【新潟記念×過去データ分析】別定戦となり前走G1組が益々有力か
2025/8/28(木)

今週は日曜日に新潟記念が行われる。今までは夏の新潟開催を締めくくるハンデ戦として親しまれてきたが、今年から別定戦に変更された。これがレース傾向にどれぐらい影響を及ぼすかはまだわからないが、すでに変化は感じ取れる。というのも、出走予定メンバーの顔触れが例年よりも豪華になったからだ。ハンデ戦では出走しづらかった実績馬が出走しやすくなったのが大きい。秋のG1シリーズに向けて余裕あるローテーションを組みたい馬にとってはありがたい変更かもしれない。
ひとまず、いつものようにJRA-VAN DataLab.とTARGET frontier JVを利用し、過去10年のデータを分析してみることにした。
後方の成績・回収率が優秀
| 脚質上り | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単回値 | 複回値 |
| 平地・逃げ | 0- 1- 0- 9/ 10 | 0.0% | 10.0% | 10.0% | 0 | 25 |
| 平地・先行 | 3- 2- 2- 28/ 35 | 8.6% | 14.3% | 20.0% | 134 | 93 |
| 平地・中団 | 4- 2- 3- 64/ 73 | 5.5% | 8.2% | 12.3% | 52 | 44 |
| 平地・後方 | 3- 5- 5- 31/ 44 | 6.8% | 18.2% | 29.5% | 115 | 146 |
| 3F 1位 | 4- 2- 2- 5/ 13 | 30.8% | 46.2% | 61.5% | 438 | 285 |
| 3F 2位 | 1- 2- 0- 5/ 8 | 12.5% | 37.5% | 37.5% | 275 | 198 |
| 3F 3位 | 1- 1- 4- 4/ 10 | 10.0% | 20.0% | 60.0% | 50 | 253 |
| 3F 〜5位 | 2- 3- 3- 17/ 25 | 8.0% | 20.0% | 32.0% | 56 | 134 |
| 3F 6位〜 | 2- 2- 1-101/106 | 1.9% | 3.8% | 4.7% | 35 | 19 |
(表1 新潟記念の脚質別成績、過去10年)
過去10年の脚質別成績を調べたところ、後方が連対率18.2%、複勝率29.5%、単勝回収値115、複勝回収値146と優秀だった。一方で、先行馬が追い込み馬の末脚を封じて勝つ、というのも一つのパターンであり、先行の勝率(8.6%)と単勝回収値(134)は悪くない。
新潟記念で上がり3ハロン1位をマークした馬の勝率(30.8%)、連対率(46.2%)、複勝率(61.5%)が優秀で、単・複の回収値も高い。同2位の好走率と回収値も優秀なので、基本的には最後の直線でいかに速い脚を繰り出せるか、というのが勝敗の鍵だ。
前走G1組の成績が良い
| 前走クラス | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単回値 | 複回値 |
| 3勝 | 1- 1- 1- 21/ 24 | 4.2% | 8.3% | 12.5% | 25 | 37 |
| OPEN非L | 0- 1- 2- 10/ 13 | 0.0% | 7.7% | 23.1% | 0 | 191 |
| OPEN(L) | 0- 0- 0- 3/ 3 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0 | 0 |
| G3 | 5- 5- 7- 69/ 86 | 5.8% | 11.6% | 19.8% | 110 | 81 |
| G2 | 0- 1- 0- 12/ 13 | 0.0% | 7.7% | 7.7% | 0 | 42 |
| G1 | 4- 2- 0- 17/ 23 | 17.4% | 26.1% | 26.1% | 152 | 99 |
| 重賞 | 9- 8- 7- 98/122 | 7.4% | 13.9% | 19.7% | 106 | 80 |
(表2 新潟記念の前走クラス別成績、過去10年)
前走クラス別成績を調べたところ、JRA重賞組【9.8.7.98】が好走馬の8割を占めた。中でも前走G1組【4.2.0.17】の成績が良かった。好走した6頭の内、18年1着ブラストワンピース(日本ダービー5着)、19年1着ユーキャンスマイル(天皇賞・春5着)、23年1着ノッキングポイント(日本ダービー5着)はいずれも前走G1で5着。これらの馬に22年1着カラテ(22年中山記念2着)を加えた4頭には、同年に芝重賞で連対実績があった。
前走G2組【0.1.0.12】のレース内訳は、なんとすべて目黒記念。唯一の好走馬は23年2着ユーキャンスマイルで、同馬は22年新潟記念でも2着と好走していた。
前走G3組【5.5.7.69】は好走馬の数が最も多く、単勝回収値が110と優秀。さらに前走2着以内に絞ると、【2.3.3.18】で勝率7.7%、連対率19.2%、複勝率30.8%だった。
前走10着以下の回収率が高い
| 前確定着順 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単回値 | 複回値 |
| 前走1着 | 2- 3- 2- 30/ 37 | 5.4% | 13.5% | 18.9% | 48 | 57 |
| 前走2着 | 1- 1- 2- 12/ 16 | 6.3% | 12.5% | 25.0% | 31 | 55 |
| 前走3着 | 0- 1- 1- 7/ 9 | 0.0% | 11.1% | 22.2% | 0 | 43 |
| 前走4着 | 0- 0- 0- 9/ 9 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0 | 0 |
| 前走5着 | 3- 0- 1- 7/ 11 | 27.3% | 27.3% | 36.4% | 119 | 118 |
| 前走6〜9着 | 1- 3- 2- 30/ 36 | 2.8% | 11.1% | 16.7% | 25 | 93 |
| 前走10着〜 | 2- 2- 2- 36/ 42 | 4.8% | 9.5% | 14.3% | 154 | 111 |
| 指 前1-28着 | 9- 10- 10-131/160 | 5.6% | 11.9% | 18.1% | 68 | 79 |
(表3 新潟記念の前走着順別成績、24年1着シンリョクカは前走競走中止のため除く)
前走着順別成績を調べたところ、前走5着が勝率27.3%、連対率27.3%、複勝率36.4%と優秀だった。一方、前走4着【0.0.0.9】は好走例がなかった。前走5着の成績が良いのはたまたまかもしれない。
前走1着や2着の成績は悪くないが、良くもない。回収値も低い印象だ。なお、24年1着シンリョクカは前走福島牝馬Sが競走中止だったため、表4のデータには集計されていない。シンリョクカの2走前の成績は中山牝馬S3着だった。
配当的な妙味を期待するのであれば単回収値154、複勝回収値111の前走10着以下の馬に注目したい。
【結論】
先行抜け出しか、末脚が炸裂か
今年の新潟記念に出走を予定している前走G1組はクイーンズウォーク、シランケド、シンリョクカ、ダノンベルーガ、ブレイディヴェーグ。いずれの馬も実績的に光るものを持っているので取捨は悩ましいが、今年の金鯱賞を制しているクイーンズウォーク、今年の中山牝馬Sの勝ち馬で、なおかつ魚沼S(3勝クラス・新潟芝2000m)を勝っているシランケドが有力とみる。特に後者は脚質・決め手(2走前が差し、前走が追い込み)という面でも注目。
前走G2組ではエネルジコに注目。前走青葉賞を含み3戦3勝という実績。決め手に定評があり、近2走は追い込んで勝利。外回りの新潟芝2000mなら非常に魅力的だ。
あとは前走札幌記念5着のヴェローチェエラ。今回、より暑い本州に戻って中1週での出走と厳しいが、2走前に函館記念を制した実績を買う。
前走G3組は素直に好成績馬に注目。前走七夕賞1着コスモフリーゲンと前走小倉記念2着シェイクユアハートは逃げ・先行馬。実績上位馬は差し・追い込みタイプが多いため、展開的にも軽視はできない。
ライタープロフィール

小田原智大(おだわら ともひろ)
1975年6月、東京生まれ。早稲田大学商学部卒業後、業界紙記者を経て、(株)レイヤード入社。ライター&エディターとして活躍。JRA-VANデータの配信初期から、いち早くデータ競馬の有効性に着目する。05年5月より「競馬 最強の法則WEB」にて、障害戦を除く全重賞レースの傾向と対策、予想を展開。「オッズパーク ダートグレードデータ作戦」では、地方競馬の重賞の攻略にも取り組んでいる。仕事の関係でなかなか競馬場には行けなくなったが、年に1、2回行くローカル遠征が楽しみ。


