第1822回 【菊花賞×過去データ分析】トライアル組かそれ以外の組か?|競馬情報ならJRA-VAN

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【菊花賞×過去データ分析】トライアル組かそれ以外の組か?

2025/10/23(木)

今週は京都競馬場で菊花賞が行われる。日本ダービー馬クロワデュノールは凱旋門賞に挑戦した関係で、今回は不在。皐月賞馬ミュージアムマイルと日本ダービー2着のマスカレードボールは翌週の天皇賞(秋)に向かうため、本競走は回避することになった。少し寂しいメンバー構成になったが、クラシック最後の一冠を制するのはどの馬か。いつものようにJRA-VAN DataLab.TARGET frontier JVを利用し、過去10年のデータを分析する。

トライアルを使うのが主流

前走クラス 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回値 複回値
1勝 0-  0-  0-  5/  5 0.0% 0.0% 0.0% 0 0
2勝 0-  1-  4- 35/ 40 0.0% 2.5% 12.5% 0 75
3勝 1-  1-  0-  6/  8 12.5% 25.0% 25.0% 91 56
OPEN非L 0-  0-  0-  1/  1 0.0% 0.0% 0.0% 0 0
OPEN(L) 0-  0-  0-  0/  0          
G3 1-  0-  0-  9/ 10 10.0% 10.0% 10.0% 145 45
G2 8-  7-  6- 91/112 7.1% 13.4% 18.8% 38 50
G1 0-  1-  0-  2/  3 0.0% 33.3% 33.3% 0 53

(表1 菊花賞の前走クラス別成績、過去10年)

過去10年の菊花賞の前走クラス別成績を調べたところ、G1【0.1.0.2】は頭数が少なく、G2【8.7.6.91】が出走馬・好走馬の大半を占めた。23年タスティエーラは前走日本ダービー(1着)からの直行で2着と好走したが、24年ダノンデサイルは前走日本ダービー(1着)以来の休み明けで挑み、1番人気で6着と敗退した。

前走G2は主に神戸新聞杯組とセントライト記念組。それぞれのレースから1着馬4頭、2着馬3頭が出ており、基本的にはトライアルを使われた方が安心して狙える。

前走G3【1.0.0.9】で好走したのは18年1着フィエールマン。新馬1着→山藤賞1着→ラジオNIKKEI賞2着という成績で挑み、レース史上最少キャリア(4戦目)での優勝を飾った。

また、3勝クラス【1.1.0.6】は連対率・複勝率25.0%、2勝クラス【0.1.4.35】は複勝率12.5%。上がり馬にも十分チャンスがある。

ダービーよりも皐月賞の着順が大事

着順 馬名 人気 前走レース名 前着 皐月賞 ダービー
24年 1 アーバンシック 2 セントラG2 1 4着 11着
23年 3 ソールオリエンス 1 セントラG2 2 1着 2着
22年 1 アスクビクターモア 2 セントラG2 2 5着 3着
22年 2 ボルドグフーシュ 7 神戸新聞G2 3 不出走 不出走
22年 3 ジャスティンパレス 4 神戸新聞G2 1 9着 9着
21年 1 タイトルホルダー 4 セントラG2 13 2着 6着
21年 2 オーソクレース 3 セントラG2 3 不出走 不出走
20年 1 コントレイル 1 神戸新聞G2 1 1着 1着
20年 3 サトノフラッグ 5 セントラG2 2 5着 11着
19年 1 ワールドプレミア 3 神戸新聞G2 3 不出走 不出走
19年 2 サトノルークス 8 セントラG2 2 14着 17着
19年 3 ヴェロックス 1 神戸新聞G2 2 2着 3着
18年 2 エタリオウ 2 神戸新聞G2 2 不出走 4着
17年 1 キセキ 1 神戸新聞G2 2 不出走 不出走
17年 2 クリンチャー 10 セントラG2 9 4着 13着
16年 1 サトノダイヤモンド 1 神戸新聞G2 1 3着 2着
16年 2 レインボーライン 9 札幌記念G2 3 不出走 8着
16年 3 エアスピネル 6 神戸新聞G2 5 4着 4着
15年 1 キタサンブラック 5 セントラG2 1 3着 14着
15年 2 リアルスティール 2 神戸新聞G2 2 2着 4着
15年 3 リアファル 1 神戸新聞G2 1 不出走 不出走

(表2 菊花賞で好走した前走G2組、過去10年)

表2は前走G2組の好走馬全21頭の皐月賞と日本ダービーの着順をまとめたもの。まず16年2着レインボーラインだけ前走札幌記念であり、その他の馬は神戸新聞杯かセントライト記念だ。そして前走6着以下ながら巻き返したのは、17年2着クリンチャーと21年1着タイトルホルダー。両馬は春のクラシックに出走し、前者は皐月賞4着、後者は皐月賞2着。ともに日本ダービーでは大きく敗れたが、皐月賞でいい結果を残していた。

その他にも15年1着キタサンブラック、20年サトノフラッグ、24年アーバンシックといった馬たちが、皐月賞で好走・善戦し、日本ダービーで二けた着順に敗れるという成績を残していた。

逆に皐月賞よりも日本ダービーの着順が良かった馬は、16年1着サトノダイヤモンド、22年1着アスクビクターモア。それから皐月賞も日本ダービーも不出走だった馬は、17年1着キセキなどがおり、春のクラシック経験が必須というわけではない。

前走2勝・3勝クラスは距離2200m組のみ有力

前走平地距離 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回値 複回値
1800m 0- 0- 0- 2/ 2 0.0% 0.0% 0.0% 0 0
2000m 0- 0- 0-17/17 0.0% 0.0% 0.0% 0 0
2200m 1- 2- 4- 7/14 7.1% 21.4% 50.0% 52 247
2400m 0- 0- 0- 4/ 4 0.0% 0.0% 0.0% 0 0
2500m 0- 0- 0- 5/ 5 0.0% 0.0% 0.0% 0 0
2600m 0- 0- 0- 6/ 6 0.0% 0.0% 0.0% 0 0

(表3 前走2勝・3勝クラス組の前走距離別成績、過去10年)

前走2勝・3勝クラスの前走距離別成績(表3)を調べたところ、2000m【0.0.0.17】に対して、2200m【1.2.4.7】は複勝率50.0%だった。中でも日本海S(3勝クラス・新潟芝2200m)勝ち馬は注目で、23年1着ドゥレッツァ、24年2着ヘデントールと2年連続で連対馬を出している。それから20年2着アリストテレス、24年3着アドマイヤテラらが前走2勝クラス・中京芝2200mの特別戦で1着。17年3着ポポカテペトルら2頭が前走阿賀野川特別(2勝クラス・新潟芝2200m)を勝っていた。

一方、前走距離2400〜2600m【0.0.0.15】は不振であり、単に長い距離で実績を挙げていれば良い、というわけではない。

【結論】

異例のローテーションだがエネルジコに注目

まず今年の神戸新聞杯は春の実績馬が人気に応えて上位を独占し、平穏な決着だった。勝利したのはエレキングだが、2着ショウヘイと3着ジョバンニの方に注目してみたい。ショウヘイは皐月賞不出走、日本ダービー3着なので、18年菊花賞2着エタリオウ(皐月賞不出走、日本ダービー4着)と似た成績と言える。ジョバンニは皐月賞(4着)の方が日本ダービー(8着)よりも着順が良かったのがポイント。

セントライト記念組よりも気になるのが前走新潟記念という異例のローテーションで臨むエネルジコ。新潟記念で初黒星(2着)を喫したが、4戦3勝とキャリアが浅いのが魅力的。この点は18年に勝利したフィエールマンと似ている。皐月賞馬と日本ダービー馬が不在なので、新興勢力が台頭してもおかしくないという状況でもある。

あとは前走距離2200mの2勝・3勝クラス組が有力。前走日本海S1着のゲルチュタール、前走阿賀野川特別1着のアマキヒが食い込めるかどうかに注目。

ライタープロフィール

小田原智大(おだわら ともひろ)

1975年6月、東京生まれ。早稲田大学商学部卒業後、業界紙記者を経て、(株)レイヤード入社。ライター&エディターとして活躍。JRA-VANデータの配信初期から、いち早くデータ競馬の有効性に着目する。05年5月より「競馬 最強の法則WEB」にて、障害戦を除く全重賞レースの傾向と対策、予想を展開。「オッズパーク ダートグレードデータ作戦」では、地方競馬の重賞の攻略にも取り組んでいる。仕事の関係でなかなか競馬場には行けなくなったが、年に1、2回行くローカル遠征が楽しみ。


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