新種牡馬(2016年世代)
初年度産駒が2歳を迎えた種牡馬の上場馬に対して、鑑定人から発せられる、「早くも新馬戦を勝利した…」 との前口上。今年は1歳セクション、当歳セクションで共に10頭の産駒がラインナップされているジャスタウェイが該当することになった。
ジャスタウェイ
「初年度産駒は社台グループの各牧場からも仕上がりが早いと聞いていました。ジャスタウェイは2歳の早い時期から活躍していましたが、産駒にもその特性が受け継がれているだけでなく、父譲りと言える骨格と体幹の良さも伝えられたことで、強い調教もこなせているようです」(社台スタリオンステーション・徳武英介氏)
ハーツクライの後継種牡馬でもあるジャスタウェイだが、3歳を迎えてから本格化を迎える父の産駒とは対照的に、早い仕上がりを見せているだけでなく、現役時の自身を彷彿とさせるような、マイル適性の高さも示している。
「ハーツクライの産駒にしては重心が低いところや、独特の首差しを見ると、ジャスタウェイにもトニービンの面影が感じられます。父譲りと言えるスピード能力の高さで、2歳戦から次々と勝ち馬が出てくると思いますし、この父系ならではと言える高い成長力を示した産駒からは、距離をこなせる馬も出てくるかもしれません」
他にこの2歳世代に初年度産駒を送り出すセレクトセール上場馬の父としては、ベルシャザール(当歳セクションに1頭)、トーセンジョーダン(1歳セクションに1頭)などがいる。
ベルシャザール
「ベルシャザールはこの2歳世代が、社台スタリオンステーションで配合された世代となります。父のキングカメハメハから骨格の良さが遺伝されただけでなく、大きなストライドを生み出す強い背腰をしています。キングカメハメハの後継種牡馬たちは産駒成績も安定しており、産駒の評判を聞いても、父譲りと言えるポテンシャルの高さはしっかりと遺伝されているようです」
トーセンジョーダンは繋養地が日高町のブリーダーズ・スタリオン・ステーションながらも、祖父のトニービン、父のジャングルポケット共に、社台スタリオンステーションの繋養種牡馬となる。
「トーセンジョーダンはトニービン系の正統な後継種牡馬となり得るだけでなく、Crafty Prospectorが入った牝系は堅実かつ、ダートも苦にしない万能さがあります。大物を輩出する印象があるトニービンの血統ですが、トーセンジョーダンからはコンスタントな産駒の活躍も期待できそうです」
セレクトセールの、「早くも新馬戦を快勝した…」との前口上は、こうした種牡馬の産駒が上場された際にも聞かれるかも知れない。
ライタープロフィール
村本浩平(競馬ライター)
北海道在住の“馬産地ライター”として、豊富な取材をもとに各種競馬雑誌で活躍中。