【フェブラリーS×過去データ分析】ふたつの東京ダートG3の内容に注目!
2025/2/20(木)
中央競馬で1年最初のG1は、もちろん今年もフェブラリーS。マイル前後で無類の強さを誇ったレモンポップが引退し、このカテゴリーの次期王座を巡る一戦を、過去10年のデータから展望する。データ分析には、JRA-VAN DataLab.とTARGET frontier JVを利用した。
根岸S組の好走は前走1、2着馬のみ
前走 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単回値 | 複回値 | |
前走着順 | 前走1着 | 4- 1- 1- 2/ 8 | 50.0% | 62.5% | 75.0% | 260 | 151 |
前走2着 | 0- 1- 2- 2/ 5 | 0.0% | 20.0% | 60.0% | 0 | 184 | |
前走3着〜 | 0- 0- 0-38/38 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0 | 0 | |
前走上がり順 | 上がり1〜5位 | 4- 2- 3-16/25 | 16.0% | 24.0% | 36.0% | 83 | 85 |
上がり6位〜 | 0- 0- 0-26/26 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0 | 0 |
(表1 前走根岸S出走馬に関するデータ)
過去10年のフェブラリーS1着馬の前走は、根岸Sが4勝、チャンピオンズCとプロキオンS(注:24年までの東海Sに相当)が各3勝となっている。そこで、この3レースにまつわるデータを確認したい。
上記3レースのうち、もっとも明確な傾向が出ているのが前走根岸S組だ。表1のとおり、この組は、根岸Sで1〜2着および上がり1〜5位を記録していることがフェブラリーS好走の必須条件と言っていい。
前走チャンピオンズC出走馬は若い馬ほど有望
前走 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単回値 | 複回値 | |
前走着順 | 前走1〜2着 | 0- 2- 0- 0/ 2 | 0.0% | 100.0% | 100.0% | 0 | 125 |
前走3〜5着 | 0- 0- 0- 2/ 2 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0 | 0 | |
前走6〜9着 | 1- 1- 0- 4/ 6 | 16.7% | 33.3% | 33.3% | 55 | 115 | |
前走10着〜 | 2- 0- 2- 3/ 7 | 28.6% | 28.6% | 57.1% | 144 | 144 | |
年齢 | 4歳 | 2- 1- 1- 0/ 4 | 50.0% | 75.0% | 100.0% | 207 | 222 |
5歳 | 1- 1- 1- 4/ 7 | 14.3% | 28.6% | 42.9% | 72 | 78 | |
6歳〜 | 0- 1- 0- 5/ 6 | 0.0% | 16.7% | 16.7% | 0 | 85 |
(表2 前走チャンピオンズC出走馬に関するデータ)
前走チャンピオンズC組は10着以下からの巻き返しが好走の半数を占め、前走着順は気にしなくてよさそう。傾向が出ているのは年齢別成績(フェブラリーS出走時)だ。4歳馬は【2.1.1.0】とオール好走を果たし、5歳馬も【1.1.1.4】と悪くない。しかし、6歳以上馬は【0.1.0.5】と、このローテーションを採用したケースでは若い馬ほど好結果という傾向が見て取れる。
前走プロキオンSで先行して勝ち切った馬
前走 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単回値 | 複回値 | |
前走着順 | 前走1着 | 2- 0- 1- 3/ 6 | 33.3% | 33.3% | 50.0% | 78 | 113 |
前走2着〜 | 1- 1- 0-12/14 | 7.1% | 14.3% | 14.3% | 271 | 82 | |
前走4角 | 1〜3番手 | 3- 0- 1- 8/12 | 25.0% | 25.0% | 33.3% | 355 | 127 |
4番手以下 | 0- 1- 0- 7/ 8 | 0.0% | 12.5% | 12.5% | 0 | 37 |
(表3 前走プロキオンS出走馬に関するデータ)
前走プロキオンS組のデータは、24年までの東海Sを準用する。この場合、前走1着ならフェブラリーSで複勝率50.0%を誇る一方、2着以下だと複勝率14.3%にダウン。また、全3勝を前走4角1〜3番手だった馬が挙げ、4番手以降だった馬は数値を落とす。両方を満たす「前走プロキオンSで4角1〜3番手から1着」だった馬の成績は【2.0.1.2】となる。
前走地方戦なら距離延長馬
前走 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単回値 | 複回値 | |
前走着順 | 前走1着 | 0- 0- 0-12/12 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0 | 0 |
前走2着〜 | 0- 3- 3-32/38 | 0.0% | 7.9% | 15.8% | 0 | 109 | |
前走距離 | 今回延長 | 0- 1- 1- 5/ 7 | 0.0% | 14.3% | 28.6% | 0 | 180 |
同距離 | 0- 0- 0- 5/ 5 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0 | 0 | |
今回短縮 | 0- 2- 2-34/38 | 0.0% | 5.3% | 10.5% | 0 | 76 |
(表4 前走地方戦出走馬に関するデータ)
前走が地方戦という馬の出走も少なくないが、全体で【0.3.3.44】と苦戦気味。興味深いのは前走着順で、前走1着馬は【0.0.0.12】と好走がなく、前走2着以下馬がすべての2〜3着をマーク。また、距離に関しては「今回延長」が複勝率28.6%と悪くない。そして、「前走2着以下」かつ「今回延長」に該当した馬は【0.1.1.1】という成績で、馬券圏外の1頭も4着まで来ており、該当すれば侮れない存在となりうる。
前年の武蔵野S1〜5着馬は要注目
前年の武蔵野Sで | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単回値 | 複回値 | |
着順 | 1〜5着 | 4- 2- 5-15/26 | 15.4% | 23.1% | 42.3% | 88 | 110 |
6着〜 | 0- 1- 1-12/14 | 0.0% | 7.1% | 14.3% | 0 | 95 | |
上がり順 | 上がり1〜5位 | 4- 2- 5-13/24 | 16.7% | 25.0% | 45.8% | 95 | 152 |
上がり6位〜 | 0- 1- 1-14/16 | 0.0% | 6.3% | 12.5% | 0 | 33 |
(表5 前年の武蔵野S出走馬に関するデータ)
フェブラリーSでは、前年秋に同条件の武蔵野Sに出走した馬が好走するケースが目立つ。そこでチェックしたいのが、武蔵野Sの着順と上がり順だ。表5のとおり、着順なら1〜5着、上がり順なら1〜5位だった馬が、どちらもフェブラリーSで複勝率40%以上を記録し、有望な存在となりうる。
【結論】
エンペラーワケアとコスタノヴァはデータも申し分ない
以上の分析に基づき、今年のフェブラリーSで期待できそうな馬を紹介していこう。
前走根岸S組は、そこで1〜2着に入り、上がり1〜5位を記録しておくことが必須。今年該当するのは根岸S1着、上がり2位のコスタノヴァである。
前走チャンピオンズC組は、フェブラリーS出走時4歳ならオール好走というデータがあるが、今年は該当馬なし。また、5歳のセラフィックコールは除外対象となっている。ほかに6歳以上が4頭おり、昨年1着のペプチドナイル、2着のガイアフォースも含まれる。該当馬は苦戦のデータを覆し、2年連続好走を果たせるか。
前走プロキオンS組は、そこで4角1〜3番手から1着だった馬の好走率が高く、今年逃げ切ったサンデーファンデーはこの条件に合致。そのほか、4角6番手から2着のサンライズジパングより、4角3番手から3着のドゥラエレーデのほうがデータには沿っている。
前走地方戦の場合、前走1着だと好走例がなく、距離延長が悪くない成績だった。今年の登録馬では、前走兵庫ゴールドT(1400m)で2着のサンライズホークと12着のヘリオスがこのパターンに該当する。ただし、除外対象の前者はかきつばた賞に出走予定と報じられ、後者は過去10年で好走例がない地方所属馬である。
前年の武蔵野S出走馬は、そこで1〜5着に入るか、上がり1〜5位を記録していると有望で、エンペラーワケアは1着、上がり5位で文句なし。4着のペイシャエスと5着のサンライズホークもいるが、両馬とも除外対象となっている。
ライタープロフィール
出川塁(でがわ るい)
1977年熊本県生まれ。上智大学文学部卒業後、出版社2社で競馬専門誌、競馬書籍の編集に携わり、2007年からフリーライターに。「競馬最強の法則」「サラブレ」「優駿」などへ寄稿するほか、出版社勤務時代を含めて制作に関わった競馬書籍は多数。馬券は単勝派だが、焼肉はタン塩派というわけではない。メインの競馬のほか、サッカーでも密かに活動中。