7/10 0.0% 20.0% 30.0% 0% 88%
6 1-0-0-9/10 10.0% 10.0% 10.0% 180% 33%
7 1-1-1-7/10 10.0% 20.0% 30.0% 153% 117%
8 0-1-1-8/10 0.0% 10.0% 20.0% 0% 85%
9 0-0-0-10/10 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%
10〜 2-1-2-66/71 2.8% 4.2% 7.0% 151% 89%

2017/4/8 中山11R ニュージーランドT(G2) 1着 6番 ジョーストリクトリ (12番人気)

冒頭で触れたように、ここ2年は大波乱となったニュージーランドTだが、過去10年の1、2番人気はともに複勝率60.0%で、単複の回収率も人気馬としては上々だ。3連単3万馬券未満が10年で5回を占めており、とにかく穴狙い、と言えるようなレースではない。ただ、3番人気以下は8番人気まで好走馬が分散し、2桁人気馬でも特に12番人気が【2.0.2.6】と4頭も好走している(残る2桁人気1頭は14番人気2着)。人気馬を極端に嫌うのではなく、穴馬を多めに拾っていくような買い方が良さそうな印象だ。

■表2 枠番別成績(中山のみ)

枠番 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回収 複回収 6番人気以下
1枠 0- 0- 0-17/17 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0% 0-0-0-11/11
2枠 2- 3- 3-10/18 11.1% 27.8% 44.4% 120% 247% 1-1-2-6/10
3枠 3- 1- 1-13/18 16.7% 22.2% 27.8% 328% 81% 1-0-0-12/13
4枠 1- 1- 1-15/18 5.6% 11.1% 16.7% 85% 128% 1-1-0-14/16
5枠 0- 2- 1-15/18 0.0% 11.1% 16.7% 0% 42% 0-0-1-12/13
6枠 1- 1- 1-15/18 5.6% 11.1% 16.7% 18% 38% 0-0-0-12/12
7枠 1- 1- 0-16/18 5.6% 11.1% 11.1% 17% 22% 0-0-0-12/12
8枠 1- 0- 2-15/18 5.6% 5.6% 16.7% 18% 43% 0-0-1-10/11

中山芝1600mは外枠不利、内枠有利という印象が強いコースだが、このレース(阪神代替の11年は除く)は1枠を引いた馬が【0.0.0.17】で、13年の1番人気ゴットフリート9着など全馬が圏外。まず1枠は苦しいと考えたい。ただ、すぐ外の2、3枠は好成績。また、6番人気以下にかぎると連対した5頭はすべて2〜4枠、特に2枠は複勝率40.0%になる。1枠こそ不振だが、全体としては内寄りの枠に注目したいことに変わりはない。

■表3 馬体重・増減別成績(中山のみ)

馬体重 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回収 複回収 1〜3番人気
400〜419kg 0-0-0-1/1 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%
420〜439kg 0-0-1-8/9 0.0% 0.0% 11.1% 0% 113%
440〜459kg 0-0-3-30/33 0.0% 0.0% 9.1% 0% 77% 0-0-0-6/6
460〜479kg 2-7-3-36/48 4.2% 18.8% 25.0% 14% 58% 2-3-2-5/12
480〜499kg 4-0-1-26/31 12.9% 12.9% 16.1% 240% 54% 2-0-1-1/4
500〜519kg 2-1-1-8/12 16.7% 25.0% 33.3% 178% 69% 1-1-0-1/3
520〜539kg 1-1-0-7/9 11.1% 22.2% 22.2% 37% 222% 1-0-0-1/2
-19〜-10kg 2-0-0-7/9 22.2% 22.2% 22.2% 72% 36% 2-0-0-1/3
-9〜-4kg 4-3-2-41/50 8.0% 14.0% 18.0% 54% 57% 3-2-0-3/8
-3〜+3kg 3-6-6-50/65 4.6% 13.8% 23.1% 111% 112% 1-2-3-7/13
+4〜+9kg 0-0-1-17/18 0.0% 0.0% 5.6% 0% 21% 0-0-0-2/2
+10〜+19kg 0-0-0-1/1 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0% 0-0-0-1/1
今回減 8-5-4-63/80 10.0% 16.3% 21.3% 128% 85% 5-3-1-8/17
同体重 1-2-3-20/26 3.8% 11.5% 23.1% 13% 48% 1-0-2-3/6
今回増 0-2-2-33/37 0.0% 5.4% 10.8% 0% 75% 0-1-0-3/4

2015/4/11 中山11R ニュージーランドT(G2) 1着 8番 ヤマカツエース (482キロ(-6キロ))

同じく中山開催時の馬体重別成績を見ると、460キロを割る馬は連対なし。16年には1番人気に推されたアストラエンブレム(456キロ)が4着に敗退するなど、3番人気以内だった馬は6頭すべてが馬券圏外だ。また、当日の増減がプラス4キロ以上だった馬も、該当19頭のうち10年3着のレト以外はすべて圏外に敗退している。当日460キロ未満の馬や、プラス4キロ以上の馬は特に連対候補としては厳しい。

■表4 前走クラス・レース別成績(レースは好走馬輩出レース)

前走 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回収 複回収
未勝利 0-0-0-1/1 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%
500万下 2-5-1-39/47 4.3% 14.9% 17.0% 46% 111%
OPEN特別 0-1-1-16/18 0.0% 5.6% 11.1% 0% 66%
G3 5-3-6-55/69 7.2% 11.6% 20.3% 113% 63%
G2 3-1-2-17/23 13.0% 17.4% 26.1% 270% 71%
G1 0-0-0-3/3 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%
ファルコンS 3-1-4-28/36 8.3% 11.1% 22.2% 193% 78%
スプリングS 3-0-2-11/16 18.8% 18.8% 31.3% 389% 93%
アーリントンC 1-1-2-15/19 5.3% 10.5% 21.1% 28% 57%
シンザン記念 1-0-0-0/1 100.0% 100.0% 100.0% 340% 180%
こぶし賞 1-0-0-0/1 100.0% 100.0% 100.0% 370% 160%
共同通信杯 0-1-0-6/7 0.0% 14.3% 14.3% 0% 35%
弥生賞 0-1-0-3/4 0.0% 25.0% 25.0% 0% 35%
フローラルウォーク賞 0-1-0-3/4 0.0% 25.0% 25.0% 0% 60%
クロッカスS 0-1-0-7/8 0.0% 12.5% 12.5% 0% 21%
アネモネS 0-0-1-2/3 0.0% 0.0% 33.3% 0% 340%

前走に関しては、今年からアーリントンCが大幅ら繰り下がり、本競走の1週後(4月14日)に行われる点がどうでるかが読みづらい。ただ、これまでの傾向としては、アーリントンC以外にもファルコンSなどがあるG3組が3着以内14頭と約半数。そして500万組8頭、G2組6頭、という順に好走馬が出ている。500万組については、出走47頭中43頭が前走1着馬だったが、アーリントンCが移動してきたことにより、前走2着以下の馬が出走するチャンスが増える可能性もあるだろう。

■表5 主な前走クラス別成績

前走クラス 成績等 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回収 複回収
500万 前走2番人気以内 2-4-1-16/23 8.7% 26.1% 30.4% 94% 148%
前走3番人気以下 0-1-0-23/24 0.0% 4.2% 4.2% 0% 75%
G3 前走3着以内 3-2-5-16/26 11.5% 19.2% 38.5% 93% 107%
前走4着以下 2-1-1-39/43 4.7% 7.0% 9.3% 126% 36%
(前走4〜8着) 2-1-1-19/23 8.7% 13.0% 17.4% 235% 67%
(前走9着以下) 0-0-0-20/20 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%
G2 前走5着以内+今回2番人気以内 2-1-2-0/5 40.0% 60.0% 100.0% 120% 146%
その他 1-0-0-17/18 5.6% 5.6% 5.6% 312% 50%

その好走馬が多い前走500万、G3、G2組は、それぞれ人気や着順である程度はっきりした傾向が出ているので、表5にまとめてみた。まず前走500万組は、そこで2番人気以内だった馬なら複勝率30.4%など好成績だが、前走3番人気以下からの好走は、16年の2着馬ストーミーシーのみ。同馬は唯一、前走500万条件敗退から連対した馬でもあり、例外的な存在だ。 続いてもっとも好走の多いG3組。こちらは前走3着以内なら複勝率38.5%をマークするが、4着以下は9.3%止まり。それでも8着までならチャンスが残されるものの、9着以下に敗退していると、20頭すべてがここでも馬券圏外に敗れ去っている。そして最後にG2組。こちらは、前走5着以内に加え、このレースで2番人気以内に推されると【2.1.2.0】で、5頭すべてが馬券に絡む好結果を出している。この条件を満たせずに好走したのは、阪神で代替された11年に12番人気で優勝したエイシンオスマンだが、同馬は前走スプリングS5着と、「前走5着以内」のほうは満たしていた。G2組から穴馬を買うにしても、少なくとも前走5着以内の条件はクリアしている馬にかぎりたい。

以上、ニュージーランドTの傾向をまとめてみた。まずは、最後に表5で挙げた前走クラス別の成績で各馬を見極めておき、発売開始後に、表2や表3からもうひと絞りしたり、加えたりするといいだろう。日曜に発表された登録馬を見ると、まず前走G3・3着以内のカシアス、そして前走500万条件を1番人気で勝ってきたケイアイノーテック、ラムセスバローズあたりが、馬体重(表3)も問題なさそうな注目馬として挙げられる。

ライタープロフィール

浅田知広(あさだ ともひろ)

1970年12月、埼玉県生まれ。立命館大学文学部中退後、夕刊紙レース部のアルバイト、競馬データベース会社を経て、現在はフリー。パソコンが広く普及する以前から、パソコン通信でデータ手入力方式の競馬予想ソフトを公開するなど、競馬のみならずPCやネットワークにも精通。その知識を活かし、Webや雑誌で競馬ライターとして活躍するかたわら、ネットワークの専門誌にも連載を持つ。


データde出〜たバックナンバー

データ競馬のための最強ツール TARGET frontier JV(ターゲット)