【アイルランドT × 過去データ分析】今年は前走G3組が中心に
2025/10/9(木)

エリザベス女王杯へ向けたステップレース・アイルランドT。昨年まではこの時期に「アイルランドT府中牝馬S」が行われていたが、今年から「アイルランドT」と「府中牝馬S」に分離され、府中牝馬Sがこれまでの回次を引き継いで6月に施行。エリザベス女王杯の前哨戦は「アイルランドT」として新たに第1回から行われることになった。今回は2015〜16年の府中牝馬S、2017〜24年のアイルランドT府中牝馬Sを対象にJRA-VAN DataLab.とTARGET frontier JVを利用してデータを分析し、今年のアイルランドTの行方を占いたい。
1、2番人気安定も、穴馬の激走を警戒
| 人気 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 |
| 1 | 2-3-2-3/10 | 20.0% | 50.0% | 70.0% |
| 2 | 1-2-2-5/10 | 10.0% | 30.0% | 50.0% |
| 3 | 1-0-1-8/10 | 10.0% | 10.0% | 20.0% |
| 4 | 2-1-0-7/10 | 20.0% | 30.0% | 30.0% |
| 5 | 1-1-1-7/10 | 10.0% | 20.0% | 30.0% |
| 6 | 0-1-0-9/10 | 0.0% | 10.0% | 10.0% |
| 7〜9 | 1-1-3-24/29 | 3.4% | 6.9% | 17.2% |
| 10〜12 | 2-1-1-22/26 | 7.7% | 11.5% | 15.4% |
| 13〜 | 0-0-0-24/24 | 0.0% | 0.0% | 0.0% |
(表1 人気別成績)
人気別の成績は、1番人気が【2.3.2.3】で連対率50.0%・複勝率70.0%の好成績。2番人気も【1.2.2.5】複勝率50.0%と上々だ。ただ3番人気以下は好走馬が分散しており、7〜9番人気が計【1.1.3.24】複勝率17.2%、10〜12番人気が計【2.1.1.22】同15.4%と穴馬の激走にも注意したい。13番人気以下の好走馬はおらず、狙いは12番人気以内。単勝オッズでは40倍以上になると【0.0.0.36】のため、40倍未満が目安になる。
好走馬の大半は4〜5歳馬
| 年齢 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 1〜3番人気 | 4番人気以下 |
| 3歳 | 0-0-0-2/2 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0-0-0-1 | 0-0-0-1 |
| 4歳 | 5-5-7-41/58 | 8.6% | 17.2% | 29.3% | 3-3-4-10 | 2-2-3-31 |
| 5歳 | 5-4-2-50/61 | 8.2% | 14.8% | 18.0% | 1-2-0-2 | 4-2-2-48 |
| 6歳 | 0-1-1-14/16 | 0.0% | 6.3% | 12.5% | 0-0-1-3 | 0-1-0-11 |
| 7歳 | 0-0-0-2/2 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0-0-0-0 | 0-0-0-2 |
(表2 年齢別成績)
年齢別では4歳が【5.5.7.41】、5歳が【5.4.2.50】で、3着以内の好走馬30頭中28頭は4〜5歳馬。両者の比較では勝率、連対率がほぼ互角、複勝率では4歳が一歩リードしている。ただ5歳は上位人気に推された馬が少なく、好走馬11頭中8頭は4番人気以下だった。穴を狙うなら5歳をやや重視したい印象だ。
前走G1組は今回の人気がカギ
| 前走クラス | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 |
| 3勝 | 2-1-0-15/18 | 11.1% | 16.7% | 16.7% |
| OPEN | 3-1-0-11/15 | 20.0% | 26.7% | 26.7% |
| 中央G3 | 4-5-5-58/72 | 5.6% | 12.5% | 19.4% |
| 中央G2 | 0-1-0-6/7 | 0.0% | 14.3% | 14.3% |
| 中央G1 | 1-1-5-17/24 | 4.2% | 8.3% | 29.2% |
| 地方 | 0-0-0-1/1 | 0.0% | 0.0% | 0.0% |
| 海外 | 0-1-0-1/2 | 0.0% | 50.0% | 50.0% |
(表3 前走クラス別成績)
前走クラス別では中央G1組が【1.1.5.17】で複勝率は29.2%。昨年の優勝馬ブレイディヴェーグは前年のエリザベス女王杯1着以来、2018年2着のリスグラシューは安田記念8着以来で、前走がヴィクトリアMだった馬は好走しても3着まで。また、好走馬7頭中6頭はここで3番人気以内に支持されていた。
前走中央G3組は複勝率19.4%止まりだが、好走馬は14頭と約半数を占める。また、該当馬は少ないものの勝率の高い3勝クラス組にも注意したい。なお、好走馬30頭はすべて前走で芝のレースに出走しており、今年のオープン特別組(登録のある2頭とも前走ダート)は苦しそうだ。
G3組は前走芝1600〜1800m戦連対馬に注目
| 条件 | 成績 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | |
| 前走距離 | 芝1600m | 2-2-2-14/20 | 10.0% | 20.0% | 30.0% |
| 芝1800m | 2-3-3-26/34 | 5.9% | 14.7% | 23.5% | |
| 芝2000m | 0-0-0-17/17 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | |
| 前走着順 | 1着 | 1-0-0-2/3 | 33.3% | 33.3% | 33.3% |
| 2着 | 2-1-1-10/14 | 14.3% | 21.4% | 28.6% | |
| 3〜5着 | 0-2-0-18/20 | 0.0% | 10.0% | 10.0% | |
| 6〜9着 | 1-2-4-13/20 | 5.0% | 15.0% | 35.0% | |
| 10着以下 | 0-0-0-15/15 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | |
(表4 前走中央G3組の前走距離、前走着順別成績)
G3組の好走馬14頭はすべて前走で芝1600〜1800m戦に出走しており、特に芝1600m組の好走確率が高い。前走着順別では1、2着だった馬が高複勝率。この「前走芝1600〜1800mのG3で連対」の条件を満たす馬は【3.1.1.8】複勝率38.5%になる。ほかに前走6〜9着馬の複勝率も高いが、本年の登録馬では1年以上の休養明けになるキャットファイトしか該当馬はいない。この組の好走馬は14頭すべて、前走で同年6月以降のレースに出走していた。
3勝クラス組は重賞実績をチェック
| 年 | 馬名 | 人気 | 着順 | 前走 | 前走人気 | 前走着順 | 主な重賞実績 |
| 2017 | クロコスミア | 5 | 1 | 2017WASJ | 1 | 1 | ローズS2着 |
| 2022 | イズジョーノキセキ | 12 | 1 | 垂水S | 3 | 1 | エ女王杯5着 |
| 2024 | シンティレーション | 10 | 2 | 新潟日報賞 | 11 | 1 | フラワーC3着 |
(表5 前走3勝クラスからの3着以内好走馬)
前走3勝クラス組の好走馬は3頭で、いずれも前走は1着。また重賞実績もチェックポイントになり、3頭にはG2〜G3で馬券に絡んでいるか、G1で掲示板に載った経験があった。重賞で6着以下ばかりの馬や重賞未経験馬では苦しそうだ。
【結論】
前走G3連対の4歳馬・ボンドガールとセキトバイーストが有力
今年の登録馬のうち、表3で複勝率の高かった前走G1出走馬はアドマイヤマツリ(前走ヴィクトリアM7着)とサフィラ(同13着)の2頭で、どちらも好走の多い4歳馬。ただ表3本文で触れたように、前走ヴィクトリアM出走馬は好走しても3着止まりのため中心には推しづらい。また、この組は今回3番人気以内に推されるかどうかもチェックポイントになる。
注目は前走G3連対馬で、該当するのはカナテープ、セキトバイースト、ホウオウラスカーズ、そしてボンドガールの4頭だ。このうちカナテープとホウオウラスカーズは年齢(6歳、7歳)から割引が必要になるため、4歳のセキトバイーストとボンドガールが有力だ。2頭の比較では、前走で芝1600m戦(関屋記念)に出走しているボンドガールを上位にとりたい。
そして前走3勝クラス組では、2024年フローラS2着などの実績を持つ4歳馬ラヴァンダにチャンスがある。また、G2(ローズS)で4着という実績面はやや微妙だが、大穴候補として5歳のアンリーロードも挙げておきたい。
ライタープロフィール

浅田知広(あさだ ともひろ)
1970年12月、埼玉県生まれ。立命館大学文学部中退後、夕刊紙レース部のアルバイト、競馬データベース会社を経て、現在はフリー。パソコンが広く普及する以前から、パソコン通信でデータ手入力方式の競馬予想ソフトを公開するなど、競馬のみならずPCやネットワークにも精通。その知識を活かし、Webや雑誌で競馬ライターとして活躍するかたわら、ネットワークの専門誌にも連載を持つ。


